広報PRにYouTubeを導入するメリットデメリットと動画制作の10のポイント
コラム
動画PR・YouTube
2020.05.20

広報PRにYouTubeを導入するメリットデメリットと動画制作の10のポイント

広報PRにおいて、動画の重要性は近年言われるようになってきました。
最初に注目を浴びたのはプレスリリースに動画を添付するというスタイルです。「従来の文字だけのプレスリリースよりも効果が出る」というデータがでてきたことで、アメリカ企業では動画添付は標準なものになりつつあります。

その動画付きプレスリリースの次に広報担当が意識することと言えば、生活者との関係を作る顧客リレーションにあると私は考えています。

その時に活用できるのが、今回取り上げるYouTubeです。YouTubeはご存知のとおり、動画のプラットフォームでナンバー1の動画量を誇ります。そのため、他の動画プラットフォームよりも有効利用できるシーンが多いのです。今回はYouTubeをいかに広報PRに活用するのかを解説していきます。

YouTubeの驚くべき市場成長

Youtubeの成長性_右肩上がりのグラフ

動画プラットフォームナンバー1であるYouTubeは年々成長を遂げています。

◆テレビを超える日も遠くない?

それは動画広告が年々伸びていることからも分かります。2017年に1374億円だった動画広告市場が、2020年には2900億円と僅か3年余りで2倍にも伸びる見込みです。

動画広告の金額が伸びるためには、広告出稿する会社や金額が増える必要があります。動画広告は経済的に価値があると認識されることで出稿が増えているわけです。YouTubeという媒体は、今世界で多くの人が見る媒体の1つになっており、その注目度は日に日に増しています。

◆広報YouTube動画の種類

広報が果たす役割は直接的な販売につながるものでなく、どちらかというと生活者との関係性を重視することです。そのために生活者が受け入れやすい種類の動画を作成する必要があります。

 

YouTube広報のメリットデメリット

Youtubeのメリット訴求のイメージ

成長著しいYouTubeを使うことによる、YouTube広報は2つのメリットがあります。

・記者、メディア担当者、インフルエンサーから拡散してもらう
・プラットフォーム(YouTube)に取り上げてもらう

◆記者、メディア担当者、インフルエンサーから拡散してもらう

拡散機能を持っているキーマンに見つけてもらい、動画を拡散してもらうというやり方です。方法は大きく分けて2つあります。

・プレスリリースにYouTube動画を添付する
・他のSNSとの組み合わせる

◎プレスリリースにYouTube動画を添付する

プレスリリースにYouTube動画を添付して、記者やメディア担当者に送るというやり方です。前述しましたが、プレスリリースに動画を添付する方法は効果があるというデータがアメリカにはあるようです。そして、プレスリリースが採用されて記事になった場合、YouTube動画がそのまま使われることもあります。

なぜなら、内容は文章であればメディア側で修正することがあっても、動画まで修正することはありませんのでそのまま引用されるというわけです。
その引用された動画を、拡散能力のあるインフルエンサーが見つけてさまざまなSNSを通して拡散してくれるという行為が起きることがあります。

◎他のSNSと組み合わせる

YouTubeとFacebook、YouTubeとTwitter等と組み合わせることによって情報の拡散を行います。

この場合も拡散能力があるインフルエンサーの目にとまれば、思いもよらぬ方向に情報が拡がっていくこともあります。この時に必要なのは自社の他のSNS媒体です。SNS発信は時として大きいうねりとなってムーブメントを起こすことがあります。そのためにも常時他のSNS媒体を育てるという行為が必要になってきます。

◆プラットフォーム(YouTube)に取り上げてもらう

前述したやり方はどちらかというと影響力のあるメディアやインフルエンサーにとりあげてもらうことを意識したやり方でした。こちらは他人によって評価が決められてしまうと言ってもよいでしょう。

一方、今回とり上げる方法はYouTubeのプラットフォームの中で人気になり、YouTubeに露出してもらうやり方です。こちらはプラットフォームであるYouTubeと視聴者に影響を受けます。

 

