新人広報の仕事の基本とは?新米担当者が最初に覚えるべき6つの仕事
PR戦略とは
3分で分かる「PRの基本」
2023.02.27

新人広報の仕事の基本とは?新米担当者が最初に覚えるべき6つの仕事

誰でも新人の時代はあるものです。広報担当やPR会社の新人さんにとっても、それは同じ。
そうした新任時代に押さえるべき広報の「仕事の基本」を紹介します。

大規模な会社の場合は「広報の歴史」がしっかりと存在していて、広報を任されたら、そのノウハウを教えてくれるケースが大半です。
「上司が教えてくれるし、マニュアルもある」という部分だけで言えば、他の仕事とそうそう変わりません。

ですが、できたばかりの会社やスタートアップベンチャー、中小企業に関しては、「あなたがウチの会社で一番初めの広報担当者だから!」ということになる可能性があります。

当然「マニュアル」もありませんし、「こうやっていくと良いよ」と教えてくれる上司も存在しません。
ただ、千里の道も一歩から。その会社の初めてであろうがなんであろうが、広報担当に着任した新人が最初にすべきことが1つあります

*こちらも人気:PRと広告の最大の違い知ってる?現役記者が解説

*記事を書いた人:「めざましテレビ」「王様のブランチ」元放送作家

新人広報の仕事とは?まず自社について知り尽くしましょう

新任の広報担当

いきなり結論からです。

新任の広報担当者に着任したら、社内において、まずは「最も自社について詳しい人物になること」を目標としてください
そうでなければ的確な広報はできません。これができてこそ、スタートラインに立てたと言えます。

そのためにも、以下のポイントを紹介していくので、コツや情報などを確実に押さえましょう。

*参考リンク:こちらも役に立ちます!敏腕ディレクター直伝のテレビ新聞を呼ぶプレスリリース書き方

 

広報担当が最初の仕事として覚えるべき6つの情報

広報を考える女性

1:新任広報担当が把握すべきこと_数値関連

まずは「今期」も含めて、ここ5年、できれば10年くらいの決算などの数値を全て頭に叩き込んでください

記者などに「来年の事業予測は?」「昨年の数値から考えると……」などと質問されることがあります。
そのさい、「この事業全体では20億円の売上を予測しています。なぜなら……」「16%ほど成長していますね。というのも……」と、当然瞬時に答えられるようにしておく必要があります。

2:新任広報担当が把握すべきこと_事業関連

あらゆる事業部に関して、「どのような事業を進めているのか」ということを把握しておかなければなりません。
それこそ、社員が数人~数十人単位であるなど小規模な場合は、「この社員はこんな仕事を、あの社員はあんな活動を」など、一人一人について理解するつもりでいてください。

もちろん、単純な仕事内容だけでなく、

・なぜその活動をしているのか
・業界内での社会貢献性はなにか
・ライバルどこか(ザックリとした目標&数値による厳密な比較)

も知っておかなければなりません。

3:新任広報が把握すべきこと_会社・人物関連

新任の広報担当は「企業としての歴史」を把握している必要があります。

実際、「会社の変遷」などをウェブサイトに掲載している会社もありますが、まずはそれを「暗記」してしまいましょう。
そして、プラスアルファで自分自身で「情報」を加えていき、会社の歴史を自分なりに噛み砕いて理解していきます。
このさい、役に立つのがファクトブックです。

*参考リンク:ファクトブックを作成しよう

例えば、

・○○という商品やサービスが有名になり躍進した
・○○年に上場した
・○○社長は当初品川のワンルームマンションから役員2名でスタートした

などの情報ですね。

そとくに「社長などの人物像」も把握しておきましょう。
これについてもウェブサイトに掲載されているかもしれませんが、「社長の信念」「人柄」「苦労やわかるエピソード」など、商品やサービスとは直接関係のない情報についても抑えておきたいところです。

ちなみに案外ウケが良いのが、

  1. 苦労エピソード
  2. 失敗エピソード
  3. 諦めかけたときのエピソード

 

などです。
「どん底から這い上がった話」というのは誰しも好きなのです!

