広報担当者がメディアと理想的な関係(パートナーシップ)を保つ5つのポイント
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2025.07.08

広報担当者がメディアと理想的な関係(パートナーシップ)を保つ5つのポイント

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この記事では広報・PR担当者の皆さんに向けて、メディア関係者との理想的な関係性を保つためのポイントなどについてお伝えしていきます。

特に「顔見知りと言えるレベルのメディア関係者もほとんどいない」という方や、「何回か一緒に仕事をするメディア関係者はいても徐々に疎遠になっていく」とお悩みの広報・PR担当者におすすめの内容となっています。

本記事では、そもそも「メディア関係者にとって理想的な広報・PR担当者とは?」という話から始めて、さらに理想的な関係性を維持するためのポイントなどに関して解説しますので、ぜひ参考にしてください。

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メディア関係者にとって理想的な広報・PR担当者になって長く関係を続けましょう

メディア関係者にとって理想的な広報・PR担当者は、簡単にいうと「役立つ情報をこまめに送ってくれる人」です。特殊なノウハウを持っていたり、上場企業に勤めていたりすることは必須ではありません。

一方、「単発的に情報を送ってくる人」もメディア関係者にとって役立ちはするものの、長期的に関係を維持するまでには至らない可能性が高いです。それでも最初は、メディア関係者に対して単発的にプレスリリースなどを送ることから始まりますが、それ以降はできるだけ関係性を維持できるように動きたいものです。

「お得意様のメディア関係者」が増えれば広報・PRの仕事が楽になる

「お得意様のメディア関係者」が増えると、それだけ広報・PRの仕事が楽になります。

そういったメディア関係者が全くいないと毎回「このプレスリリースを送るべき記者は……」などとゼロから考えることになりますが、お得意様がいれば「このメディア関係者の中にこの情報が合う人はいないだろうか」などと考えることができます。そしてお得意様なので、普通よりも気軽にプレスリリースを送ることが可能ですよね。

もちろん「だからメディア関係者の開拓をやめていい」というわけではなく、常に新しい人も探すべきです。しかしお得意様がいればいるだけ負担が減って、リリースの節約になるということも覚えておきましょう。

広報・PR担当者がメディア関係者との理想的な関係を維持するためのポイント5選

それでは広報・PR担当者がメディア関係者との理想的な関係を維持するためのポイントをいくつか紹介していきますので、ぜひ参考にしてください。中には意外なポイントもあると思いますのでチェックしていただければ幸いです。

ポイント①:小さなネタでもプレスリリースを作って情報提供する

先ほども少し触れた通り、メディア関係者にとってありがたい存在の一つが「積極的にネタをくれる人」です。そのため広報・PR担当者としては、小さなネタでもプレスリリースを作って情報提供することをおすすめします。

もちろんそのすべてのネタが採用されるとは限りませんが、「そのメディア関係者に合いそうなネタ」を積極的に送っていれば、「打数(リリース数)」が増えて、結果的に「ヒット(メディア露出数)」も多くなることでしょう。

✅関係性が深くなってきたらプレスリリースよりもライトな形式でも可

なお関わりが深くなってきたメディア関係者に対しては、プレスリリースよりもライトな形式でネタを送っても構いません。例えば、プレスリリースよりもさらに軽い「アプローチメール(メールに情報の概要を書く)」など。

さらに言うと、メールや電話で「こんなネタがありますがどうですか?」とたずねるだけで、「もっと聞かせてくれますか?」もしくは「そのネタはいらないです」などと答えてくれるような関係性になることも夢ではありません。

「それでもきちんとプレスリリースを書くべきでは?」と感じるかもしれません。しかしメディア関係者としても「ネタの量」が多い方が嬉しいので、プレスリリースにこだわる意味はないのです。広報・PR担当者にとってもリリースの節約になるので柔軟に考えてください。

ポイント②:自社のネタでなくても面白そうならプレスリリースなどで提供する

裏ワザ的な方法ですが、自社のネタでなくても面白そうならプレスリリースなどで提供してみるのもおすすめです。もちろん上で触れたように、ひとまず「こんなネタがあります」から入っても構いません。

自社のネタでなくても、メディア関係者にとって「多くのネタをくれる人」であることに変わりはありません。また、「自分の会社のネタでもないのに調べてくれるなんて」と相手からの好感度や信頼性を上げることもできます。

当然、自社のネタがある場合はそちらを優先するべきですが、たびたび他フィールドのネタも調べてみることで広報・PR担当者としての見識も広がることでしょう。

✅他社の「表に出せない情報」の発信は当然NG

特に他社の広報・PR担当者とのつながりができると、「他社のまだ表に出せない情報」を知ることが稀にあります。これはもちろん発信してはいけないので気を付けてください。信頼を失うだけならまだしも、訴訟などに発展する恐れもあります。

ポイント③:相手の番組や記事をチェックして面白そうなら感想を送る

メディア関係者も人間ですから、自分の記事や番組の感想をもらうのは嬉しいことです。そのため広報・PR担当者は相手の記事や番組をチェックして、特に面白かったものについては感想を送るといいでしょう。

感想は「楽しかったです」など中身がない内容ではなく、例えば「特に○○への言及が興味深く、弊社が力を入れている業務の参考にもなりました」など具体的で、本当に読んだ・観たとわかるようなものにするのがポイントです。

なお、ある程度関係性ができている場合だけでなく、初アプローチに近いメディア関係者が相手の場合でも感想を言う手法は効果的です。まずメディア関係者は「数撃てば当たるで声をかけてくる広報・PR担当者」に慣れているので、感想を伝えてくるだけでも「お、少し違う!」と思ってくれる可能性が高いです。

