自社ネタ以外のプレスリリースを作成する裏ワザと4つのメリット
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2025.07.01

自社ネタ以外のプレスリリースを作成する裏ワザと4つのメリット

➡記事を書いた人:Youtube登録者30万人【MBA保有の現役記者】上岡正明プロフィール

この記事では広報・PR担当者の皆さんに向けて、自社ネタのプレスリリースを作成することのメリットなどについてお伝えしていきます。

「自社ネタのプレスリリースを書かないと意味がない」と感じる広報・PR担当者もいると思いますが、メリットがないわけではありませんし、場合によっては道を切り開くことにつながることさえあります。

そこで本記事では、自社ネタ以外でプレスリリースを作成することのメリットや注意点などに関して解説しますので、ぜひ参考にしてください。

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自社ネタ以外でプレスリリース作成をする広報・PR上のメリット4つ

それでは自社ネタ以外でプレスリリース作成をすることの主なメリットを紹介していきますので、広報・PR担当者の皆さんはぜひ参考にしてください。一見なんの利点もないように思えるかもしれませんが、戦略的に動けば見返りはきちんとあります。

あえて悪い言い方をすると「打算で動くべき」ということであり、何も単純な善意でだけで自社ネタ以外を扱ってプレスリリースを書く(情報提供をする)わけではないのです。

メリット①:メディア関係者などからの信頼度・好感度が上がる

メディア関係者などから見れば、「自社ネタ以外のプレスリリースを送ってくる広報・PR担当者」は、「なんのメリットもないにもかかわらずネタを送ってくれる人」なので、信頼度や好感度が上がりやすいです。

この業界に限らず、人は「メリットがないのに自分に尽くしてくれる人」に弱いので、相手メディア関係者との関係性を深くするためには意外と効果的な行為といえます。

メリット②:自社ネタのプレスリリースが採用されやすくなる

もちろんネタが面白いことが大前提ではあるものの、たびたび自社ネタ以外でのプレスリリースを送っておくと、自社ネタのプレスリリースも採用されやすくなります。なぜなら上でお伝えした通り、信頼度や好感度が上がっているはずだからです。「そのようなハートの部分が関係するのだろうか」と感じるかもしれませんが、メディア関係者も人間なので意外と人情で動きます。

むしろ「プレスリリースを採用してくれるならどのメディア関係者でも良い」と考えがちな広報・PR担当者に比べれば、「日々大量に情報が届くからこそ、せっかくなら熱心な広報・PR担当者と仕事がしたい」と思う傾向にあるメディア関係者との間で、温度差が生じることもあるくらいです。

メリット③:自社ネタ以外のプレスリリースは書きやすく勉強にもなる

「自社ネタのプレスリリース」は文字通り自社ネタでしか作成できないので、ネタの候補に限界があります。一方、「自社ネタ以外のプレスリリース」なら、ネタの候補がいくらでもあるので作成しやすいといえます。

しかも「自社ネタのプレスリリース」とは異なり、「深い部分はわからなくて当然」とメディア関係者も思ってくれる傾向にあるので、作成のハードルも低いといえます。そして「自社ネタ以外のネタ」を探るにあたって、他社や業界全体の動きを調べることになりますので勉強にもなります。

メリット④:自社ネタのプレスリリースを書くにあたって役立つ場合も

上でお伝えした通り、他社や業界全体の動きを知ることにつながるので、自社ネタのプレスリリースを作成するにあたって役立つ場合もあります。プレスリリース原稿作成で直接的に反映できるケースもあれば、アイデア出しのレベルで役立つこともあるでしょう。

広報・PRで自社ネタ以外のプレスリリースを書くにあたっての注意点6つ

それでは自社ネタ以外のプレスリリースを書くにあたっての注意点をいくつか紹介していきますので、広報・PR担当者の皆さんはぜひ参考にしてください。なんといっても自分たちのネタではないので、気を付けるべきこともあります。

