【決定版】バズって拡散する動画のコツは?地方自治体のPR動画と成功事例も徹底解説
コラム
動画PR・YouTube
2020.06.24

【決定版】バズって拡散する動画のコツは?地方自治体のPR動画と成功事例も徹底解説

PR動画とは商品やサービスを宣伝するというよりも、企業・団体が生活者に対して関係性を構築するために作成された動画を指します。

生活者がますます情報の取捨選択がうまくなっていくと、ただの宣伝では相手にされなくなっています。そのため、新しい広報やマーケティングとして注目を浴びているのがPR動画なのです。

そこで今回はPR動画を作ってみたい・以前作ったことがあるけどもイマイチのものしかできなかったとお考えの方に、PR動画作成のコツおよび、成功事例を解説していきます。

そもそも、PR動画とは?

動画メディアを楽しむ人

PRとはパブリックリレーションズのこと。20世紀の初頭のアメリカが起点となっており、団体・組織と生活者などが良好な関係を作りだすために考え出された行動でのあり方です。

日本には戦後、PRという考えが導入されましたが、民間で「PR」という言葉は宣伝というニュアンスで使われていますが、本来はもっと大きい枠組みで使われている言葉です。PRはいろいろなカタチで生活者に対して行われることになりましたが、動画が手軽に作成できることになったことにより、近年注目されている方法です。

 

中小企業や地方自治体がPR動画を活用するメリットとは

PR動画は、いままでのPR手法よりもメリットと考えられる要素が3つあります。

・多くの情報を伝えることができる
・生活者の記憶に残りやすい
・ストーリーにしやすい

順に説明していきます。

●多くの情報を伝えることができる

テキストや画像だけの情報よりも動画は圧倒的な情報量を伝えることができます。人によっては5,000倍以上の差があるという人もいるくらいです。ほんの少しの顔の表情が変わっただけで人は、なにがあったかということを認識します。この情報を伝えるだけでもテキストだけの場合は、伝えるのに大量の文字を必要としたり読む人にとっては認識できなかったりします。その点、動画になると理解できる対象者は増え、変化を感じやすくなるのです。

●生活者の記憶に残りやすい

人はテキストを記憶しようとしても20分後になると42%、1時間後には56%を忘れるといいます。一方、音声と映像が組み合わさる動画は、テキストだけで構成されているコンテンツに比べて2倍以上、人の記憶に残りやすいと言われています。

●ストーリーにしやすい

PRを生活者との間で行う際、従来よりストーリーを重視してきました。商品・サービスの宣伝とは違い、PRという生活者とのコミュニケーションにおいてはストーリーという属人的要素が強く影響を及ぼします。スタンフォード大学の研究によると、事実や数字を並べるよりもストーリーがあることによって人の記憶の残りやすさが最大22倍にもなることが分かっています。

ストーリーの本質は「自分にとって必要な情報」だと認識してもらいやすいことです。自分に関係があると思いやすいのであれば、関心を持ちやすくなり、好感も感じやすくなります。生活者に好きになってもらう方法の1つがストーリーであり、最適化する一つの方法がPR動画なのです。

 

PR動画が発信力の弱い中小企業や自治体に求められている理由

近年、PR動画に注目しているのが地方自治体です。というのも、総務省が自治体のPR動画に対して財政措置を行っているためです。「移住・定住対策に要する経費に対する財政措置」という項目に、移住促進のための「全国移住ナビ」に登録するためのPR動画作成も含まれています。つまり予算がおりるので何か作らなきゃとなっているわけです。

また、PR動画は一度作ることができればずっと使うことができます。長い目で見れば、非常に効果が高い施作のひとつと言えます。

 

PR動画を作る5つのポイント

ここではPR動画の作り方のコツを5つお伝えしていきます。

・目的を設定する
・対象者を設定する
・ストーリーで伝える
・ユーモアや話題性などを絡めて記憶に残りやすいものを意識する
・拡散してもらえるような仕掛けを作る

1.目的を設定する

まずは何のために作成するのかを明確にします。

・単純に動画を視聴してもらうことが目的
・話題になることが目的
・問い合わせをしてもらうことが目的
・住民など内部の人へのイメージアップが目的

目的がなにかということを整理しておかないと、情報を盛り込みすぎてしまい視聴者側からすると結局何を伝えたかったのか分からなくなります。

そのためにも制作する前にどういう目的で動画を作るのかということを明確にしておきましょう。撮影や修正段階ではもう取り返しがききませんし、目的が売り上げなどの金額でないPRであればなおさらあやふやになりがちなところですので明確にしておく必要があります。

2.対象者を設定する

PR動画を誰に伝えたいかでも内容が変わってきます。そのためにも、あなたが最も訴求したい対象を明確にする必要があります。もちろん、目的によって対象者の範囲が決まっていきます。移住したい人向けと、観光に行きたい人向けでも内容が変わってきます。

3.ストーリーで伝える

動画の良いところはストーリーで伝えやすいということです。テキストや画像だけでは伝わりにくい部分を動画にすることによってストーリー仕立てにしやすくなります。できるだけ視聴者の印象に残りやすくするためにもストーリーで伝えることを意識します。

4.ユーモアや話題性などを絡めて記憶に残りやすいものを意識する

自治体が作成するPR動画の場合、どうしても自治体の名所・特産物・人などが登場することが多く、切り口としてユーモアという選択をすることが多いように見受けられます。話題性が全てではありませんが、話題にもならないとすると自治体のPR担当者からすれば評価してもらいづらいということもあり、必然的にユーモアや話題性のあるものに寄る傾向にありそうです。

