広報におけるブランディングの位置づけとは?その違いと特徴を徹底解説
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2020.03.01

広報におけるブランディングの位置づけとは?その違いと特徴を徹底解説

近年、企業の広報活動において「広報ブランディング」の重要性が増しています。

従来は「自社の活動や事業内容」の認知に主眼がおかれていましたが、ブランディングに関心が移行してからは、企業側の意識の変化がみられます。より攻めのブランディングのために行う手法として考えられているのが、コーポレートPRと企業サイトです。

そこで今回はコーポレートPRへの可能性を広げる広報ブランディングの対策や方法について詳しく解説していきます。

*参考リンク:こちらも必ず役に立ちます!プレスリリースの全技法・全戦略

広報ブランディングを行った後にある大きいメリット4つ

広報ブランディングの解説イメージ

ここでは広報ブランディングを構築することによって得られるメリット4つをお伝えしていきます。

ブランディングは構築するまでには時間がかかりますが、一度構築できてしまえば企業にとって競争力がつき、他社に対して優位に立つことができるようになります。大きなメリットは次の4つです。

  1. 価格競争に巻き込まれないようになる
  2. 優秀な人材を確保しやすくなる
  3. 社員のモチベーションが上がりやすい
  4. 他社との取引が有利になりやすい

 

1)価格競争に巻き込まれないようになる

一旦、広報ブランディングに成功すると、競合他社との価格競争に巻き込まれづらくなります。

価格を下げなくても良くなり、結果として利益を獲得しやすくなります。Appleやスターバックス、フェラーリなどはブランド形成に成功しているため、値下げをすることがあまりありません。広報ブランディングによって、顧客にとって良いイメージを持たせることができ、その結果口コミ率も上昇。現在はSNS全盛のため、宣伝や広告などの投資も少なくて済むという点でも利益率を押し上げる要因となります。

2)優秀な人材を確保しやすくなる

広報ブランディングに成功すると、より優秀な人材が企業に入社してくれるようになります。なぜならブランド力のある会社に入社するということは、ステータスを獲得するという事でもあるからです。
また、自社のイメージが良くなれば社員の愛着も必然と高くなります。その結果、離職率が減少し、社員が定着することにもつながります。

3)社員のモチベーションが上がりやすい

自分の業務がブランディングのアップに繋がっていると感じることができやすいため、社員のモチベーションも上がりやすいといえます。そのため、仕事に対してやる気がでて積極的に取り組むことにより、さらなる成果が生まれ利益を生み出すことが期待できます。

4)他社との取引が有利になりやすい

取引先との関係でも広報ブランディングに成功している方が有利です。ブランド力が高ければ、販売店も高く販売できると見込めるため、高い金額でも取引することが可能です。また仕入れに関しても、ブランド力が高ければ卸売先にとっても良いブランドの会社と取引をしているということが実績として宣伝できるために、取引に対して前向きに対応してもらえることが期待できます。

 

広報ブランディングを成功させるために重要な2つの考え方

画像引用_ブランディング戦略図

ブランドが形成されると多大なるメリットが見込めます。

●企業や商品の強みと顧客は誰であるかを明確に把握する
●大雑把でもいいのでブランディングの方向性を決める

ここではブランドを形成するために考えるべき2つのポイントをお伝えしていきます。

1)企業や商品の強みと顧客は誰であるかを明確に把握する

広報ブランディングを行う上でまず考えなければならないのは、自社の強みを把握することです。強みを知らなければ相手に伝える内容も曖昧なものになりやすく、確実に顧客に響かなくなります。その後に考えることは、顧客は誰であるかということを明確にすることです。そしてその顧客にどのようなイメージを持ってもらうかを考え、設計していく必要があります。

2)大雑把でもいいのでブランディングの方向性を決める

広報ブランディングを形成するうえで重要なのは単なるデザイン的なものや宣伝ではないということです。ブランドを形成する活動を継続的に行うことで、顧客と良い関係をつくることを意味します。そのような関係性を作るために後述するコーポレートWEBサイトが広報担当者からも注目を浴びています。

 

今後ますます注目を浴びるコーポレートブランディングの優先度は?