注意点①:「自社ネタではない」とハッキリわかるようにする

「自社ネタではない」とハッキリわかるようにしないと、取材依頼があなたの会社に入ってしまう可能性があるので気を付けてください。

プレスリリース原稿の上の部分に、大きめの文字で「弊社のネタではありません」などと記載しておくといいでしょう。また、プレスリリースを添付するメールなどの件名や本文にも「弊社のネタではありません」と書いておくと伝わりやすいです。

✅自社の連絡先や広報・PR担当者の名前は記載しておく

「自社ネタではない」と明確に記載することは大事ですが、自社の連絡先や広報・PR担当者の氏名も忘れずに書いてください。

あなたのところに連絡がきて、「いただいたプレスリリースについてもっと聞きたいのですか」と言われたり、「○○業界についてのネタをもっとくれませんか」などを頼まれたりする可能性があるためです(そうでなくても連絡先を書くのは礼儀ですが)。

注意点②:「自社ネタのプレスリリース」の場合よりも「第三者の紹介」というトーン&マナーで書く

「自社ネタのプレスリリース」と比較して、「第三者の紹介」というトーン&マナーで作成することをおすすめします。そのためのポイントは主に以下の通り。

  • 「株式会社○○の□□(商品名)を紹介します」など紹介文とわかる表現を使う
  • 「○○の開発のためにこれからも尽力します」などの断言はしない(尽力するかわからないため)
  • 勝手に目標・予測(売上目標・予測など)を立てない

自社ネタのプレスリリースでも、安易に売上目標や予測を立てるのは避けるべきですが、自社のことなので「そのために関係部署の社員が日夜尽力しています」などとまとめれば、ある程度の説得力を出すことはできます。

しかしこれが他企業の目標・予測などの場合、メディア関係者からすれば「勝手に何を言っているのだろう……」と困惑するだけなので気を付けてください。売上予測や「これくらいが目標のはず」などの予測がNGというわけではありませんが、精度が高くなくてはなりません。

注意点③:勝手に対象企業の連絡先を表記したり、取材OKと書いたりしない

勝手に対象企業の連絡先を表記したり、取材OKと書いたりするのはやめましょう。すべての企業が「メディアとつながりを持ちたい」「取材してほしい」と強く思っているわけではないからです。

それでも実際にメディアから連絡が来れば喜ぶかもしれませんが、メディア関係者から「取材させていただいてもよろしいでしょうか?」と聞かれることと、「(身に覚えがないのに)プレスリリースに書いてあった通り取材をさせてください」と言われるのとでは違いますよね。

✅対象企業の広報・PR担当者とつながっている場合は連絡してみる

対象企業の広報・PR担当者とコネクションがある場合は、プレスリリースを作る前に連絡してみることをおすすめします。そこで「取材もOKと書いておいてもらえますか?」などと言われるかもしれませんし、その他諸々許可を取っておく方がプレスリリースを作成しやすくなります。

また、こうしてつながりを強めておけば、今度はその企業の広報・PR担当者が、あなたの会社のプレスリリースを書いてくれることもあるかもしれません。

注意点④:書くべき「自社ネタのプレスリリース」がある場合はそちらを優先する

書くべき「自社ネタのプレスリリース」がある場合は当然そちらを優先するべきです。自社ネタ以外のプレスリリースを作成したりそのためのネタを探したりするのは、あくまで余裕がある場合だけにしておくことをおすすめします。

✅もしくはプレスリリースよりも軽い形式のメールなどで情報を伝える

もしくはプレスリリースよりも軽い形式のメールなどで「○○社が□□という取り組みを行っています」と簡単に概要を伝えるに留めるのもいいでしょう。これなら自社ネタのプレスリリース作成の余力で実践できるはずです。いずれにしても広報・PR部署のリソースと相談しながら取り組みましょう。