4:新任広報担当が把握すべきこと_商品・サービス関連

自分の会社の商品やサービスについても、もちろん精通してください。
企業の種別によっては、「商品が数千以上あって全部はムリ……」という場合もあると思います。そういったケースでも代表的なものについては確実に抑えておきましょう。

5:新任広報担当が把握すべきこと_ライバル関連

冒頭の事業関連でもお話ししましたが、業界でのポジショニングの把握はとても大切です。

  1. どのようなライバル企業がいるのか
  2. そのライバル企業の特徴は?
  3. 「ライバル企業にはない、自社の特徴」はなにか
  4. ライバル企業に勝っているところ
  5. ライバル企業に負けているところ

 

なども調べ上げてください。

とくに、ライバル企業にハッキリと劣っている部分については、
「どのような方針で、追い越そうとしているのか」なども把握する必要があります。
もし、あなたが戦略的に広報を進めたいのであれば、ライバルとの差別化ポイントを強みに変える、広報戦略が不可欠です。

こうした場合は、「戦略PR」と」「広報戦略」の視点を絡めて、以下の記事を参考にPRを進めていくと良いでしょう。

*参考リンク:戦略PRを1分で理解する
*参考リンク:広報戦略立案の8つのポイント

また、「今のところ実践していないけれど、こういう取り組みをすれば勝てるかも」という分析をしておくのも悪くありません。

ただし、記者などに対して、「ウチでもこういう事業をすれば急成長できるはずです」などと、実現性や事実と違う部分を強調しすぎると、信頼性が下がってしまう恐れがあるので気をつけましょう。

6:新任広報担当が把握すべきこと_「評判」関連

「どの商品に対して、どのような評判が集まっているか」「どのような苦情が来ているのか」「そもそも、どのような人達にサービスや商品を利用してもらえているのか」
など、消費者や利用者の行動パターンや評判についても把握しておきましょう。

特に、

・クレーム情報
・そのクレームにどのように対処したか(する予定か)

などを抑えておくことが大事です。

なぜなら「人間はプラスの情報よりもマイナスの情報に注目するから」です。

例えば、ある会社が商品を100種類売り出していて、そのうち99種類がかなり好評だったとしても、残りの1つの商品で大失敗していると、企業全体の評価がガタ落ちしてしまう恐れがあります。
そう考えると、「失敗をこのようにカバーしました!」「このように同じ失敗を繰り返さないようにしています!」ということを知り尽くしておくのは非常に重要ですね。

それができないと、評判がガタ落ちしたままになってしまうかもしれません。

 

ワンランク上の広報担当に求められる仕事スキル4選

広報戦略を考えるコンサルタント

ここまでは「広報担当者が知っておきたいこと」を主に紹介してきました。
最後にここからは着任後、具体的な業務として「どのようなことをすべきか」をお伝えしていきます。

もちろん挙げていけばキリがありません。そのため、ここでは代表的なものだけを並べていきますね。

1:自社の商品・サービスを実際に利用してみる

「自社商品について知っておく必要がある」という話をしましたが、そのためには実際に自分の会社のアイテム・サービスを試してみるのがおすすめです。

この際、ポイントになるのが
「自社の商品・サービスだからといって贔屓(ひいき)はしない」ということです。

例えば、まず「ウチの会社の文房具の中に使ったことがないものがあるな……」というのであれば、一度は試してみることをおすすめします。

そのうえで「これまで使っていた別のメーカーの文房具の方がいいな」と感じるのであれば、あえて自社商品にこだわって継続使用する意味はないということです。
なぜなら「消費者はそんな行動は取らないから」です。

  1. なぜ自社商品よりも他のメーカーのモノのほうが良いと感じたのか
  2. 他のメーカーの商品に追いつくためにはどうすればいいのか

 

など、広報担当者はあえて他社製品も使用しながら、自分なりに分析していく視点が大切です。
それが、「客観的な視点」「贔屓をしない」「視野を狭めない」ということなんですね。

これは、ライバル企業の商品・サービスをフェアに分析するためにもとても重要なことです。
「自分の会社の商品やアイテムはむしろ厳しい目線で見る」というくらいの気持ちでいることをおすすめします。

2:インターネット上の口コミや評判なども見てみる

大半の「口コミ」は発信源が特定しにくいものですので「情報の信頼性」は非常に低いと言えます。
そして、

・ステルスマーケティング
・他社の商品やサービスに対して悪い口コミを残す

などのことも稀に行われています。

そもそも「情報の信頼性」をそれほど重んじない消費者も少なくありません。
そのため、ネット検索をして口コミを調べて「本当はこんな事はないんだけどなあ……」と思って、ショックを受けてしまう場合もあります。