YouTube広報動画作成する10のポイント

Youtubeの分析データのイメージ

YouTubeに露出してもらうためには、良質の動画の作成とYouTubeのアルゴリズムを理解する必要があります。今回は10個のポイントで解説していきます。

・ある程度のコンセプトを決めておく
・動画のタイトルは重要
・サムネイルを意識する
・最初の5秒が大事
・再生回数は目安程度に
・顔の露出を試みる
・カメラと同じ目線にする
・講義のようにきれいに映らない
・チャンネル登録の獲得を目指す
・動画の本数は必要

◆ある程度のコンセプトを決めておく

YouTube内でそれなりに視聴してもらうためには、視聴者にとってどのようなチャンネルなのかということが分かる方が好ましいといえます。会社・団体として代表の人が画面に登場するのか、一社員を立てるのか、漫画形式にするのかなどさまざまな表現方法が考えられます。また誰に対して何を伝えるのかというコンセプト決めておきます。コンセプトを決めないと、それ以降のすべての行動が変わってしまいますので、仮でもいいので決めておきましょう。

◆動画のタイトルは重要

検索されたいワードがあるのであれば、動画のタイトルに検索ワードを組み込んだ方が視聴さえやすくなります。ぜひ記載しましょう。またあえて検索されるようなワードを組み込まずにするやり方もあります。自社と生活者との関係性や内容によってタイトルのテイストは変化します。踏み込み方が良く分からない場合は、無難なタイトル設定からしてみると良いでしょう。

◆サムネイルを意識する

YouTubeで動画を見る際に視聴者が気になるポイントはサムネイルです。そのため、サムネイルの設定はしっかりと行います。設定をしないと、動画の再生途中の一コマの画像になってしまい、中途半端感がでてしまいます。

その上でサムネイルの画像の選定ですが、こちらもコンセプト及び生活者との関係性によって決まってくるでしょう。基本的に考えられる画像は、なにかしらの画像をセレクトしたもの、さまざまな画像を編集して一枚の画像にしたもの、画像に文字を加えたものなどが考えられます。

サムネイルは後でからでも修正可能ですので、反応を見ながら変えてみてもよいでしょう。

◆最初の5秒が大事

YouTube動画は最初の5秒が大事と言われます。なぜかというと、視聴者は最初の5秒で見るかどうか決めてしまうからです。そのため、最初の5秒をいかに惹きつけるかということが重要になります。そのためには「掴み」を入れる必要があります。

「企業が運営する動画だからユーチューバーと違う」と思う広報担当者もいるかもしれません。しかし、ほとんどの企業の動画は最初の5秒を工夫していないことがほとんどですので、少し工夫しただけでも「この企業の動画は面白い」と思ってもらえる可能性が高まります。

例えば、最初にすこし意外性のあるテロップをいれてみたり、音を入れてみたりするだけでも反応は変わってきます。その企業特有の言い回しなどで喋ってみても面白いかもしれません。動画が品位に関わらない程度に工夫してみる余地があるポイントが、最初の5秒の掴みです。

◆再生回数は目安程度に

動画をアップロードしたとしても、それほど再生回数が増えないというのは良くあることです。もともとチャンネル登録者がいて、他のSNSなどで宣伝できれば話は別ですが開設当初は再生回数が増えないのは普通ですので、落ち着いて行動をしていきます。

◆顔の露出を試みる

YouTubeにおいて人間が登場すると安心感があるのは確かです。しかし、登場する人物が視聴者からみて不適切と思われてしまうのであれば登場しない方がいいですし、登場させるとしても違う人を登場させた方が良いこともあります。
一般的に男性よりも女性・子供のほうが視聴者の反応は良くなります。

◆カメラと同じ目線にする

撮影をする際にカメラと同じ目線にします。上でも下でも不自然になってしまうからです。ついつい忘れがちなことですので、後になって発覚して撮り直しということがあります。試し撮りを必ず行い設定を確認してから撮影に臨んでください。

