狭いニッチターゲットに向けて広報・PRネタを発信する際の注意点と5つのポイント
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2025.07.17

狭いニッチターゲットに向けて広報・PRネタを発信する際の注意点と5つのポイント

➡記事を書いた人:Youtube登録者30万人【MBA保有の現役記者】上岡正明プロフィール

この記事では広報・PR担当者の皆さんに向けて、狭いターゲットに向けて広報・PR発信をする場合のポイントなどについてお伝えしていきます。

特に「ターゲットが狭いからこそ考えるべきことを知りたい」という方や、「狭いターゲットへの発信がうまくいっていない気がする」とお悩みの広報・PR担当者におすすめの内容となっています。

本記事では、狭いターゲットに対して発信するにあたってのポイント、そして注意点などに関して解説しますので、ぜひ参考にしてください。

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狭いターゲットに対して広報・PR発信をする場合のポイント5選

それでは狭いターゲットに対して広報・PR発信をする場合のポイントをいくつか紹介していきますので、ぜひ参考にしてください。

ポイント①:わかりやすい方法とわかりやすい言葉でターゲットを明示する

まずは、その「狭いターゲット」に対して、わかりやすい方法・わかりやすい言葉でハッキリと呼びかけることが大事です。具体的には例えば以下の通り。

  • SNS投稿の投稿文冒頭で【忘年会幹事の皆さん必見】と書く
  • プレスリリースのタイトルの前半で【花粉症でお困りの方必見】と書く
  • YouTubeやTikTokのタイトルだけでなくサムネイルにも【○○市にお住まいの方必見】と書く

同じ文字列でも【】で囲うことで目立ちやすくなるためおすすめです。

また、例えば「忘年会の幹事さん」なら、少しでもリーチを広げるために「飲み会の幹事さん」などと表現を変えたくなるかもしれません。しかしそれでは誰に向けた発信なのかがボヤけてしまい、結果的にほぼ誰にも刺さらなくなる恐れがあるので基本的にはNGです。

✅ターゲットを絞って「狭く深く」発信するのが現代の広報・PRのセオリー

これに限らず、ターゲットを絞って「狭く深く」発信するのが現代の広報・PRの基本といえます。全体的な技術力の向上や情報網の発達により、「最新鋭の製品」はすぐに他社に追いつかれ、「斬新なサービス」もすぐに他社が模倣する時代となりました。乱暴な言い方をすれば、「何を買っても同じ」なのです。

だからこそ狭く深く、「あなたに呼びかけています」というスタンスの広報・PRをすることが主流になっているといえます。

一方「広く浅く」にしてしまうと、「自分が呼びかけられている感」が薄れるため関心を持ってもらえなかったり、「良さそうな雰囲気のある他社・他者」に取られてしまったりする可能性が高いです。

ポイント②:その狭いターゲットに刺さるメリットをわかりやすく提示する

ターゲットが狭い場合に限りませんが、人はメリットがわかりやすく提示されるからこそ「自分にとって意味がある」と判断し、「この情報をもっと見よう」と考えるものです。なので、十分に説得力のあるメリットを示しましょう。

「忘年会の幹事さん」がターゲットなら例えば以下の通り(架空のものです)。

  • 忘年会の出欠管理をお手持ちのスマートフォンで簡単にできるシステム
  • スマートフォンアプリケーションを1つダウンロードするだけ。面倒な設定なしで即使えます
  • 決済システムの○○と連動すればお支払いも簡単
  • 「幹事が全額払って、後で徴収」もスムーズに

これも例えば「出欠管理もラクラク」などの抽象的な言葉にせずに、「スマートフォンで簡単に」「スマートフォンアプリを1つダウンロードするだけ」と具体的に示しているのがポイントです。

ポイント③:ユーザー目線でわかりやすく情報を提供・解説をする|メリットの深掘り

提示したメリットについて、ユーザー目線でわかりやすく情報を提供・解説しましょう「忘年会の出欠管理をスマートフォンアプリケーションで簡単にできること」を例に取るなら以下の通りです。

  • スマートフォンの容量を圧迫しない低容量
  • オフラインでも利用できるので電波がつながりにくい居酒屋でも安心
  • 基本利用料は無料。無料でも○○や□□が利用できるので忘年会を乗り切るには十分です
  • ○○円課金で大人数のお支払いに便利な、決済システム連動機能が使えるようになります
  • 月額利用料ナシ。1回の課金で無制限使用OK。「忘年会シーズンだけ使ってすぐアンインストールしたい!」という方でも安心

ユーザー目線がない場合、「基本無料」くらいしかアピールできないかもしれません。「ユーザーが何を求めているか・何で喜ぶか」を分析することで、「電波がつながりにくくても問題がない」などのメリットや、「忘年会シーズンだけパパっと使いたい」などのニーズが見えてくることでしょう。

ポイント④:画像でイメージしやすく・わかりやすくする

狭いターゲットに対する広報・PR発信に限りませんが、画像によってイメージしやすく・わかりやすくすることも大事です。目安として「テキストを全部読んで、それだけで理解する人はほとんどいない」と思っておくくらいでちょうどいいです。

さて、「忘年会シーズン用スマートフォンアプリケーション」を例に取るなら、以下のような画像を用意するといいでしょう。

  • 出欠管理のやり方を紹介した画像
  • 「基本料金だけでできること」を紹介した画像
  • 「決済システム連動機能」を紹介した画像
  • 「電波が届かなくても居酒屋でアプリケーションを使っている要素」をイメージできる画像
  • 「忘年会シーズンにダウンロード」→「シーズンが終わったらすぐアンインストール」をしている様子をイメージできる2コマ漫画

