プレスリリースの価値をグンと高めるストーリー作りのポイント6選
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2025.06.17

プレスリリースの価値をグンと高めるストーリー作りのポイント6選

➡記事を書いた人:Youtube登録者30万人【MBA保有の現役記者】上岡正明プロフィール

この記事では広報・PR担当者の皆さんに向けて、プレスリリースの価値を高めるためのストーリー作りのポイントなどについてお伝えしていきます。

「そもそもプレスリリースにストーリーは必要なのだろうか」という方から、「ストーリー作りのコツを知りたい」という広報・PR担当者にまでおすすめできる内容となっています。

本記事では、「ストーリー」の概要、プレスリリースにおいてストーリーが重要である理由、そしてストーリー作りのポイントなどに関して解説しますので、ぜひ参考にしてください。

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プレスリリースの「ストーリー戦略」とは?

広報・PRやマーケティングにおける「ストーリー」とは、商品開発のきっかけ、商品にどのような想いを込めたか、商品をどのような人に使ってほしいか、商品によって何を解決してほしいか、などの文字通り「ストーリー的なもの」のこと言います。

逆に例えば「売上を伸ばしたい」は物語的ではないので基本的にストーリーではありません(第三者が見て、プラスの方向に心が動くような売上を伸ばしたい理由がある場合を除く)。

広報・PR上のプレスリリースにストーリーを盛り込むことが重要である3つの理由

それではプレスリリースにストーリーを盛り込むことが大切である理由をいくつか紹介していきますので、広報・PR担当者の皆さんはぜひ参考にしてください。

理由①:極端に言えばどのようなモノもサービスも大差がない時代だから

モノやサービスに溢れ変えり、技術が全体的に進歩し、情報網も爆発的に進歩して「革新的なサービス」にも他社・他者がすぐに追い付きやすい時代になりました。そのため、あえて極端な言い方をすると「どのようなモノもサービスも大差がない時代」なのです。

言い換えると、一昔前の「高品質なモノ・サービス」「斬新なモノ・サービス」に人々が飛び付きにくくなりました。では人々が何に惹かれ、何で差が付くかというと「ストーリー」なのです。「こういうハイスペックな商品です」という宣伝より、「こういう想いを込めて作りました」「こういう風に使ってほしいです」という宣伝がウケやすいのですね。

理由②:ストーリーは人の記憶に残りやすい

商品やサービスの基本情報を説明されてもよほど興味がなければすぐに忘れますが、ストーリーについてはなんとなくでも覚えているものです。実際、例えばテレビCMでも商品やサービスのスペックを延々と説明するようなものはほぼなく、「作り手が込めた想い」や「楽しく使っている人々」にフォーカスしているものが大半ですよね。こうしたCMが多い理由の一つが、「覚えてもらいやすいから」です。

理由③:商品やサービスに興味がなくても「人」に興味がない人は少ない

また、商品やサービスに興味がなくても、「人」に全く興味がない人はあまりいません。だからこそ自分の知識がない業界であっても、ドキュメンタリー番組などは人気があるのです。これが「自分の知識がない業界の知識を延々説明する番組」だとすれば誰も見ないことでしょう。そのためプレスリリースをはじめとする広報・PR上の情報発信にストーリーを盛り込むのも理にかなっていると言えます。

プレスリリースの価値を高めるストーリー作りのポイント6選

それではプレスリリースの価値を高めるようなストーリー作りのポイントをいくつか紹介していきますので、広報・PR担当者の皆さんはぜひ参考にしてください。

ポイント①:ターゲットを決める

プレスリリースに限らずあらゆる情報発信に言えることですが、まずはターゲットを決めることが大事です。

例えば「商品に興味がある20代の女性」というレベルではなく、最低でも「○○という悩みがあって手軽な□□で解決したいと思っている20代の女性」くらいには絞り込みます。これでも「最低限」なので可能ならさらにターゲットを狭く・深くします。

