メディアの記事が間違っている!そんなとき広報はどう対応すべき?
PRトレンド
最新メディア情報
2020.02.15

メディアの記事が間違っている!そんなとき広報はどう対応すべき?

特に新人広報の場合は「メディア様!」というくらいに、メディアを絶対的な存在だと感じてしまうかもしれません。

ですが、人間の仕事ですから、新聞記事やテレビ番組で「実際とは異なること」を言われてしまう可能性もないわけではありません。広報担当はそのようなケースでどう対応すべきなのでしょうか。詳しくまとめてみました!

 

とにかく記事・テレビ番組等のチェックは必須です

新聞記事にしてもらえる事になった、テレビ番組で取り上げてもらえる。
などとなると舞い上がってしまって、それらをきちんとチェックしない広報が案外少なくないようです。

もちろん自社関連の記事は読むでしょう。ですが、「穴が開くほど読む」ということをしないのです。
細かなミスを見逃さないためにも、これでもかというくらいに丁寧に確認してください。

●よくある記事・番組のミスとは?

「ミス」と言っていますが、意図的に情報を捻じ曲げられる場合もあるので気を付けてください。

○1:数字関連

「実際の数字(売上など)」よりも、「そうであったほうが面白い数字」が載る場合があります。
また、例えば「下一桁まで重要」なのに、記者の自己判断で四捨五入されてしまう事もなくはないです。

それから、広報がファクトブックなどを作るときに、いわゆる「表記ゆれ」で数字が分かりにくくなったり、カンマ(,)をつける場所がおかしくて読みにくくなったりする恐れもあります。

○2:発言の内容の捻じ曲げ・切り取り

政治家などの発言に多いことですが、

例えば

「Aを大事にする必要はないと語っている人がたくさんいるが、私はそうは思わない」
と言っているのに、一部分だけ切り取られて、
「Aを大事にする必要はない」
の部分だけでニュースで使われる場合があります。

さすがにここまで露骨なケースは珍しいですが、広報が自社関連の記事・ニュースをチェックしていて、「本当に言いたいことと微妙に違う……」と感じることは少なくありません。

そして、雑誌や新聞の記事となると「切り取り」を超えて、「捻じ曲げ」が起こる場合もあります。「伝えたことと、正反対だ……」という事さえあります。

○3:情報の捏造

これは「言っていないことを、言っていることにされるパターン」です。「Aと言っているのだから、Bという意図もあるに違いない」などと想像で記事を書かれてしまうこともあれば、本当に根も葉もない事が掲載される場合もあります。

 

メディア掲載に間違いがあってもまずは冷静に!

メディア掲載の内容のミスのせいで、社長や会社の印象が悪くなることもあります。
それだけならまだしも、取引相手にも迷惑がかかる恐れも。
ですから、すぐに抗議をした方がいいと感じるかもしれません。
「舐められないためにも、多少語気を強くしたほうが良いだろう!」と思う人もいるかもしれません。

ですが、それは逆。広報担当者はまずは冷静になって、
「自分のほうにミスがあったのでは?」と考えてみてください。それでも、自分の落ち度が見つからなかったときにのみ、訂正をしてもらいましょう。

しかし、実際のところ中立のメディアがリスクを負って一方的に内容をねじ曲げることは少なく、「完全にメディアだけが悪い」というケースはほとんどありません。
その事について、次項で解説します。

*関連リンク:あなたはきちんと押さえてる?広報部門の5つの役割と必須スキル

 

 

「間違い記事」を書かれてしまう広報担当者にありがちなこと3選

ここで、よくあるパターンを紹介しておきましょう。

○1:メディア側の「インタビュー内容の指示」に従ってしまう

実は、「インタビューではこのように答えてください」と指示される場合があります。ほぼ全部指定されるケースもあれば、「ここは同意して、ここは反対してください」など、ざっくりした指示を受ける事も。

このような「操作」をされそうになっても、事実と明らかに違う場合は従わないでください。
「ちょうど言いたい内容と合っているから良いか……」と感じる事もあるかもしれません。
ですが、それでも「そのとおりにお答えしますが、内容は確認させてください」と必ずハッキリ伝えてください。

○2:誘導尋問に気付かない

例えば
「やはり、○○のブームはもう去ったとお考えなのでしょうか?」など、回答を誘導する質問をしてくるメディアが少なくありません。
(この例では『ブームは去った』と言わせたい)

この例は分かりやすいですが、メディアもプロ。
「注意していないと誘導と気づけない誘導」をしてくる場合もあるので気を付けましょう。

こういったケースでは、一度インタビューなどを中断してください。そして、場合によっては「誘導はやめてください」とハッキリ伝える必要があります。

○3:関係のないことを聞いてくる

「取材のテーマ」は最初にしっかり決めるものです。
ですが、それとは全く関係のない質問が行われる場合があります。記者側に「ユーモア」と「愛」が感じられて、かつ短い質問であれば構いませんが、長々と脱線しそうなのであれば即座に広報担当が割って入る必要があります。
そのまま放置していれば、こちらの意図とは大幅に異なる記事ができる可能性が高いですからね。

 

●メディアとケンカしない広報担当は二流!?広報の心構えとは?

