CSRとは?広報がCSRの取り組みを情報発信をすることのメリット4選
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2025.08.22

CSRとは?広報がCSRの取り組みを情報発信をすることのメリット4選

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この記事では広報・PR担当者の皆さんに向けて、CSR(コーポレート・ソーシャル・レスポンシビリティ)に取り組み、情報発信をすることのメリットなどについてお伝えしていきます。

「そもそもCSRとは?」という方から、「必要性は感じているものの具体的に何をすればいいのかわからない」という広報・PR担当者にまでおすすめの内容となっています。

本記事では、CSRの概要とコンプライアンスとの違い、そしてCSRに取り組んで情報発信をすることのメリット、さらにCSRに関するポイントなどについて解説しますので、ぜひ参考にしてください。

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CSRとは?|コンプライアンスとの違いは?

CSR(コーポレート・ソーシャル・レスポンシビリティ)とは「企業の社会的責任」のことであり、「持続可能な社会」のために、自身の活動に対して責任を取るような企業の行動のことを指します。

CSRとコンプライアンスの違いは?

CSRと混同されやすい言葉として「コンプライアンス」がありますが両者には違いがあります。まず、コンプライアンスとは「企業が法令や規則を守って、不正行為をしないようにすること」であり、企業活動をする上での最低限の責任ともいえます。

一方、CSRは「企業が社会や環境に配慮して、社会の持続可能な発展のために尽くす責任」のことです。具体的には、労働環境の改善、地域社会への貢献、環境保護など、企業が自ら行う行動が含まれています。

したがってコンプライアンスは「最低限のルール(を守ること)」であり、CSRは「社会をより良くしていくための自主的な取り組み」ということになります。さらに言い換えるとCSRは、「コンプライアンスを守った上で、社会のために行う自主的な取り組み」となるでしょう。

広報・PR担当者がCSRの取り組みを情報発信する4つのメリット

続いてはSCRに取り組んで、それに関する情報発信をすることの主なメリットを紹介していきますので、広報・PR担当者の皆さんはぜひ参考にしてください。

一見SCRと広報・PR活動は結び付かないように思えるかもしれませんが、「CSRに取り組んでいます」という「発信」をするのはやはり広報・PR部署の役目です(上手な伝え方ができるのもこの部署です)。

メリット①:各種ステークホルダーからの信頼性が上がる

CSRに取り組み、それについて情報発信することにより、顧客、取引先、株主、投資家、メディア関係者などからの信頼性を上げることができます。そうなれば売上が上がる、資金調達がしやすくなる、メディア露出(掲載や報道)しやすくなるなどのことが期待できます。

「コンプライアンスを守ること」によってもこれらの効果は望めますが、CSRにはより「積極性」があるためさらに強いアピールとなることでしょう。

メリット②:自社社員の満足度が上がる

CSRに分類される取り組みの中には、自社社員の満足度アップにつながるものも含まれています。具体的には、労働環境の維持や改善、各方面における社員のサポートなど。

副業など様々な働き方が広く認められている時代であり、一昔前に比べれば積極的に転職をする人も増えました。そのためこういった部分で社員の自社への愛着や信頼性を高めて、離職率などを下げることも大事です。

また、社員にとっての直接的なメリットだけでなく、「社会的責任をきちんと負うつもりのある企業で働いている」という誇りによって、満足度を上げる社員もいることでしょう。

メリット③:採用広報の一環になる

就職活動者・転職活動者の中には、給与や待遇などの直接的な要素だけでなく、「CSR的な部分」にも目を向ける人が多いです。「社員を大事にしてくれる企業で働きたい」と考えるものですし、やはり「社会的な取り組みをしている企業を選びたい」と思う人も多いです。

メリット④:「コンプライアンスへの意識が高い企業」という認識が広がる

CSRまでは知らない一般消費者でも、コンプライアンスに関しては聞いたことがあって「なんとなく」の理解をしている人が多いです。

ただ、「なんとなく」だからこそ、コンプライアンスの本来の意味とほぼ同義の「最低限のルールの遵守」をしているだけでは、「コンプライアンス意識が低い企業」とみなされてしまう可能性があります。

そのため少し妙な話ではありますが、「CSRに積極的に取り組む」くらいの意識があってこそ、世間に「コンプライアンス意識が高い企業」と捉えてもらえると考えておきましょう。

企業がCSRに取り組む際のポイント5選・PR担当者にできること

続いては企業がCSRに取り組むにあたってのポイントについて解説していきます。「広報・PR担当者にできること・するべきこと」を交えてお伝えしますのでぜひ参考にしてください。

ポイント①:社会が求めていることと自社の目的・目標をすり合わせる

まずは、現在社会が求めていることは何か、何が注目されているかなどの社会の動向・傾向やトレンドをキャッチすることに積極的なりましょう。また、日本だけでなく、欧米に関して調べるのもいいでしょう(欧米はCSRに精力的な傾向にあるため)。

その上で自社の目的・目標とすり合わせてみましょう。一例として環境保護活動を行っている場合は、それを「より社会に求められる内容の環境保護活動」へと調整するなど。また、内容の調整はほとんどせず、「アピールする部分」を調整する方法もありますよね。

広報・PR部署の主な役目は、社会動向のキャッチ、自社の目的・目標の洗い出し、両者のすり合わせ、そして「適切なアピール(発信)」です。特に前の2つについては、普段の広報・PR活動の中でおおよそ達成しているべきといえます。

ポイント②:コスト面を含めて取り組みの内容を自社に合うものへと調整する

自社の取り組みのおおよその内容が決まったら(もしくはすでに取り組んでいるはず)、その内容を自社に合うものへと調整しましょう。

例えば、自社の事業と関連性のあるものにする、自社の製造過程で発生する「物」を活用できる取り組みにするなど。また、実行するのが少し厳しくなるかもしれませんが例えば、代表者をはじめ多くの社員が興味を持っている取り組みを始めるなど、必ずしも事業の内容と直接関係していなくても構いません。