もちろん、そういった「風潮」なども広報活動によって変えていけるケースもあります。
まずは、とにかく「インターネット上における自社の商品・アイテムや、自社そのものの扱われ方」についても把握しておくことを推奨します

3:「商品」「サービス」「会社そのもの」に対するクレームを考えてみる

「どのようなクレームが来ているのか知っておくことが大事」と言いました。

それを把握することができたら、今度はクレーマーの気分になって、自社の商品・サービスや「会社そのもの」に対してクレームを考えてみてください。
ただし、「よく知らなくても言えるクレーム」では、あえて広報担当者の立場の人間が考える意味はほぼありません。

例えば、

・特定の素材しか使っていない割には価格が高過ぎる
・同じ価格帯の他社の商品に比べると安全対策が甘い

など、製品やサービスのクオリティを上げることを目的に、重箱の隅をつつくようなクレームを考えてみてください。
それが「自社を知るトレーニング」にもなります。また、「いずれこういうクレームが来るかもしれない」と理解しておくことにも一定以上の価値があります。

もちろん、本当に自社の社員に対して伝えたほうが良さそうなクレームがあったら、遠慮なく言ってみてくださいね。

4:「その数値になっている理由」も把握する

「5~10年分の決算の数値を把握しましょう」という話をしましたが、もちろん単に数字だけ丸暗記しても意味がありません。

「なぜ数値が上がったのか、下がったのかといった「理由」の部分もきちんと抑えておきましょう。場合によっては、担当役員や社長にヒヤリングすることも大切です。

人間の脳は「脈絡のない情報の羅列」は覚えにくい仕組みになっています。
「こういう数値になるまでのストーリー」や「ストーリーの背景にある人間関係」をちゃんと理解していた方が結果的には早く暗記することができます。

以上、新任広報担当が最初にやるべき広報の仕事内容を紹介しました。
ぜひ参考にしてみてくださいね!


執筆者・監修者
上岡正明
経済記者・経済コメンテーター
戦略PRプランナー・著書26冊累計105万部のビジネス作家
登録者25万人のYoutuber
上岡正明

MBA(多摩大学院経営情報学修了)
テレビコメンテーター
多摩大学客員講師(18,19)
帝塚山大学客員講師(19)
登録者24万人のビジネス系YouTube

「スーパーJチャンネル」「めざましテレビ」「王様のブランチ」「クイズミリオネア」等の元放送作家。日本を代表するPR戦略の専門家で、企業広報のスペシャリスト。未上場から上場企業まで戦略PRを手掛けたクライアントは300社以上。

広報ブランディング、新規事業構築、外資系企業の国内イベント、海外プロモーション支援のコンサルティング会社代表。現在まで約20年間、実業家として会社を経営。これまでに三井物産、SONY、三菱鉛筆、日本瓦斯など200社以上の広報支援、スウェーデン大使館やドバイ政府観光局などの国際観光誘致イベントなどを行う。

代表的なコンサルティング案件としては、日本中の女性たちの心を動かした「表参道のパンケーキブーム」、1年で200万台以上を売り上げた「ふとん専用掃除機レイコップ」、世界が注目する食イベント「肉フェス」、1カ月で6000万人(日本の約半分)にバズらせた「ジャポニカ学習帳“昆虫の表紙が変わった?”」がある。

経営と並行してMBA(情報工学博士前期課程)取得。東京都中小企業振興公社講師。成蹊大学、多摩大学、帝塚山大学の客員講師。東洋経済新報社、ダイヤモンド社、朝日新聞出版社、PHP出版、総合法令出版社、アスコム社、大和出版、すばる舎、宝島社から累計21冊80万部の著書を上梓。

日本神経心理学会、日本行動心理学学会、行動経済学学会、一般社団法人日本行動分析学会、日本社会心理学会、一般社団法人日本小児心身医学会、認知神経科学会の各学会員。

日経ヴェリタス・東洋経済オンライン・ダイヤモンドオンライン・プレジデントの4大経済メディアで専門家として記事連載もおこなっております。お読みになりたい方はこちらからご覧下さい。

①:東洋経済オンラインでの連載記事
②:ダイヤモンドオンラインでの連載記事
③:プレジデントでの連載記事
④:日本経済新聞での連載記事