広報・PRの必須アイテムであるメディアリストを作るメリットと5つの作成ステップ
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2025.08.05

広報・PRの必須アイテムであるメディアリストを作るメリットと5つの作成ステップ

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この記事では広報・PR担当者の皆さんに向けて、メディアリストを作るためのステップなどに関して解説していきます。

「そもそもメディアリストとは?」という段階の方から、「メディアリストの重要性はわかるものの作り方がわからない」という広報・PR担当者にまでおすすめできる内容となっています。

本記事では、メディアリストの概要、メディアリストを作るメリット、そしてメディアリストを作るためのステップなどについてお伝えしますので、ぜひ参考にしてください。

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メディアリストとは?

メディアリストとは言わば「プレスリリースなどで情報を届ける際の送付先リスト」です。普段の生活で例えるなら、個人が持っているアドレス帳などと役割はほぼ同じ。アドレス帳がないと毎回連絡したい相手の連絡先を調べなければなりませんが、アドレス帳があればその手間は省けますよね。

メディアリストについてもそれと同じことが言えますが、個人のアドレス帳に比べるとさらにメリットがあります。

広報・PR担当者がメディアリストを作ることの3つのメリット

広報・PR担当者がメディアリストを作ることには主に以下のメリットがあります。

  • プレスリリースの送付先などを絞るのが楽になる
  • 災害時など「メディアに緊急連絡したいとき」にスムーズに対応できる
  • 広報・PR活動の属人化を防ぐことができる

特に広報・PR部署は比較的クローズドになりやすいため、「全部この人に委ねられている」「この人でないとわからない」という状態になる傾向にあります(属人化)。しかし、メディアリストがあれば誰でも連絡先(などの情報)がわかるので属人化を防ぎやすくなります。

メディアリストに含めるべき項目

メディアリストに含めるべき項目は以下の通りです。他にも必要そうな情報があれば、もちろん別に項目を作って構いません。リスト化がある程度進んでから項目を作るのは意外と難しいので、「項目を作ったもののあまり使わない」のはOKと考えましょう。

  • メディアの種類:新聞、雑誌、テレビなどの大枠
  • メディアのジャンル:全国紙、地方紙、専門新聞など
  • メディア名:正式名称を書く。インターネットメディアがあるならURLも
  • 狙いたいコーナー名:メディア名からさらに絞り込んで「載せたいコーナー名」まで書いておくと後が楽
  • 会社名:正式名称を書く。フリーランスの場合はそのように書く
  • 部署名:「○○支局」「○○局経済部」など。
  • 担当者名:個人名(記者名)の場合もあれば、「プレスリリース受付窓口」「コーナー担当」などの場合も
  • 担当者の経歴:過去に関わってきたメディアや業務内容、主に扱ってきた記事や番組のジャンル
  • 連絡先:住所、固定電話番号、携帯電話番号、ファックス番号、メールアドレスなど
  • SNS系:X(Twitter)、Instagram、FacebookなどのアカウントURL
  • コンタクト歴:プレスリリース送付歴、企画提案歴、情報提供歴など。後で何も知らない人が見てもおおまかにわかるように
  • 掲載歴:そのメディア・メディア関係者が掲載・報道してくれた履歴
  • 取材歴:そのメディア・メディア関係者が取材してくれた履歴(特に質問されたこと、反応が良かったことなど)

広報・PR担当者がメディアリストを作るための5ステップ

それではメディアリストを作るためのステップを紹介していきますので、広報・PR担当者の皆さんはぜひ参考にしてください。途方もない作業のように思えるかもしれませんが順序良く取り組めば意外とスムーズに進みますし、メディアリストを作る過程で得るものもあります。

ステップ①:自社の強みや特徴を改めて言語化する

広報・PR担当者として、日頃自社の強みや特徴を「なんとなく」は感じていると思いますが、それを改めて言語化しましょう。やり方は主に以下の通り。

  • 自社の商品やサービスをリストアップし、ユニークな部分を整理する
  • 自社のデータから特に人気のある商品やサービスを洗い出して強みを整理する
  • 競合他社のデータなどを調べて、業界におけるシェア率が高い商品やサービスを洗い出す
  • 現在の社会課題をリストアップして、特に「自社が課題解決に貢献できる分野」を洗い出す
  • アンケート調査結果やユーザーの声なども参考にする(特に後者については偏りに注意する)

「なんとなく」で言語化しないように、できる限り厳密に調べることが大事です。

ステップ②:自社が提供できる価値を整理する

ステップ1で自社の情報発信の「軸」を定めたので、このステップ2で「自社が具体的に提供できる価値」をさらに整理します。これはプレスリリースなどを送られたメディア関係者も特にしっかりチェックする部分なので覚えておきましょう。

「提供できる価値」について整理するにあたっての具体的なポイントは、「誰の」「どのような悩み・ニーズを」「どのように解決・改善できるか」を整理することにあります。具体的には例えば以下の通り。

  • 食事制限をしないでダイエットしたい20~30代女性の
  • できれば運動もあまりしたくないという悩みを
  • 「低カロリーでお腹にたまりやすいダイエット食品を提供する」という方法で解決・改善できる

これらももちろん「大枠」でしかないので、例えば「なぜ食事制限をしたくないのか」、「年収はどうか」、「なぜ運動したくないのか」、「ダイエット食品でどの程度空腹がおさまるのか」などと詰めていくことをおすすめします。

