PRとは?【現役記者】が基本の意味やメリット、広告や宣伝との違いを解説
コラム
経営戦略×PR
2023.03.10

PRとは?【現役記者】が基本の意味やメリット、広告や宣伝との違いを解説

「PRとはなんでしょうか」「広報とPRは意味が違うの?」
「パブリックリレーション(Public Relations)です!など単語だけの意味ではなく、もっと実践的で役に立つ情報を知りたい」

この記事では、そんなあなたの声に応えるため最先端のPR事情やリアルなPR現場で感じたことを、PR歴20年の筆者が現役記者の協力のもと、ヒヤリングをしながらわかりやすく解説しました。

周囲に一目置かれるような、一歩先を行く「PRの考え方」「PRの見方」「PRの学び方」が身につくことを必ずお約束します。だいたい5分程度で読める内容にまとめています。
下記の見出しをサッと読んで、気になるところだけピックアップするだけでも読者の皆さまのキャリアやスキルに役立つと思います。

そもそもPRとは?言葉の意味と定義

PRとは

PRとは何か?の基本をまずは1分でで解説していきます。

「PR」について知るときに、一番わかりやすい法則はPRの歴史を知るということです。PRという言葉は、私たちの生活の中で使われています。自己PR、地域PRなどと聞くと、なんとなく「プロモーション」かなにかの略だと思っている多いでしょう。しかし、実はPRとは「パブリックリレーションズ(Public Relations)」の略です。

下記は日本パブリックリレーション協会の引用です。

”ブリックリレーションズ(Public Relations)は
20世紀初頭からアメリカで発展した、組織とその組織を取り巻く人間(個人・集団・社会)
との望ましい関係をつくり出すための考え方および行動のあり方である。
日本には第2次世界大戦後の1940年代後半、米国から導入され、行政では「広報」と訳されたのに対し、
民間企業では「PR(ピーアール)」という略語が使われてきた。
しかしその後「PR」は「宣伝」とほとんど同じ意味で使われるようになり、
本来持っていた意味から離れてしまった。
そのため多くの組織では、その職務を「広報」と呼ぶことが多くなっている。
ただ広報という言葉は、組織と社会あるいは公衆(パブリック)とのよい関係づくりという意味が失われ、
組織の一方的な情報発信と受け取られがちである。
パブリックリレーションズが本来持っていた〈よい関係づくり〉という点を忘れてはならない。”

※出典:日本パブリックリレーションズ協会「パブリックリレーションズとは」より

 

さらに、国際PR協会によれば以下のように定義されています。

国際PR協会(IPRA:International Public Relations Association)によるPRの定義

Public relations is a decision-making management practice tasked with building relationships and interests
between organisations and their publics based on the delivery of information
through trusted and ethical communication methods.(IPRA,Oct. 2019)

パブリックリレーションズは、信頼のおける、倫理的なコミュニケーション手法を通し、
組織と組織をとりまくパブリックとの間に、関係と利益を築くため、意思決定の管理を実践することである

※出典:国際PR協会

 

今、巷で流行っているバズるという言葉であったり、エンゲージメントを高めましょう、その他にもコミュニティでいうオンラインサロンなど時間とともに様々な形や言語で変容していきます。しかし、技術が変わろうと時代が変わろうと、PR=パブリックリレーションです。

これらを、アメリカPR協会(PRSA:Public Relations Society of America)では、組織を取り巻くパブリックリレーションの関係構築のために継続的に努力されるべき戦略とコミュニケーションの企業活動と伝えています。

注釈:
Public relations is a strategic communication process that builds mutually
beneficial relationships between organizations and their publics.(PRSA,2012)

前置きが長くなりましたね。つまり、これらの難しい言葉を一言で説明すれば、PRとはすべての利害関係者(ステークホルダー)との良い関係づくりというわけです。シンプルに考えれば簡単ですね。

*参考リンク:広報の意味と必須スキルを徹底解説したよ

 

PRと広告・宣伝との違いをわかりやすく解説

ここでは、これからのPRと、広告・宣伝・プロモーションとの違いを解説します。

あえて「これから」という表現を使いました。PRとは、広告やプロモーションとの違いとは、企業やそれらを取り巻くメディアの変化の流れを見ると、コンテンツ消費型の時代から、ストーリーの時代になったことだと言えます。

