真の見える化とは?自律的に解決できるよう「目に飛び込んでくる化」だ
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2020.11.01

真の見える化とは?自律的に解決できるよう「目に飛び込んでくる化」だ

何か問題が起きているとき、その発見の手助けとなるのが物事の「見える化」です。

見える化によって見つかる問題には、さまざまなものがあります。ビジネスにおける典型的なものとしては、生産ラインでの不具合や顧客の不満、その他にはビジネスの品質上のトラブル。または、それに伴う財務数字(売上高や利益など)の悪化が挙げられます。

見える化の技術は、現場におけるコンサルタントはもちろん、マーケティングや広報の改善活動においても重要です。しっかりマスターしましょう。

 

真の見える化とは「目に飛び込んでくる化」だ

しばし、企業が陥ってしまうのは、売上高や利益といった財務数字(店舗当たりの数字などを含む)だけを見てしまい、後でようやく数ヶ月あるいは数週間前に起こった問題に気づくというパターンです。

特定の店舗の売上高や利益の低下は、実際にサービス品質レベルや顧客満足度の低下が始まったからといって、すぐに起こるわけではないところに注意しましょう。

それは、マーケティングや広報活動においても同じです。顧客対応やサービス品質の劣化は、市場に認知されるまでに時間がかかったりすることから、数字に反映されるにはタイムラグが生じます。

■異常が起こればすぐにわかるようにする

このようなやり方では、適切なアクションをスピーディーにとることができません。初動でつぶしておけば、対して大きな問題にならなかったものが、非常に広い範囲の火消しに追われてしまうということにもなりかねません。これを避けるのに必要なことが、現場レベルで早めに「好ましくないことの予兆」に気づくことです。

そのためには、先行指標となる数字や情報を異常が起こればすぐにわかるようにするべく、「目に飛び込んでくる」ようにすることが効果的です。

■問題が自然と目に飛び込んでくるようにする

社員に公開してもいいKPIはタイムリーに共有するようにし、かつ、顧客の生の声なども共有すると良いでしょう。たとえば、顧客の声をチャットツールに流して共有するなどです。

日本では伝統的な方法として、製造業の製造現場ではJIT方式(必要なものを、必要なときに、必要な量だけ生産するシステム)などを導入することと並行して、比較的早くにこの「目に飛び込んでくる化」を実施してきたのです。

トラブルがあると赤信号がともり、そこでラインを止めるなどといったシステムは非常にわかりやすい「目に飛び込んでくる化」であり、製造業であれば数多くの企業で導入されているものです。

 

見える化はグラフにすると理解しやすい

特にマネジメントに関する部分はまだまだであるという組織は少なくありません。数字と視覚を徹底的に活用し、問題を見つけやすくすることが重要です。視覚をどう活用するのかというと、やはり、グラフにして見せるというのが効果的です。

特に重要なKPIなどにおいては、時系列の変化を折れ線グラフや棒グラフにして誰もが見えるようにするだけで、「これは順調だ」「何かが変だな?」といったことが共有されやすくなるのです。

また、上から押し付けるのではなくて、現場が考えて、問題を「自分ゴト」と捉えさせて、どんな見える化が必要化を考えると、効果は更に増していきます。これは現場に蓄積されている暗黙知(経験や勘に基づく知識)を形式知(言語や図で示して説明できる知識)に変える効果をもたらすようになります。

 

「管理の見える化」と「自律の見える化」の違いとは

冒頭の言葉を残した「見える化」の権威でもあるコンサルタントの遠藤功氏は、このような見える化を「管理の見える化」と対比させて、「自律の見える化」と呼んで重視しています。

「自分が問題解決の当事者である」という意識がないと、見える化を進めてもその効果は小さいという点には注意を払っていきたいものです。

リーダーであれば、メンバーに当事者意識を植え付けるべく、常日頃から意識して質問を多用したコーチング的なコミュニケーションをとっていくことが求められています。

■まとめ

真の見える化とは「目に飛び込んでくる化」だとあるように、目で見てわかりやすい、理解のしやすい環境を作ると共に、現場に当事者の感覚を持たせることが重要であることを学びました。


執筆者・監修者
上岡正明
経済記者・経済コメンテーター
戦略PRプランナー・著書26冊累計105万部のビジネス作家
登録者25万人のYoutuber
上岡正明

MBA(多摩大学院経営情報学修了)
テレビコメンテーター
多摩大学客員講師(18,19)
帝塚山大学客員講師(19)
登録者24万人のビジネス系YouTube

「スーパーJチャンネル」「めざましテレビ」「王様のブランチ」「クイズミリオネア」等の元放送作家。日本を代表するPR戦略の専門家で、企業広報のスペシャリスト。未上場から上場企業まで戦略PRを手掛けたクライアントは300社以上。

広報ブランディング、新規事業構築、外資系企業の国内イベント、海外プロモーション支援のコンサルティング会社代表。現在まで約20年間、実業家として会社を経営。これまでに三井物産、SONY、三菱鉛筆、日本瓦斯など200社以上の広報支援、スウェーデン大使館やドバイ政府観光局などの国際観光誘致イベントなどを行う。

代表的なコンサルティング案件としては、日本中の女性たちの心を動かした「表参道のパンケーキブーム」、1年で200万台以上を売り上げた「ふとん専用掃除機レイコップ」、世界が注目する食イベント「肉フェス」、1カ月で6000万人(日本の約半分)にバズらせた「ジャポニカ学習帳“昆虫の表紙が変わった?”」がある。

経営と並行してMBA(情報工学博士前期課程)取得。東京都中小企業振興公社講師。成蹊大学、多摩大学、帝塚山大学の客員講師。東洋経済新報社、ダイヤモンド社、朝日新聞出版社、PHP出版、総合法令出版社、アスコム社、大和出版、すばる舎、宝島社から累計21冊80万部の著書を上梓。

日本神経心理学会、日本行動心理学学会、行動経済学学会、一般社団法人日本行動分析学会、日本社会心理学会、一般社団法人日本小児心身医学会、認知神経科学会の各学会員。

日経ヴェリタス・東洋経済オンライン・ダイヤモンドオンライン・プレジデントの4大経済メディアで専門家として記事連載もおこなっております。お読みになりたい方はこちらからご覧下さい。

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