ビジネスモデルという言葉は一種のバズワードとなりつつありますが、それが本当に意味するところを理解している方はまだまだ少ないようです。
かの有名なピーター・ドラッカー氏によると、ビジネスモデルとは「顧客は誰か?顧客にとっての価値は何か?どのようにして適切な価格で価値を提供するのか?」という3つの質問に対する答えであると説明しています。
そんなビジネスモデルについて、MBAホルダーで脳科学者の上岡正明氏が大学生でもわかるように、このコラムで詳しく解説していきます。(※プロフィールはこちら)
ビジネスモデルの構造をWhat,Who,How,Whyという4つの視点で捉えよう
ハーバード大学の経営大学院でもあるハーバード・ビジネススクールで教鞭をとっているジョアン・マグレッタ氏によれば、ビジネスについて「会社がうまく機能する方法を説明するストーリー」であると定義しています。
あとは、後述するビジネスモデルキャンパスを考案したスイスの経営コンサルタントであり、ジョージア州立大学ブリティッシュコロンビア大学、シンガポール国立大学で客員教授も務めているアレックス・オスターワルダー氏によると「組織が価値を生成、提供、獲得する方法の論理的根拠を説明するもの」と述べています。
つまりは、このコラムではビジネスモデルとは「ビジネスとしてお金を継続的に稼ぐ仕組み」のことを指すと定義していきます。
ビジネスモデルの4つの柱
ビジネスモデルは、4つの大きな柱から構成されています。1つ目は「顧客は誰か?(Who)」で、2つ目は「何の価値を提供するのか?(What)」、3つ目は「どのようにその価値を生成/提供するのか?(How)」、4つ目は「なぜそれが利益を生み出すのか?(Why)」です。
*「顧客は誰か?(Who)」
*「何の価値を提供するのか?(What)」
*「どのようにその価値を生成/提供するのか?(How)」
*「なぜそれが利益を生み出すのか?(Why)」
ジョアン・マグレッタ氏によると、成功するビジネスモデルとは何かを明確にすることを難しいが、少なくとも失敗するビジネスモデルとは「話の筋道が通っているか?」「収支が合っているか?」のどちらにも合致しないものであると述べています。
これは一見当たり前のように聞こえますが、「森を見て木を見る」というビジネスモデル思考を身に付けなければ陥りやすい罠となることでしょう。
*外部リンク:ビジネスモデルを活用した広報論について学生と熱く語る筆者(帝塚山大学の客員講師にて)
ビジネスモデルキャンパス~9つのコンポーネント
※引用画像_ビジネスモデル・ジェネレーションにおけるビジネスキャンパス設計図
新規ビジネスの構想に着手する場合であっても、既存ビジネスのイノベーションを検討する場合であっても、組織内部でビジネスモデルを議論するための共通言語である、空の上から自社を眺めるかのような包括的な視点で捉えるための問題の全体像が必要となってきます。
そこでご紹介するのが、ビジネスモデルキャンパスです。
ビジネスモデルキャンパスは、世界的に100万部販売された「ビジネスモデル・ジェネレーション」という書籍で紹介されているツールで、世界中の多くの組織で幅広く活用されています。
ビジネスモデルキャンパスは、業種/業界や企業の大小を問わずに、ビジネスを行う上で考えるべき最も重要な9つのコンポーネントから構成されています。
・顧客セグメント
自社が価値を提供したいと望む、異なる個人または組織のグループ
・価値提案
特定の顧客セグメントに価値を提供する生産品またはある製品に対し別の製品が付属している状態で販売することとその特性
・チャネル
特定の顧客セグメントに価値を届ける方法とその役割
・顧客との関係
特定の顧客セグメントと確立したい関係
・リソース
価値提案の拠り所として必要とされる重要な経営資源
・主要活動
価値を生成するために必要とされる重要な活動
・パートナー
リソースを補完して、自社の活動の計画に参加する外部の協力者とコラボレーションする目的
・収益の流れ
価値提案の対価として獲得する金銭的な価値
・コスト構造
ビジネスモデルを運営する上で負担しなければならない金銭的なコスト
以上の9つがビジネスモデルを作成するうえで必要となる要素です。ビジネスモデルキャンパスをうまく活用すれば、ビジネスモデルの原動力に関する仮説を立てたり、成功しているビジネスモデルの検証を行うこともできます。
ビジネスモデル・イノベーションをシステマティックに考える
ビジネスモデルのイノベーションは、顧客に新しい価値を与えると同時に継続的に金銭的な価値を得るための仕組みをつくることであって、いわゆる「発明」とは異なります。
また、ビジネスモデルのイノベーションは、一握りの天才の頭の中から突然ひらめくといったものではなく、それを理解する組織によるシステマティックな思考法であると最近の多くのビジネスモデルの専門家達によって言及されています。Apple創業者であるスティーブ・ジョブス氏の言葉を借りれば、「創造力とは、いろいろなものをつなぐ力である」となります。
ビジネスモデル まとめ
ビジネスモデルは、4つの大きな柱から構成されていることがわかりました。
「顧客は誰か?(Who)」「何の価値を提供するのか?(What)」「どのようにその価値を生成/提供するのか?(How)」「なぜそれが利益を生み出すのか?(Why)」ですね。
このビジネスモデルの考え方から、ビジネスモデルキャンパスをうまく活用することで、ビジネスモデルの原動力に関する仮説を立てたり、成功しているビジネスモデルの検証を行うことができる、というこです。
———————————————
◎この記事を書いた人:上岡正明
———————————————
MBA(多摩大学院経営情報工学修了)
一般社団法人日本脳科学認知協会 理事、一般社団法人小児発達心理学学会 理事
株式会社フロンティアコンサルティング代表取締役
27歳でPR戦略、新事業開発のコンサルティング会社を設立。現在まで約20年間、実業家として3社のグループ会社を経営。
これまで、三井物産、SONY、三菱鉛筆など200社以上の広報支援、スウェーデン大使館やドバイ政府観光局などの国際観光誘致イベントなどを行う。また、大学院にてMBA(情報工学)修了。海外大学外部機関にて認知脳科学と神経心理学を研究、東京都公社や全国の大学で講演。それらは常に人気を博し、2ヶ月先まで予約が取れないこともある。
また、日本を代表するテレビ放送作家、脚本家としても活躍。「スーパーJチャンネル」「めざましテレビ」「ワールドビジネスサテライト」「タモリのスーパーボキャブラ天国」など人気番組、脚本家として日本テレビ系列のドラマ「ストーリーランド」を手掛ける。ビジネス作家としてはダイヤモンド社、朝日新聞出版社、総合法令出版、アスコムなどから8冊の著書を上梓。中国、台湾で翻訳本が出版され、シリーズ累計55万部。所属学会として日本神経心理学会、日本行動心理学学会、行動経済学学会、一般社団法人日本行動分析学会、一般社団法人日本脳科学認知学会、一般社団法人小児発達心理学学会などがある。
【この記事を執筆した上岡正明の主なメディア露出実績(外部リンク)】
・上岡正明が特集された東洋経済オンラインの記事
・6000万人にクチコミを広げた事例を紹介する朝日新聞メディアの記事
・戦略PRについて語る戦略経営者の特集記事
・上岡正明の週刊ダイヤモンドの記事一覧
・多摩大学院公式サイトでベストセラー作家のMBA卒業生として紹介されました