注意点⑤:ある程度関係性ができているメディア関係者に送る方が効果的

「自社ネタ以外のプレスリリース」は、ある程度関係性ができているメディア関係者に送る方が効果が出やすいです。また、信頼関係があれば上で紹介したような、「プレスリリースよりも軽いメールでの情報伝達」も受け入れてもらいやすくなります。

もちろんメディア関係者への初アプローチが「自社ネタ以外のプレスリリース」でも構いませんが、「自社ネタではないだなんて変わっているな」と思われるだけになる可能性があることも覚えておきましょう。

注意点⑥:「自社ネタ以外」とはいえ、業界は同じにしておく

「自社ネタ以外」とはいっても、業界は同じにしておくことをおすすめします。自社と関係のない業界について調べても、先ほどお伝えした「勉強になる」「自社ネタのプレスリリースを書く際の参考になる」などのメリットを得にくいからです。

また、プレスリリースを受け取る側のメディア関係者としても、「なぜ業界外の情報を送ってくるのだろう……」とさすがに困惑して、好感を抱く・信頼するなどの気持ちにならないかもしれません。

自社ネタ以外のプレスリリースを作成する裏ワザまとめ

特にすでにある程度関係性を構築できているメディア関係者に対しては、「自社ネタ以外のプレスリリース」もたまに送ることで、さらに好感度や信頼度を上げることができるかもしれません。また広報・PR担当者自身としても勉強になりますし、実際に自社ネタのプレスリリース作成時の参考になることもあるはずです。

ただ、あくまで自社ネタのプレスリリース作成を優先するべきです。そうでないと本来の広報・PR効果(自社の認知度や売上アップなど)が得られませんし、最悪の場合「とにかくメディア関係者と仲良くなればいい」などと、目的を見失う可能性もあるので気を付けてください。

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執筆者・監修者
上岡正明
経済記者・経済コメンテーター
戦略PRプランナー・著書26冊累計105万部のビジネス作家
登録者30万人のYoutuber
上岡正明

MBA(経営学博士前期課程修了)
多摩大学客員講師(18,19)
帝塚山大学客員講師(19)
登録者30万人のビジネス系YouTube

「スーパーJチャンネル」「めざましテレビ」「王様のブランチ」「クイズミリオネア」等の元放送作家。日本を代表するPR戦略の専門家で、企業広報のスペシャリスト。未上場から上場企業まで戦略PRを手掛けたクライアントは300社以上。

広報ブランディング、新規事業構築、外資系企業の国内イベント、海外プロモーション支援のコンサルティング会社代表。現在まで約20年間、実業家として会社を経営。これまでに三井物産、SONY、三菱鉛筆、日本瓦斯など200社以上の広報支援、スウェーデン大使館やドバイ政府観光局などの国際観光誘致イベントなどを行う。

代表的なコンサルティング案件としては、日本中の女性たちの心を動かした「表参道のパンケーキブーム」、1年で200万台以上を売り上げた「ふとん専用掃除機レイコップ」、世界が注目する食イベント「肉フェス」、1カ月で6000万人(日本の約半分)にバズらせた「ジャポニカ学習帳“昆虫の表紙が変わった?”」がある。

経営と並行してMBA(情報工学博士前期課程)取得。東京都中小企業振興公社講師。成蹊大学、多摩大学、帝塚山大学の客員講師。東洋経済新報社、ダイヤモンド社、朝日新聞出版社、PHP出版、総合法令出版社、アスコム社、大和出版、すばる舎、宝島社から累計21冊80万部の著書を上梓。

日本神経心理学会、日本行動心理学学会、行動経済学学会、一般社団法人日本行動分析学会、日本社会心理学会、一般社団法人日本小児心身医学会、認知神経科学会の各学会員。

日経ヴェリタス・東洋経済オンライン・ダイヤモンドオンライン・プレジデントの4大経済メディアで専門家として記事連載もおこなっております。お読みになりたい方はこちらからご覧下さい。

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