企業がSDGsに取り組むコツや広報PR上のメリット3選+取り組むポイント7選
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2025.08.18

企業がSDGsに取り組むコツや広報PR上のメリット3選+取り組むポイント7選

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この記事では広報・PR担当者の皆さんに向けて、企業がSDGsに取り組むことのメリットや取り組むにあたってのポイントなどについてお伝えしていきます。

SDGsと広報・PRは一見して無関係に思えるかもしれませんが、実際にはSDGs関連に目を向けることにより、広報・PR的な意味で道が開ける可能性があります。

そこで本記事ではSDGsの概要や特徴、取り組むことのメリットや、取り組むにあたってのポイントなどに関して解説しますので、ぜひ参考にしてください。

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SDGsとは?5つの特徴

SDGsとは「持続可能な開発目標」のことであり、大きく17の目標にわかれています(詳しくは調べてみてください)。企業がSDGsに取り組むにあたっては、以下の5つの特徴を意識するといいでしょう。

  • 普遍性:すべての国が行動する
  • 包摂性:誰一人取り残さない(人間の安全保障の理念を反映)
  • 参画型:すべての人が役割を持つ
  • 統合性:社会・経済・環境に関して統合的に取り組む
  • 透明性:定期的にフォローアップ

まとめると「すべての国・すべての人が、定期的に見直しをしながら社会・経済・環境について、すべての人のために取り組む」ということになるでしょう。大げさな印象を受けるかもしれませんが、企業の取り組みとしても違和感はないはずです。

企業の広報・PR担当者がSDGsに取り組むことのメリット3選

続いては企業の広報・PR担当者がSDGsに取り組むことの主なメリットについて解説していきます。「つまり環境保全やボランティア活動の一環なのだろうか」と感じるかもしれませんが、それ以上のメリットがあります。

メリット①:企業のイメージアップにつながる

大まかに表現すると「業務にダイレクトに関係しない部分でも世のために人のために活動している企業」となるため、企業のイメージアップにつながります。

そういった活動をしている企業は多いものの、「SDGs」というキャッチーな言葉、そしてわかりやすい枠組みであることにより、人々の理解・共感を得やすくなるため、単に「○○活動をしています」「○○に注意しています」とアピールするよりも効果が出やすいです。

✅SDGsが企業の利益につながっても構いません

「SDGsのようなものを企業の利益につなげて考えていいのだろうか」と感じるかもしれませんが構いません。もちろんSDGsを謳い文句にするだけで実態が伴わないのはNGですし、そのようなやり方がバレてしまえばマイナスイメージになりますが、きちんと世のため人のためになっているのであれば問題はありません。

ボランティア活動なども含めて、「結果的に人や社会の利益になっている」のであれば、企業のイメージアップなどの副次的なメリットが発生するのはむしろ良いことですし、そもそもメリットの発生を避けることもできないはずです。

それでもわずかに「偽善」「わざとらしくてイメージが悪い」などの声も聞こえてくるかもしれませんが、基本的に無視して構いません。ただしそういった声が多すぎる場合は、声明を出して対応したり、「SDGsに関する発信」を見直したりしましょう。取り組みは良いものであっても、発信内容で損をする可能性はあります。

メリット②:投資家や(未来の)取引相手に選んでもらいやすくなる

投資家や(未来の)取引相手の中には、「SDGs的な取り組みに力を入れているところを選びたい」と考える人も少なくありません。言い換えると「自然環境や社会環境のことも考えて、具体的な実践をしている企業をサポートしたい、手を組みたい」ということ。

ちなみにこういった「企業投資をするにあたっての新しい判断基準」のことをESGと言います(Eは環境、Sは社会、Gはガバナンスの略)。もちろん業績や財務状況も大事な判断基準ではありますが、「今後も持続的に成長してくれるか」という視点で考えた場合、SDGsに力を入れている企業は選ばれやすいのです。