1.PRと広告・宣伝・プロモーションとの違い

PRとは

PRと似たような意味では、同義語として「広報」という言葉があります。「広報」とは、広く社会に対して報ずる、という意味が込められています。つまり、ステークホルダー全てに対して、対等に、プラスのイメージを訴求していく。そのために、情報を作り出し、文脈を整え、コミュニケーションを取っていく行為です。これらを全ての情報発信を「広報」と考えることができるわけです。

広告・宣伝とは

広告は企業側の判断で、掲載内容・時間。ターゲットなどを決定できます。しかし、広告は有料であることが多く、より多くのターゲットに浸透させようとすると、数億円という予算が必要になります。

PRと広告のメリットデメリット

PRは基本的に無料です。かわりに、地道な広報活動が必要となり、自社をどのような文脈で取り上げてもらうかといった情報整理、メディア人脈などを構築していく必要があります。必要なのは、誰に、どのタイミング、どのような手法を用いて行うことが効果的なのか、を常に考えることです。

2.PRの大量生産から認識の時代へ

日本が高度経済成長を遂げた時代、これは「大量生産の時代」と言えます。代表的な企業は松下電器、フォード社の時代。この時には、他松下電器における水道哲学、つまり良いものを安く、大量に作るという時代です。

テイラー・フォードが作り出した、フォード社に関しても、黒くて頑丈な車を、少しでも多く世の中に普及するということがミッションとされていました。

ある程度の生活水準が担保されてくると、次に台頭してきたのが「選択の時代」です。例えば、車を購入する際に、人と同じ色の車ではなく、他の色合い他と違うものが欲しいという選択の多様性が生まれてくる時代です。

では、現在はどうでしょうか?現在は「認識の時代」と言われています。

水準、選択が満たされてきた後の時代で、わかりやすい企業でいうとAppleのような会社です。商品CMの際に一切商品を載せず、会社のブランディングイメージのみを「Think Different」というキャンペーンとともに打ち出したり、商品発表の際に当時CEOのステーブジョブズが冒頭「我々は世界に風穴を開けるためにこの会社を作った」などというような、ストーリーに人々がより強い関心や購買意欲などを示すようになってきました。

3.PRではストーリーで消費者インサイトを言葉にする

PRでは広告と違い、購買を求める認識とは、人がまだ考えていなかった概念を新しく作り出し(企業の理念やミッション)、人が共感するようなストーリーを打ち出すこと。ここに人々の共感が集まる時代になりました。

ストーリーという視点に立つと、現在の「消費者インサイト」という言葉も類義語としてあげることができますが、ここまでが、弊社のフロンティアコンサルティング代表の書籍「共感PR」にある8×3の法則における、8の部分だと私は感じています。つまり、企業や消費者さえも気づいていない、知っているけど気づかない普遍的な部分を言語化するプロセスになります。

*関連リンク:PRコンサルティングに欠かせない要素「8×3の法則」を知ろう

 

PRの仕事内容と具体的な構築プロセス

PRの方法

先ほど紹介した8×3の法則における3の部分は、社会、人(ターゲット)、メディアの視点を組み合わせることになります。(詳しくは下記の記事をご覧下さい。良くまとめていただいています)

*外部リンク:バズらせるために知っておきたい8×3の法則とは?

核になる部分を明確化し、ストーリーを作った上で、社会=大衆=人が何を求めているか?
ということをメディア側の視点を取り入れながら明確化していきます。詳しく手順やコツを解説していきましょう。

手順① PRとは社会の潮流を読む

「社会の潮流を読む」に関しては、スタジオジブリの名プロデューサーである鈴木敏夫氏が秀でていると思います。鈴木氏は企画やPRする際に、必ず半径3メートル以内のことから着想を得ているそうです。

ジブリ史上最大のヒット作と言われている「千と千尋の神隠し」では、実際にヒロインの千尋という少女はジブリスタジオにいるスタッフ
の「親戚の女の子」がモデルとされています。また歴代の作品の主要人物はいずれも、身近なモデルが存在するそうです。
これなどは、スタジオジブリのコアな部分、ミッションやビジョンとも置き換えられると思います。

また、当時の映画業界の潮流としても、以前は恋愛や社会問題などが題材として多かったため、個人の心の中の葛藤や成長など大衆のニーズとしても変化があったと言います。

「社会テーマ」は一人一人の人間の集合体なので、企画やPRの要素は「個人の深いテーマやニーズ置き換えると、半径3メートル以内に人のニーズが転がっている」という着想に繋がることになります。