ポイント④:SNSなどで自社のネタだけでなく他のネタも扱う

仕事で「広報・PR用アカウント」を持っている人も多いと思いますが、そこで自社のネタだけでなく他のネタも扱ってみるのもおすすめです。

そうすることで「自社の発信をする普通のアカウント」から、「面白いネタをたくさん扱ってくれる役に立つアカウント」になるので、メディア関係者からの注目度も上がります。メディア関係者のフォロワーもどんどん増えていくことでしょう。

そしてメディア関係者からSNSのDMを通じてメッセージが届く場合もありますし、本当にうまくいけば「○○の取材をさせてくれませんか?」という流れになる可能性さえも。

✅必要に応じてSNSからメールなどに移行する

相手のスタンスによってはメールでのやり取りに移行する方が良い場合もあるので、空気を読んで「以降はメールでお話しさせていただいてもよろしいでしょうか?」などと提案しましょう。ただし「メールの方が絶対に良い」という話ではないので、特に問題がなければ、極端な例ですがSNSのDMだけで取材取り付けまで進んでしまっても構いません。

✅社外秘情報は一般投稿ではなく必ずDMで話す

一般的な投稿はすべての人が閲覧できてしまうので、社外秘情報は必ずDMで話しましょう。また「社外秘情報」とまではいかなくても、「まだ告知できない」などのレベルの情報でも漏らさないように注意してください。安易に情報を表に出す広報・PR担当者は信頼されません。

ポイント⑤:長期間送るネタがないメディア関係者にもたびたびあいさつのメールをする

上でお伝えした通り、一度関係性ができたメディア関係者にはこまめにネタを送るのが理想です。しかし企業や部署の方針が変われば、送るのにふさわしいネタがどうしても生まれず、他のメディア関係者へのプレスリリース送付がメインになっていくかもしれません。

ですが、そのまま「もとのメディア関係者」との関係が終わるのはあまりにももったいなく、そして寂しいです。そのためネタがなくてもたびたびあいさつのメールを送ることをおすすめします。例えば年末年始、お盆、暑中見舞い、年度明けなど。

「ネタがないメールをもらっても困るのでは?」と感じるかもしれませんが、他ジャンルのビジネスマン同士でもあいさつのメールはしているので、広報・PR業界でもおかしいことではありません。それにあなたもそうだと思いますが、たった一通のメールが迷惑に感じることはないのではないでしょうか。

✅できればあいさつだけでなく「最近の取り組み」なども知らせる

「あけましておめでとうございます。」「今年もよろしくお願いします」程度でも良いのですが、できれば最近の取り組みなども知らせると、そこから話が広がる可能性があります(それに定型感もなくなるので気持ちが伝わりやすいです)。

例えばあいさつの後の文章で、「今年の2月上旬から弊社では○○という取り組みを本格始動します。」「形になりましたらプレスリリースもお送りする予定ですが、現時点での情報をお伝えすることも可能ですので、必要に応じてお申し付けください」と伝えるなど。

また、もう少し軽く「先日、弊社で行った○○イベントの様子です」などと写真を何枚か送るのもいいでしょう。いずれにしても「申し上げ程度のあいさつ」と思われないようにすると、より関係性を維持しやすくなります。

メディアと理想的な関係(パートナーシップ)を保つコツまとめ

お得意様のメディア関係者が増えるほどの広報・PRの仕事が楽になりますし、負担が減るだけでなくメディア露出もしやすくなります。

そのために必要なのが「役立つ情報をこまめに送る・発信する人」になることです。場合によっては他社の情報をまとめてプレスリリースを送ってもいいくらいなので、特に「あまり情報を出せていなかった」という方は、まずはフットワークを軽くする意識を持ってみてはいかがでしょうか。

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執筆者・監修者
上岡正明
経済記者・経済コメンテーター
戦略PRプランナー・著書26冊累計105万部のビジネス作家
登録者30万人のYoutuber
上岡正明

MBA(経営学博士前期課程修了)
多摩大学客員講師(18,19)
帝塚山大学客員講師(19)
登録者30万人のビジネス系YouTube

「スーパーJチャンネル」「めざましテレビ」「王様のブランチ」「クイズミリオネア」等の元放送作家。日本を代表するPR戦略の専門家で、企業広報のスペシャリスト。未上場から上場企業まで戦略PRを手掛けたクライアントは300社以上。

広報ブランディング、新規事業構築、外資系企業の国内イベント、海外プロモーション支援のコンサルティング会社代表。現在まで約20年間、実業家として会社を経営。これまでに三井物産、SONY、三菱鉛筆、日本瓦斯など200社以上の広報支援、スウェーデン大使館やドバイ政府観光局などの国際観光誘致イベントなどを行う。

代表的なコンサルティング案件としては、日本中の女性たちの心を動かした「表参道のパンケーキブーム」、1年で200万台以上を売り上げた「ふとん専用掃除機レイコップ」、世界が注目する食イベント「肉フェス」、1カ月で6000万人(日本の約半分)にバズらせた「ジャポニカ学習帳“昆虫の表紙が変わった?”」がある。

経営と並行してMBA(情報工学博士前期課程)取得。東京都中小企業振興公社講師。成蹊大学、多摩大学、帝塚山大学の客員講師。東洋経済新報社、ダイヤモンド社、朝日新聞出版社、PHP出版、総合法令出版社、アスコム社、大和出版、すばる舎、宝島社から累計21冊80万部の著書を上梓。

日本神経心理学会、日本行動心理学学会、行動経済学学会、一般社団法人日本行動分析学会、日本社会心理学会、一般社団法人日本小児心身医学会、認知神経科学会の各学会員。

日経ヴェリタス・東洋経済オンライン・ダイヤモンドオンライン・プレジデントの4大経済メディアで専門家として記事連載もおこなっております。お読みになりたい方はこちらからご覧下さい。

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