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この記事では広報・PR担当者の皆さんに向けて、報道・掲載の「まとめ資料」を作るために必要な項目などについてお伝えしていきます。
特に「テレビや新聞で紹介されたらそのままにしている」、「メディア露出をいまひとつその後に活かすことができていない」という広報・PR担当者におすすめの内容となっています。
本記事では、報道・掲載を資料化して記録することの重要性、そしてまとめ資料を作るための項目などに関して解説しますので、ぜひ参考にしてください。
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報道・掲載は最終目的ではない。報道・掲載を資料化して記録しましょう
広報・PR部署にとって報道・掲載は基本的に大きな成果がであり、プレスリリースを送るなどして積極的にメディア露出を狙うべきといえます。そしてメディア露出を「小目標」にするのもいいでしょう。
ただ、広報・PR部署にとって掲載・報道は「最終目的」ではなく「手段」でしかないことを忘れないでください。
広報・PR部署が本当に目指すべきは、「企業の売上アップ・売上安定」であり、そのために必要に応じてメディア露出を狙うのです。実際、メディア露出以外の手段の方が高効率なのであれば、無理に報道・掲載へと向かっていく必要もありません。
報道・掲載を資料化して記録する
だからこそ報道・掲載を資料化して記録しましょう。そうすることで後の広報・PR活動に役立てることができます。今回はその資料化の方法についてお伝えします。
なお報道・掲載を資料化することとは別に、番組の録画や新聞の切り抜きなど、物理的・直接的な方法でもメディア露出の記録を残してください。「直接的な記録」と「データ的な記録」を両方持っておくようなイメージです。
広報・PR活動のための報道・掲載のまとめ資料6項目
それでは報道・掲載に関するまとめ資料に載せるべき項目をいくつか紹介していきますので、広報・PR担当者の皆さんはぜひ参考にしてください。
報道・掲載の直後は覚えているでしょうし、自身にとってもインパクトがあって「忘れるはずがない」と感じるかもしれません。しかし数か月後~数年後はどうかわからないのですぐに資料化しておくべきです。それに当事者が忘れないとしても、資料にしないと他の社員が参照できなくなりますよね。
項目①:基本情報(社名、部署、番組名、年月日など)
まずは報道・掲載の基本情報をまとめましょう。これがテレビ番組なら例えば以下の通りです(番組名などは架空です)。
- テレビ局:○○テレビ
- 番組名:□□のニッポンの風景
- 年月日:2025年6月10日 14時~14時30分
- 新聞や雑誌への掲載の場合は例えば以下の通りです。
- 新聞社:産経新聞社
- 部署:経済部
- 年月日:2025年6月10日 朝刊
項目②:見出し|「送付したプレスリリースの見出し」と「報道・掲載の見出し」
報道・掲載の見出しも記録しておきます。記録するべき内容は「送付したプレスリリースの見出し」と「報道・掲載の見出し」です。まず、送付したプレスリリースの見出しについては、記載したものをそのまま記録すれば問題はありません。
「報道・掲載の見出し」については以下の通りです。
- 新聞、雑誌、インターネットメディアなど:そのまま見出しを記録する
- テレビ:番組冒頭の「今日は○○の特集!」、CM前の「CMの後は○○」などのテロップをまとめる
- ラジオ:「続いては○○を紹介します」などの言葉を記録する
メディアの種類によってはどれが見出しなのか区別しにくいと思いますが、広報・PR担当者自身の感覚でまとめてしまって構いません。重要なのは「メディア側が何を強調したのか」を記録することです。
✅「送付したプレスリリースの見出し」と「報道・掲載の見出し」に乖離があればそれも記録
「送付したプレスリリースの見出し」と「報道・掲載の見出し」に乖離があれば、それも記録しておきましょう。「企業側のピント」と「メディア側のピント」がズレていた可能性があるため、後から振り返ることができるようにするべきです。
単に記録するだけも構いませんが、「ズレた理由」「こうすればズレない」なども書けそうであれば記載しておくと後々、特に同じ~類似するネタのプレスリリースを作る際に参考になる可能性があります。
項目③:報道や掲載の内容
報道や掲載の内容についてまとめます。例えば「令和の新しい○○サービスという切り口で、芸能人の○○さんを招いてスタジオで紹介」、または「自社の歴史、自社の技術、技術の使い道について、新しい技術というよりも伝統的な技術という部分を強調した切り口で」など。
