広報が知っておくべき「記事転載」をする際の注意点
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2020.01.15

広報が知っておくべき「記事転載」をする際の注意点

ツイッターやフェイスブックなどで、「この記事面白い!」「テレビで○○が流れた!」などと、新聞記事やテレビ番組の一部を切り取って投稿している人がたくさんいます。
恐らく、ほとんどの人が特に罪悪感は抱いていないはずです。

●まず「一般人のノリ」は捨てましょう

ただ、これらの行為が著作権などの権利侵害に該当するかどうかは置いておいて、広報担当である以上は、こんな軽いノリで「転載」をしてはいけません。

転載をする前に必ず許可を取ってください。
そして、どんなに転載をしたくても許可が出なかった場合は厳禁です。

*参考リンク:プレスリリースの全戦略についても網羅するなら

 

「自社に関する記事」でもダメなのか?

「他社はともかく、自社について書いた記事ならさすがに良いのでは?」と感じるかもしれませんが、これもアウトです。

もし、「社員全員に見せたい」というのであれば「新聞そのもの」か「切り取った新聞記事」を、会社の共有スペースに置いて(貼って)おきましょう。
これなら、「喫茶店などの机に新聞を置いておく」事と変わらないのでセーフです。

ただし、そこに「コピー」という行為が入る場合はアウト。
例えば「記事のコピーを食堂の掲示板に貼る」のも基本的にダメです。

ただ、新聞一部は安いものですから、
普通に社員一人一人に新聞を買わせれば良いと思います。

また、よくあるのが「社内メールに新聞のコピーを添付する」という手法ですが、これももちろんアウトです。
この方法であれば権利者にバレる事はまずないでしょう。ですが倫理的にダメですし、他の社員に「うわっ……ウチの広報担当って無断転載するんだ……」と思われる恐れがあります。

●記者や編集部スタッフのOKが出ていてもダメなのか?

軽いノリで新聞記者や編集部のスタッフなどが、「ああ、コピーですね。御社の社内に限って配布するなら大丈夫ですよ」と言ってくる場合もあります。

そこまで言われると、気持ち的には「むしろ転載して多くの社員に見せるべきだろう」と感じるかもしれませんが、これもやはりアウトです。
新聞社・出版社にはほぼ間違いなく著作権関連の部署があるので、そちらに相談して許可を取ってください。

そもそも、その軽いノリの新聞記者も「ああ、コピーですね。(正式な許可を取るなら)大丈夫ですよ」という意味で言っている可能性もあります。

●新聞記事を要約・抜粋して使うのはダメ?

まず、抜粋・引用については、「著作権上の引用に関する規定」を守っているのであれば問題ありません。ですが、それを超えるとNGです。

また、「さすがに新聞の見出しの言葉だけ使うのは良いでしょう?」と感じるかもしれませんが、これも新聞によってはダメです。OKとしている新聞もありますが、事前に必ず確認し、必要に応じて許可を取ってください。

●さすがにウェブ記事の「URLのみ」なら大丈夫?

「URLだけ」ならOKとしている企業もありますが、それにも条件がついている場合が多いです(営利目的厳禁、フレームを無しにするなど)。

また、URLリンクを置いた場合は、

・リンクを置いた媒体(サイトなど)の説明
・サイトのアドレス
・リンクを置いた理由
・氏名
・連絡先

等を報告する必要がある場合が大半です。

大半のウェブサイトの「注意事項」などのページにこれらの事が詳しく記載されているので必ず確認してください。
万が一「リンク解除指示」が来た場合は素直に従いましょう。

 

転載許可が出てからの注意点を3つ紹介

インターネットメディア、新聞記事、テレビ番組の一部など「転載したいもの」がある場合は、必ず担当部署に相談して許可を得てください。

ここからは、転載の許可が出てからの注意点をいくつか挙げていきます。

○1:「転載料金(使用料金)」の話がややこしくなる可能性がある

一般向けに配布する小冊子・ポスターなど「商用目的」で転載する場合と、そうでないケースとでは使用料が違ってくるのが普通です。
また、「ネット上に転載するのか」「紙に転載するのか」によって料金に差が出ます。