冒頭でもお伝えしましたが、まずは「メディアのほうが立場が上である」という考えを捨ててください。

●企業広報としての基本に立つ

広報は自社に関して大きな責任を負う存在です。

・ここを撮影してほしい(しないでほしい)
・こういう言い方にしてほしい
・こういう表現は絶対に避けてください!
・この部分を取り上げてください

これらの主張を全部行ってください。
メディアと立場は同等なのですから、遠慮する必要はありません。

そして、同等の立場であるメディアから「ああしたい、こうしたい」と要望が出ることでしょう。しかし、安易に折れずに話し合ってください。
筆者としてはむしろ、「メディアとのケンカの経験がない広報は一流でない」とさえ思います。

ただ、相手も「伝えること」の専門家ですから、「だから、それを表現したいなら、こういう言葉を使うべきです!」と真っ当なアドバイスをしてくる事ももちろんあります。そうした折り合いを付けるのも大切な広報の役目です。

●メディアとケンカなんてしたら修復不可能では……?という不安について

特にベンチャー・中小企業の場合は「メディア露出なんて貴重だし、絶対に言い争いたくない」と思うかもしれません。

ですが、メディアにも「いい記事にしたい」「読者のために頑張りたい」という情熱があるので問題ありません。

・礼儀は守る(言葉遣い、口調など)
・関係のない話はしない(いつも微妙に時間に遅れてきますよね~?など)
・相手の意見を否定するなら理由を言う

などの事を厳守するなら、いくらでも修復できます。
むしろ、上記の事を守った上で、それでも修復できない相手なのであれば、関係を継続する必要はないかもしれませんよね。

●まとめ

広報担当のせいでメディアに「間違い記事」を書かれてしまったら、それは社長や社員、商品やサービスの存在に泥を塗ることになります。

少し脅かして大げさに書いてしまいましたが、それだけ重要な仕事ですのでやりがいもありますよ。


執筆者・監修者
上岡正明
経済記者・経済コメンテーター
戦略PRプランナー・著書26冊累計105万部のビジネス作家
登録者25万人のYoutuber
上岡正明

MBA(多摩大学院経営情報学修了)
テレビコメンテーター
多摩大学客員講師(18,19)
帝塚山大学客員講師(19)
登録者24万人のビジネス系YouTube

「スーパーJチャンネル」「めざましテレビ」「王様のブランチ」「クイズミリオネア」等の元放送作家。日本を代表するPR戦略の専門家で、企業広報のスペシャリスト。未上場から上場企業まで戦略PRを手掛けたクライアントは300社以上。

広報ブランディング、新規事業構築、外資系企業の国内イベント、海外プロモーション支援のコンサルティング会社代表。現在まで約20年間、実業家として会社を経営。これまでに三井物産、SONY、三菱鉛筆、日本瓦斯など200社以上の広報支援、スウェーデン大使館やドバイ政府観光局などの国際観光誘致イベントなどを行う。

代表的なコンサルティング案件としては、日本中の女性たちの心を動かした「表参道のパンケーキブーム」、1年で200万台以上を売り上げた「ふとん専用掃除機レイコップ」、世界が注目する食イベント「肉フェス」、1カ月で6000万人(日本の約半分)にバズらせた「ジャポニカ学習帳“昆虫の表紙が変わった?”」がある。

経営と並行してMBA(情報工学博士前期課程)取得。東京都中小企業振興公社講師。成蹊大学、多摩大学、帝塚山大学の客員講師。東洋経済新報社、ダイヤモンド社、朝日新聞出版社、PHP出版、総合法令出版社、アスコム社、大和出版、すばる舎、宝島社から累計21冊80万部の著書を上梓。

日本神経心理学会、日本行動心理学学会、行動経済学学会、一般社団法人日本行動分析学会、日本社会心理学会、一般社団法人日本小児心身医学会、認知神経科学会の各学会員。

日経ヴェリタス・東洋経済オンライン・ダイヤモンドオンライン・プレジデントの4大経済メディアで専門家として記事連載もおこなっております。お読みになりたい方はこちらからご覧下さい。

①:東洋経済オンラインでの連載記事
②:ダイヤモンドオンラインでの連載記事
③:プレジデントでの連載記事
④:日本経済新聞での連載記事