5.拡散してもらえるような仕掛けを作る

前項にも関わる部分ではありますが、より多くの生活者に視聴してもらいたいと考えるのであれば、動画を作って終わりなのではなく拡散する仕掛けを作るとよいでしょう。

・なにかしらのコンテストに応募する
・SNS媒体と紐づける
・PR動画のPR担当者が個性的でマスコミ受けをする

など、事前に準備できることがあれば対策をしておくと有効です。

 

【決定版】面白くて人気がある地方自治体PR動画10選

●愛知県南知多町

南知多町が作成した動画『みなみちたのうた」は、全国移住ナビの市町村プロモーション動画ランキングで1位に選ばれました。ダンスがベースになっている動画には、町長をはじめ様々な人が参加。町ぐるみで作り上げたといった手作り感がある動画が評価されている一つかもしれません。この動画のおかげもあって、南知多町が公開している交流・移住・定住ポータルサイトへアクセスが流れ込んでいるせいか、動画が公開されてから移住に関しての問い合わせも増えているようです。

●愛媛県松山市

オリジナルアニメーションを作成したのは松山市。ワンダーランドな松山を舞台に、2人の少年と女子高生が松山に眠るとされる7つの秘宝を探す冒険をくりだします。道後温泉や松山城などの観光名所や、鍋焼きうどん、三津浜焼きなどのご当地料理も登場します。字幕も英語、ドイツ語、フランス語、韓国語、中国語などの多様な言語に対応しており、世界中の人が楽しめる配慮がなされています。国際的な賞も受賞していて評価が高いPR動画になっています。

●千葉県印西市

印西とインドの漢字である印度にかけて作成された、インド映画テイストのPR動画です。ベースに流れている音楽やオーバーな展開の仕方もインド映画そのもの。恋愛も匂わせるシーンもあり、一見地方自治体のPRとは思えない意外さを演出しています。好奇心を満たすだけでなく、すみやすさナンバー1の都市という評価をしっかりと伝えており、移住促進にも一役買っているようです。

●山梨県小菅村

人口が700人しかいない小菅村が作成したPR動画は、アメリカのゾンビ番組をモチーフとした『KOSUGEMURA OF THE DEAD』。ソンビゲームを実況するユーチュバー目線で話がすすんでいきます。わずか150万円の予算でつくられた動画ではありますが、村民総出で出演、村長はバグった(おかしい動きをしている)キャラクターとして登場します。興味を引く内容で、笑いもあり終わってみると小菅村のPRになっていて、「続きは小菅村で」という表示が。実際700人しかいないこの村に、県内外合わせて3000人も訪れたということですので大成功なのではないでしょうか。

●長野県小諸市

圧倒的な格安な費用でPR動画を作成したのが小諸市です。制作費はなんと9500円。職員が総出で作成したこのPR動画はシンプルなストーリーながら、視聴者に伝えたい内容をしっかりと押さえています。小諸市のキャラクターの着ぐるみには市長自らが入り、熱演している姿は必見です。
どうしても外注をすると高額になってしまう。税金を使うとなると簡単に使うわけにはいかない、そこで自分たちで作りあげようという流れになったそうです。結果的に海外からの視察なども増え、手応えを掴んでいるようです。

●自治体PR動画の大部分はほとんど見られていない

自治体PR動画を作成している市町村は多いのですが、ほとんどの自治体のPR動画はみられてないようです。ある研究所の調査によると、PR動画の再生数が1000回未満のものが半分以上とのこと。

多額の予算がつけられていたとしても、視聴されたかどうかというのは別問題のようです。ぜひ、あなたなりの対策方法を見つけていただきたいと思います。


執筆者・監修者
上岡正明
経済記者・経済コメンテーター
戦略PRプランナー・著書26冊累計105万部のビジネス作家
登録者25万人のYoutuber
上岡正明

MBA(多摩大学院経営情報学修了)
テレビコメンテーター
多摩大学客員講師(18,19)
帝塚山大学客員講師(19)
登録者24万人のビジネス系YouTube

「スーパーJチャンネル」「めざましテレビ」「王様のブランチ」「クイズミリオネア」等の元放送作家。日本を代表するPR戦略の専門家で、企業広報のスペシャリスト。未上場から上場企業まで戦略PRを手掛けたクライアントは300社以上。

広報ブランディング、新規事業構築、外資系企業の国内イベント、海外プロモーション支援のコンサルティング会社代表。現在まで約20年間、実業家として会社を経営。これまでに三井物産、SONY、三菱鉛筆、日本瓦斯など200社以上の広報支援、スウェーデン大使館やドバイ政府観光局などの国際観光誘致イベントなどを行う。

代表的なコンサルティング案件としては、日本中の女性たちの心を動かした「表参道のパンケーキブーム」、1年で200万台以上を売り上げた「ふとん専用掃除機レイコップ」、世界が注目する食イベント「肉フェス」、1カ月で6000万人(日本の約半分)にバズらせた「ジャポニカ学習帳“昆虫の表紙が変わった?”」がある。

経営と並行してMBA(情報工学博士前期課程)取得。東京都中小企業振興公社講師。成蹊大学、多摩大学、帝塚山大学の客員講師。東洋経済新報社、ダイヤモンド社、朝日新聞出版社、PHP出版、総合法令出版社、アスコム社、大和出版、すばる舎、宝島社から累計21冊80万部の著書を上梓。

日本神経心理学会、日本行動心理学学会、行動経済学学会、一般社団法人日本行動分析学会、日本社会心理学会、一般社団法人日本小児心身医学会、認知神経科学会の各学会員。

日経ヴェリタス・東洋経済オンライン・ダイヤモンドオンライン・プレジデントの4大経済メディアで専門家として記事連載もおこなっております。お読みになりたい方はこちらからご覧下さい。

①:東洋経済オンラインでの連載記事
②:ダイヤモンドオンラインでの連載記事
③:プレジデントでの連載記事
④:日本経済新聞での連載記事