上3つのように「テキストよりも説明をわかりやすくした画像」を載せるだけでなく、下2つのように「自分が商品やサービスを利用している様子を自然にイメージできる画像」を用意することも大事です。イメージができると「では使ってみようかな」などと考えやすくなるためです。

ポイント⑤:ケースバイケースで動画も使う

必須ではありませんが、それでわかりやすくなる・イメージしやすくなるのであれば、動画も使って広報・PR発信をするといいでしょう。「忘年会シーズン用スマートフォンアプリケーション」を例に取るなら主に以下の通り。

  • アプリケーションの使い方を説明する動画
  • 「電波が届かなくて困っている人」がアプリケーションを使えることを思い出す動画
  • 忘年会シーズン後にすぐにアンインストールをしている動画

これも画像と同じで「動画によってイメージしてもらうこと」も大事です。ただし、発信方法や発信場所によってはそもそも動画発信ができませんし、場合によっては「むしろ動画が邪魔」となるケースもあるはずなので柔軟に考えることが大事です。

狭いターゲットに対して広報・PR発信をするにあたっての2つの注意点

続いては狭いターゲットに対して広報・PR発信をするにあたっての注意点を紹介していきますので、ぜひ参考にしてください。「狭いターゲット」とは言っていますが、どのようなターゲットの場合でもおおよそ当てはまります。

注意点①:他部署ともすり合わせてターゲットを明確にする

ターゲットの認識からして間違ってしまうケースもあります。そのため、まずは関係部署とのすり合わせを行って、「そもそも誰がターゲットなのか」を明確にしましょう。

一例として、広報・PR担当者としては「忘年会の幹事を任された人」がターゲットだと認識しているにもかかわらず、アプリケーションの開発部署としては「30人以上が出席する忘年会の幹事を任された人」がターゲットだと思っているかもしれません。

そして開発部署だからといって必ず正しいとは限らないので、きちんと話し合ってターゲットを定めましょう。この場合は、例えば「10人以上が出席する忘年会の幹事を任された人」が最適なターゲットである可能性があります。

注意点②:「なんとなく」でターゲットのニーズを決めず、分析して突き止める

広報・PRやマーケティング全般に言えることですが、「なんとなくこれを求めていそう」でターゲットのニーズを決めるのではなく、きちんと分析した上でニーズを突き止めることが大事です。

そのためにも既存のデータを十分に収集・分析したり、必要に応じて新たにアンケート調査などを行ってデータを取ったりすることも重要といえます。これに関しても広報・PR部署だけで完結させず、他部署とも相談・協力しながら進めていくことが大切です。

まとめ

特に狭いターゲットに対して広報・PR発信をする場合は、「ターゲットの明示(呼びかけ)」→「メリットの提示」→「ユーザー目線でのメリットの深掘り」という流れが基本的なセオリーといえるので意識しましょう。

また、そもそも想定しているターゲットが的外れだったり、「ターゲットのニーズ」を履き違えたりする可能性もあるので、必要に応じてデータを新たに取りつつ丁寧に分析しましょう。「センス」や「なんとなく」だけで考えていい部分ではありません。

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執筆者・監修者
上岡正明
経済記者・経済コメンテーター
戦略PRプランナー・著書26冊累計105万部のビジネス作家
登録者30万人のYoutuber
上岡正明

MBA(経営学博士前期課程修了)
多摩大学客員講師(18,19)
帝塚山大学客員講師(19)
登録者30万人のビジネス系YouTube

「スーパーJチャンネル」「めざましテレビ」「王様のブランチ」「クイズミリオネア」等の元放送作家。日本を代表するPR戦略の専門家で、企業広報のスペシャリスト。未上場から上場企業まで戦略PRを手掛けたクライアントは300社以上。

広報ブランディング、新規事業構築、外資系企業の国内イベント、海外プロモーション支援のコンサルティング会社代表。現在まで約20年間、実業家として会社を経営。これまでに三井物産、SONY、三菱鉛筆、日本瓦斯など200社以上の広報支援、スウェーデン大使館やドバイ政府観光局などの国際観光誘致イベントなどを行う。

代表的なコンサルティング案件としては、日本中の女性たちの心を動かした「表参道のパンケーキブーム」、1年で200万台以上を売り上げた「ふとん専用掃除機レイコップ」、世界が注目する食イベント「肉フェス」、1カ月で6000万人(日本の約半分)にバズらせた「ジャポニカ学習帳“昆虫の表紙が変わった?”」がある。

経営と並行してMBA(情報工学博士前期課程)取得。東京都中小企業振興公社講師。成蹊大学、多摩大学、帝塚山大学の客員講師。東洋経済新報社、ダイヤモンド社、朝日新聞出版社、PHP出版、総合法令出版社、アスコム社、大和出版、すばる舎、宝島社から累計21冊80万部の著書を上梓。

日本神経心理学会、日本行動心理学学会、行動経済学学会、一般社団法人日本行動分析学会、日本社会心理学会、一般社団法人日本小児心身医学会、認知神経科学会の各学会員。

日経ヴェリタス・東洋経済オンライン・ダイヤモンドオンライン・プレジデントの4大経済メディアで専門家として記事連載もおこなっております。お読みになりたい方はこちらからご覧下さい。

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