セクハラ・パワハラ問題にどう対応する?広報業界も無関係ではありません
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2020.01.14

セクハラ・パワハラ問題にどう対応する?広報業界も無関係ではありません

プロフェッショナルが多く在籍するメディア業界。とうぜん、滅多に起こることはありませんが、広報業界においてセクハラの要因になりやすいのが、「相手を拒否したら、記事や番組にしてもらえなくなるかもしれない」という感情です。

特にメディア関係者で立場が上の人物が、その立場を悪用してセクハラ・パワハラ行為をする事例が少なくありません。広報業界にもセクハラが発生する要素はあります。今日はこのテーマで解説していきます。

 

男性の広報担当者も完全にリスクがないわけではない

セクハラが問題になるシーン

セクハラと聞くと「男性が加害者で、女性が被害者」という印象を受けるかもしれません。
ですが、実際には女性が男性にセクハラ行為をする事例もあります。また、同性が相手でも「その人の性的な事情についてしつこく聞く」などのセクハラが行われることもあります。

加えて、冒頭では「メディア関係者が加害者で、広報担当者が被害者」というケースについて解説しましたが、その逆も絶対にありえないとは言えません。

特に「メディア関係者に対して色々なネタを提供できるスゴ腕広報担当」という立場になると、つい気が大きくなってセクハラに限らず他人に嫌な思いをさせる恐れがあるので気を付けてください。

 

セクハラ事例と心構え

・無理矢理二人きりで宿泊させられそうになった(させられた)
・飲み会の帰りに突然性的アプローチを受けた
・二人きりのプライベートな旅行に誘われた

大人ですし、本当に男性メディア関係者が女性広報担当に好意を持ってアプローチしてくる事もあるかもしれません。
ただ、率直に言って「異性のディレクターや記者とはプライベートな関係を持たない」と決めておくほうが無難です。

それでも、広報担当者としても「この人とであれば……」という感情が芽生える事もあるかもしれません。
その段階までいったのであれば流石に否定しませんが、「プライベートでは絶対に仕事の話をしない」など、公私は明確に分けてください。

*参考リンク:炎上したらどうする?リスク対策4つのポイント

 

広報担当者が取るべきセクハラ対策は主に3つ

○1:二人で会わないように助っ人を連れていく

ほとんどのセクハラは二人で会うからこそ発生するものです。
ですから、「異性のメディア関係者とは二人で会わない」ことを徹底しましょう。

最適なのは「男性の上司を連れて会うこと」です。
そうすればまず間違いなくセクハラはしてきません。

仕事に対して真剣なメディア関係者であれば、「上司も一緒なら、もっと突っ込んだネタをくれるかもしれない」と喜ぶものです。
逆に「上司も同席してよろしいでしょうか?」と聞いて、ガッカリした態度を見せるのであればその相手は危険です。

ちなみに、女性の上司を連れていくのはおすすめできません。
それでも萎縮する男性が多いことは確かですが、もっと調子に乗って二人の容姿などを比べる発言をしたり、「この人を誘えば女性を連れてきてくれる」と思い込んだりする恐れがあります。

また、上司でなくても、他社の広報担当者を連れていくという手も。

○2:お酒は飲まない

「お酒が入ったときの言動がその人の本質」という、よくある表現が本当かどうかにはここでは言及しません。
ですが、「ずっと紳士的だったメディア関係者が、酔った途端にセクハラまがいの事ばかり言ってくる」という可能性がないわけではありません。

ですから基本的にお酒は飲まないようにしましょう。
メディア関係者と会うときは、「昼の食事会」や「オフィス等を使った交流会」などに留めておくことを推奨します。

それでも「どうしても飲み会に出なければならない!」という事態になった場合も、広報担当者だけはお酒を飲まないでください(正常な判断力・記憶力を維持するため)。

○3:恋愛の話はしない

・お酒が入っておらず
・男性上司などが同席していて
・信頼できる相手である

ことを全部満たしているのであれば、プライベートな話もある程度はして構いません。

ですが、それでも恋愛の話題だけは厳禁です。
なぜなら、そこから性的な話に移行する恐れがあるからです。
最初のうちはそのような話はしなくても、交流が深まっていけば「聞きにくいことですが……」などといって、セクハラに該当することを言ってくるケースもあるからです。

