広報PR担当はライバル企業とむしろ積極的に関わるべき!その6つの理由は?
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2023.02.27

広報PR担当はライバル企業とむしろ積極的に関わるべき!その6つの理由は?

最近は「広報の世界」を取り巻く空気感がガラリと変わり、「むしろライバル企業と積極的に関わるべき」という考え方が主流になってきました。ここでは、その理由などについて解説していきます。

ライバル企業の広報と「良い意味」でずぶずぶの関係になりましょう

一昔前までの「広報担当者」は、他企業の広報担当者と関わるようなことはまずありませんでした。

一応、広報の仕方が勉強できるという理由から、「申し訳程度」に関わる事例もあったようですが、基本的には「ヨソと仲良くしてもね……」という風潮が出来上がっていたようです。

しかし、その風潮が変わってきています。理由は何でしょうか?

 

ライバル企業の広報担当者と関わりを持つべき6つのワケ

○1:共同で広報活動をした方がメディアが報道しやすくなるから

大手企業の場合は、たとえそれが一社だったとしても「こんなネタがある」と言って各種メディアに触れ込めば、喜んで報道することでしょう。

しかし、できたばかりの企業や中小会社の場合はそうもいきません。
一社だけで売り込んでも、相手にされない可能性が高いです。

それに、例えば「ある中小企業が起点になって発生した、業界全体の大きな動き」があったようなケースでも、まるで「特定の大手企業の動き」かのように取り上げられて、中小企業は無視されてしまう恐れがあります。

しかし、中小企業であっても3企業ほどが一斉に「Aというネタがあります」と売り込めば、記者の心を掴める可能性が出てくるのです。ちなみに、単に「Aというネタがある」と3企業が全く同じことを言ってもあまり意味はありません。

例えば、

●企業1:これによって劇的に雇用が増える見込みです
●企業2:このネタには一見全く関係ないように見える、あの業種が実は大いに関わっています
●企業3:この取り組みが活発化すれば出生率の低下が緩和されるかもしれません

などと、できるだけそれぞれ違う方向性で攻めることが重要です。
その方が、記者にとっても記事として拡がりを持たせやすくなりますしね。

○2:ライバル企業に宣伝してもらえるようになるから

にわかには信じがたい話かもしれませんが、近年は「あの会社の取り組みがかなり興味深いです」などと、別の企業売り込みをする広報担当者が多くなっているようです。

この行動が持つ「第一の効果」は「記者に頼られやすくなること」です。
記者の立場で考えると「○○社の○○さんに相談すれば、ネタをくれるかもしれない」という意識になるので、記者との関わりが深くなります。

そして「第二の効果」として「他社も同じことをしてくれる」ようになり、
「第三の効果」として、いざというときに「自分の企業のネタ」を取り上げてくれやすくなります。
記者としては「普段色々とネタをくれるし、優先してあげようかな」となるわけですね。

ただ、言うまでもないことですが、他社の宣伝をする際は、直接その企業に許可を取らなければなりません。自社にとっては「取るに足らない情報」だったとしても、その企業からすると重要な秘密かもしれませんからね。

○3:自社の信用性がアップするから

人間には、「発言者自身に関係のある『プラスのアピール』を信用しにくい」という習性があります。

例えば、「○○減量サプリ」という商品を作っているメーカーの社員に「私自身もこのサプリを使ってみましたが、3キロも痩せることができましたよ!」と言われても、あまり信頼できないですよね。

ですが、別のメーカーの社員に「確かにあのメーカーのサプリは効きますよ」と言われると、信頼したくなりませんか?

いわゆる「口コミ」も悪くはありませんが、ネット上などの発信源が分からない「このメーカーのサプリが効きました」などの声からは、「ステルスマーケティングっぽさ」を感じる人も少なくないはずです。
そのため、「ライバル会社による宣伝こそ究極の宣伝である」と言えるでしょう。

そして、いずれ他の企業があなたの会社の商品を同じように宣伝してくれる可能性があります。
また、そうはならなくても「業界全体の活性化」が見込めますので、長い目で見ればプラスです。
また、記者陣に「ライバル企業の宣伝をするなんて、とても器が大きい」などと信頼されるようになっていきます。

○4:各種の日程調整がしやすくなる

例えば、「新商品の発表会」を行いたいA社とB社があったとします。

この場合、2つの会社の発表会の日時が被ってしまうと、「両方に参加することはできない」わけですから、それぞれの取材陣や参加者が減ってしまいますよね。

しかし、A社とB社の広報担当者が普段から積極的に交流していれば、「じゃあ、A社さんは○日で、私共は△日に行いましょう」などと、あっさり日程をズラすことが可能です。

近年では、こういった「他企業との打ち合わせ」をする企業も多くなってきました。しかし、一昔前までは、「ライバル企業はいつ発表をするのか」などと、率直に言ってあまり意味のない「読み合い」が行われることが多かったようです。

ただし、「日程を決める主導権」がいつでも特定の企業にあるとアンフェアになりかねませんので、その主導権は交代制で持つようにすることを推奨します。ちなみに、それぞれの日程がズレていれば、ライバル企業の発表会に参加することもできます。言葉は悪いですが、席を埋めるための「サクラ」のような意味がありますし、当然、ライバル企業のプレゼンから学べることも多いはずです。

