「構造的な負け戦は構造的に負け続ける」。富山氏の言葉から問題解決の本質を考える
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2020.11.14

「構造的な負け戦は構造的に負け続ける」。富山氏の言葉から問題解決の本質を考える

構造的な問題

「構造的な負け戦は、構造的に負け続ける」。

これは経営共創基盤創業者の冨山和彦氏が戦略について語った言葉です。そして、この言葉は、問題解決全般にも当てはまります。つまりは、問題の構造を錯覚したり、本質的ではない部分を本質と見誤ってしまうと、どれだけ一生懸命に取り組んだとしても、結局のところ、結果は出ず、相変わらず問題は残ったままになってしまいます。

マーケティング担当者やPRの現場でも活用できる知識ですね。また、ビジネスコンサルタントが問題を捉えるのになくてはならない視線です。丁寧に見ていきましょう♡

 

構造的な負け戦は構造的に負け続ける

たとえば昨今、日本のIT事業での競争力低下が叫ばれているのですが、事実、世界のITビジネスはセブン・シスターズ(グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル、マイクロソフト、アリババ、テンセント)という米中の巨大プラットフォーム企業に牛耳られていて、今から日本企業がこれを逆転するというのは非常に難しいことでしょう。

それに続く新ビジネスも、なかなか世界的に競争力があるビジネスは生まれにくくなっています。日本では強いLINEでさえ、アメリカなどではフェイスブック傘下のワッツアップに苦戦を強いられているのです。

こういったことに問題意識を持って、政府も義務教育段階からプログラミング教育を施すなどの施策を打ってはいるのですが、おそらく効果はあまりなく、非常に限定的なものとなってしまうことでしょう。

義務教育で多少プログラミングをかじったところで、しっかりしたトレーナーについて学ぶことと比較すると効果は一定のものしか期待できません。仮にセンスがある人間がいたとしても、受験に関係があるわけでもないので、力も入りません。

 

ITビジネスに優秀な人材が行かない理由

それ以上に重要な、ITビジネスに優秀な人材が行かない理由は他にもあります。たとえば次のようなものです。

・日本人は安定志向が強い。

数学力の非常に優れた人間は、給与レベルが高くないIT企業を選択することはなく、安定的高収入が見込める医師を選ぶ(全員ではないが、米中と比較すると圧倒的に医学部に行く人間が多い)。また、起業はいまだにリスクが高くて、またロールモデルもアメリカなどと比較すると少ないことから、ハイリスク・ハイリターンを好まない人間には避けられがち。

・日本の法律では思い切った実験ができない

例えば、グーグルのストリートビューのような「こんなことをしてもいいの?」といった取り組みができない。何かをすると既存勢力を敵に回してしまい、つぶされてしまう可能性も高い。中国のように、すぐさまトップダウンで法律を変えて国策として推進するといったこともできない。

・大学が保守的で、新しい分野の講座や学生が増えない。

企業とのネットワーキングの場も少なく、また教員が雑務で多忙であるため、新しい取り組みに費やせる時間を確保することが非常に難しい。

・そもそもIT人材が高く評価されるような風土がない。

アメリカでは「オタクを馬鹿にするな。いつか君の上司になる可能性があるんだぞ」という言い習わしもあるが、日本ではそうした見方はされにくい。等など

 

ダメなやり方をしていても効果は出ない

このような根本原因を変えないと問題は解決しないのですが、資源の制約などもあって、結局は「一応アクションは取りました」というアリバイ的な施策に終始してしまうのです(そもそも、政策について、後で投資対効果について評価するといった文化もありません)。

上記の例は社会問題とも言える大きな問題であり、だからこそ、時間のかかる本質的なアクションを取りにくいという面があり、身の回りの問題でも、何かしらの理由で小手先のアリバイ的対応に終わってしまうことは少なくありません。

部門の意識改革などがわかりやすい例です。関係者も実は根本的な問題にうすうすは気付いていつつも、結局は本質的ではない対応(例:ちょっとしたアサインメントの変更など)に終始し、さらに問題が悪化してしまうといったことがありがちなのです。

基本構造は変わっていませんから、結局はまさに構造的な機能不全が続くのです。

常に高い視野で以って、「本質的な部分に働き掛けているか」「インパクトの大きな施策を打っているか」を自問してみてください。

■まとめ

構造的な負け戦は構造的に負け続けるというように、ダメなやり方をしていても効果は出ないということを学びました。