テレビ取材は勝手に舞い込んでくるの?現役放送作家で業界歴20年の広報マンが解説
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2020.08.21

テレビ取材は勝手に舞い込んでくるの?現役放送作家で業界歴20年の広報マンが解説

テレビの情報番組の企画はどのように練られているのでしょうか。
取材スタッフがあちこち駆け回って「最新の情報」を探して作っているのでしょうか。

いいえ。その認識はほぼ間違いです。実はテレビは「最新の情報」はほぼ扱いません
基本的に「すでに出回っている情報」を放送するのが現在のテレビの役割となっています。

実際、多くのテレビ番組の企画会議では、
「週刊誌や新聞の最新号をたくさん用意する→みんなでチェックする→番組内で扱う情報を決める」
という手順を踏んで、番組の内容を決めているようです。

その具体的なプロセスと対策を、現役のテレビ放送作家で累計55万部のビジネス作家の上岡正明氏にうかがいましす。

 

テレビの情報番組はどのように作られているか

これを言い換えると、テレビは「近々こんなブームが来るかもしれません!」ですとか、「少しずつ話題になってきています!」などと伝えるメディアではなく、「今、ブームになっています!」「かなり話題になっています!」と教えてくれるメディアなのですね。

番組内での言い回しによっては「最新のブームを伝えている」と錯覚する場合もありますが、「よく調べてみるとすでに話題になっている」というケースが大半です。

それでも世の中の人はありとあらゆる雑誌・週刊誌・ウェブニュースを読んでいるわけではありませんから、テレビは十分役立ちます。また、「知っていることでも、視覚的に吸収すれば印象が大きく変わる」ということもあるかもしれません。

ですから、広報担当は「じゃあ、テレビ進出なんていらないじゃん」とは考えないようにしましょう。テレビの力はいまだに絶大です。

 

広報担当がテレビ進出を勝ち取るためルート例

「いきなりテレビ進出を達成するのはほぼ不可能」というのは特にベンチャー企業の広報担当者であれば強く実感しているはずです。

しかし、先述の「テレビの特性」を理解していると、テレビ進出のための一つのルートが浮かび上がるはずです。

◎ステップ1:まずは「掲載の難易度が低いメディア」を狙う

まずはインターネットメディア、専門誌など、掲載の難易度が低いメディアでの露出を目指しましょう。媒体研究をきちんと行い、「その媒体が欲しがりそうなプレリリース」を送ることができれば、それほど難しいことではありません。

この段階では「質より量」と考えたほうがいいです。

◎ステップ2:掲載された記事・サイトなどをまとめる

テレビに売り込むときの「武器」になるので、掲載された新聞記事、雑誌記事、ウェブサイトなどをまとめましょう
(ただし、著作権等の権利には十分注意してくださいね)

ちなみにファックスでこれらを送付する場合に、新聞記事や雑誌記事を1枚1枚送ってしまうとかなりの迷惑をかけることになります。ですから、ファックス用に「1枚のメディア露出まとめ用紙」を作っておくことをおすすめします。「これは!」という記事はそのまま縮小コピーするなどしますが、優先順位が低い記事に関しては「タイトルのみ箇条書きする」という感じで構いません。

ステップ3:いざテレビに売り込みましょう!

◎ステップ3:2で解説した「武器」が完成したら、

「プレリリース+武器」をファックスしたり、アポを取って直接テレビ関係者を訪問したりします。そして、テレビ番組のディレクターなどが「このネタ、いいかも!」と思えば、上司に報告をすることになります。

恐らく上司に「勝算はあるの?」などと聞かれるわけですが、「すでにこんなにメディア露出しているんですよ!これは旬なネタですよ!早く特集しましょう!」などと言ってくれるはずです。

逆に「武器」がなければ、仮にディレクターがプレリリースを気に入ってくれたとしても、「僕は好きだけれど、全然メディア露出がないから、上司を説得できない……」と考えるはずなので、ほぼ間違いなく断られます。

 

