【現役記者が解説】戦略PRとは?3つの意味と今求められる理由と背景
PR戦略とは
3分で分かる「PRの基本」
2024.02.02

【現役記者が解説】戦略PRとは?3つの意味と今求められる理由と背景

戦略PRという言葉が初めて日本に広まったのは2009年後半。その先駆者として本田哲也氏が著作『戦略PR』を発表しました。この本によって、戦略PRの概念が広く知られるようになり、日本中で戦略PRブームが巻き起こりました。これがPRのニーズや価値観が注目されるきっかけとなったのです。しかしその後、約15年の歳月が経過し、PRを取り巻く環境は日々変化を遂げています。

この記事では現代の戦略PRに焦点を当て、実践的な観点から「戦略PRの具体的な活用方法」を紹介します。戦略PRの重要性や実施方法を理解し、効果的なPR活動を展開するポイントを詳しく見ていきましょう。

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戦略PRとは?

戦略PRとは

戦略PRとは、近年の競争激化する市場において企業や組織が差別化を図り、ブランド価値を高めるために必要不可欠な手法です。

広報やPRを実施する際、戦略的なアプローチを取らない企業は存在しません。従来の広報の範囲を超えて、リリースの作成やメディアとのコミュニケーションだけでなく、「戦略的に売れる空気の作り方」「対象となる人々に求められる理由の創出」「それを後押しする権威の構築」といった前段階から取り組むことを指します。

このアプローチによって、広告を行わずとも自然な形で認知度や影響力を高めていく「話題」となる流れが生まれるのです。

戦略PRの実施には計画性と柔軟性が求められますが、効果的に実施することで企業や組織の競争力を強化し、ブランドの成長を促進することができます。

戦略PRの効果・メリット【PRとの違い】

戦略PRの効果・メリット

戦略PRと一般的なPRは似たような活動であると思われがちですが、実は重要な違いがあります。

戦略PRは、その名のとおり「戦略的に」企業や組織のブランド価値を高めることを目的としています。そのため、差別化と競争力の向上、認知度と影響力の向上、長期的なブランド構築、顧客関係の構築など、さまざまな効果やメリットが期待できるのです。つまり戦略PRは単発的な宣伝活動ではなく、長期的な視点と広報展開を通じて、市場での差別化と競争優位の獲得、信頼性の高いブランドイメージの構築を図ります。

一方、一般的なPRは広報活動全般を指し、企業や組織の情報発信やイベントの宣伝などを行います。戦略PRはそれに加えて、ブランド戦略や競争戦略との連携を重視し、より効果的なアプローチを取るのです。

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戦略PRが注目されるようになった背景

戦略PRが注目されるようになった背景

ビジネス環境は急速に変化しており、企業や組織が成功するためには新たなアプローチが求められています。そのなかで、広報活動も例外ではありません。過去の広報手法だけでは十分な結果を得ることが難しくなり、新たな視点と戦略が必要とされています。

そこで、「戦略PR」という概念が注目されるようになりました。戦略PRは従来の広報活動を進化させ、企業や組織が競争力を高めるための効果的な手法となっています。

では、その注目されるようになった背景について詳しく見ていきましょう。

ポイント

  • インターネットの普及による情報過多
  • 「作れば売れる」時代の終焉。購買意欲の喚起が鍵に

インターネットの普及による情報過多

近年、インターネットの普及により、情報のアクセスが容易になり、情報の量も膨大なものとなりました。これにより、企業や組織は自らのメッセージを効果的に伝えるために、ますます困難さを感じるようになりました。

情報の過多によって、消費者や顧客は多様な情報に接する機会が増え、注意散漫になる傾向があります。広告や単なるPR活動では、メッセージが埋もれてしまい、十分な効果を生み出すことが難しくなってきたのです。

このような状況のなかで、企業や組織は自らのメッセージをより鮮明に伝え、消費者や顧客の関心を引きつける必要が生じました。そこで注目されるようになったのが「戦略PR」です。

戦略PRは、単なる情報発信や宣伝ではなく、より戦略的かつ独自のアプローチを取ることで、メッセージの浸透とブランドの魅力を高めることを目指します。情報過多の中で差別化を図り、ターゲット層に訴求力を持ったメッセージを届けることが求められるのです。