しかもこれは「SDGsを頑張っている企業に力を貸すと自分のイメージが良くなる」という「本音と建前的」な話ではなく(一切ないとは言いませんが)、本当に自分の利益も考えた上での判断材料であるといえます。そういう時代なのですね。

メリット③:社員の意思統一や社内コミュニケーションのためにもなる

普段から盛んに社内コミュニケーションをしたり、経営理念などに関して意思統一をしたりすることは大事です。そして社員全員でSDGsへの意識を持ち、具体的に行動することも、社内コミュニケーションの一環となります。

これも例えば「社員全員で環境について考え、実践しましょう」だけでは効果がいまひとつでも、「SDGs」という枠組みがあることによって想いが一つになり、具体的なアクションも伴いやすくなるものです。

広報・PR担当者がSDGsに取り組むにあたってのポイント7つ

それでは広報・PR担当者がSDGに取り組むにあたってのポイントをいくつか紹介していきますので、ぜひ参考にしてください。「我が社はSDGsに取り組む」だけでは抽象的すぎますので、できる限り具体化しつつ目的意識も持つことが大事です。

ポイント①:本業と関係がある部分をピックアップする

SDGsには様々な項目(目標)があるため、すべてに取り組もうとするといくらリソースがあっても足りません。また、本業とほぼ関係のない部分まで網羅しようとして、本業まで手が回らなくなるようでは本末転倒です。

例えばSDGsの項目の一つに「平和(を目指す・保つ)」がありますが、企業としての取り組みの中に、これと直結している要素があるところは少ないはずです。一方、「水・衛生」「エネルギー」「持続可能な生産と消費」など環境面については、関係している企業も多いはずです。

そういったものの中から、「自社が取り組んで特に説得力があり、かつリソースを圧迫しすぎない項目はどれか」という観点を持つといいでしょう。

ポイント②:取り組む具体的な内容を決める

口だけで「環境保全に取り組む」と言ってもなんの説得力もないので、経営陣や他部署とも相談しながら「取り組む具体的な内容」を決めましょう。環境保全関連であれば例えば以下のことが考えられます。

  • 2030年までに社内活動を完全なペーパーレスにする
  • 2030年までに製造過程で使用するリサイクル素材の割合を○%以上にする
  • 2030年までに二酸化炭素排出量を○年を基準に□%以上カットする

「2030年までに」と書いているのは、SDGsの各目標が基本的に2030年までに「達成するもの」として掲げられているためです。

ポイント③:SDGsに固執せず、柔軟に「世のため人のため自社のため」になるよう考える

上で2030年というキーワードを出しましたが、例えば「絶対に2030年までに○○をしないと」などと固執して、企業として無理をしたり、企業理念から外れたりするのは本末転倒です。

そのためSDGsはあくまで「考えるための材料」「(悪い言い方ですが)アピールの材料」くらいに考えるのがおすすめです。その上で「自社のためにも、世のため人のためにもなる取り組みは何か」を考え、実践するのが本質的なやり方と言えるでしょう。

一例として年数的な目標は2035年でも構いませんし、2030年にこだわるなら「○○の達成」などの数値目標のハードルを現実的なところまで下げてもいいはずです。それに、「SDGsに固執するがゆえの現実味のない目標」を掲げるとかえってマイナスイメージになる可能性もあるので気をつけてください。

ポイント④:社内セミナーや「社員参加イベント」を開く

「社員の意思統一」という話をしましたが、そのためにも社内セミナーや「社員参加イベント」を開いて具体的に動きましょう。社内セミナーでは例えば、SDGsの基礎知識、自社で取り組むべき理由、自社で取り組むことのメリットなどについて伝えます。