ブランドストーリーの発案風景

広報担当者がブランディング形成のために、有効だと考えている施策は自社WEBサイトでの情報提供です。そこで、最後にコーポレートブランディングの対応の仕方を紹介していきます。

従来のメディアへの情報提供は、企業広告よりも効果が高いと認識しているようです。では、実際のオウンドメディアに対して、広報担当はどのように対応しているのか。今回は日経BP社が調査したデータから紐解きましょう。

データを見てみると、広報担当者は少ない人数の中で悪戦苦闘しながら、ブランディングに奮闘していく姿がみてとれます。以下よりもう少し詳しく解説していきます。

1)広報担当者が少ないのに関わらず業務の拡大と運用の管理などの負荷が高い

現状、広報の担当している部署は「広報」ですが、広報部がない会社も半数以上存在します。あっても担当者の数は少なく、1人程度の人員で対応していることが多いのが現実です。

2)人手不足にもかかわらず、高まっていく重要性と増えていく仕事量のため担当者が多忙

人員も予算も限られている中、年々重要性が高まっているため他部署との連携も増えてきています。広報の担当がもっとも重視しているのが「コーポレートブランド」の形成であり、約85%の会社が重視しています。

3)認知拡大からブランディングへと活動目的が変化

つまり、それは従来の企業を認知するというフェーズから、ブランドの確立へと変化したことを物語っています。以前までは認知拡大が78%ともっとも関心がありましたが、現在はコーポレートブランドの醸成が73%でトップになっています。

4)WEBサイトは多様な目的でメディアよりも「使える」ようになってきている

特に広報担当者は「自社のWEBサイトでの情報提供」は、「メディアでの記事掲載」や「メディアでの企業広告」よりも「認知拡大」「理解、共感」「ブランドの醸成」「商品販売支援」「顧客の声の収集」などあらゆる面において「使える」存在になってきている、と応えています。また、今後もその傾向は続くと考えられます。

5)今後重視すべきポイントも「広報ブランディング」で自社サイトやSNSでの情報発信を目指している

広報が現在行っている業務として一番ウェイトが大きいのは「メディアへの情報提供および取材対応」で78.7%。その次に、「自社のWEBサイトを通じた情報発信」が75%となっており、ほぼ拮抗しています。さらに今後重視すべきポイントは「コーポレートブランドの醸成・浸透・管理」が大きく増加して61.3%となっています。そのほかにも、SNSでの情報発信も高い伸びが見られます。

6)広報活動のKPIはメディアでの掲載記事数や内容

今後重視したい広報としてのKPIは「自社のメディアの登場回数や内容」、「自社サイトのページビュー・滞在時間」が上位に上がっており順当な結果となっています。

 

まとめ コンテンツの内容には自信あり!だが、予算配分などには不満あり

広報ブランディング戦略図を務める女性

広報担当者にとってコーポレートサイトの「コンテンツ内容」や「戦略の方向性」に関してはある程度、自信を持っていることが分かりました。
その一方、「予算」「運営体制」「増える一方の負担」においては不満を持っている人も多く今後の課題になりそうです。

1)「スマホ」「動画」「CMS」などの対応はしたが、見込み客の獲得はこれからの課題

「スマホ対応」「動画の活用」「CMSの利用」も比較的導入が早く進んでいます。見込み客の獲得に関しては現在は17%程度と低いものの、今後実施してみたい企業も加えると50%を超えており、関心の高さが伺えます。

■コーポレートサイトの制作は全社で行い、運用は広報
広報が担当しているのは「サイト設計、企画」「サイトの更新作業」まで。記事の執筆やコンテンツの企画はその他の社内担当者が行うことが多いようです。

■4割がSNSを運用。今後行いたいものはInstagram
SNSを保有している企業は約4割。「Facebook」が一番多く、「YouTube」、「Twitter」、「LINE」と続きます。今後力を入れていきたいツールは「Instagram」と「LINE」でした。