さまざまなメディアやプラットフォームが存在する現代において、戦略PRは適切なタイミングや媒体の選択、独自のストーリーテリングなどを通じて、情報を効果的に発信する手法として注目を集めています。

「作れば売れる」時代の終焉。購買意欲の喚起が鍵に

かつては、市場において「作れば売れる」という考え方が通用していました。商品やサービスを提供すれば需要があるという安定した時代。しかし、時代の変化とともに消費者の購買行動も大きく変化し、それに応じたアプローチが求められるようになりました。

現代の消費者は情報に溢れ、選択肢が豊富です。単に商品やサービスを提供するだけではなく、消費者の心を動かし、購買意欲を喚起する必要があります。このような状況のなかで、企業や組織は商品やサービスの魅力を的確に伝えることが求められているのです。

これもまた、「戦略PR」が注目されている理由のひとつです。消費者は単なる商品やサービスだけでなく、ブランドの価値観や使命感に共感することで購買意欲を高める傾向にあります。つまり情報発信に加え、消費者の心に響くストーリーテリングや感情を揺さぶるコミュニケーションを展開することが重要な課題となっているのです。

戦略PRにおける消費者の「買う理由」の作り方

戦略PRにおける消費者の「買う理由」の作り方

消費者の「買う理由」を作り上げることは、戦略PRの重要な要素のひとつです。現代の消費者は多様な選択肢の中から自分に最適な商品やサービスを選びたいと求めています。

そのためには、単に優れた品質や機能だけではなく、消費者の心に響く魅力や価値を伝えることが必要です。消費者のニーズや欲求を深く理解し、それに対応する魅力的な提案を行うことが重要なポイントになります。

ここからは、戦略PRにおける消費者の「買う理由」の作り方について、詳しく見ていきましょう。

ポイント

  • 消費者にとっての「いい商品」は時代とともに変わる
  • 消費者にとっての「いい商品」を変えた戦略PRの事例

消費者にとっての「いい商品」は時代とともに変わる

過去には、品質や機能面が重視されることが多かったですが、現代の消費者はより多面的な要素を求めています。商品自体の魅力だけでなく、ブランドの価値観や社会的な意義にも関心を寄せるようになりました。

戦略PRにおける消費者の「買う理由」を作り出すためにはさまざまなポイントに注意する必要があります。

まずは、時代のトレンドや消費者のニーズを把握する必要があります。それに合わせた商品やサービスを提案することが重要です。また、ブランドのストーリーテリングを通じて、消費者の心に響くメッセージを伝えることも大切です。

さらに、顧客参加型のアプローチを取り入れ、消費者との対話や共創を促進することで、彼らが商品やサービスに共感しやすくなります。環境への配慮や社会貢献活動など、消費者が商品やサービスに社会的な価値を見出せるような取り組みを行うことが重要になってきます。

これらのアプローチを通じて、消費者の「買う理由」を作り出すことができます。時代の変化や消費者のニーズを把握し、ブランドの魅力や社会的な意義を的確に伝えることで、消費者の関心と支持を得ることができるのです。

消費者にとっての「いい商品」を変えた戦略PRの事例

コカ・コーラの「Share a Coke」キャンペーンを覚えていますか?

2011年に始まったこのキャンペーンでは、個人の名前が印刷されたコカ・コーラのボトルや缶が販売されました。これにより、消費者は自分自身や大切な人とコカ・コーラを共有する体験を楽しむことができました。個人化と共感を重視したこのキャンペーンは、コカ・コーラのブランドと消費者の絆を深める効果をもたらしたと言えるでしょう。

このキャンペーンは、消費者の関与と共有の概念に焦点を当てています。コカ・コーラは一般的に、友人や家族との楽しい時間を共有するドリンクとして位置づけられていますが、個々の消費者の名前を製品に結び付けることで、よりパーソナライズされた体験を提供しました。

また、ソーシャルメディアの活用にも注目すべきポイントがあります。消費者は自分や友人の名前が入ったコカ・コーラを見つけると、写真を撮ってハッシュタグと共に投稿し、自身のソーシャルメディアで共有することができたのです。これにより、個々の消費者がブランドとの関わりを強めるだけでなく、キャンペーンの広がりと認知度の向上にも貢献しました。

