広報とマーケティングは混同されやすい!仕事内容や違いを分析してみて分かったこと
PR戦略とは
3分で分かる「PRの基本」
2020.03.01

広報とマーケティングは混同されやすい!仕事内容や違いを分析してみて分かったこと

広報担当とマーケティング担当とは仕事上で一緒に行うことも多いでしょう。
企業が情報発信をしているという意味では似ている仕事とも言えるのですが、この2つの仕事には明確な違いも存在します。

今回は「マーケティング」と「広報」の仕事を再確認するとともに、両者の違いを徹底紹介。初心者にもわかりやすいように、なぜ広報はマーケティングと混同されやすいのかをお伝えしていきます。

 

広報はマーケティング活動の中の一つとも考えられる

引用画像_マーケティングのディスプレイ

企業のPR活動である広報は記者会見などスポットが当たることも多く、華やかなイメージを持たれることも多いのです。

ですが、広報もマーケティングも市場に認知してもらうという行為をしている、という点では同じです。
マーケティングとは「企業戦略そのもの」でもあります。広告やPR活動は戦略の中の一つの手段です。当然、広報も重要な仕事ではあるのですが、マーケティングにおいては必須とは言い切れません。逆に、マーケティング戦略において広報は不要となる場合も考えられます。

■マーケティングと広報の仕事が混同されてしまう理由

広報とマーケティングが混同されやすいのかといえば、広報が企業の市場シェアを拡大する上で有効な方法だからです。企業のPRによる広報活動はマーケティング戦略においても重要な役割を果たしています。

しかし、違う面もあります。たとえばマーケティングは外部向けの仕事だけにとどまりません。マーケティングの本来の役割は「需要を調査し、顧客を集める」という企業が商品・サービスを販売する上でのすべての要素が含まれます。

消費者の動向調査や市場の調査などを行い、今後行動していく上で重要なデータを集め、方向性を指し示すことも含まれます。広報は知名度やイメージアップ、あるいは信用を醸成したりクチコミの発生を図るものであり、マーケティングの一部分でしかないことがここでも分かります。広告はマーケティングの一種ですが、マーケティングは広告の一種ではないのです。

*関連リンク:プロが教えるPRマーケティングの実践方法とは?

 

マーケティングの仕事とは

マーケティング会議をする人たち

マーケティングの仕事とは「企業、顧客、市場の調査を行い、その調査した結果を元に分析して顧客の潜在ニーズを探りあて、既存の顧客の満足度向上に努め、新規顧客の獲得に向けた一切の活動です。

  1. マーケティングリサーチ
  2. 製品・価格の決定
  3. プロモーション
  4. 流通
  5. リレーションシップ&環境構築

 

このように大きく分けて5つに分類されます。

1)マーケティングリサーチ(市場調査)

最初に行うことは、売れる商品を企画していくうえで、「顧客が何を求めているか」を知る必要があります。そのために行われるのがマーケティングリサーチ(市場調査)です。モニターに対してのアンケートや政府が発表しているデータを調べ、定量的な数値を把握することに努めます。顧客の年代や性別など、属性が近い人たちを集め座談会などを開催し、実際に商品を使ってもらい感想を集めたりすることで定性的な情報も把握していきます。

2)製品・価格の決定

顧客のニーズをくみ取り、トレンド予測を基に新しい商品・サービスを作ります。商品作成にあたっての資材やアイディアを決め、何度もテストを繰り返した上で商品を完成させていきます。その時に競合の商品と比較し、価格の調整なども行います。

3)プロモーション

商品を市場に認知させるために行うのがプロモーションです。宣伝・広報活動によって企業のWEBサイト、ニュースメディアなどに商品に対しての記事を掲載してもらう行動を行います。

4)流通

商品・サービスを販売する際、どの経路で顧客に販売するのか経路を選定します。自社の製品をECサイト、コンビニ、店舗など、どこで販売するかによっても方法が変化します。

5リレーションシップ&環境構築

・対象顧客に対して、どのような信頼関係を構築して商品を買ってもらうか
・どのようにして今後も利用してもらえるようにするのか

ということを考え、施策に落とし込みをする必要があります。販売活動を常に行わなくても「売れ続ける」ために環境を整えるということも行います。

 

広報の仕事とは

広報記者会見をする女性

広報の仕事は大きく分けて社内広報と社外広報の2つがあります。社内広報は社内に向けた広報であり、社外広報は一般社会やメディアなどに発信する広報活動です。

1)社内広報

会社のオフィスが一つで社員数がまだ少ない会社の場合、社内で情報共有するコストはそれほど高くありませんので、わざわざ社内広報を行う必要がありません。しかし、会社の規模が大きくなり、オフィスが複数になってくると社内広報の部署が発足します。社内報などが必要になって始めて、社内広報が行われるのです。