ポイント②:メッセージを決める

ターゲットに対して伝えたいメッセージを決めます。例えば「その悩みはこの商品で楽しく解決できます」「同じ悩みを持つ人が開発しましたし、この商品であなたの悩みが解決するなら私たちも嬉しい」など。

複数のメッセージがあっても構いませんが、「このメッセージが一番大事」というものは決めておくとブレにくくなるのでおすすめです。

なお「買ってください!」は効果的なメッセージではありませんし、受け手の心が動けば「買うためのアクション」を取ってくれるので、プレスリリースの段階であえて言うことではありません。

ポイント③:開発担当者などの当事者に入念なヒアリングをする|生々しい経験を入れる

通常、価値のあるストーリーを作るためには、自分自身の生々しい経験を入れることが大事です。そうでないと「これは本当のことだろうか」「なぜか心に響かない」などと思われて、望むアクションを取ってもらいにくくなります。

そしてプレスリリースの場合は広報・PR担当者ではなく、商品やサービスの開発担当者などに話を聞くことになるはずです。うわべの「楽しかった」「お客様の役に立ちたい」などの言葉を聞いてもほとんど意味がないので、例えば以下のような質問をして掘り下げていくことをおすすめします。

  • 開発のきっかけは?
  • 自分の悩み(過去のものも現在進行形のものも)がアイデアを思いつくきっかけになったか?
  • 開発する中で困ったことは?
  • その困り事をどうやって乗り越えた?
  • どのような人に使ってほしい?
  • 使うことでどうなってほしい?
  • 使った人が望む状態になったらあなたは何を感じますか?

これらの質問をしつつ例えば「なかなか思い通りに開発できず困りました」と言われたら、「それは具体的には?」→「○○のパーツが足りない」→「足りないと判明してすぐに考えたことは?」などとどんどん掘り下げていきます。

ポイント④:「だから開発者はすごい人なのです」などヒーロー的な印象になること避ける

例えば「困っていましたが社員の○○さんのアイデアで切り抜けました」なら良いのですが、「社員の○○さんのアイデアで切り抜けました。」「○○さんは元々すごい人で才能もあり~」など、誰かがヒーローのような印象にならないようにしましょう。

この例で言えば「才能」に関しては、「○○さん自身、普段の業務で使っているスキル(才能)が他のところでも活きるとは思いもしなかったそうで、試作品を見て喜んでいました」など、英雄視、身内自慢のような印象になることを避けることが大事です。

あなたも他人の自慢話や「私の知り合いの○○さんって本当にすごいんですよ」という話を聞かされても困ると思いますが、プレスリリースでもそれと同じことが起きます。それに「元々すごい才能もあり~」までいくと、単なる「脱線」でもあります。

ポイント⑤:「困難」→「努力」→「突破」の流れを意識する|成功話だけにしない

「困難」→「努力」や「工夫」→「突破」という流れを意識してストーリーを作ると、プレスリリースの価値が高くなりやすいです。例えば「パーツAでは強度が足りなかった」→「一度は諦めかけたものの一念発起して1000種類以上のパーツを試した」→「結果的にパーツAよりも優れたパーツで製品を完成させることができた」など。

これが一例として、最初の「困難」の部分を省いて「1000種類以上のパーツの中からベストなものを選びました」などとして、途端に味気ないストーリーになってしまいます。

一般のテレビドラマや映画などでも、主人公が困難を乗り越えて成功するストーリーはウケがいいですよね。プレスリリースでもそれは同じですので、成功話だけにしないようにしましょう。「困難や失敗を書くと印象が悪くなる」と感じるかもしれませんがそれは間違いです。