○5:リスクヘッジにもなる

例として、ある電化製品メーカーAが「その企業にとって都合の悪い情報を隠していた」という理由で批判を浴びたとしましょう。

こうなると、その電化製品メーカーとは関係のないメーカーBやメーカーCまでもが、「あなた方の企業も、似たような情報を隠しているんじゃないですか?」と非難されてしまう可能性がありますよね。(実際に隠しているのか否かはここではあまり関係ありません)

「メーカーAが隠していた情報」は、メーカーAからすると「特に明かす必要のない情報」だったのかもしれません。
しかし、メーカーBやメーカーCからすると「いや、確かによく考えれば明かしておいた方がいい情報だったかも……。メーカーAさんと一度でも相談できていれば……」という認識になる可能性も。

しかし、メーカーA、B、Cの広報担当者(など)が普段からコミュニケーションを取って、

・どこまで情報を隠すか(明かすか)
・批判が集まったらどのように対応するか

などを相談しておけば、こういったトラブルは起きにくくなります。いわゆる「不祥事への対応」もスムーズに、そしてスマートに行えるようになることでしょう。

「そこまでしたくない……」と感じるかもしれませんが、長期的に考えれば「業界そのもののイメージを守るため」にもぜひ取り組んでおきたいところです。

【ケーススタディ】
例えば、携帯電話会社の「au」だけが何らかの料金関連の不祥事を起こしたとしても、直接は関係のない「ドコモ」や「Softbank」などもイメージまで悪くなってもおかしくありませんよね。「消費者が、各メーカーをしっかり区別するとは限らない」ということを心に留めておいてください。

○6:「気持ちの部分」のメリットもある

単純な話ですが、他企業の広報担当者と繋がれば「相談相手」ができますよね。

広報担当は比較的「孤独」になりやすい仕事だと思いますが、「自分の会社の社員には話せなくても、他の企業の社員になら……」ということはあるかもしれません。また、お互いの企画書を確認し合って勉強したり、高め合ったりするということも可能です。

 

●他企業の広報担当者と繋がるときの注意点2つ

最後に、あくまで「ライバル」であることに変わりはないので、他企業の広報担当者と交流する際にはいくつか注意しなければならないこともあります。ご紹介しましょう。

○1:誓約書などをしっかり作る

場合によっては、自社の情報を交換し合うことになるはずです。
その際、勝手に情報を漏らされてしまっては困りますよね。ですから「一つ一つの行動」に対して効果を発揮する誓約書などをしっかり作成して、互いの秘密を守っていかなければなりません。

○2:乗り気でない企業の広報担当者を無理に引き込まない

もちろん中には「いえ、ウチの企業は自分達だけでやるので……」というところもあるでしょう。そういう企業を無理に引き込むのは推奨しません。

なぜなら、そういった会社の広報担当者ほど「ライバルを出し抜こう!」と考えるものだからです。
また、モチベーションが低い人を参加させてしまうと、集団全体の士気が下がる恐れもあります。


執筆者・監修者
上岡正明
経済記者・経済コメンテーター
戦略PRプランナー・著書26冊累計105万部のビジネス作家
登録者25万人のYoutuber
上岡正明

MBA(多摩大学院経営情報学修了)
テレビコメンテーター
多摩大学客員講師(18,19)
帝塚山大学客員講師(19)
登録者24万人のビジネス系YouTube

「スーパーJチャンネル」「めざましテレビ」「王様のブランチ」「クイズミリオネア」等の元放送作家。日本を代表するPR戦略の専門家で、企業広報のスペシャリスト。未上場から上場企業まで戦略PRを手掛けたクライアントは300社以上。

広報ブランディング、新規事業構築、外資系企業の国内イベント、海外プロモーション支援のコンサルティング会社代表。現在まで約20年間、実業家として会社を経営。これまでに三井物産、SONY、三菱鉛筆、日本瓦斯など200社以上の広報支援、スウェーデン大使館やドバイ政府観光局などの国際観光誘致イベントなどを行う。

代表的なコンサルティング案件としては、日本中の女性たちの心を動かした「表参道のパンケーキブーム」、1年で200万台以上を売り上げた「ふとん専用掃除機レイコップ」、世界が注目する食イベント「肉フェス」、1カ月で6000万人(日本の約半分)にバズらせた「ジャポニカ学習帳“昆虫の表紙が変わった?”」がある。

経営と並行してMBA(情報工学博士前期課程)取得。東京都中小企業振興公社講師。成蹊大学、多摩大学、帝塚山大学の客員講師。東洋経済新報社、ダイヤモンド社、朝日新聞出版社、PHP出版、総合法令出版社、アスコム社、大和出版、すばる舎、宝島社から累計21冊80万部の著書を上梓。

日本神経心理学会、日本行動心理学学会、行動経済学学会、一般社団法人日本行動分析学会、日本社会心理学会、一般社団法人日本小児心身医学会、認知神経科学会の各学会員。

日経ヴェリタス・東洋経済オンライン・ダイヤモンドオンライン・プレジデントの4大経済メディアで専門家として記事連載もおこなっております。お読みになりたい方はこちらからご覧下さい。

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