広報担当者が抱える課題と問題を紹介!現実にどう立ち向かうべきか
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2020.03.21

広報担当者が抱える課題と問題を紹介!現実にどう立ち向かうべきか

中小・ベンチャー企業の広報の目標は「信用&知名度の同時獲得」が基本

中小・ベンチャー企業が何よりも求めるべきなのは「顧客からの信用」です。
以下のような2社(同ジャンルのサービスをしている)があったとします。

A社:国民のほとんどが知っている
B社:そのサービスに深い興味がある人でないと知らない

あなたはどちらを選ぶでしょうか。

大半の人がA社をチョイスするはずです。
なぜなら、A社のほうが信頼できるから。では、なぜ信頼できるのか。
「みんなが知っているくらいだし、質の高いサービスをするに決まっているから(と考えられるから)」です。

この際、ポイントになるのが「ほとんどの人はB社のサービス内容を調べない」ということです。その理由の一つが、「調べるのが面倒だから」ですよね。もしくは「普段からA社を使っているのに、わざわざ冒険(B社を使う)する理由がない」ということでしょうか。

余談ですが、この「面倒だから」「手間だから」というのは、人間の行動原理に大きく関わってくるそうです。「○○代行サービス」を使う理由の一つに「自分でやる暇がないから」というものがありますが、もう一つは「面倒だから」です。

■B社のサービスのほうが優れていてもB社は選ばれない

では、

A社:知名度は非常に高いが、サービス内容はそこそこ
B社:知名度は非常に低いが、サービス内容は非常に優れている

という条件だとしたらどうでしょうか。

お察しのとおりこれでもB社は選ばれません。
繰り返しになりますが、やはり「顧客はB社のサービス内容を調べないから」です。

「調べない調べないうるさいな。自分は調べるよ」と感じたかもしれません。確かにそういう方もいるでしょう。
ですが、次の章をお読みいただくと「人間がいかに調べない生き物か」が分かります。

■FXから分かる「ヒトは調べない」ということ

詳しい解説はしませんが、FXとは「通貨同士を売買して利益を狙う取引」のことです。FXには「レバレッジ」というシステムがあります。

例えば、元手が1万円あって「レバレッジ50倍」なのであれば、50万円分の取引ができます。
また、「レバレッジ1000倍」の場合は、なんと1000万円分の取引が可能です。

では、「レバレッジ1000倍」と「レバレッジ50倍」ではどちらが安全でしょうか。
FXについてご存知ない人のほとんどが「そりゃあ、倍率が低いほうが安全だろう」と感じるはずです。
しかし、実は「レバレッジ1000倍」のほうが基本的に安全です(※条件にもよりますが)。
これは難しい話ではなく、「実際にFXをしている人」のほとんどが知っている事です。

それにもかかわらず、「レバレッジは低いほうが安全」「高いと破産一直線」などと紹介しているサイトが後を絶ちません。グーグルの検索上位に来るようなサイトにさえ、そういった記述を見かけます。

極めつけに日本政府は、以前までは数百倍だった「国内FX業者の最大レバレッジ倍率」を25倍にまで下げました。
FXをよく知らない人からすれば「ああ、政府はちゃんと国民の事を考えているな」と感じるはずですよね。
もちろん日本政府もレバレッジの本質を知ってはいるでしょうが、「人々の納得」を得るためには仕方のない規制だったのではないかと予想します(※あくまで私の推測です)。

■「調べない」を前提に広報戦略を練る

ヒトが「調べる生き物」なのであれば、

・「レバレッジが高いほうが安全」という記事ばかりになる
・国が最大レバレッジ倍率を下げることはない

はずです。「知名度が低くても、調べてもらえれば、買ってくれる」という考えは捨てましょう。そもそも調べてもらえないのですからです。

 

広報が信頼&知名度を同時獲得するための4つのポイント

広報担当の働くイメージ

「ヒトは調べない生き物である」という前提に立つとすれば、中小・ベンチャー企業にとっては「信頼」と「知名度」を同時に獲得することがとても大事だと言えます。

なぜなら、知名度が上がる→信頼もされていれば利用・購入してもらえる、と言えるからです。では、信頼&知名度を獲得するためのポイントを挙げていきます。

1:「広告」はあまり役に立たない

広告:費用を出してメディアに宣伝してもらう、広告でも大量に打てば「知名度」は上がることでしょう。
ですが、「信頼」は得にくいです。

こんなデータがあります。

【信頼度が低い・やや低いと答えた人の割合】

・サイト内のバナー・テキスト広告:77パーセント
・無料アプリの掲載広告:85パーセント
・ユーチューブ広告:68パーセント
・SNS広告:65パーセント
・メールマガジン掲載広告:75パーセント

つまり、「野良っぽさ」がある広告はあまり信頼されないという事ですね。特にユーチューブ広告のような「スキップできるタイミングになった瞬間に飛ばす」という人が多いものについては、「記憶にも残らない(=知名度が上がらない)」でしょう。

2:有効な「広告」もあるにはある

それでも、

・新聞
・テレビ
・雑誌
・ラジオ

の信頼度は低くありません。特に新聞については、「信頼度が高い・やや高い」と答えた人が41パーセント、「普通」と答えている人が35パーセントとなっています。

上記の4種類については、狙ってみても良いでしょう。しかし、ここで問題になるのはやはり「資金」です。
例えば新聞に一面広告を出そうとすれば数千万かかります。

ラジオであればそこまでお金はかかりませんが、今度は「信頼度が高い・やや高い」が24パーセント、「普通」が48パーセントとさらに信頼性が下がります。

ですから、新聞・テレビ・雑誌・ラジオによる広告の「コストパフォーマンス」がそれほどいいわけではありません。
「知名度も信頼性もある大企業が、新商品・新サービスの宣伝のため」に使うのがメインになるのであって、「中小・ベンチャー企業が、自社そのものの宣伝のため」に使うには無理があります。

