広報が地方紙も狙うべき論理的な4つの理由
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2020.02.15

広報が地方紙も狙うべき論理的な4つの理由

広報が地方紙での露出を狙うことには意味があります。

「新聞社・新聞記者への売り込み」は広報担当者の重要な仕事の一つです。
そして「自社情報をできる限り広く知らせたい」と考えて、中央紙への売り込みにだけ集中してしまう人が少なくありません。
(中央紙:一般的に日経、産経、読売、朝日、毎日のこと)

*関連リンク:中央5大紙は広報の醍醐味だ!

 

しかし、場合によっては地方紙への売り込みに比重を置いたほうが、効率も勝率も驚くほどアップすることもあります。その理由をいくつか説明していきましょう。

 

広報が地方紙を狙うべき感情論を抜きにした論理的根拠4つ

引用画像_戦略と広報業務

○1:知っていますか?中央紙・地方紙のシェア率

東京などにお住まいの広報担当にとっては意外かもしれませんが、実は「地方紙のほうが全国紙よりも読まれている都道府県」も存在します。

その代表格は沖縄県。
地方紙である「沖縄タイムス」と「琉球新報」を読んでいる人が非常に多く、中央紙を読んでいる方は50人に1人もいません。

それから、高知県、徳島県、岐阜県、青森県、福井県、石川県に関しても中央紙のシェア率は20パーセント未満。また、関東地方についても群馬県と栃木県は地方紙の読者率のほうが高いです。

そして、地方紙であっても中日新聞の発行部数は中央紙に負けないレベル。また、西日本新聞や北海道新聞の読者もかなり多いです。

ですから、売り出すエリア・商品・サービスによっては地方紙を狙ったほうが圧倒的に良いと言えます。極端な例ですが、上記の数値を見る限り、「沖縄県民向けの商品」を中央紙に売り込むのはナンセンスですよね。

そうでなくても、地方紙に売り込んだほうが良いケースはザラにありますので、まずは「中央紙一択!」という思い込みを捨てましょう。

ちなみに、日本全体で見ると、中央紙のシェア率は5割強です。
意外と低いと感じるのではないでしょうか。

○2:中央紙に比べると採用されやすい

やはり、地方紙のほうが中央紙と比較してネタが採用されやすいです。

まず、地方のメディアは都心部の会社の売り込みを好む傾向にあります。
広報担当者が直接足を運べば、支局長クラスの方が対応してくれる可能性も。

地方にお住まいの方からするとやや失礼な表現になるかもしれませんが、やはりよくぞ都会からこの地方に来てくれた、といった「おもてなし」の精神は現在も残っているという印象ですね。

○3:記事が豪華になる可能性が高いです

中央紙の場合は「必死に売り込みをして採用されたと思ったら、紙面の片隅に小さく掲載されただけだった」という事になる恐れもあります。
それでも「中央紙に載った」という経歴を作ることはできますが、率直に言って小さな窓のような枠に1行ほどのタイトルと一緒に掲載されただけでは、ほぼ営業などの武器になりません。

ですが、地方紙であればそれほど労力をかけて売り込まなくても、大々的に取り上げてもらいやすいのです。ネタやタイミングによっては1面を飾るケースもあります。

特に、ある地域をピンポイントでターゲットとしている商品・サービスの場合は、

  • 売り込みの労力が少ない
  • 記事が大きい(写真付き)
  • 宣伝力が非常に大きい

など様々なメリットを一気に得られる可能性があります。

○4:中央紙での掲載に繋がる場合がある

簡単に言うと、

地方紙の記者が売り込みを受ける(そのときは採用されない)→その記者が中央紙の所属に変わる→地方紙でボツになったネタがリサイクルされる

という流れです。
もちろん、最初からこれを狙うことはできませんが、一応頭の片隅に入れておくと良いでしょう。

*参考リンク:プレスリリースをどう活用する?元放送作家が教える戦略ポイントを紹介

 

中央紙の地方支局も狙っておきましょう

余裕があれば、地方紙だけでなく「中央紙の地方支局」にも売り込みましょう
地方欄に載せてもらえるかもしれません。

また、前項の「4」に似ていますが、
地方支局の記者とのコネクションを作っておけば、その記者が本社に異動した際に全国紙に掲載してくれる可能性があります(もちろん必ず異動するわけではありませんが)。

*一番重要:あなたはきちんと押さえてる?広報部門の5つの役割と必須スキル

 

地方紙向けのネタを作るコツを3つ紹介!

