グローバルPRの意味やポイントと企業が取り組むべき理由5選
PR戦略とは
3分で分かる「PRの基本」
2025.08.25

グローバルPRの意味やポイントと企業が取り組むべき理由5選

➡記事を書いた人:Youtube登録者30万人【MBA保有のPRプランナー】上岡正明プロフィール

この記事では広報・PR担当者の皆さんに向けて、グローバルPR(パブリックリレーションズ)に取り組むべき理由などについて解説していきます。

「そもそもグローバルPRとは?」という方から、「グローバルPRを始める必要性は感じているものの具体的にどうすればいいかわからない」という広報・PR担当者にまでおすすめの内容となっています。

本記事では、グローバルPRの概要、グローバルPRを行うべき理由、そして取り組むにあたってのポイントなどに関してお話ししますので、ぜひ参考にしてください。

➡人気記事:PR会社一覧を紹介!厳選20社ランキングとカオスマップ

グローバルPR(パブリックリレーションズ)とは?

グローバルPR(パブリックリレーションズ)とは、「海外向けの広報・PR活動」のことです。一昔前は「国内向け広報・PR」と「海外向け広報・PR」を切り離して考える・実施するやり方が主流であり、別々に部署が存在していて、互いにほとんど関与しないような企業さえあったようです。

しかし近年ではそうではない企業も増えているとされています。具体的には、日本国内における広報・PR活動のノウハウを海外向けの広報・PRでも役立てたり、その逆も考えたり、日本を含む各国に対して同時に発信したりする企業も少なくなくなりました。

いずれにせよ特に海外展開も見据えている・すでに力を入れている企業の場合、グローバルPRにも力を入れるべきです。また、そこまでの企業でないとしても、例えば「オンライン通販に外国客もいる」というのであれば、グローバルPRによってさらに認知度や売上を伸ばすことができるかもしれません。

グローバルPR(パブリックリレーションズ)をするべき5つの理由

それではグローバルPRを行うべき理由をいくつか紹介していきますので、広報・PR担当者の皆さんはぜひ参考にしてください。

理由①:世界規模で企業のブランド価値を上げるため

上でお伝えした通り、特にすでに海外展開を始めている・始める予定がある企業の場合、「世界規模で見た場合の企業のブランド価値」を高めるためにも、グローバルPRに力を入れるべきです。逆に全く力を入れないとなると、「一応海外展開もしている割に、海外の人にそもそも知られていない」などとなりかねません。

また、現時点で全く海外展開をしていないとしても、これから企業として成長し、さらに継続して成長するためには、海外市場進出も視野に入れるべきかもしれません。言いにくいですが、日本で苦戦するようになってから、海外ユーザーの支持に助けられることもあり得ます。

✅広報・PR担当者の立場でも海外進出の提案をしてもいい

「あくまで広報・PR担当者なので経営方針に口は出せない」という人も多いと思いますが、そもそも広報・PR担当者も社員の一員なので海外進出などの提案をしても構いません(むしろ必要があればするべきです)。

それに広報・PR活動を継続しているからこそ見えてくることもあるはずですので、その「見えてきたこと」を黙っているのは「怠慢」でもあります。

理由②:海外の取引先を増やすため

グローバルPRによって海外メディアでの報道・掲載が増えると、「海外における認知度」も上がります。そうなれば「注目するべき企業」という立ち位置を獲得でき、海外の取引先も増えやすくなります。

よって企業にもよりますが「とにかく海外の顧客を増やす」と考えるよりも、海外メディアでの報道・掲載を狙うことを優先するべき場合もあるといえます。

理由③:海外の投資家やインフルエンサーなどのステークホルダーの開拓

海外ユーザーや海外メディアだけでなく、海外の投資家などのステークホルダーを開拓することもグローバルPRによって狙うことができる要素の一つです。

また、インフルエンサーという言葉や立ち位置に「日本的」なものを感じている人もいると思いますが、当然海外にもインフルエンサーはいます。そして彼ら・彼女らの関心を引くことができれば、国内と同じく大きな拡散が期待できます。