3:「報道」されるのが一番

報道=「メディアという第三者」が発信する情報です。

「報道」だからと言って全ての人が信頼するわけではありません。実際、「マスコミの印象操作」などの話もたまに聞きます。ですが、「広告」と比べれば、圧倒的に人々に信頼されやすい事は確かです。

しかも、報道してもらうのは基本的にタダです。そのため、どのような規模の会社であろうが、「報道を狙う」ことは可能です。(むしろ対価を求められたら、その時点で疑ったほうがいいです)

4:最初のうちは「数」を重視する

はじめのうちは報道される「数」にウエイトを置きましょう。そうすれば、多くの人が「これほど報道されるのだから、きっと信用していいのだろう」と考えてくれるからです。
ちなみに、中小・ベンチャー企業のなかでも、年間100件以上のメディア露出(報道)を達成しているところがあるそうです。

受け手(一般人)からすると、

  • 広告:「どうせ都合の良い事ばかり言っているんだろう」
  • 報道:「第三者が編集するのだから、信頼できる」

という印象になるので、広告とは異なり「媒体」にこだわる必要はありません。
SNS、ネットメディア……などなど何でも構いません。むしろ、はじめのうちはそれくらいのものでないと、メディア露出に繋がらない可能性が高いです。

5:自社サイトを必ず作る

「このサイトなんだろう」と思えば、現代人はほぼ間違いなくインターネットで調べます。
ですから、簡単なもので構わないので必ず自社サイトを作りましょう。それがないと、「人々が知ってくれるチャンス」を逃すことになります。
また、「やっぱり実態がない会社なのか……?」と思われて信頼性が下がる恐れもあります。

できれば、自社のSNSアカウントも作りましょう。ツイッターやインスタグラムで検索する人も多いからです。
更新にあまり力を入れる必要はありません。忙しければ「自社サイトの更新情報」や「新商品情報」などについて軽く投稿するだけで十分です。

 

「広告」と「報道」の5つの違いのまとめ

改めて「広告」と「報道」の違いをまとめておきますね。

1:費用面

広告:種類にもよるが高い
報道:基本無料

2:受け手からの信頼のされやすさ

広告:信頼されにくい(疑われやすい)
報道:信頼されやすい(第三者が発信する情報は信じられる)

3:受け手から注目のされやすさ

広告:注目されにくい(例:CMの早送り、新聞広告の読み飛ばし)
報道:注目されやすい(広告のような『ついで』ではなく『メイン』だから)

4:発信する情報について

広告:基本的に自分たちでコントロールできる
報道:メディア主導になるためほぼコントロール不可

広告の一番のメリットは「発信したい情報を、そのまま発信しやすい」という事でしょう。
ですが、受け手(一般人)もそれを知っているので、「どうせ情報操作している」と考えて、なかなか信頼されないわけです。


執筆者・監修者
上岡正明
経済記者・経済コメンテーター
戦略PRプランナー・著書26冊累計105万部のビジネス作家
登録者25万人のYoutuber
上岡正明

MBA(多摩大学院経営情報学修了)
テレビコメンテーター
多摩大学客員講師(18,19)
帝塚山大学客員講師(19)
登録者24万人のビジネス系YouTube

「スーパーJチャンネル」「めざましテレビ」「王様のブランチ」「クイズミリオネア」等の元放送作家。日本を代表するPR戦略の専門家で、企業広報のスペシャリスト。未上場から上場企業まで戦略PRを手掛けたクライアントは300社以上。

広報ブランディング、新規事業構築、外資系企業の国内イベント、海外プロモーション支援のコンサルティング会社代表。現在まで約20年間、実業家として会社を経営。これまでに三井物産、SONY、三菱鉛筆、日本瓦斯など200社以上の広報支援、スウェーデン大使館やドバイ政府観光局などの国際観光誘致イベントなどを行う。

代表的なコンサルティング案件としては、日本中の女性たちの心を動かした「表参道のパンケーキブーム」、1年で200万台以上を売り上げた「ふとん専用掃除機レイコップ」、世界が注目する食イベント「肉フェス」、1カ月で6000万人(日本の約半分)にバズらせた「ジャポニカ学習帳“昆虫の表紙が変わった?”」がある。

経営と並行してMBA(情報工学博士前期課程)取得。東京都中小企業振興公社講師。成蹊大学、多摩大学、帝塚山大学の客員講師。東洋経済新報社、ダイヤモンド社、朝日新聞出版社、PHP出版、総合法令出版社、アスコム社、大和出版、すばる舎、宝島社から累計21冊80万部の著書を上梓。

日本神経心理学会、日本行動心理学学会、行動経済学学会、一般社団法人日本行動分析学会、日本社会心理学会、一般社団法人日本小児心身医学会、認知神経科学会の各学会員。

日経ヴェリタス・東洋経済オンライン・ダイヤモンドオンライン・プレジデントの4大経済メディアで専門家として記事連載もおこなっております。お読みになりたい方はこちらからご覧下さい。

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