「Share a Coke」キャンペーンは、一般的な広告手法とは異なるアプローチであり、消費者の参加と共有を重視した戦略PRの成功例とされています。このキャンペーンを通じて、コカ・コーラは消費者との絆を深め、ブランドの親しみや共感を醸成しました。また、個人的な体験とソーシャルメディアの力を活用することで、キャンペーンの広がりと口コミ効果を最大化したのです。

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戦略PRにおける情報の拡散ステップ

戦略PRにおける情報の拡散ステップ

情報はただ提供されるだけでは十分ではありません。それを広く伝え、対象となる人々に届けることが必要です。戦略的な情報拡散は、ターゲットオーディエンスの関心を引きつけ、ブランドやメッセージの認知度を高めるための重要な手法なのです。

ここからは、戦略PRにおける情報の拡散ステップについて詳しく見ていきましょう。

ポイント

  • 戦略PRは口コミや情報の拡散が成功の鍵
  • 情報拡散の3ステップ:自分ゴト化→仲間ゴト化→社会ゴト化

戦略PRは口コミや情報の拡散が成功の鍵

口コミは個人やグループ間での情報共有の一形態であり、信頼性と影響力があります。良い口コミが広がれば、商品やサービスの評判や信頼度が高まり、需要の増加につながります。

情報の拡散は、多くの人々に対してブランドやメッセージを届ける重要な手段です。オンラインプラットフォームやソーシャルメディアの普及により、情報の拡散は容易になりましたが、情報を広めるためには、魅力的で共感を呼ぶコンテンツを提供し、オンライン上で積極的に発信することが必要です。

また、インフルエンサーや有名人との協力も戦略PRにおいて有効です。彼らの影響力を活かし、彼らのフォロワーに対してブランドやメッセージを紹介してもらうことで、広範なリーチを獲得できます。

しかし当然、口コミや情報の拡散を促すためには、良質な製品やサービスの提供が欠かせません。顧客や支持者が満足し、自発的にブランドを推奨するような体験を提供することで、口コミ効果を最大化することができます。

口コミは個人の信頼性に基づいた情報共有の手段であり、情報の拡散は多くの人々に対してブランドやメッセージを届ける手段です。これらを戦略的に活用することで、成功につながる効果的なPR活動を展開することができます。

情報拡散の3ステップ:自分ゴト化→仲間ゴト化→社会ゴト化

情報拡散の成功には、「自分ゴト化」「仲間ゴト化」「社会ゴト化」の3つのステップが欠かせません。

「自分ゴト化」とは、情報を受け取る人々が自分自身と関連付けることです。つまり受け手が、その情報を自分自身と関連付けられるようにする必要があります。それにより、人々は自己関連性の高い情報に興味を持ち、共感しやすくなります。情報を個人の経験や感情に結び付けることで、関心を引き、拡散の土壌を作ります。

「仲間ゴト化」とは、情報を共有するコミュニティを形成することです。情報は個々の人々のなかで止まっていては拡散しません。情報を共有するためには、コミュニティを形成し、情報の共有を促す必要があります。人々が情報を共有しやすい環境を作り、口コミやソーシャルメディアを活用して情報を広めていくことで、より多くの人々にリーチし、拡散の輪を広げます。

「社会ゴト化」とは、情報が社会的な関心事として定着することです。情報が特定のコミュニティやグループにとどまらず、広く社会全体に影響を与えるような認知度を獲得することが重要です。メディアの注目や話題の拡散、関連するイベントやキャンペーンの展開など、情報を社会的な関心事として浸透させるための施策を展開します。

これらのステップを順番に踏みながら、情報に関心を持つ人々に届け、拡散の効果を最大化させることが重要です。情報拡散の力を活用し、効果的なPR戦略を展開していきましょう。

戦略PRの基本的な流れ

戦略PRの基本的な流れ

近年、競争激化する市場で差別化を図りブランド価値を高めるため、企業や組織による戦略PRの重要性が増しています。

戦略PRの基本的な流れを理解することで、効果的なPR戦略の構築が可能となります。ターゲットの分析、メッセージの開発、実施計画の策定など、戦略的なアプローチによって広告に頼らずとも認知度や影響力を高める「話題」となる流れを生み出すことが目指されているからです。

ここからは、戦略PRの基本的な流れについて詳しく見ていきましょう。

ポイント

  • ステップ1. マーケティング調査
  • ステップ2. 情報クリエイティブの作成
  • ステップ3. プレスリリース配信
  • ステップ4. 広告+オピニオンリーダーやインフルエンサーの活用