2)社外広報

広報の仕事としてイメージが湧くのは社外広報です。社外広報の主な仕事として、プレスリリース(ニュースリリース)作成、メディアへの対応、記者会見のセッティングなどが該当します。せっかく商品が完成したとしても世間に認知してもらわなければ、魅力が伝わりません。特にメディアやTVなどの媒体に伝えることによって情報が拡散され、多くの人に告知をすることができます。

そのためにも、「メディアからいかにしてとりあげてもらうか」という部分に焦点をあてることによって活動することが社外広報の役割として大きい部分です。

その他にも会社・工場などに見学として訪れる人達への対応も社外広報の重要な仕事の一つといえます。メディアや顧客に対して、会社の窓口となることが求められます。上場企業にもなると、投資家向けのIR情報を公開することも広報の仕事になってきます。

*参考リンク:絶対押さえるべき!プレスリリースの全知識をマスターしよう

 

まとめ マーケティングの最終目標は「会社の利益を増やす」こと

広報とマーケティングは、共に情報を発信していくということは同じです。しかし、マーケティングは企業そのものの目的である「利益を増やす」ということにダイレクトに直結します。一方、広報はそこまでは求められておらず情報の発信に主眼が置かれていることが多いとも言えます。

1)情報発信とリード獲得が広報、成約やコンバージョンさせるのがマーケ

自社の会社情報や業務内容などを記載したコーポレートサイトを運営するのは広報の仕事であるのに対して、会社が保有する情報メディアであるオウンドメディアはマーケティング担当だったりします。企業のプロフィール的なものは広報。企業のニュース・コミュニケーションサイトがマーケティングといった具合になります。

前述した記者会見も、関係者やメディアに対して「新商品がでます」と情報発信するのが広報の仕事。特定のターゲットに向けて「このような新商品がでますが、使ってみませんか?」と成約に向けて提案をするのがマーケティングの仕事です。

情報の発信と利益の向上。広報とマーケティングの目的は根源的に違うともいえます。

2)マーケティングと広報の違いを知る

特に新卒で広報の仕事に就こうとした場合、「マーケティング」が何なのかということが分かりづらく、広報とマーケティングを全く違うものと捉えてしまっていることがよく見受けられます。

一方、広報に転職を考えているのであれば、市場調査・消費者調査などのマーケティング活動を経験したことがあれば、非常に大きいアピールポイントになります。就職活動やキャリア形成にぜひお役立てください。


執筆者・監修者
上岡正明
経済記者・経済コメンテーター
戦略PRプランナー・著書26冊累計105万部のビジネス作家
登録者25万人のYoutuber
上岡正明

MBA(多摩大学院経営情報学修了)
テレビコメンテーター
多摩大学客員講師(18,19)
帝塚山大学客員講師(19)
登録者24万人のビジネス系YouTube

「スーパーJチャンネル」「めざましテレビ」「王様のブランチ」「クイズミリオネア」等の元放送作家。日本を代表するPR戦略の専門家で、企業広報のスペシャリスト。未上場から上場企業まで戦略PRを手掛けたクライアントは300社以上。

広報ブランディング、新規事業構築、外資系企業の国内イベント、海外プロモーション支援のコンサルティング会社代表。現在まで約20年間、実業家として会社を経営。これまでに三井物産、SONY、三菱鉛筆、日本瓦斯など200社以上の広報支援、スウェーデン大使館やドバイ政府観光局などの国際観光誘致イベントなどを行う。

代表的なコンサルティング案件としては、日本中の女性たちの心を動かした「表参道のパンケーキブーム」、1年で200万台以上を売り上げた「ふとん専用掃除機レイコップ」、世界が注目する食イベント「肉フェス」、1カ月で6000万人(日本の約半分)にバズらせた「ジャポニカ学習帳“昆虫の表紙が変わった?”」がある。

経営と並行してMBA(情報工学博士前期課程)取得。東京都中小企業振興公社講師。成蹊大学、多摩大学、帝塚山大学の客員講師。東洋経済新報社、ダイヤモンド社、朝日新聞出版社、PHP出版、総合法令出版社、アスコム社、大和出版、すばる舎、宝島社から累計21冊80万部の著書を上梓。

日本神経心理学会、日本行動心理学学会、行動経済学学会、一般社団法人日本行動分析学会、日本社会心理学会、一般社団法人日本小児心身医学会、認知神経科学会の各学会員。

日経ヴェリタス・東洋経済オンライン・ダイヤモンドオンライン・プレジデントの4大経済メディアで専門家として記事連載もおこなっております。お読みになりたい方はこちらからご覧下さい。

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