ポイント⑥:違和感のない範囲でさりげなく感情の表現を入れる

違和感のない範囲で感情の表現を入れると共感を得やすくなり、結果的にこちらの望むアクションを取ってくれる人が増えます。具体的には例えば以下の通り。

  • ようやく商品が完成したのです→ようやく商品が完成したときは本当に嬉しかったです
  • ここで壁が立ちはだかりました→ここで壁が立ちはだかり率直に言って落ち込みました
  • これからも挑戦しようと思いました→これからも挑戦しようと奮い立ちました
  • そして本日も販売し続けています→そして本日も笑顔で販売し続けています

これらはいずれもトリッキーな表現ではなくかなりストレートですが、それくらいの方が伝わりやすく、いわゆる「鼻につく」状態になりにくいです。

また、例えば「商品が完成したのだから、言わなくても嬉しいとわかるのでは」と感じるかもしれませんが、そう思うのはストーリーを書いている本人だからです。そうではなくストレートに「完成して嬉しかったです」と書くと、読み手は自然と共感します。

✅ただしさりげなく。何回も書かないようにする

ただしさりげない範囲でないと、やはり「鼻につく」「わざとらしい」となりやすいので気を付けてください。

例えば「喜」「怒」「哀」「楽」の感情表現は1プレスリリースにそれぞれ1~2回ずつまで、さらに文章の近い位置に複数の感情表現を入れないようにするなど注意することをおすすめします。

プレスリリースの価値創出はストーリーが9割(まとめ)

極端に言うと「どのようなモノもサービスも大差がない時代」になっているため、一昔前よりもさらに「ストーリー」などの「人」や「ハート」で差をつけることが重要といえます。これは広報・PR上のプレスリリースでも同じことが言えます。

ストーリーを作る上では、まず開発担当者などの当事者の生々しい声を聞く必要があるので、じっくりとヒアリングすることから始めてみてはいかがでしょうか。大変に思えるかもしれませんが、楽しみながら「他人の話を聞く」という行為をしましょう。

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執筆者・監修者
上岡正明
経済記者・経済コメンテーター
戦略PRプランナー・著書26冊累計105万部のビジネス作家
登録者30万人のYoutuber
上岡正明

MBA(経営学博士前期課程修了)
多摩大学客員講師(18,19)
帝塚山大学客員講師(19)
登録者30万人のビジネス系YouTube

「スーパーJチャンネル」「めざましテレビ」「王様のブランチ」「クイズミリオネア」等の元放送作家。日本を代表するPR戦略の専門家で、企業広報のスペシャリスト。未上場から上場企業まで戦略PRを手掛けたクライアントは300社以上。

広報ブランディング、新規事業構築、外資系企業の国内イベント、海外プロモーション支援のコンサルティング会社代表。現在まで約20年間、実業家として会社を経営。これまでに三井物産、SONY、三菱鉛筆、日本瓦斯など200社以上の広報支援、スウェーデン大使館やドバイ政府観光局などの国際観光誘致イベントなどを行う。

代表的なコンサルティング案件としては、日本中の女性たちの心を動かした「表参道のパンケーキブーム」、1年で200万台以上を売り上げた「ふとん専用掃除機レイコップ」、世界が注目する食イベント「肉フェス」、1カ月で6000万人(日本の約半分)にバズらせた「ジャポニカ学習帳“昆虫の表紙が変わった?”」がある。

経営と並行してMBA(情報工学博士前期課程)取得。東京都中小企業振興公社講師。成蹊大学、多摩大学、帝塚山大学の客員講師。東洋経済新報社、ダイヤモンド社、朝日新聞出版社、PHP出版、総合法令出版社、アスコム社、大和出版、すばる舎、宝島社から累計21冊80万部の著書を上梓。

日本神経心理学会、日本行動心理学学会、行動経済学学会、一般社団法人日本行動分析学会、日本社会心理学会、一般社団法人日本小児心身医学会、認知神経科学会の各学会員。

日経ヴェリタス・東洋経済オンライン・ダイヤモンドオンライン・プレジデントの4大経済メディアで専門家として記事連載もおこなっております。お読みになりたい方はこちらからご覧下さい。

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