理由④:海外メディアとのコミュニケーションを通じて役立つ情報が得られる

日本の良質なメディアは日本の企業や市場に精通していますが、海外メディアもそれは同じで母国の情報・状況を知り尽くしているものです。そのため海外メディアとの関係性を構築すれば、国内広報・PRに取り組むだけでは得られない情報を入手できるかもしれません。

その情報はそのままパブリックPRに活用できるでしょうし、国内広報・PRにおいて役立つ要素がある可能性も。また、「ならば国内広報・PRのノウハウと海外のそれを融合して……」というアイデアが浮かぶこともあるかもしれません。

理由⑤:全社員のエンゲージメントアップ

特に企業が海外展開をしていて「海外支部」もある場合は、グローバルPRに取り組んで、海外社員のモチベーションやエンゲージメント(自社への愛着・信頼)も高めることが大事です。そうでないと海外社員は「自分たちだけ蚊帳の外」という気持ちになりますし、実際に「情報格差」が生まれる恐れもあります。

また、「海外支部」がない企業でも、必要なレベルのグローバルPRを行うことで、社員たちは「我が社は海外展開をきちんと考えている」「遅れていない」などと安心するものです。中には「格好いい」くらいに思う社員もいるかもしれませんが、そういった純粋な感情もモチベーションを高める原動力となります。

グローバルPR(パブリックリレーションズ)に取り組むにあたってのポイント5つ

続いてはグローバルPRに取り組むにあたってのポイントをいくつか紹介していきますので、広報・PR担当者の皆さんはぜひチェックしてください。

ポイント①:国内・海外ともにメッセージの「芯」の部分は統一する

国によって文化や価値観などが異なるため、メッセージなどの内容も違うものになるのが当然です。しかし、それでもメッセージの「芯」の部分は統一しましょう。つまり、企業理念などに沿ったものである必要があるということ。

この部分がブレていると、一般消費者、国内外のメディアや取引先などに、「結局何がしたい企業なのか」、「単なる八方美人であって信念がない」などと思われてしまう可能性が高いので気を付けてください。そうならないためにもグローバルPRを始める前に、経営者などと改めて企業理念や経営方針などに関して話し合うことをおすすめします。

ポイント②:国や地域によってアプローチ方法を調整する

メッセージの「芯」は統一するべきですが、国や地域によってアプローチ方法を変えましょう。日本国内に限っても地域によってアプローチ方法を調整するべきですが、発想はそれと同じです。

そして国レベルの話になると、政治経済、ライフスタイル、文化、宗教、制度なども大きく異なるので気を付けてください。さらに各種メディアが「何を気にするか」「何に関心を持つか」も国によってかなり差が出る部分です。

それでも「広報・PR効果があまり出ない」ならまだ良いですが、場合によっては知らないうちに「NGマナー」をしてしまったり、マイナスイメージになることを発信したりする恐れもあるので注意が必要です。

ポイント③:企業公式ウェブサイトも活用する

企業公式ウェブサイトには海外からもアクセスできるはずなので活用しましょう。まず多言語対応は最低限必須ですし、国や地域に応じた情報発信ができるように内容を調整することが大事です。

また、可能であれば単に多言語対応するだけでなく、対象とする国によってウェブサイトを分けてしまうのもいいでしょう。相手国によってどのような情報を発信すると「刺さる」のかは違うので、サイトを複数作る価値は十分あります。

さらにいうと海外向けサイトを作ることで、日本人ユーザーがアクセスした場合の「外国人にとって必要な部分であることは理解できるものの邪魔である」を防ぐこともできます。

ポイント④:日本で活動する外国メディアへのアプローチ

「日本で活動する外国メディア」もあるのでアプローチしてみてはいかがでしょうか。特に海外に拠点がない企業の場合、いきなり「海外にある海外メディア」との関係性構築を狙うのは難しいのでおすすめです。