ステップ1. マーケティング調査

ステップ1は、マーケティング調査です。

まずは、ターゲット市場や顧客のニーズ、競合他社の動向などを徹底的に分析します。市場のトレンドや消費者の行動パターンを把握し、戦略の方向性を明確にします。

次に、顧客に対する調査を行います。消費者の意見や要望、好みなどを把握することで、ターゲットに対する効果的なメッセージやコミュニケーション手法を構築します。

さらに、競合他社の分析も欠かせません。競合他社の戦略や強み、弱点を理解することで、差別化のポイントや独自性を見つけることができます。

マーケティング調査を通じて得られた情報を基に、戦略PRの方向性や目標を明確に設定しましょう。正確な情報に基づいた戦略の立案は、効果的なPR活動の基盤となります。

ステップ2. 情報クリエイティブの作成

ステップ2では、マーケティング調査を基にして情報クリエイティブを作成します。

まず、目標やターゲットに合わせたメッセージを明確にします。ターゲット市場のニーズや顧客の心理状態に合わせ、魅力的で伝わりやすいメッセージを構築します。

次に、メディアやチャネルに合わせたコンテンツの形式やスタイルを選定します。テキスト、画像、動画などの要素を組み合わせて情報を魅力的に表現し、消費者の注意を引くことが重要です。

さらに、ストーリーテリングや感情を揺さぶる要素を取り入れ、消費者の共感や関心を喚起します。物語性やエンターテイメント性を持つ情報は、記憶に残りやすくなります。

最後に、ブランドのアイデンティティやバリューをクリエイティブに反映させます。ブランドの持つ特徴や魅力を活かし、消費者にとって共感しやすい要素を取り入れましょう。

情報クリエイティブの作成では、戦略的な視点とクリエイティブなアプローチを組み合わせることが重要です。消費者にとって魅力的で興味を引く情報を提供することでPRの効果を最大化します。

ステップ3. プレスリリース配信

ステップ3では、情報クリエイティブを効果的に配信するためのプレスリリースの作成と配信を行います。

まず、プレスリリースの目的を明確にします。情報の伝達だけでなく、メディアや関係者への興味喚起や反応を促すことも重要です。具体的な目標を設定し、それに合わせたメッセージと配信戦略を構築します。

次に、プレスリリースのフォーマットを作成します。見出しやリード文には興味を引く要素を盛り込み、本文ではクリエイティブな情報を詳細に伝えます。また、関連画像や動画の添付も考慮しましょう。

さらに、ターゲットとなるメディアを選定します。ターゲット市場や業界に関連するメディアやジャーナリストに対して配信することで、情報の拡散と露出を最大化します。個別にメディアに対してカスタマイズされたアプローチも有効です。

配信後は、プレスリリースの効果をモニタリングし、反応や報道を追跡します。メディアの取材や記事掲載があれば迅速に対応し、さらなる露出やPRの機会を追求します。

プレスリリースの配信は、情報の拡散と関係者への訴求を目指す重要なステップです。効果的な配信戦略を構築し、ターゲット市場やメディアに訴える魅力的な情報を提供しましょう。

ステップ4. 広告+オピニオンリーダーやインフルエンサーの活用

ステップ4では、広告とオピニオンリーダーやインフルエンサーの活用を組み合わせて、情報の拡散とブランドの認知をさらに強化します。

まず、広告の作成と展開を行います。情報クリエイティブを活用し、魅力的な広告コンテンツを制作します。ターゲット市場や消費者のニーズに合わせたメッセージを設計し、適切な媒体やチャネルで展開します。

次に、オピニオンリーダーやインフルエンサーの活用です。ターゲット市場で影響力のある人々を特定し、彼らとの提携や協力を検討します。彼らの信頼性や専門性を活かし、ブランドや商品の魅力を訴求することで、消費者の関心や購買意欲を高めます。

さらに、オピニオンリーダーやインフルエンサーとのコラボレーションを通じて、クリエイティブなコンテンツや体験を提供します。彼らのフォロワーやオーディエンスとの共有や共感を促し、口コミや情報の拡散を促進します。

最後に、広告とオピニオンリーダーやインフルエンサーの活動の成果を評価し、効果的なアプローチやパートナーシップを見極めます。データや指標を分析し、戦略の最適化を行います。また、定期的なコミュニケーションやフォローアップを行い、関係の継続性と長期的なパートナーシップの構築に努めます。