■やることは増えているのに、人員不足が解消されていないことに不満を募らせている
「運用管理や対応の負荷が大きい」「担当はが多忙で手が回っていない」「全体の戦略立案や設計が難しい」が上位3つの項目で40%程度の会社が答えた。ここでも担当者がリソースが足りず、奮闘している姿が浮かび上がっている。

2)まだ広報とブランディングを統合型で行える専門部署があるところは少ない

コーポレートブランディングの担当部署がある企業は10%程度にとどまっており、コーポレートブランディングに関わっている組織や担当者はいないという企業も半数以上にのぼり、関心はあるもののまだまだ企業側が追い付いていないことが分かっています。

コーポレートブランディングは、現時点では経営企画が戦略を立案し、広報がブランドの醸成・浸透・管理を行っているというスタイルが広報担当者の一般的な考え方ということが今回の調査で分かることになりました。特に以下の3点において、競合と差別化を図れる広報ブランディングの打ち手となり得ます。

■今後ますますコーポレートサイトが重要になると考えている
コーポレートブランドを社外において醸成していく手段として、もっとも重要だと考えられているのが「コーポレートサイト」で「従来のメディア」を上回る結果になっています。もはや、自社でブランドを内製していくスタイルへと移行しています。

■コーポレートサイトを作るにあたって「何をやれば良いのか分かっていない」
コーポレートブランディングを行うにあたって、もっとも大きい悩みが「全体の戦略の立案や設計が難しい」が半数を超えて最大に。そもそものブランディングに困っている企業が多いようです。

■広報の仕事はますますブランドを醸成する仕事にシフトしていく
広報の仕事は従来の「メディアに掲載してもらう」から、「コーポレートサイトをブランディングしていく」というフェーズに移行しつつあります。そのために、会社からどれだけのリソースを与えられるかも成功のカギの1つなのかもしれません。


執筆者・監修者
上岡正明
経済記者・経済コメンテーター
戦略PRプランナー・著書26冊累計105万部のビジネス作家
登録者25万人のYoutuber
上岡正明

MBA(多摩大学院経営情報学修了)
テレビコメンテーター
多摩大学客員講師(18,19)
帝塚山大学客員講師(19)
登録者24万人のビジネス系YouTube

「スーパーJチャンネル」「めざましテレビ」「王様のブランチ」「クイズミリオネア」等の元放送作家。日本を代表するPR戦略の専門家で、企業広報のスペシャリスト。未上場から上場企業まで戦略PRを手掛けたクライアントは300社以上。

広報ブランディング、新規事業構築、外資系企業の国内イベント、海外プロモーション支援のコンサルティング会社代表。現在まで約20年間、実業家として会社を経営。これまでに三井物産、SONY、三菱鉛筆、日本瓦斯など200社以上の広報支援、スウェーデン大使館やドバイ政府観光局などの国際観光誘致イベントなどを行う。

代表的なコンサルティング案件としては、日本中の女性たちの心を動かした「表参道のパンケーキブーム」、1年で200万台以上を売り上げた「ふとん専用掃除機レイコップ」、世界が注目する食イベント「肉フェス」、1カ月で6000万人(日本の約半分)にバズらせた「ジャポニカ学習帳“昆虫の表紙が変わった?”」がある。

経営と並行してMBA(情報工学博士前期課程)取得。東京都中小企業振興公社講師。成蹊大学、多摩大学、帝塚山大学の客員講師。東洋経済新報社、ダイヤモンド社、朝日新聞出版社、PHP出版、総合法令出版社、アスコム社、大和出版、すばる舎、宝島社から累計21冊80万部の著書を上梓。

日本神経心理学会、日本行動心理学学会、行動経済学学会、一般社団法人日本行動分析学会、日本社会心理学会、一般社団法人日本小児心身医学会、認知神経科学会の各学会員。

日経ヴェリタス・東洋経済オンライン・ダイヤモンドオンライン・プレジデントの4大経済メディアで専門家として記事連載もおこなっております。お読みになりたい方はこちらからご覧下さい。

①:東洋経済オンラインでの連載記事
②:ダイヤモンドオンラインでの連載記事
③:プレジデントでの連載記事
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