さて具体的には「日本に特派員がある外国メディア」が代表的であり、例えばアメリカなら「ウォール・ストリート・ジャーナル」、中国なら「新華社通信」、イギリスなら「フィナンシャル・タイムズ」など(他にも多くあるので調べてみてください)。

いずれも「自国に直接関係のある情報」に興味を持つ傾向にあるので、アプローチする場合はその国のニュースに絡めたり、「このサービスは○○(そのメディアの自国)でも利用でき……」などとアピールしたりすることをおすすめします。

ポイント⑤:海外のPR会社との連携も検討する

海外にもPR会社があるので連携を検討するのもいいでしょう。先ほど「国による様々な違い」について少し触れましたが、海外現地PR会社と提携すればその辺りのハードルはほとんどクリアすることができます。もちろん費用はかかってしまいますが、手間や労力を大きく省くことができるので、適切な方法で進めていけばコストパフォーマンスは悪くなりません。

日本から世界へ!グローバルPRの可能性を広げよう(まとめ)

すでに海外展開をしている企業はもちろん、現状海外展開していない企業であっても将来的なことを考えるとグローバルPRの「検討」はしておくことをおすすめします。また、今はそのつもりがなくても社会・世界が変われば、グローバルPRの必要性が上がるかもしれません。

そのグローバルPRに取り組むにあたって最も重要なのは、対国内でも対海外でもメッセージの「芯」の部分は変えないということです。ここがしっかりしていないとグローバルPRを始めても思い通りに進まない可能性が高いので、まずは土台を固めましょう。

➡人気記事:メディアに出るプレスリリースの書き方12のコツ


執筆者・監修者
上岡正明
経済記者・経済コメンテーター
戦略PRプランナー・著書26冊累計105万部のビジネス作家
登録者30万人のYoutuber
上岡正明

MBA(経営学博士前期課程修了)
多摩大学客員講師(18,19)
帝塚山大学客員講師(19)
登録者30万人のビジネス系YouTube

「スーパーJチャンネル」「めざましテレビ」「王様のブランチ」「クイズミリオネア」等の元放送作家。日本を代表するPR戦略の専門家で、企業広報のスペシャリスト。未上場から上場企業まで戦略PRを手掛けたクライアントは300社以上。

広報ブランディング、新規事業構築、外資系企業の国内イベント、海外プロモーション支援のコンサルティング会社代表。現在まで約20年間、実業家として会社を経営。これまでに三井物産、SONY、三菱鉛筆、日本瓦斯など200社以上の広報支援、スウェーデン大使館やドバイ政府観光局などの国際観光誘致イベントなどを行う。

代表的なコンサルティング案件としては、日本中の女性たちの心を動かした「表参道のパンケーキブーム」、1年で200万台以上を売り上げた「ふとん専用掃除機レイコップ」、世界が注目する食イベント「肉フェス」、1カ月で6000万人(日本の約半分)にバズらせた「ジャポニカ学習帳“昆虫の表紙が変わった?”」がある。

経営と並行してMBA(情報工学博士前期課程)取得。東京都中小企業振興公社講師。成蹊大学、多摩大学、帝塚山大学の客員講師。東洋経済新報社、ダイヤモンド社、朝日新聞出版社、PHP出版、総合法令出版社、アスコム社、大和出版、すばる舎、宝島社から累計21冊80万部の著書を上梓。

日本神経心理学会、日本行動心理学学会、行動経済学学会、一般社団法人日本行動分析学会、日本社会心理学会、一般社団法人日本小児心身医学会、認知神経科学会の各学会員。

日経ヴェリタス・東洋経済オンライン・ダイヤモンドオンライン・プレジデントの4大経済メディアで専門家として記事連載もおこなっております。お読みになりたい方はこちらからご覧下さい。

①:東洋経済オンラインでの連載記事
②:ダイヤモンドオンラインでの連載記事
③:プレジデントでの連載記事
④:日本経済新聞での連載記事