魅力的な広告コンテンツと信頼できるパートナーシップを通じて、消費者の心を掴みましょう。

戦略PR実施前に準備・検討するポイント

戦略PR実施前に準備・検討するポイント

企業や組織が戦略PRを実施する前には、慎重な準備と綿密な検討が必要です。成功するためにさまざまなポイントを押さえながら、あらゆることに考慮していくことが重要なのです。

ここからは、戦略PR実施前に準備・検討するポイントについて詳しく見ていきましょう。

ポイント

  • PR計画
  • PR媒体
  • PRツール
  • PR費用

PR計画

PR計画とは、企業や組織が広報活動を通じて対外的なコミュニケーションを図り、良好なイメージや信頼を構築するために、それらの活動を計画的に進めるために必要な手順や方針、目標、戦略をまとめたものです。

PR活動の目的や具体的な達成目標を設定し、企業や組織のブランド認知向上、イメージの改善、製品やサービスの販促など、PR活動が達成すべき目標を明確にします。そこから、PRの対象となるターゲットオーディエンスを特定します。ターゲットの属性や関心事、行動特性などを把握し、効果的なメッセージやアプローチを検討します。

PRで伝えたいメッセージも明確にしましょう。ターゲットに対して伝えたい価値や特徴を的確に表現することが重要です。メッセージの一貫性を保ちながら、ターゲットに訴求力のあるメッセージを構築しましょう。

さらに、PR活動の方向性や手法、予算などを具体的に計画します。実施スケジュールや具体的なアクションプラン、また実施する手順や役割分担を明確にし、円滑な実施を図りましょう。実施計画はタイムラインやタスクの管理に役立ちます。

明確な目的やターゲット、効果的なメッセージ、戦略的な実施計画と予算管理が、戦略PRの成功につながります。

PR媒体

PR媒体は、情報を発信し、目標とするターゲットに届けるための手段となります。

ターゲットの属性や関心事、メディア利用の傾向などを分析し、効果的なPR媒体を選定しなくてはなりません。新聞、テレビ、ラジオ、雑誌などの伝統的なメディアだけでなく、インターネットやソーシャルメディアなどのデジタルメディアも考慮しましょう。

選定したメディアの特性やコンテンツについて理解を深め、各メディアの読者層や視聴者層、配信される情報の内容やスタイルを考慮し、PR活動に適したメディアを選択します。

また、PR活動においては、メディア関係者との良好な関係構築が重要です。選定したメディアの記者や編集者との接触やコミュニケーションを通じて、情報提供や取材の機会を得ることができます。

重要なのは、単一のメディアに依存せず、複数の媒体を組み合わせてPR活動を展開していくことです。オフライン媒体とオンライン媒体を組み合わせることで、広範なターゲットに情報を発信することが可能です。

PRツール

PRツールは、情報の発信やターゲットとのコミュニケーションを支援し、PR活動の効果を最大化します。

ターゲットとなるメディアリストを経て、プレスリリースを作成します。プレスリリースはPR活動の中核となるツールです。プレスリリース作成ツールを活用することで、効果的なプレスリリースの作成と配信が可能となります。

また、PR活動後のメディア露出の状況を把握するために、メディアモニタリングツールを利用し、自社や競合他社のメディア露出状況をリアルタイムでモニタリングすることも重要です。

さらに、SNS管理ツールを使用することで、複数のソーシャルメディアアカウントの一元管理や投稿スケジュールの設定が容易になります。そして、イベントやプレゼンテーションなどのオンライン形式が主流となっている現代では、オンライン会議ツールも重要なPRツールとなっています。円滑なコミュニケーションと効果的なプレゼンテーションを実現するために、適切なオンライン会議ツールを選定しましょう。

このように、PRの目的や戦略に合わせて適切なツールを選び、効果的に活用しましょう。

PR費用

PR活動に割り当てる予算を明確に設定しましょう。予算は企業や組織の規模や業種、目的に応じて異なります。PR活動にどれだけのリソースを投入するかを明確にすることで、活動の方向性や範囲を決定する上での指針となります。