参考:各メディアの媒体数と影響力のピラミッド

テレビほどではありませんが、他のメディアも「影響力が下位のメディアからネタを出す」ということを行っています。そこで、「各メディアの媒体数と影響力のピラミッド」と題して順番に挙げていきます。

◎1:テレビ(媒体数が最も少なく、影響力が最も大きい)

やはり一番はテレビであり、広報担当であればテレビ進出を目指したいものです。
ただ、ローカル局であれば難易度が下がります(影響力も下がります)。

◎2:新聞

次は新聞です。若い世代のなかには新聞を読んでいない人もたくさんいそうですが、それでも他のメディアに比べると圧倒的な影響力があります。

基本的には「全国紙>地方紙」ですが、地方紙にも発行部数がかなり大きいものがあるので、一概に言い切れない部分もあります。

◎3:一般向け雑誌

雑誌と言っても幅広いですが、基本的には「発行部数と影響力は比例する」と考えて大丈夫です。雑誌は多種多様ですから、「『(広報担当本人が感じる)知名度』の割に購読者数が多い雑誌」もあるので、一度各雑誌の発行部数を調べてみることをおすすめします。

◎4:ウェブメディア/専門雑誌

両者は別物ですが、媒体数と影響力のレベルが近いので同列としました。まず、専門雑誌に関しては、マニアックな情報であっても喜んで取り上げてくれる可能性があります。

ウェブメディアに関しては本当に「ピンからキリまで」という感じですが、平均すると専門雑誌と同レベルの力という印象です。大手ウェブメディアでの掲載が難しい場合は、少しマイナーなサイトから狙ってみてはいかがでしょうか。

色々な見解があるかと思いますが、「1位がテレビで2位が新聞」という構造である事はほぼ間違いありません。
しかし、それを知らずにいきなりテレビ進出を目指す広報担当が少なくありません。それではむしろ効率が悪いので、「急がば回れ」のつもりで、まずは下位メディアでの掲載を狙ってみましょう。


執筆者・監修者
上岡正明
経済記者・経済コメンテーター
戦略PRプランナー・著書26冊累計105万部のビジネス作家
登録者25万人のYoutuber
上岡正明

MBA(多摩大学院経営情報学修了)
テレビコメンテーター
多摩大学客員講師(18,19)
帝塚山大学客員講師(19)
登録者24万人のビジネス系YouTube

「スーパーJチャンネル」「めざましテレビ」「王様のブランチ」「クイズミリオネア」等の元放送作家。日本を代表するPR戦略の専門家で、企業広報のスペシャリスト。未上場から上場企業まで戦略PRを手掛けたクライアントは300社以上。

広報ブランディング、新規事業構築、外資系企業の国内イベント、海外プロモーション支援のコンサルティング会社代表。現在まで約20年間、実業家として会社を経営。これまでに三井物産、SONY、三菱鉛筆、日本瓦斯など200社以上の広報支援、スウェーデン大使館やドバイ政府観光局などの国際観光誘致イベントなどを行う。

代表的なコンサルティング案件としては、日本中の女性たちの心を動かした「表参道のパンケーキブーム」、1年で200万台以上を売り上げた「ふとん専用掃除機レイコップ」、世界が注目する食イベント「肉フェス」、1カ月で6000万人(日本の約半分)にバズらせた「ジャポニカ学習帳“昆虫の表紙が変わった?”」がある。

経営と並行してMBA(情報工学博士前期課程)取得。東京都中小企業振興公社講師。成蹊大学、多摩大学、帝塚山大学の客員講師。東洋経済新報社、ダイヤモンド社、朝日新聞出版社、PHP出版、総合法令出版社、アスコム社、大和出版、すばる舎、宝島社から累計21冊80万部の著書を上梓。

日本神経心理学会、日本行動心理学学会、行動経済学学会、一般社団法人日本行動分析学会、日本社会心理学会、一般社団法人日本小児心身医学会、認知神経科学会の各学会員。

日経ヴェリタス・東洋経済オンライン・ダイヤモンドオンライン・プレジデントの4大経済メディアで専門家として記事連載もおこなっております。お読みになりたい方はこちらからご覧下さい。

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