そしてコストについても考える必要があります。極端に言えば「社会のためにできることはなんでもする」ではお金がいくらあっても足りませんし、それで経営が傾いたり、社員に不満が溜まったりするようでは本末転倒です。あくまで企業の経営や社員の満足度を優先しつつ、経営陣や各部署責任者と話し合いながら取り組みの内容とコスト感を決めましょう。

ポイント③:運用体制を決める

関係する部署と連携しながらCSRの運用体制を決めましょう。特にイベントなどを開催してマンパワーが必要になる場合は、必要な人員数や準備~開催~片付けまでの流れをまとめておく必要があります。

また、CSRの取り組みに関してプレスリリースを作成・配信することも非常に重要です。イベント運営などは他部署に回してもいいですが、プレスリリースについてはきちんと広報・PR部署で取り組んでください(そもそも他の部署にはできないはずですが)。

ポイント④:プレスリリースやSNSで情報発信をする

CSRの取り組みをするにあたって、上で触れたプレスリリースやSNS、さらに企業公式ウェブサイトなどで情報発信をしましょう。特にプレスリリースをメディア・メディア関係者に送ることによって、メディア露出を狙うことが重要です。

さらに社内報や社内のチャットツールなどを使って、社員に対して情報発信することもお忘れなく。CSRに直接関わっていない社員にも自社の取り組みを周知しつつ、意識を高めてもらう狙いがあります。

✅発信は定期的に行う

プレスリリースの利用をはじめとする情報発信は、単発ではなく定期的に行うことが大事です。何か取り組みやイベントが終わるたびに発信するのは当然として、「準備を始めました」や「このような結果になりました」などのタイミングでも発信できるはずです。

CSRのことに限りませんが、発信は継続してこそ人々の印象に残り、興味を持ってもらえるようになるということを忘れないでください。

ポイント⑤:効果測定をしてPDCAサイクルを回す|2つの意味で

CSRに関するイベントや取り組みをしたら、一般消費者やメディア関係者などからどのような反応があったかをチェックしましょう(効果検証)。例えば各種SNSでキーワード検索やトレンド確認をする、アンケート調査をしてデータを取る、メディアからの問い合わせ数を記録するなど。

これらは「広報・PR戦略的な部分(1つ目)」の効果測定ですが、本来の「CSR的な部分の効果(2つ目)」についてもできる範囲で測定しましょう。例えば環境保護関連の取り組みをしているなら、自社で出すゴミの量がどれくらい減ったか、どれくらいペーパーレスに移行できているかなど。

本音は「CSRも広報・PRの一環」、「やらないとイメージが悪いからやっている」などかもしれませんが、やはり実施する以上はこちらについても成果を重視したいものです。そうでないと徐々に形骸化し、最終的には「やっているポーズ」だけになり、いつかは非難を浴びる日が来るかもしれません。

CSRの取り組みを情報発信をするメリット(まとめ)

CSRは「コンプライアンスを守ること」を超えて、「企業が自ら責任を果たす行為」です。具体的にどのような取り組みをするか、取り組みに関してどのような発信をするかなどについて、広報・PR部署と関係部署、そして経営陣などを交えて相談し、実践へと進みましょう。

そしてCSRに取り組む以上は継続的に発信することが大事です。CSRに限らず、「思い出したときに発信するだけ」「上層部に言われたときに発信するのみ」などでは、アピールにならないことを覚えておきましょう。

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執筆者・監修者
上岡正明
経済記者・経済コメンテーター
戦略PRプランナー・著書26冊累計105万部のビジネス作家
登録者30万人のYoutuber
上岡正明

MBA(経営学博士前期課程修了)
多摩大学客員講師(18,19)
帝塚山大学客員講師(19)
登録者30万人のビジネス系YouTube

「スーパーJチャンネル」「めざましテレビ」「王様のブランチ」「クイズミリオネア」等の元放送作家。日本を代表するPR戦略の専門家で、企業広報のスペシャリスト。未上場から上場企業まで戦略PRを手掛けたクライアントは300社以上。

広報ブランディング、新規事業構築、外資系企業の国内イベント、海外プロモーション支援のコンサルティング会社代表。現在まで約20年間、実業家として会社を経営。これまでに三井物産、SONY、三菱鉛筆、日本瓦斯など200社以上の広報支援、スウェーデン大使館やドバイ政府観光局などの国際観光誘致イベントなどを行う。

代表的なコンサルティング案件としては、日本中の女性たちの心を動かした「表参道のパンケーキブーム」、1年で200万台以上を売り上げた「ふとん専用掃除機レイコップ」、世界が注目する食イベント「肉フェス」、1カ月で6000万人(日本の約半分)にバズらせた「ジャポニカ学習帳“昆虫の表紙が変わった?”」がある。

経営と並行してMBA(情報工学博士前期課程)取得。東京都中小企業振興公社講師。成蹊大学、多摩大学、帝塚山大学の客員講師。東洋経済新報社、ダイヤモンド社、朝日新聞出版社、PHP出版、総合法令出版社、アスコム社、大和出版、すばる舎、宝島社から累計21冊80万部の著書を上梓。

日本神経心理学会、日本行動心理学学会、行動経済学学会、一般社団法人日本行動分析学会、日本社会心理学会、一般社団法人日本小児心身医学会、認知神経科学会の各学会員。

日経ヴェリタス・東洋経済オンライン・ダイヤモンドオンライン・プレジデントの4大経済メディアで専門家として記事連載もおこなっております。お読みになりたい方はこちらからご覧下さい。

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