問題解決では不調和の結びつける行動ルールを策定しよう
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2021.01.06

問題解決では不調和の結びつける行動ルールを策定しよう

エリヤフ・ゴールドラット博士は、一連の「ザ・ゴール」シリーズ(ダイヤモンド社)で制約理論(TOC:ボトルネックを改善して、組織やシステムのパフォーマンス向上を実現するための理論)を紹介して有名になったという方です。

彼が好んで用いていたのが、次の言葉です。もともとは物理学者であるニュートンの言葉とされています。

「何らかの不調和が存在する場合、それは我々の認識のどこかが間違っている可能性がある。」

この考え方をマスターすれば、広報担当者やマーケティングの新人担当が、現場で問題解決したりコンサルティングするのに大いに役立つでしょう。それでは、いってみましょう!

 

不調和が存在する場合は互いの認識が間違っている

ゴールドラット博士は制約理論に代表されるオペレーショナルな問題解決だけではなくて、人間の認識の相違がもたらす問題と、その解決方法についても造詣が深く、「クラウド」と呼ばれる思考方法を編み出しました。

これはIT用語のクラウドとは異なり、「もやっとかかった雲のようなものを晴らす」という意味から来ています。

なお、クラウドは組織間の別の人々の認識の差異を分析したり、解消したりするツールとしても使えて、個人の心の中の葛藤を解消するためにも用いることが可能です。ここでは前者を例に考えていきましょう。

マーケティングや広報を含めて、ビジネスコンサルティングの現場では同じ目的、目標を共有しているのに、しばしば対立が起こります。クラウドは、その根源的な認識の差異を理解して、それを埋めていくという方法です。

まずひとつの認識としては、「会社を成長させたい」という目標に対して、「新規事業こそ成長の鍵」→「新規事業を始めるべき」とつながります。一方、別の認識としては、「会社を成長させたい」という目標に対して、「強い本業こそ成功の鍵」→「新規事業は危ないし、止めよう」とつながります。

ここに対立が生まれるわけです。しかし、どちらにも一理あるわけです。

 

それぞれの融合が難しい理由を俯瞰して考えてみる

ここで斜めにたすき掛けしてみます。

そうすると、「新規事業こそ成長の鍵」→「新規事業は危ないし、止めよう」という流れと、「強い本業こそ成功の鍵」→「新規事業を始めるべき」という2つの流れが出てきます。

その上で、それぞれの流れが難しいという理由について考えてみます。前者であれば、「理屈はわかっていても、新規事業はなかなか成功しづらいし、多くの資金を浪費しかねない」となり、後者であれば「本業だって経営資源を投下しなければ衰退してしまう。新規事業に回せるか疑問」などといった理由が出てくることでしょう。

一見、ますます混乱するように見えますが、これを解消するようなやり方の変化はないでしょうか? そこで知恵を絞ってみると、問題に対してのよりクリエイティブな案が出てきます。

 

問題を横断する1つの重要な行動ルールを定めてみる

一例として、お互いに歩み寄った案を考えました(足して2で割る式の妥協はうまくいかないことが多いので、対立から止揚/アウフヘーベンするような発想が必要です)。

今回考えたのは、1つ重要な行動ルールを定めました。

それは、「新規事業は徹底的にシナジー(範囲の経済性)にこだわる」というものです。自社の強みをしっかり見据え、それが効果を発揮する事業をしっかり選べば失敗の確率は減ることでしょう。

また、シナジーがしっかり働けば、新規事業でのノウハウや事業経済性の向上が本業にも効いてきます(例:原材料の仕入れ量が増える結果、バイイングパワーが増す)。これを徹底することで、「新規事業こそ成長の鍵」と「強い本業こそ成功の鍵」が両立するようになるのです。

今回ご紹介したお話は、あちこちの会社で起きていることです。ぜひ根源的な認識の差異に気づき、両立を図りたいものですね。

■まとめ

クラウドという組織間の別の人々の認識の差異を分析したり、解消したりするツールを使い、何らかの不調和が存在する場合のケースで、我々の認識のどこかが間違っている可能性があることを切り出し、解決することができることを知りました。


執筆者・監修者
上岡正明
経済記者・経済コメンテーター
戦略PRプランナー・著書26冊累計105万部のビジネス作家
登録者25万人のYoutuber
上岡正明

MBA(多摩大学院経営情報学修了)
テレビコメンテーター
多摩大学客員講師(18,19)
帝塚山大学客員講師(19)
登録者24万人のビジネス系YouTube

「スーパーJチャンネル」「めざましテレビ」「王様のブランチ」「クイズミリオネア」等の元放送作家。日本を代表するPR戦略の専門家で、企業広報のスペシャリスト。未上場から上場企業まで戦略PRを手掛けたクライアントは300社以上。

広報ブランディング、新規事業構築、外資系企業の国内イベント、海外プロモーション支援のコンサルティング会社代表。現在まで約20年間、実業家として会社を経営。これまでに三井物産、SONY、三菱鉛筆、日本瓦斯など200社以上の広報支援、スウェーデン大使館やドバイ政府観光局などの国際観光誘致イベントなどを行う。

代表的なコンサルティング案件としては、日本中の女性たちの心を動かした「表参道のパンケーキブーム」、1年で200万台以上を売り上げた「ふとん専用掃除機レイコップ」、世界が注目する食イベント「肉フェス」、1カ月で6000万人(日本の約半分)にバズらせた「ジャポニカ学習帳“昆虫の表紙が変わった?”」がある。

経営と並行してMBA(情報工学博士前期課程)取得。東京都中小企業振興公社講師。成蹊大学、多摩大学、帝塚山大学の客員講師。東洋経済新報社、ダイヤモンド社、朝日新聞出版社、PHP出版、総合法令出版社、アスコム社、大和出版、すばる舎、宝島社から累計21冊80万部の著書を上梓。

日本神経心理学会、日本行動心理学学会、行動経済学学会、一般社団法人日本行動分析学会、日本社会心理学会、一般社団法人日本小児心身医学会、認知神経科学会の各学会員。

日経ヴェリタス・東洋経済オンライン・ダイヤモンドオンライン・プレジデントの4大経済メディアで専門家として記事連載もおこなっております。お読みになりたい方はこちらからご覧下さい。

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