MECE|もれなくダブりなくはビジネスの基本です。その訳は?
戦略一覧
コンサルティングスキル
2023.02.27

MECE|もれなくダブりなくはビジネスの基本です。その訳は?

MECEとは

MECEは、「ミーシー」もしくは「ミッシー」と読みます。
・Mutually Exclusive(互いに重複がなく)
・Collecticely Exhaustive(全体にモレがない)
の頭文字をとった言葉で、「相互に排他的な項目」による「完全な全体集合」を意味します。

ちょっと、難しい表現ですよね。
ビジネスの現場では、「モレなく、ダブりなく」という表現が一般的です。

経営学、経営コンサルティングなどの領域ではよく使われる、ロジカルシンキング(論理思考)の基本とも言える重要な概念です。

物事を整理する時に、ある部分が重複していたり、逆に抜け落ちてしまっていたりすることは往々にしてあります。
この抜け漏れをできる限り抑えるための基本的な構造がMECEです。よってMECEはフレームワークではなく、考え方の構造であると言えます。

なぜビジネスマンに必要なの?

なぜMECEの考え方がビジネスマンに必要かというと、物事をロジカルに考えることで、問題解決が明確にできたり、より有効な戦略を立てることができるからです。

例えば、MECEを習得することで、上司を納得させる報告・提案をすることができる、物事の全体像を把握して見落としなく客観的に分析できる、などが期待できます。
また、物事を効率的に進め、最善の結果を導き出す計画を立てることができたり、膨大な資料の取集・整理をすることができるなどの効果も期待できます。

これらできるビジネスマンとして必須の付加価値を、MECEによつて持つことが可能となるのです。具体的にはどういうことでしょうか。

ビジネスマンが身につけるべき3つの理由

◎全体が俯瞰できるようになる

多くの人は、自分の話や考え方などの物事を、うまく構造化することに慣れていません。

構造化することができないと、思いつきで話が前後した状態で相手に伝えてしまったり、物事の結論を出すのにかなり時間がかかってしまいます。

いっぽう話や物事をうまくMECEで構造化できれば、全体が見えてきて、物事の構造がはっきり見えてきます。結果として、頭の中で整理できたり、可視化することができます。

◎捨てる能力が身につく

また、物事にはっきりとした優先順位をつけることができるようになります。具体的には、優先順位の低い部分を捨てて、自信を持って重要な部分にフォーカスを当てて時間や労力を使うことができるようになります。

無駄な時間を過ごしてしまうのは、やらなくていいことまでフォーカスを当ててしまっているからです。MECEでやらなくていいことを可視化することで、大事な部分以外はやらないと認識することができるようになるわけです。

◎意思決定の速度が上がる

全体を俯瞰して、捨てるべきことが明確になってくれば、自ずと意思決定のスピードが飛躍的に上がります。

一つのことに対して何日もかけて悩むことがなくなり、一瞬で物事が判断できるようになるからです。そして、その判断もMECEによって的確になり、仕事全体の質が上がることに繋がります。

◎具体例

具体例を紹介しましょう。

例えば、商品開発のシーンです。
MECEの切り口で分類すると、見えてなかった事実が浮かび上がり、問題解決や発想力に繋がることがあります。

具体例を1つ挙げると、現在、販売されている帽子のデザインのリニューアルを任されるとします。しかも時間が限られています。
このときMECEの切り口で分類するとします。すると、漏れなくダブりなく「色」「素材」「形」「金額」などに分類することができます。

こうした分類を続けていくうちに、重複なく、リニューアルのアイデア出しができます。また、アイデアを考えるさいに漏れがないかを自問できます。

いかがでしょうか。こうやって分類していくことで、新製品のアイデアが浮かんだりするのです。それは「色」の種類や「素材」の種類がどれだけあるのかを把握でき、組み合わせたりしながら開発を進めることができませんか。

そのほか、売り上げを伸ばしたいという目的がある場合には、顧客を「男性」と「女性」に分けたり、「10代」「20代」「30代」などと年齢別に分類して考えることで、問題解決に繋がることがあります。

ただ注意すべき点もあります。

気を付けるべき2つのポイント

■書き出す
実際にメモなどで書き出すことによって、頭の中が整理しやすくなります。目で言葉や図を見たほうが、修正すべき点に気づきやすくなります。

■煮詰まったら一晩放置する
煮詰まって前に進めなくなったら、一旦作業を辞めましょう。ダラダラと続けても良い結果には繋がりません。

煮詰まったらその日は会議をせずに一晩寝かせましょう。一度寝ることで、頭の中が自動的に整理され、必要な情報と不必要な情報を整理して、必要な情報を優先的に記憶に残すことができます。

まとめ

MECEはあくまでも、プロセスであるということを覚えておいたほうが良いでしょう。目的に向かっていくときにできるだけ無駄は省いたほうが効率は良いはずです。

MECEを完璧にすることに重点を置くのではなく、客観性をどう維持するか、相手から突っ込みどころを減らすために、どう目的を果たすということに重点を置きましょう。

そして、出来るだけ早く目的を果たせるよう意識を向けたほうが良いです。
あまり時間をかけてしまうと、MECE本来の意味もなくなり、目的がズレていく可能性があるからです。そのことを踏まえて、効率の良いMECE分類を行っていきましょう。


執筆者・監修者
上岡正明
経済記者・経済コメンテーター
戦略PRプランナー・著書26冊累計105万部のビジネス作家
登録者25万人のYoutuber
上岡正明

MBA(多摩大学院経営情報学修了)
テレビコメンテーター
多摩大学客員講師(18,19)
帝塚山大学客員講師(19)
登録者24万人のビジネス系YouTube

「スーパーJチャンネル」「めざましテレビ」「王様のブランチ」「クイズミリオネア」等の元放送作家。日本を代表するPR戦略の専門家で、企業広報のスペシャリスト。未上場から上場企業まで戦略PRを手掛けたクライアントは300社以上。

広報ブランディング、新規事業構築、外資系企業の国内イベント、海外プロモーション支援のコンサルティング会社代表。現在まで約20年間、実業家として会社を経営。これまでに三井物産、SONY、三菱鉛筆、日本瓦斯など200社以上の広報支援、スウェーデン大使館やドバイ政府観光局などの国際観光誘致イベントなどを行う。

代表的なコンサルティング案件としては、日本中の女性たちの心を動かした「表参道のパンケーキブーム」、1年で200万台以上を売り上げた「ふとん専用掃除機レイコップ」、世界が注目する食イベント「肉フェス」、1カ月で6000万人(日本の約半分)にバズらせた「ジャポニカ学習帳“昆虫の表紙が変わった?”」がある。

経営と並行してMBA(情報工学博士前期課程)取得。東京都中小企業振興公社講師。成蹊大学、多摩大学、帝塚山大学の客員講師。東洋経済新報社、ダイヤモンド社、朝日新聞出版社、PHP出版、総合法令出版社、アスコム社、大和出版、すばる舎、宝島社から累計21冊80万部の著書を上梓。

日本神経心理学会、日本行動心理学学会、行動経済学学会、一般社団法人日本行動分析学会、日本社会心理学会、一般社団法人日本小児心身医学会、認知神経科学会の各学会員。

日経ヴェリタス・東洋経済オンライン・ダイヤモンドオンライン・プレジデントの4大経済メディアで専門家として記事連載もおこなっております。お読みになりたい方はこちらからご覧下さい。

①:東洋経済オンラインでの連載記事
②:ダイヤモンドオンラインでの連載記事
③:プレジデントでの連載記事
④:日本経済新聞での連載記事