ステップ③:自社が提供できる価値や情報とマッチするメディアを洗い出す

情報をある程度整理できたら、自社が提供できる価値や情報とマッチするメディアを洗い出していきましょう。例えば、「美容雑誌だから、美容系の情報はなんでも欲しがるはず」ということはないので気を付けてください。もっと細かく考える必要があります。

洗い出しの手順は基本的に以下の通り。

✅手順①:まずは自社のジャンルに関係するメディアをリストアップする

まずは自社のジャンルに関係するメディアをリストアップしましょう。例えば美容品を売り出している会社なら、美容系の専門新聞、美容雑誌、美容系のインターネットメディア、美容系商品が紹介されるコーナーがあるテレビ番組など。

✅手順②:バックナンバーや見逃し配信などを確認して「マッチしそうな気がする」ならキープ

バックナンバー(できれば3号分以上)やテレビ番組の見逃し配信をチェックして、「マッチしそうな気がする」と感じられるレベルならひとまずキープしましょう。言うまでもなく大変な作業ですが、広報・PR部署にとって重要な業務ですから時間をかけて構いません。

✅手順③:さらに絞り込む|コーナー単位で絞り込んでおくと後が楽

「マッチしそうな気がする」だったものをさらに絞り込みましょう。先ほども触れましたが、この際、雑誌名、番組名などの大きな括りではなく、コーナー単位で絞り込んでおくと後が楽です(媒体名とコーナー名を記録する)。

ステップ④:リスト化を進める

メディアの絞り込みができたらリスト化を進めましょう。先ほど紹介した項目を参考に、「何も知らない新人が見てもおおかまにわかるレベル」を目指して整理することをおすすめします。

ステップ⑤:何か変更・追加があればその都度調整する|定期的なブラッシュアップもする

メディアリストに「完成」はありません。新しいメディアを追加したり、既存のメディアの情報を変更・追加したりする場面もたびたびあるはずです。「更新が面倒」などとは考えず、絶対にすぐに手を加えましょう。そうでないと後で大変な思いをすることになります。

さらに「都度調整」とは別に、定期的なブラッシュアップを行いましょう。これを怠ると、数ヶ月~数年チェックしていないメディアの情報の変更に気付かない可能性があるためです。

ブラッシュアップ作業を行うにあたってどうしても不明な項目が出てきた場合は、それも「保留」として記録しておき、必要に応じてたびたび調べてみることをおすすめします(さすがに優先してリソースを割くべき部分でもないので余裕があるときだけで十分です)。

メディアリストを作る手順をしっかりと押さえて有効活用しよう(まとめ)

広報・PR部署がメディアリストを作っておくと、それ以降かなり役立つ・手間が減るので、時間をかけてでもしっかりと作成することをおすすめします。その間、他の広報・PR業務が滞るかもしれませんが、それでもリソースが許す限りはメディアリストを仕上げたいところです。

ただ、メディアリストに「完成」の概念はありません。常に新しいメディアの開拓も考えるべきですし、既存のメディアに関してなんらかの変更・追加をすることも少なくありません。いずれにしても柔軟に考えていただければと思います。

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執筆者・監修者
上岡正明
経済記者・経済コメンテーター
戦略PRプランナー・著書26冊累計105万部のビジネス作家
登録者30万人のYoutuber
上岡正明

MBA(経営学博士前期課程修了)
多摩大学客員講師(18,19)
帝塚山大学客員講師(19)
登録者30万人のビジネス系YouTube

「スーパーJチャンネル」「めざましテレビ」「王様のブランチ」「クイズミリオネア」等の元放送作家。日本を代表するPR戦略の専門家で、企業広報のスペシャリスト。未上場から上場企業まで戦略PRを手掛けたクライアントは300社以上。

広報ブランディング、新規事業構築、外資系企業の国内イベント、海外プロモーション支援のコンサルティング会社代表。現在まで約20年間、実業家として会社を経営。これまでに三井物産、SONY、三菱鉛筆、日本瓦斯など200社以上の広報支援、スウェーデン大使館やドバイ政府観光局などの国際観光誘致イベントなどを行う。

代表的なコンサルティング案件としては、日本中の女性たちの心を動かした「表参道のパンケーキブーム」、1年で200万台以上を売り上げた「ふとん専用掃除機レイコップ」、世界が注目する食イベント「肉フェス」、1カ月で6000万人(日本の約半分)にバズらせた「ジャポニカ学習帳“昆虫の表紙が変わった?”」がある。

経営と並行してMBA(情報工学博士前期課程)取得。東京都中小企業振興公社講師。成蹊大学、多摩大学、帝塚山大学の客員講師。東洋経済新報社、ダイヤモンド社、朝日新聞出版社、PHP出版、総合法令出版社、アスコム社、大和出版、すばる舎、宝島社から累計21冊80万部の著書を上梓。

日本神経心理学会、日本行動心理学学会、行動経済学学会、一般社団法人日本行動分析学会、日本社会心理学会、一般社団法人日本小児心身医学会、認知神経科学会の各学会員。

日経ヴェリタス・東洋経済オンライン・ダイヤモンドオンライン・プレジデントの4大経済メディアで専門家として記事連載もおこなっております。お読みになりたい方はこちらからご覧下さい。

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