また、そもそも多くの社会人男性は
「絶対にセクハラと思われないようにしないと!」と気を張っていますので、恋愛の話を振られても困惑させるだけです。
最悪の場合、「面倒な事になりそうだし、もう関わらないでおこう」と思われてしまいます。

 

セクハラ・パワハラをしないための2カ条

最後はセクハラ・パワハラを「しない」ための話をしていきます。

○1:「社長の娘さん」だと思って接する

全ての女性に対して「関係会社の社長の娘さん」だと思って接しましょう。
もちろん妙に下手に出る必要はありませんが、「大切な相手に対してOKな言動かどうか」という事を常に考えていればセクハラ・パワハラをする事はなくなります。

○2:「世代による価値観の違い」を意識する

筆者は20代前半くらいまで、「筆者一人だけ若く、あとはほぼ50~60代」という職場にいました。
若いということで可愛がってもらえたのは確かですが、毎日のように「『まだ』結婚していないのか」「『まだ』車を持っていないのか」などなど、質問攻めにあっていました。

確かにその人達が若かった頃には、結婚したり車を持っていたりする人が多かったのでしょう。ですが、現在は晩婚化していますし、車を持たなくても生活できますよね(経済的に買えない若者も多いはずです)。

特に結婚については「大きなお世話」でしかないですし、気にしている人にとってはセクハラでしかないので気を付けてください。
もちろん、同年代が相手であっても「自分と価値観が同じ相手など存在しない」という気持ちで接しましょう。

○3:「世間の何となくのルール」に惑わされない

一昔前に比べればマイルドになっていると思いますが、
率直に言って

・男性が女性を色々な面で格付けするのは許されないが、逆は許される
・女性の容姿は貶してはいけないが、男性は許される
・男性の同性愛者を貶すのは許される

といった風潮は消えていません。
特にバラエティー番組などであれば、令和になった今でもたまに目にする光景です。ですが、それはテレビの中だからこそ「なんとなく許されているような空気」になっているだけで、実際には正しい行為ではありません。

広報関係者に限らず「世の中で許されているから、許されるだろう」という考えで安易な言動を取っているような人を見かけますが絶対にNGです。

今一度「この言葉、行動は大丈夫だろうか」と、「自分自身」で振り返る機会を設けてくださね。


執筆者・監修者
上岡正明
経済記者・経済コメンテーター
戦略PRプランナー・著書26冊累計105万部のビジネス作家
登録者25万人のYoutuber
上岡正明

MBA(多摩大学院経営情報学修了)
テレビコメンテーター
多摩大学客員講師(18,19)
帝塚山大学客員講師(19)
登録者24万人のビジネス系YouTube

「スーパーJチャンネル」「めざましテレビ」「王様のブランチ」「クイズミリオネア」等の元放送作家。日本を代表するPR戦略の専門家で、企業広報のスペシャリスト。未上場から上場企業まで戦略PRを手掛けたクライアントは300社以上。

広報ブランディング、新規事業構築、外資系企業の国内イベント、海外プロモーション支援のコンサルティング会社代表。現在まで約20年間、実業家として会社を経営。これまでに三井物産、SONY、三菱鉛筆、日本瓦斯など200社以上の広報支援、スウェーデン大使館やドバイ政府観光局などの国際観光誘致イベントなどを行う。

代表的なコンサルティング案件としては、日本中の女性たちの心を動かした「表参道のパンケーキブーム」、1年で200万台以上を売り上げた「ふとん専用掃除機レイコップ」、世界が注目する食イベント「肉フェス」、1カ月で6000万人(日本の約半分)にバズらせた「ジャポニカ学習帳“昆虫の表紙が変わった?”」がある。

経営と並行してMBA(情報工学博士前期課程)取得。東京都中小企業振興公社講師。成蹊大学、多摩大学、帝塚山大学の客員講師。東洋経済新報社、ダイヤモンド社、朝日新聞出版社、PHP出版、総合法令出版社、アスコム社、大和出版、すばる舎、宝島社から累計21冊80万部の著書を上梓。

日本神経心理学会、日本行動心理学学会、行動経済学学会、一般社団法人日本行動分析学会、日本社会心理学会、一般社団法人日本小児心身医学会、認知神経科学会の各学会員。

日経ヴェリタス・東洋経済オンライン・ダイヤモンドオンライン・プレジデントの4大経済メディアで専門家として記事連載もおこなっております。お読みになりたい方はこちらからご覧下さい。

①:東洋経済オンラインでの連載記事
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