手順② PRとは個人やメディアの心理を捉える

「メディア視点」に関しては、今の話題性、ブレイク寸前といった”旬”の分野が含まれているか、です。
特にメディアの視点に立つと、そのストーリーがなぜ今打ち出す必要があるのか、メディア的に絵になる要素かということが重要になってきます。

*参考:PRと広告の違い知ってる?現役広報者が解説

 

PRの最先端の活用事例

広報PRの基本

PRでスコトーマを言語化する

PRとは一見関連が薄そうに見える「スコトーマ」。スコトーマとはコーチングの世界で使われる言葉ですが、ギリシャ語で「盲点」という意味合いになります。ある絵を見て、これが何に見えるかを想像してください、という設問があるとします。著作権の問題でここではその絵を見せることは出来ませんが、それを見せると、

  • 1、器
  • 2、人の顔が向かい合っている

一般的に、2つの回答が出てきます。人によってどちらにも見えるということです。

これを身近な場面に例えると、「時間がない時に、自宅の鍵をなくしてしまい、鍵がないと思い自宅を探し回る。けれど、実は自分の元いた場所の近くの机に置いてあった」などという状態です。一度は経験したことがあるのではないでしょうか。

PRを上流から構築する

先ほどのスコトーマの話からわかることは、企業と話をする中で、「大衆やターゲットを意識する上で、核になることが言語化できていなない」や「時代の潮流を意識するあまり、ターゲットが曖昧になり購買者の感情が洗い出されていない」という場面が考えられます。

これらの内容を踏まえる、最上流のPRコンサルティングを定義すると、

①企業の核となるもの
②時代の潮流

この2つの事柄のスコトーマ(盲点)を言語化し、架け橋となること(結果、良い関係づくりを増進すること)と言い換えることができます。

このことに関しては、盲点の洗い出しが完成すれば終わりということはなく、

①企業の発展やステージで打ち出すプロダクトによって変化するもの
②時代の潮流に関していうと、現代のような情報社会では早い速度で変化していくもの

になるため、私たちのPRの在り方、価値の捉え方も、常に変化し続けるものになります。

*こちらも人気:元放送作家直伝!テレビに即決される21個のプレスリリース書き方


執筆者・監修者
上岡正明
PR戦略プランナー・ヒットの仕掛け人
登録者23万人のYoutuber
上岡正明

MBA(多摩大学院経営情報学修了)
多摩大学客員講師(18,19)
帝塚山大学客員講師(19)
登録者22万人のビジネス系YouTube

企業広報のスペシャリスト。未上場から上場企業まで戦略PRを手掛けたクライアントは300社以上。「スーパーJチャンネル」「めざましテレビ」「王様のブランチ」「クイズミリオネア」等の元放送作家。

戦略PR、広報ブランディング、新規事業構築、外資系企業の国内PR、海外プロモーション支援のコンサルティング会社代表。現在まで約20年間、実業家として会社を経営。これまでに三井物産、SONY、三菱鉛筆、日本瓦斯など200社以上の広報支援、スウェーデン大使館やドバイ政府観光局などの国際観光誘致イベントなどを行う。

代表的なコンサルティング案件としては、日本中の女性たちの心を動かした「表参道のパンケーキブーム」、1年で200万台以上を売り上げた「ふとん専用掃除機レイコップ」、世界が注目する食イベント「肉フェス」、1カ月で6000万人(日本の約半分)にバズらせた「ジャポニカ学習帳“昆虫の表紙が変わった?”」がある。

経営と並行して大学院にてMBA(情報工学博士前期課程)修了。東京都中小企業振興公社講師。成蹊大学、多摩大学、帝塚山大学の客員講師。東洋経済新報社、ダイヤモンド社、朝日新聞出版社、PHP出版、総合法令出版社、アスコム社、大和出版、すばる舎、宝島社から累計20冊75万部の著書を上梓。

日本神経心理学会、日本行動心理学学会、行動経済学学会、一般社団法人日本行動分析学会、日本社会心理学会、一般社団法人日本小児心身医学会、認知神経科学会の各学会員。

日経ヴェリタス・東洋経済オンライン・ダイヤモンドオンライン・プレジデントの4大経済メディアで有識者や専門家記者として寄稿連載もおこなっております。お読みになりたい方はこちらからご覧下さい。

①:東洋経済オンラインでの連載記事
②:ダイヤモンドオンラインでの連載記事
③:プレジデントでの連載記事
④:日本経済新聞での連載記事