リリースとは?一斉配信を使う意味ほぼなし!業界裏話と「ネタ」の価値がゼロになる理由
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2020.07.07

リリースとは?一斉配信を使う意味ほぼなし!業界裏話と「ネタ」の価値がゼロになる理由

広報担当者の皆さんは「ネタ作成→リリースの作成」と考えるはずです。
そして、苦労して完成させたリリースを「一斉配信サービス」を使って配信する人が多いわけです。

しかし、一斉配信サービスを利用すると「リリースの価値がほぼゼロになる」と考えてください。

 

リリースとは?メディア関係者の立場になって考えましょう

引用画像_広報の仕事のイメージ

メディア関係者は何のために仕事をしているのでしょうか。

「情報を発信するため」というのは確かにそうなのですが、もっと突っ込んで「いち早く情報を発信するため」と考えなければなりません。

そのためにどんな場所だろうと取材に来るわけです。ちなみに筆者は学生の頃かなりの僻地に住んでいたのですが、一回近所の畑で大火事が発生した際に、数多くのマスコミが詰めかけたことがあります。「こんなところにまで来るのか……」と火事自体よりも驚いた記憶があります。

さて、「リリース一斉配信」をすると、数多くのメディア関係者が「一斉」にプレスリリースを読むことになります。そして、その時点で「いち早い情報」ではなくなってしまうのです。

実力のない広報担当者は「あなただけにお伝えするのですが……」を、数百人に一斉に言ってしまうのです。

*関連リンク:戦略PRの全知識を3分で解説!PR戦略のメリットデメリットも理解しよう

 

リリースの一斉配信がメディア露出に繋がった場合は他のメディアはどう考える?

ですが、非常に運がよければどこかのメディアが取り上げてくれることもあるかもしれません。
その場合、他のメディアは何を考えるのでしょうか。「ああ、あのメディアは記事にするのか!じゃあ、今度リリースが届いたらウチも記事にしないと!」と思うのでしょうか。

いいえ、そんな事はありません。せいぜい「へえ、あちらさんは記事にしたのか」くらいにしか感じません。
つまり、「リリース一斉配信からメディア露出に繋がったところで、直接的な発展性はない」という事ですね。

※ただし、大手企業・上場企業からのリリース一斉配信については、「大きな情報を一社だけ取り上げないこと」が致命的になるので、丁寧に扱われる可能性が高いです。

 

リリース一斉配信を送ってから広報担当がやりがちな最悪な行動とは?

リリース一斉配信サービスを利用すること自体が基本的に愚策ですが、その上で更なる失敗を重ねる広報担当が少なくありません。

それは、「電話での確認」です。つまり、「リリースをお送りしましたが、ご覧いただけましたでしょうか?」と聞いてしまうのです。広報担当からすれば「ベンチャー・中小企業のプレリリースなんてちゃんと見てもらえる可能性はかなり低いんだから、ダメ元で確認すべき」と感じるかもしれませんが、それは実は的外れです。

○リリースを受け取ってからのメディアの対応は3種類に分かれる

1:取材依頼(1パーセントほど)
2:保留・保存・他の記者に回す(10パーセントほど)
3:パッと見てボツ(90パーセントほど)

リリースを受け取ってからの記者の行動はだいたいこれくらいの比率に分かれると言われています。いかにそのまま取材依頼に繋がるケースが少ないのかが分かりますね。

ただ、「3」についても、「パッと見て」はいるわけです。
それもそのはず。1パーセントの「1」がどこに眠っているか分からないからです。

ですから、「どうせ見てもらえない」なんて捻くれてはいけません。
「ほとんど見てもらえる」と考えましょう。

○だからこそ「電話確認」は基本的にはNGです

大手メディアには一日に大量のプレリリースが届いています。ですから、一斉配信であろうがなかろうが「リリースは見ていただけましたか?」などと言われても困るわけです。

恐らく、
「はい、見ました(多分誰かが……)。必要であれば(誰かが)こちらからご連絡差し上げます」ですとか、
「はい、届きました。ありがとうございます」くらいで電話を切られる場合が大半です。

どうしても気になるのであれば、1回くらいは電話してもいいかもしれませんが(それもすぐに忘れられるので)、その1回のせいで「ブラックリスト入り」する可能性もあります。

何度も何度も電話をかけようものなら、間違いなく「あの会社のリリースは見ないで捨てていいよ」という通達が社員に送られることでしょう。

 

リリース一斉配信サービスが「ネタ」の価値をゼロにする まとめ

一斉配信リリースを送ることにはほぼ意味がありません。また、広報担当の取材不足で例えば「食品系の雑誌メディアに、電化製品のネタを送る」などしてしまえば、「ウチの雑誌の内容さえロクに調査していないじゃないか」と一発で嫌われてしまいます。

一斉配信リリース。これを使う時点で、なんとなく「数打てば当たる」と投げやりになってはいないでしょうか。
広報担当者として一番良くない姿勢です。


執筆者・監修者
上岡正明
テレビコメンテーター・経済記者
戦略PRプランナー・著書26冊累計105万部のビジネス作家
登録者25万人のYoutuber
上岡正明

MBA(多摩大学院経営情報学修了)
テレビコメンテーター
多摩大学客員講師(18,19)
帝塚山大学客員講師(19)
登録者24万人のビジネス系YouTube

「スーパーJチャンネル」「めざましテレビ」「王様のブランチ」「クイズミリオネア」等の元放送作家。日本を代表するPR戦略の専門家で、企業広報のスペシャリスト。未上場から上場企業まで戦略PRを手掛けたクライアントは300社以上。

広報ブランディング、新規事業構築、外資系企業の国内イベント、海外プロモーション支援のコンサルティング会社代表。現在まで約20年間、実業家として会社を経営。これまでに三井物産、SONY、三菱鉛筆、日本瓦斯など200社以上の広報支援、スウェーデン大使館やドバイ政府観光局などの国際観光誘致イベントなどを行う。

代表的なコンサルティング案件としては、日本中の女性たちの心を動かした「表参道のパンケーキブーム」、1年で200万台以上を売り上げた「ふとん専用掃除機レイコップ」、世界が注目する食イベント「肉フェス」、1カ月で6000万人(日本の約半分)にバズらせた「ジャポニカ学習帳“昆虫の表紙が変わった?”」がある。

経営と並行してMBA(情報工学博士前期課程)取得。東京都中小企業振興公社講師。成蹊大学、多摩大学、帝塚山大学の客員講師。東洋経済新報社、ダイヤモンド社、朝日新聞出版社、PHP出版、総合法令出版社、アスコム社、大和出版、すばる舎、宝島社から累計21冊80万部の著書を上梓。

日本神経心理学会、日本行動心理学学会、行動経済学学会、一般社団法人日本行動分析学会、日本社会心理学会、一般社団法人日本小児心身医学会、認知神経科学会の各学会員。

日経ヴェリタス・東洋経済オンライン・ダイヤモンドオンライン・プレジデントの4大経済メディアで専門家として記事連載もおこなっております。お読みになりたい方はこちらからご覧下さい。

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