内容のまとめかたに決まりはありませんが、「切り口」については他の広報・PR担当者が見てもわかりやすくしておく必要があります。一例として自社の技術をいくつか紹介してもらうとしても、「伝統技術」として発信されるのか、「新しい技術」として発信されるのかによって印象が大きく異なります。
そして「伝統的な技術で~」とアピールしている企業が、「新しい技術」と紹介されてしまえばブランディングが乱れてしまいかねません。これについても「プレスリリースでは○○のつもりが、□□の部分が強調された」などと反省点を記録しておくといいでしょう。
項目④:報道や掲載に対する感想・口コミ
報道や掲載に対する感想や口コミがあれば、それもまとめておくといいでしょう。SNSなどで感想や口コミの投稿が大量に見つかる場合は、ひとまず全部コピペして保存。まずは全体の記録が大事なのでそれが完了してから感想や口コミの内容をチェックすることをおすすめします。
余裕があればその感想や口コミをしているSNSアカウントを確認して、その人の年代、趣味・趣向、ライフスタイルなどもわかる範囲でまとめると、「刺さってほしい人に刺さっているのか」、「意外な層に刺さっていないか」などが見えてくるかもしれません。
ただ、この確認作業も突き詰めるとキリがないのでほどほどに。そもそも口コミや感想の数によっては偏りが生じる場合もあるため固執するべきではありませんし、調べて(プロフィールや投稿を見て)突き止めることが可能とは限りません。
✅感想や口コミがなければ必要に応じて能動的に集める
時間帯や放送地域によってはたとえテレビで報道されても、ほとんど感想や口コミが出てこない可能性もあります。その場合、必要に応じて能動的に感想や口コミを集めることも検討しましょう。
例えばSNS上で「感想や口コミをお待ちしております」と呼びかけたり、メールマガジン配信などをしている場合はそちらで募るのもいいでしょう。メールマガジンの登録者は「ある程度興味があるからこそ登録している人」なので、感想や口コミも集まりやすいです。
項目⑤:お問い合わせ数、売上などの変化
報道や掲載をきっかけにお問い合わせ数や売上などの数字が変化した場合は、それも記録しておきましょう。ただ、お問い合わせ数は報道・掲載直後に増えることも少なくないものの、売上にはすぐ影響しないこともあるので、しばらく期間を空けてから記録するといいかもしれません(もしくは一定期間ごとに記録する)。
ただし、お問い合わせ数や売上が変化しても、そのすべてが報道や掲載を理由にするものとは限らないので、例えば「売上が○%伸びたから、同じネタでメディア露出すればまた○%伸びる」などとは考えないでください。
また、報道や掲載をしても残念ながらお問い合わせ数や売上などが、目に見えて変化しないケースもあります。そういった場合も当然記録しつつ、「過去の数値が変化したメディア露出」とどのように違うのか分析してみることをおすすめします。
項目⑥:報道・掲載を見たメディアからの取材依頼があったら書く|報道の連鎖も記録する
報道・掲載を見たメディア関係者から取材依頼が入ることもあるので記録しましょう。また、その取材がさらなるメディア露出につながった場合も、それについて当然記録します(報道の連鎖)。
また、メディア側からではなく、こちらから別のところにまたプレスリリースを送るなどしたケースでも、「あの報道・掲載を見ましたよ。」「ぜひ取材させてください」と言われた場合は、報道の連鎖にカウントしておくといいでしょう。
もちろんこれがすべてではないものの、「どのような報道・掲載ならメディアウケがいいか」の参考になるかもしれません。
その他、必要に応じて項目を追加・削除・詳細化する
今回紹介した報道・掲載のまとめ資料の項目はあくまで一例ですので、必要に応じて項目を追加・削除・詳細化しましょう。例えばSNS発信を重視する企業ならSNS上の反応を入念に拾う、報道の連鎖が激しく発生した場合は図式化して記録するなどです。
また「何年後に見ても役立つことが重要」なので自由にカスタマイズしましょう。さらに先ほども少し触れた通り、例えば定期的に報道・掲載で扱われたサービスの売上推移を記録するなどのことも役立ちそうなのであれば実施することをおすすめします。
報道・掲載のまとめ資料作成のポイントと手順まとめ
プレスリリースなどから報道・掲載されることは広報・PR部署にとって大きな成果であり、一旦誇っていいことではあります。ただ、報道・掲載はあくまで「手段」であって、本当の目的は企業全体の売上アップ・売上維持であることを忘れないでください。あらゆる広報・PR施策はそのためにあります。
報道・掲載を本当の意味で今後に活かすためにも、ぜひ資料化して記録しましょう。それが以降の広報・PR活動のヒントになるかもしれませんし、5年後や10年後にアーカイブを引っ張り出してみると意外な手掛かりを得ることができる可能性もあります。
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