広報の現場のリアル|知り合うメディア関係者にはランクがある!ある程度は選びましょう
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2020.11.20

広報の現場のリアル|知り合うメディア関係者にはランクがある!ある程度は選びましょう

多くの広報PR担当者が抱える疑問の一つに、
「メディア関係者の知り合いがほとんどいないが、いきなりネタやプレリリースを送ったとして取材に繋がるのだろうか」
というものがあります。

 

「ネタさえ面白ければ取材してもらえる」←これは間違いです!

これに対する回答が、
「結局のところ、ネタを記事・番組にするかどうかは全体会議などで決まるので、良質なネタやプレリリースを持ち込むことさえできればなんとかなります」だったとすれば、広報担当者は胸をなでおろすと思います。

「ああ、よかった。じゃあネタ作りを頑張ろう。夢があるなあ」
という心境になるでしょうか。

ですが、それは本当に「夢」もしくは「理想」、もっと言えば「綺麗事」でしかなく、現実は違います。
「確かにネタが面白ければそれだけで何とかなるかもしれないが、可能性は非常に低い。
やはり『権力を持っている人』に持ち込むことができないと、取材に繋げるのは厳しい」というのが、業界のリアルです。

どういう事なのでしょうか。もう少し詳しく解説します。

 

「メディアも組織である」と考えれば当然のこと

極端に言えば

実績のない新人ADの「このネタは面白いと思います」という発言と、
実績のあるベテランADの「このネタはいけますよ」という発言ではどちらが信頼できるでしょうか。

間違いなく後者のはずです。

「信頼される」というよりも「空気的にベテランの発言を重視せざるを得ない」ということもあるかもしれません。
ただ、率直に言って、こうしたことは現場では日常茶飯事です。

■夢の見過ぎに注意しましょう!

「新人ADとひょんなことから知り合い、プレリリースを見せたらとても気に入ってもらえた。その新人ADの情熱が広まり、取材にこぎつけた!」
というドラマチックなストーリが起きる可能性はゼロではありませんが、限りなくゼロに近いです。

実際には、例えば「ベテランのディレクターとコネを作り、気に入られ、よく練ったプレリリースを送ったら取材してもらえた」という流れのほうが多いです。

広報の仕事を長年続けていると、確かに「小さな情熱から、大きな結果が生まれたなあ」と感じる、涙ぐましいシーンに出会うこともありますが、それは稀なパターンだと考えるべきなのです。

やはり「このメディア関係者と付き合っておくと、どれくらい得をするか」という、「仕事に徹した視点」も必要です。
「それでは失礼では?」と感じるかもしれませんが、あちらもあなたに対して同じことを思っていますから問題ありません。

 

メディアとの関係構築の落とし穴3つ

しかし、極端に考えすぎるのもいけません。
「ビジネスライクに徹しなければ!」と思い込むことで、主に以下の3つの失敗が発生する恐れがあります。

○1:新人メディア関係者が出世する可能性がある

「広報の世間は意外と狭い」と感じます。
例えば、知り合いの広報担当に「マスコミの人を紹介しますね(だからあなたも紹介してください)」と言われて紹介されたメディア関係者が、すでに知っている人物だった……というケースもないわけではありません。

そして、「あのとき話した新人ADさんがあんなに出世するとは……」という場合もあります。
もちろん本当に出世する人は現実的に考えて少ないですが、「仲良くしても取材に繋がらなさそうに思える」からといって無碍には扱わないようにしましょう。
誰があっても礼儀を尽くしてください。

そのメディア関係者の性格次第ですが、「若いときに私を鼻で笑ったあの会社の広報を絶対に忘れない!」というタイプの人もいるかもしれません。

○2:「どんなメディア掲載でも狙っていく」なら新人もベテランもない

また、同じネタやプレリリースを扱うとして、

ベテラン記者に見せた→大きく特集される
新人記者に見せた→紙面の隅に小さく掲載される

などの差が出る可能性があります。

しかし、特にベンチャー企業などで「まだほとんどメディア進出がない」という段階の場合は、「メディア掲載をかき集める」ことも大事です。

○3:「本当のトップ」とコネができてもあまり役に立たないことがある

特に大きなメディアの場合、例えば「編集長」は「雑誌としての方針決定などをし、個別の記事にはほとんど関わらない」というケースがあります。

「このネタを扱うかどうかの決定権」は、「副編集長」かその直下あたりの役職の人が持っている可能性が高いです。

もちろん、編集長レベルの人と知り合っておくと「人脈が広がりやすくなる」というメリットもあります。また、副編集長に対して全く意見を出さないという事もないでしょう。

ただ、とりあえずは「本当のトップは狙わない」という方針でいたほうが効率がいいかもしれません。


執筆者・監修者
上岡正明
経済記者・経済コメンテーター
戦略PRプランナー・著書26冊累計105万部のビジネス作家
登録者25万人のYoutuber
上岡正明

MBA(多摩大学院経営情報学修了)
テレビコメンテーター
多摩大学客員講師(18,19)
帝塚山大学客員講師(19)
登録者24万人のビジネス系YouTube

「スーパーJチャンネル」「めざましテレビ」「王様のブランチ」「クイズミリオネア」等の元放送作家。日本を代表するPR戦略の専門家で、企業広報のスペシャリスト。未上場から上場企業まで戦略PRを手掛けたクライアントは300社以上。

広報ブランディング、新規事業構築、外資系企業の国内イベント、海外プロモーション支援のコンサルティング会社代表。現在まで約20年間、実業家として会社を経営。これまでに三井物産、SONY、三菱鉛筆、日本瓦斯など200社以上の広報支援、スウェーデン大使館やドバイ政府観光局などの国際観光誘致イベントなどを行う。

代表的なコンサルティング案件としては、日本中の女性たちの心を動かした「表参道のパンケーキブーム」、1年で200万台以上を売り上げた「ふとん専用掃除機レイコップ」、世界が注目する食イベント「肉フェス」、1カ月で6000万人(日本の約半分)にバズらせた「ジャポニカ学習帳“昆虫の表紙が変わった?”」がある。

経営と並行してMBA(情報工学博士前期課程)取得。東京都中小企業振興公社講師。成蹊大学、多摩大学、帝塚山大学の客員講師。東洋経済新報社、ダイヤモンド社、朝日新聞出版社、PHP出版、総合法令出版社、アスコム社、大和出版、すばる舎、宝島社から累計21冊80万部の著書を上梓。

日本神経心理学会、日本行動心理学学会、行動経済学学会、一般社団法人日本行動分析学会、日本社会心理学会、一般社団法人日本小児心身医学会、認知神経科学会の各学会員。

日経ヴェリタス・東洋経済オンライン・ダイヤモンドオンライン・プレジデントの4大経済メディアで専門家として記事連載もおこなっております。お読みになりたい方はこちらからご覧下さい。

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