また、PR費用の使い道も検討しましょう。PR活動には様々な手法やツールがありますが、予算の範囲内で効果的な方法を選択する必要があります。たとえば、メディア露出や広告、イベントの開催など、PR費用をどのように活用するかを検討し、目的に応じた戦略を立てましょう。

さらに、PR費用の効果を評価する仕組みを整えることも重要です。予算を使って行ったPR活動の効果を定量的・定性的に評価し、改善や最適化のためのデータを収集しましょう。効果測定や分析によって、費用対効果の高い活動を見極めることができます。

予算の設定と使い道の検討、効果の評価を行いながら、戦略的かつ効率的なPR活動を実施しましょう。

戦略PRが学べる書籍

最新版 戦略PR 世の中を動かす新しい6つの法則

ここでは、戦略PRを効率的に学べるおすすめの書籍を紹介します。

この書籍は冒頭でも紹介した戦略PRの第一人者であり、「世界でもっとも影響力のあるPRプロフェッショナル300人」として『PRWEEK』誌によって選出された本田哲也さんの著作です。本書ではPRの6つの法則を基に、そのフレームワークを詳しく解説しています。

この本を通じて、世界のPRがどのように形成されているのかを知ることができます。また、本書はあらゆるPR事例を一気に吸収することができるだけでなく、わかりやすい解説があることで大人気となった定番のロングセラーなのですが、ここで紹介している改正版では、国内外の最新事例を基に大幅にアップデートされています。

純粋な戦略PRの教科書として愛され続けている本書。まだ手に入れていない方は、ぜひ手に取り、最新事例を参考に戦略PRの追求に役立ててみてくださいね。

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戦略PRについてまとめ

いかがでしたか?

戦略PRは、企業やブランドの成長と成功に不可欠な戦略的な手法であることがおわかりになったと思います。戦略PRは、競争が激化するビジネス環境で差別化を図り、ターゲットオーディエンスとの強い結びつきを築くために重要なミッションです。

常に変化していく環境に適応し、最新のトレンドやテクノロジーを活用しながら、戦略PRの力で企業やブランドを成功へと導いていきましょう。

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執筆者・監修者
上岡正明
経済記者・経済コメンテーター
戦略PRプランナー・著書26冊累計105万部のビジネス作家
登録者25万人のYoutuber
上岡正明

MBA(多摩大学院経営情報学修了)
テレビコメンテーター
多摩大学客員講師(18,19)
帝塚山大学客員講師(19)
登録者24万人のビジネス系YouTube

「スーパーJチャンネル」「めざましテレビ」「王様のブランチ」「クイズミリオネア」等の元放送作家。日本を代表するPR戦略の専門家で、企業広報のスペシャリスト。未上場から上場企業まで戦略PRを手掛けたクライアントは300社以上。

広報ブランディング、新規事業構築、外資系企業の国内イベント、海外プロモーション支援のコンサルティング会社代表。現在まで約20年間、実業家として会社を経営。これまでに三井物産、SONY、三菱鉛筆、日本瓦斯など200社以上の広報支援、スウェーデン大使館やドバイ政府観光局などの国際観光誘致イベントなどを行う。

代表的なコンサルティング案件としては、日本中の女性たちの心を動かした「表参道のパンケーキブーム」、1年で200万台以上を売り上げた「ふとん専用掃除機レイコップ」、世界が注目する食イベント「肉フェス」、1カ月で6000万人(日本の約半分)にバズらせた「ジャポニカ学習帳“昆虫の表紙が変わった?”」がある。

経営と並行してMBA(情報工学博士前期課程)取得。東京都中小企業振興公社講師。成蹊大学、多摩大学、帝塚山大学の客員講師。東洋経済新報社、ダイヤモンド社、朝日新聞出版社、PHP出版、総合法令出版社、アスコム社、大和出版、すばる舎、宝島社から累計21冊80万部の著書を上梓。

日本神経心理学会、日本行動心理学学会、行動経済学学会、一般社団法人日本行動分析学会、日本社会心理学会、一般社団法人日本小児心身医学会、認知神経科学会の各学会員。

日経ヴェリタス・東洋経済オンライン・ダイヤモンドオンライン・プレジデントの4大経済メディアで専門家として記事連載もおこなっております。お読みになりたい方はこちらからご覧下さい。

①:東洋経済オンラインでの連載記事
②:ダイヤモンドオンラインでの連載記事
③:プレジデントでの連載記事
④:日本経済新聞での連載記事