◆講義のようにきれいに映らない

動画の内容が講義のようにきっちりしすぎていると、視聴者側は窮屈と思う時があるようです。もちろん、動画の内容としてキッチリする必要はあるかもしれませんが、一般的に動画を視聴しに来る人達は暇つぶしに来ています。内容をあまり固くしないほうが良い時もあります。

◆チャンネル登録の獲得を目指す

動画が良いと思って、また発信者の動画を見たいと思った時に視聴者はチャンネル登録を押します。つまりチャンネル登録者数は、そのチャンネルに価値があるのかどうかのバロメーターなのです。そのためにも、チャンネル登録者数の推移は注視すべき内容です。動画作成の目的が生活者とのリレーションなのだとしたら、チャンネル登録者数でプロジェクトの成否を判断してもよいかもしれません。

◆動画の本数は必要

もし、自社の動画のチャンネルの知名度を上げようと思うのであれば、ある程度の動画の本数は必要です。なぜなら、ある程度動画を作ってみないと、どういう動画が視聴者にとって反応が良いのかわからないからです。そのため最初の予算の段階で、ある程度の動画作成を見込んでからスタートするほうがスムーズです。

動画の本数を増やせないのであれば作った動画を広告にして流して様子を見るということも考えられます。広告は何もうるだけではなく、知名度を上げるためにも使うことができます。広告のため最初からたくさん視聴されるおかげで、どこが良くてどこが悪いのかというデータを入手することができます。

 

まとめ

今回は広報がYouTubeを使うメリットと運用のポイントをお伝えしてきました。

・プレスリリースで動画を添付
・動画をインフルエンサーに取り上げてもらう
・YouTubeの中で知名度を上げる

上から下にかけて難易度があがっていきます。まだまだ広報のYouTube活用は始まったばかり。まずはできるところから始めていくのがポイントです。


執筆者・監修者
上岡正明
経済記者・経済コメンテーター
戦略PRプランナー・著書26冊累計105万部のビジネス作家
登録者25万人のYoutuber
上岡正明

MBA(多摩大学院経営情報学修了)
テレビコメンテーター
多摩大学客員講師(18,19)
帝塚山大学客員講師(19)
登録者24万人のビジネス系YouTube

「スーパーJチャンネル」「めざましテレビ」「王様のブランチ」「クイズミリオネア」等の元放送作家。日本を代表するPR戦略の専門家で、企業広報のスペシャリスト。未上場から上場企業まで戦略PRを手掛けたクライアントは300社以上。

広報ブランディング、新規事業構築、外資系企業の国内イベント、海外プロモーション支援のコンサルティング会社代表。現在まで約20年間、実業家として会社を経営。これまでに三井物産、SONY、三菱鉛筆、日本瓦斯など200社以上の広報支援、スウェーデン大使館やドバイ政府観光局などの国際観光誘致イベントなどを行う。

代表的なコンサルティング案件としては、日本中の女性たちの心を動かした「表参道のパンケーキブーム」、1年で200万台以上を売り上げた「ふとん専用掃除機レイコップ」、世界が注目する食イベント「肉フェス」、1カ月で6000万人(日本の約半分)にバズらせた「ジャポニカ学習帳“昆虫の表紙が変わった?”」がある。

経営と並行してMBA(情報工学博士前期課程)取得。東京都中小企業振興公社講師。成蹊大学、多摩大学、帝塚山大学の客員講師。東洋経済新報社、ダイヤモンド社、朝日新聞出版社、PHP出版、総合法令出版社、アスコム社、大和出版、すばる舎、宝島社から累計21冊80万部の著書を上梓。

日本神経心理学会、日本行動心理学学会、行動経済学学会、一般社団法人日本行動分析学会、日本社会心理学会、一般社団法人日本小児心身医学会、認知神経科学会の各学会員。

日経ヴェリタス・東洋経済オンライン・ダイヤモンドオンライン・プレジデントの4大経済メディアで専門家として記事連載もおこなっております。お読みになりたい方はこちらからご覧下さい。

①:東洋経済オンラインでの連載記事
②:ダイヤモンドオンラインでの連載記事
③:プレジデントでの連載記事
④:日本経済新聞での連載記事