MFTとは、Market(市場)、Function(機能)、Technology(技術)の略語で、技術と市場の間にある機能に着目することで、技術を活用できる市場を幅広く検討できるフレームワークのことです。
我々がよく犯してしまう過ちとして、技術と市場をダイレクトに1対1で結びつけてしまうことです(特に技術者に多く見られる傾向です)。例えば、LEDを長持ちする電球としか考えなければ、電球が長持ちして嬉しい人だけが対象市場となってしまいます。
しかし、市場と技術を結ぶ機能を考えると、より幅広く市場ニーズを捉えることができるようになります。LEDの例で考えると、機能として省エネ、省資源、地球環境にやさしいことを考えると、対象とする市場がより広がっていきます。
技術から生み出される機能を考えられる限り羅列して、それぞれの機能がどんな市場を対象にできるのかを考えることで、潜在的なビジネスチャンスを捉える可能性が高まるわけです。
MFTフレームの基本をおさえよう
MFTフレームは、市場の変化に対して有効に活用することができます。
市場の変化は求められる機能の変化として表れます。そうすると技術をどのように変化させていけば良いのか、あるいは技術をどのように組み合わせれば良いのかがわかります。
例えば、携帯電話は電話ができることが重要な機能でしたが、どこでも情報を見たい、メールもしたい、音楽も聴きたい、携帯ひとつで何でも済ませたいというようにユーザーニーズが変化し、それによりオールインワンの機能が求められるようになりました。
それが、iPhoneを代表とするスマートフォンの流行になったわけですが、これは既存の技術の組み合わせによって生み出されたわけです。
まずはMFTフレームを使ってみる
技術シーズを市場に結びつけるのにMFTフレームは有効だと言えます。いくつかの市場(M)、いくつかの機能(F)、いくつかの技術(T)というグループがあるとして、ある「技術A」があると、いきなり「市場α」が良いと決めてしまって、いきなり開発しだすケースがあります。
こういったケースは多い気がするのですが、良くはないと言えます。「技術A」の機能を分解して、「機能①」「機能②」…、これに「市場α」「市場β」…の中での応用例を考えていく(競合・関連企業・時間軸などの要素もあると良いでしょう)というのが必要だと思います。
何も、長い間調査を行う必要はなく、MECEに最低限の地図があれば良いでしょう。このMFTフレームは、技術シーズに対しての応用例を考える上で有効だと思います。
イノベーションの源泉
他の例として、例えば画面から音の出るスピーカーがあります。その製品には画面だけで別にスピーカーを用意して取り付ける必要がないというメリットがあります。画期的で、デザインもクールです。しかし、それが求められるかと言えば、そのシーンはさほど見当たりません。
では、画面から音が出るということには、いかなる役割が与えられるのか、そのメリットは臨場感です。既に映画館では、スクリーンから音が出るようになっています。スピーカーが映像から離れていると、違うところから音が出ていることが感覚的にわかってしまい、違和感が生じてしまいます。その違いを認識させないために、画面から音が出るというわけです。
では、テレビのサイズで、このような臨場感が得られるにはどういったものがあるでしょうか。これを考えることで、テクノロジーは活かすことができるようになります。
わかりやすい例としては、単身赴任のビジネスマンという顧客を取り上げてみます。彼らに提供できる臨場感、併せてその価値は「いつでも家族と一緒にいるというリアルタイム性」です。この世の中から孤独を無くそうというアプローチです。
4Kテレビの大きな画面と、高精細のカメラを家の中に設置するとします。帰宅して、家の電気が点くと同時に、カメラのスイッチが入ります。そうすると、奥さんや子どもたちから「おかえり」という声が返ってくるのです。目の前にいる家族が、直接話してくるのです。幸せな毎日ですよね。
まとめ MFTフレームはイノベーションを生み出す源泉
考えることは、こんな簡単なことで良いのです。この世の中には、寂しさを覚えていたり、悲しんでいたり、不満を持っていたりする人がたくさんいます。彼らを幸せにするにはどうしたら良いのだろう、それには如何なる道具を使えば良いのだろうと、そのように考えることが、イノベーションの源泉となるのです。
まずは、小さな幸せを生み出そうと考えるのです。幸せを積み重ねることで、大きな幸せになります。そうすれば、結果として、大きな社会変化が生まれることになるのです。
このようにMTFフレームを用いて間にファンクションを入れて考察を重ねることで、イノベーションの源泉を生み出すことができるのです。
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