そして社員参加イベントでは一例として、ボランティア活動的なことをしたり、社内環境を良くするための意見交換をしたりします(他にも様々なことが考えられます)。

ポイント⑤:他企業や自治体などとも連携する

自社だけでSDGs活動をするには限界がありますし、社員のモチベーションを維持するのも難しいものです。そのため最初は自社だけでスタートしても構いませんが、徐々に他企業や自治体とも連携できないか考えていきましょう。

そうすれば業界全体のイメージが上がるかもしれませんし、自社だけで取り組むより効率も良くなることでしょう(時間や労力の節約にもつながる)。

<h3>ポイント⑥:社内(特に社員)・社外の意見を参考にしながら活動していく

SDGs関連の活動に取り組むにあたっては、社内(特に社員)・社外の意見も参考にしながら進めていくことが大事です。当事者である社員の意見・感想を聞かないと徐々に心が離れていく可能性が高いですし、社員の中には広報・PR担当者以上にSDGs関連に詳しい人もいるかもしれません。

また、社外の意見を柔軟に取り入れたり、余裕があればプロフェッショナルを招いてセミナーに登壇してもらったりアドバイスを受けたりもしましょう。軌道修正や調整のためには重要なことです。

ポイント⑦:プレスリリースやSNSなどで発信していく

SDGs関連の取り組みや方針・考えなどについて、プレスリリース、SNS、企業公式ウェブサイト、メールマガジンなどを通じて積極的に発信していきましょう。他の情報と同じくやはり「発信」がないと伝わりません。

発信するにあたって特に重要なのは「なぜSDGsに取り組み始めたのか」や「現在取り組んでいて思うこと」や「今後の展望」などのストーリーの部分です。

こういった「想い」を載せずに淡々と情報を発信するだけでは共感を得にくいですし、ジャンル的にも「好感度のためにやっているだけ」「実態が伴っていなさそう」などと思われてしまう可能性があるので気を付けてください。

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執筆者・監修者
上岡正明
経済記者・経済コメンテーター
戦略PRプランナー・著書26冊累計105万部のビジネス作家
登録者30万人のYoutuber
上岡正明

MBA(経営学博士前期課程修了)
多摩大学客員講師(18,19)
帝塚山大学客員講師(19)
登録者30万人のビジネス系YouTube

「スーパーJチャンネル」「めざましテレビ」「王様のブランチ」「クイズミリオネア」等の元放送作家。日本を代表するPR戦略の専門家で、企業広報のスペシャリスト。未上場から上場企業まで戦略PRを手掛けたクライアントは300社以上。

広報ブランディング、新規事業構築、外資系企業の国内イベント、海外プロモーション支援のコンサルティング会社代表。現在まで約20年間、実業家として会社を経営。これまでに三井物産、SONY、三菱鉛筆、日本瓦斯など200社以上の広報支援、スウェーデン大使館やドバイ政府観光局などの国際観光誘致イベントなどを行う。

代表的なコンサルティング案件としては、日本中の女性たちの心を動かした「表参道のパンケーキブーム」、1年で200万台以上を売り上げた「ふとん専用掃除機レイコップ」、世界が注目する食イベント「肉フェス」、1カ月で6000万人(日本の約半分)にバズらせた「ジャポニカ学習帳“昆虫の表紙が変わった?”」がある。

経営と並行してMBA(情報工学博士前期課程)取得。東京都中小企業振興公社講師。成蹊大学、多摩大学、帝塚山大学の客員講師。東洋経済新報社、ダイヤモンド社、朝日新聞出版社、PHP出版、総合法令出版社、アスコム社、大和出版、すばる舎、宝島社から累計21冊80万部の著書を上梓。

日本神経心理学会、日本行動心理学学会、行動経済学学会、一般社団法人日本行動分析学会、日本社会心理学会、一般社団法人日本小児心身医学会、認知神経科学会の各学会員。

日経ヴェリタス・東洋経済オンライン・ダイヤモンドオンライン・プレジデントの4大経済メディアで専門家として記事連載もおこなっております。お読みになりたい方はこちらからご覧下さい。

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