  1. 特定の県向けのサービスがある
  2. そもそも○○県の企業である
  3. 特定の県に支社ができた
  4. 特定の県でイベントを行う

 

という場合はその県の地方紙に売り込むのは難しくありません。
ですが、上記のようなネタがなくても地方紙に売り込むことが可能です。その方法は主に3つあります。

○1:社長の出身県に売り込む

地方紙の多くに「地元出身で活躍している人物」を特集するコーナーがあります。
ですから、社長の出身県を調べて売り込みに活かしてみましょう。

また、地方出身の一般社員を売り込むのもOKです。
ただし、さすがに一般スタッフの場合は「一芸に秀でている」「特殊な経歴がある」などのプラスアルファがないと厳しいかもしれません。

*参考リンク:社長PRを効果的に実践するポイント

○2:支社長の出身県にも注目

例えば「長野県に支社ができて、支社長が長野県出身」などの場合は、長野県の地方紙に取り上げてもらえる可能性が高くなるので、売り込みをかけてみましょう。

もちろん「支社のある県」と「支社長の出身県」が一致するかどうかは運次第ですが。

○3:自社で行ったコンテストをチェック

自社で何らかのコンテストを開催していて、その優勝者がその県出身なのであれば、県の地方紙に売り込んでみると良いかもしれません。

ただし、例えば「社内で行った○○な社員ランキング」など内輪で完結しているものでは、まず間違いなくダメです。「自分の会社が開催して、社外の一般人が参加したコンテスト」でなければ、取り上げてもらえません。


執筆者・監修者
上岡正明
経済記者・経済コメンテーター
戦略PRプランナー・著書26冊累計105万部のビジネス作家
登録者25万人のYoutuber
上岡正明

MBA(多摩大学院経営情報学修了)
テレビコメンテーター
多摩大学客員講師(18,19)
帝塚山大学客員講師(19)
登録者24万人のビジネス系YouTube

「スーパーJチャンネル」「めざましテレビ」「王様のブランチ」「クイズミリオネア」等の元放送作家。日本を代表するPR戦略の専門家で、企業広報のスペシャリスト。未上場から上場企業まで戦略PRを手掛けたクライアントは300社以上。

広報ブランディング、新規事業構築、外資系企業の国内イベント、海外プロモーション支援のコンサルティング会社代表。現在まで約20年間、実業家として会社を経営。これまでに三井物産、SONY、三菱鉛筆、日本瓦斯など200社以上の広報支援、スウェーデン大使館やドバイ政府観光局などの国際観光誘致イベントなどを行う。

代表的なコンサルティング案件としては、日本中の女性たちの心を動かした「表参道のパンケーキブーム」、1年で200万台以上を売り上げた「ふとん専用掃除機レイコップ」、世界が注目する食イベント「肉フェス」、1カ月で6000万人(日本の約半分)にバズらせた「ジャポニカ学習帳“昆虫の表紙が変わった?”」がある。

経営と並行してMBA(情報工学博士前期課程)取得。東京都中小企業振興公社講師。成蹊大学、多摩大学、帝塚山大学の客員講師。東洋経済新報社、ダイヤモンド社、朝日新聞出版社、PHP出版、総合法令出版社、アスコム社、大和出版、すばる舎、宝島社から累計21冊80万部の著書を上梓。

日本神経心理学会、日本行動心理学学会、行動経済学学会、一般社団法人日本行動分析学会、日本社会心理学会、一般社団法人日本小児心身医学会、認知神経科学会の各学会員。

日経ヴェリタス・東洋経済オンライン・ダイヤモンドオンライン・プレジデントの4大経済メディアで専門家として記事連載もおこなっております。お読みになりたい方はこちらからご覧下さい。

①:東洋経済オンラインでの連載記事
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