営業シーンや会議を有効に運ぶには?目標値の高さが合意レベルを決めます
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2020.04.12

営業シーンや会議を有効に運ぶには?目標値の高さが合意レベルを決めます

新入社員であれば、最初の営業シーンは緊張するものです。最初の私もそうでした。そうしたさい、目標値の高さが合意レベルを決めるということを覚えておきましょう。

何事も最初の目標設定レベルが高い方が、最終的な結果も高くなるものなのです。しかし、この基本は意外に忘れてしまいがちです。

目標値の高さが合意レベルを決める

交渉に慣れた人間ほど、「落とし所」が早く見えてしまうものです。交渉は準備が命ですから、落とし所(妥結点)を想定すること自体は決して問題はありません。むしろ、しっかり想定すべきことではあります。

ただ、この時、低い妥結点を想定してしまうと、結果も結局のところ低いものとなってしまいます。特に、相手が自社に比べると大企業などで、気後れしてしまう場合は落とし所も低いものを想定してしまいがちです。こうしたときこそ、状況は正しく理解しつつも、目標値を高く持ち、安易に低い妥結点で合意してしまわないことが必要です。

高い目標値を持つためには、次の点を意識すると有効です。

1 交渉は、問題解決のために行う共同作業

交渉を問題解決のために行う共同作業と考えれば、目標の高さは貪欲さの現れではなくて、高いWin-Winの結果をもたらす、望ましい行為なのだと考えやすくなります。

2. 会社の代表であるという意識

謙虚さや控え目さは、個人としては美徳になり得ることもありますが、会社の代表として交渉に臨むビジネスパーソンにとっては、必ずしも好ましいとは言い切れません。会社の代表者と一個人は違うのです。会社の代表者であるという自覚を持ち、役割として目標を高く設定していくということも、特に常日頃から譲りがちな人は意識すべきです。

3. 志を高く持つ

少し大げさな気もしますが、自分自身の志を改めて高く持つことも必要です。

人間は経験を重ねると良くも悪くも角が取れ、自分の将来像もなんとなく見えてくるものです。そうした中で、最初の志(健全な野心と言っても良いでしょうね)を忘れ、自分をストレッチすることを怠ってしまいがちです。安易に流されるのではなく、「自分は元々何をしたかったのか?」「後世に何を残したいのか?」などを自問することで自らを鼓舞し、もう一度高い志を思い起こすことが望まれます。

 

3つの説得ポイントを意識しましょう_感情、規範、利得

人を説得する際のレバー(梃子)となるのがこの三つです。

この三つを相手の状況も見ながら使い分けると、説得の効率は上がりますよ。なお、規範は「○○たるもの、□□をすることが望ましい」といった大義や美意識のことであり、利得は金銭もしくは金銭に換算しうる損得勘定を指します。

また、感情は他の二つと若干位置付けが異なります。

相手の情動に訴えかけて説得を行う上での武器とすることも可能ではありますが(泣き落としなど)、ビジネスの場で多用できるものではありませんね。通常は、感情は相手を落ち着ける、あるいは説得に応じてくれる土台作りの為に用いる程度に抑えるという方が現実的です。

その上で、規範もしくは利得で相手を動かすように試みます。世の中には、大義や美意識で動く人間もいれば、やはり利得を重視して動く人間もいるものですからね。

前者は、社長が取締役に辞任を打診する際に、「綺麗に去るのが上に立つ者の身の処し方です」「長年尊敬されてきた人間が、最後に醜態をさらすべきではないでしょう」などと説得するイメージです。

実務的には、前者を後者と勘違いすると感情を害することになるので、まずは規範で説得できないかトライし、それで反応が薄いようなら利得を持ち出す方が適切です。
もちろん、適度にバランスさせることも有効ですので、その可能性も探る必要はあります。
いずれにせよ、事前に相手の人となりを調べておくことが非常に大事かつ有効なので、ぜひ励行して下さい。

まとめ

高い目標を持てるか否かが交渉結果を左右するということがわかりました。また、説得の三つのレバーを使い分けることが重要であるということがわかりましたね。


執筆者・監修者
上岡正明
経済記者・経済コメンテーター
戦略PRプランナー・著書26冊累計105万部のビジネス作家
登録者25万人のYoutuber
上岡正明

MBA(多摩大学院経営情報学修了)
テレビコメンテーター
多摩大学客員講師(18,19)
帝塚山大学客員講師(19)
登録者24万人のビジネス系YouTube

「スーパーJチャンネル」「めざましテレビ」「王様のブランチ」「クイズミリオネア」等の元放送作家。日本を代表するPR戦略の専門家で、企業広報のスペシャリスト。未上場から上場企業まで戦略PRを手掛けたクライアントは300社以上。

広報ブランディング、新規事業構築、外資系企業の国内イベント、海外プロモーション支援のコンサルティング会社代表。現在まで約20年間、実業家として会社を経営。これまでに三井物産、SONY、三菱鉛筆、日本瓦斯など200社以上の広報支援、スウェーデン大使館やドバイ政府観光局などの国際観光誘致イベントなどを行う。

代表的なコンサルティング案件としては、日本中の女性たちの心を動かした「表参道のパンケーキブーム」、1年で200万台以上を売り上げた「ふとん専用掃除機レイコップ」、世界が注目する食イベント「肉フェス」、1カ月で6000万人(日本の約半分)にバズらせた「ジャポニカ学習帳“昆虫の表紙が変わった?”」がある。

経営と並行してMBA(情報工学博士前期課程)取得。東京都中小企業振興公社講師。成蹊大学、多摩大学、帝塚山大学の客員講師。東洋経済新報社、ダイヤモンド社、朝日新聞出版社、PHP出版、総合法令出版社、アスコム社、大和出版、すばる舎、宝島社から累計21冊80万部の著書を上梓。

日本神経心理学会、日本行動心理学学会、行動経済学学会、一般社団法人日本行動分析学会、日本社会心理学会、一般社団法人日本小児心身医学会、認知神経科学会の各学会員。

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