率直に言って「その都度確認するしかない」です。

「これを、このように転載します」と、できる限り詳しく説明しましょう。
それに対して質問が来るかもしれませんが、もちろんきちんと答えてください。

また、場合によっては「転載が完了した状態の画面キャプチャ・紙のコピー(の想定)」などの提示を求められることもあります。

○2:「広告」に注意

転載作業をする際には、「広告」が入らないようにするのが無難です。
例えば、「ウェブ記事の画面中央辺りの保険業者のバナー広告」などの事ですね。

一応、「その新聞社・ウェブ記事の運営自体が権利を持っている広告(自社広告など)」であれば許可は不要である場合が多いです。
ですが、その確認は面倒ですから、基本的に広告は全部除外しましょう。他社の広告を載せる意味はないですしね。

単純にマスキングをするだけでOKなので、作業そのものは楽です。
また、「印刷イメージ」が設定されているページに関しては、自動的に広告が外される可能性が高いです。

○3:「出典」を正確に載せる

転載する際は出典(掲載年月日、媒体の名前など)を絶対に載せてください。

「媒体名」を案外間違いやすいので気を付けましょう。

特に

・アルファベットの小文字と大文字を間違える
・似た名前の別の媒体名にしてしまう(『AERA』と『AERA.bot』など)
・略称にしてしまう
・旧名を使ってしまう(検索性等を考えて旧名が目立つようにしている媒体もある)

などのミスが多いので気を付けてください。

●補足:インタビュー記事について

「自社の社長のインタビューだけでできている記事」については、新聞社ではなく、社長本人が権利を持つことになる場合があります。

ただ、これも「何をもって『インタビューだけ』とするか」の判断が難しいので、新聞社に問い合わせることを推奨します。
新聞社の許可が出たら、社長にも必ず承諾を得てから転載してくださいね。

 

まとめ

転載のルールを厳守し、健全な広報活動を続けていきましょう。
また、その「ルール(法律、各社の規則)」そのものが変わる可能性もあるので、常にアンテナを張っておきましょう。


執筆者・監修者
上岡正明
経済記者・経済コメンテーター
戦略PRプランナー・著書26冊累計105万部のビジネス作家
登録者25万人のYoutuber
上岡正明

MBA(多摩大学院経営情報学修了)
テレビコメンテーター
多摩大学客員講師(18,19)
帝塚山大学客員講師(19)
登録者24万人のビジネス系YouTube

「スーパーJチャンネル」「めざましテレビ」「王様のブランチ」「クイズミリオネア」等の元放送作家。日本を代表するPR戦略の専門家で、企業広報のスペシャリスト。未上場から上場企業まで戦略PRを手掛けたクライアントは300社以上。

広報ブランディング、新規事業構築、外資系企業の国内イベント、海外プロモーション支援のコンサルティング会社代表。現在まで約20年間、実業家として会社を経営。これまでに三井物産、SONY、三菱鉛筆、日本瓦斯など200社以上の広報支援、スウェーデン大使館やドバイ政府観光局などの国際観光誘致イベントなどを行う。

代表的なコンサルティング案件としては、日本中の女性たちの心を動かした「表参道のパンケーキブーム」、1年で200万台以上を売り上げた「ふとん専用掃除機レイコップ」、世界が注目する食イベント「肉フェス」、1カ月で6000万人(日本の約半分)にバズらせた「ジャポニカ学習帳“昆虫の表紙が変わった?”」がある。

経営と並行してMBA(情報工学博士前期課程)取得。東京都中小企業振興公社講師。成蹊大学、多摩大学、帝塚山大学の客員講師。東洋経済新報社、ダイヤモンド社、朝日新聞出版社、PHP出版、総合法令出版社、アスコム社、大和出版、すばる舎、宝島社から累計21冊80万部の著書を上梓。

日本神経心理学会、日本行動心理学学会、行動経済学学会、一般社団法人日本行動分析学会、日本社会心理学会、一般社団法人日本小児心身医学会、認知神経科学会の各学会員。

日経ヴェリタス・東洋経済オンライン・ダイヤモンドオンライン・プレジデントの4大経済メディアで専門家として記事連載もおこなっております。お読みになりたい方はこちらからご覧下さい。

①:東洋経済オンラインでの連載記事
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④:日本経済新聞での連載記事