脱・広告換算値ってほんと?最先端のPR成果や効果指標の方法を解説
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2020.03.08

脱・広告換算値ってほんと?最先端のPR成果や効果指標の方法を解説

3月に入り、コロナの猛威は増すばかり。
広報関連のイベントも延期を余儀なくされ、バタバタと忙しい日々が続いておりますが、
しっかりと手洗いうがいをして予防だけは万全にしていきたいものです。

さて今回は、広報担当者の悩みの種になるケースの多い、PRの成果、効果指標について取り上げていきたいと思います。

 

広報の広告換算値は、もう古い?

広報の効果測定

「広告換算値」という言葉は、ご存じでしょうか?
パブリシティとして獲得したニュース記事の面積や放送の尺と同じだけの量をもし広告の定価で購入したらいくらに相当するのかを換算したものです。これまで多くの企業がPRの活動成果や効果の指標として取り入れてきました。

一見、コストと成果をうまく比較できているような気がしますが、「広告換算」で出した値は、「広告予算投入額」の想定にすぎず、残念ながら直接的な「成果」を測るものではありません。

従って「広告換算値」は、パブリシティ量を一定の指標で査定する1つのやり方ではあるものの、
この指標のみを「成果」や「効果」としてしまうのは、違うのではないかといった声が近年上がってきています。

*関連リンク:元めざましテレビ放送作家が教えるプレスリリースの全戦略を5分で解説

 

脱・広告換算値 バルセロナ原則2.0とは?

コミュニケーション効果測定・評価協会(AMEC:Association for Measurement and Evaluation of Communication、)という、本部がロンドンにあるグローバルな団体をご存じでしょうか?

AMECは1996年に設立され、コミュニケーションの効果測定の教育を提供し、原則を議論しています。

このAMECは2010年に「バルセロナ原則」というコミュニケーションの効果測定に関する7つの原則を発表しました。
※「バルセロナ原則」は名前が示すように、あくまでも“原則”で、測定方法そのものではありません。

また2015年には、コミュニケーションの環境変化に合わせて「バルセロナ原則2.0」を発表しました。詳細は以下となります。

1:ゴールの設定と効果測定はコミュニケーションとPRにとって重要である。
2:アウトプットだけの測定よりも、むしろコミュニケーションのアウトカムを測定することが推奨される。
3 :組織のパフォーマンスへの効果は測定可能であり、可能な限り測定すべきである。
4:量と質を測定・評価すべきである。
5:広告換算値はコミュニケーションの価値ではない。
6:ソーシャルメディアは他のメディアチャネルとともに測定可能であり、測定すべきである。
7:測定および評価は、透明性があり、一貫性があり、有効なものであるべきである。

日本でもこうした背景のもと、脱・広告換算値の動きが高まってきています。では具体的に、何を基準として成果・効果測定をしていけばよいのでしょうか。

成果、効果指標となりえる「態度」「意識」「認知(気づき)」の3段階の変化

PR活動を実施し、もし効果が出ているとしたら、そのコミュニティや属性、ターゲットの態度や意識に何かしらの変化が表れているはずです。

その変化を「態度変容」「意識変化」「認知(気づき)」の3段階ごとに把握・検証することで、適切な指標になりえるのではないかというトレンドが出てきています。それでは具体的な例を踏まえて説明していきます。

例えば、新しくオープンした飲食店のPRを実施したしたと仮定した場合、“実際にお店に訪れた”や“予約、問い合わせをした”などがそのコミュニティ、属性、ターゲットの「態度変容」にあたります。

一方、訪れてはいないが “行きたいと思った”や “興味、好感度が上がった”などは「意識変化」にといえるでしょう。指標としても、参加人数や問い合わせの実数を調査すれば「態度変化」を把握できますし、オープンの発表や実行の前後で意識調査を行えば「意識変化」を把握できるかと思います。

さらにパブリシティや広告などの「認知(気づき)」は、コミュニティや属性、ターゲットの「意識変化」や「態度変容」に大きな影響を与えるので、広告換算値ではなく、量の推移や報道のタイミング、その内容の質を把握することで因果関係がみえてくるのではないでしょうか?

□広報の効果測定はゴールから逆算する

このようにPRの成果・効果を測るには、活動の前後で「態度」「意識」「それらに影響を与えるパブリシティ・広告などによる認知(気づき)」の3段階において、どれほど変化があったかを把握することが重要です。

この時に「態度」に何を含めるかや「意識」として何を測るかというのは、
それぞれの企業やブランド、サービス(商材)における達成すべき目標値(ゴール)が異なるためこうしなければならないというルールはありません。

むしろゴールからの逆算によるKPI数値として、段階ごとに決めていけばよいのではないでしょうか。

□まとめ 認知訴求は戦略的な広報とPDCAから

PR活動の目的として、販売促進、企業価値(レピュテーション)や認知度、ブランド力の向上などを掲げている企業は多いと思います。

そこから効果的なPR活動を行うには、達成すべき目的から逆算し、PR活動計画を戦略的に構築し、
上記段階ごとによる検証結果から、さらにPDCAを回すことで本質的な成果・効果指標が行えるのではないでしょうか?

もし広報ご担当の皆様が、効果成果や指標に悩まれた際には、この考え方も参考の一つとしていただけますと幸いです。


執筆者・監修者
上岡正明
経済記者・経済コメンテーター
戦略PRプランナー・著書26冊累計105万部のビジネス作家
登録者25万人のYoutuber
上岡正明

MBA(多摩大学院経営情報学修了)
テレビコメンテーター
多摩大学客員講師(18,19)
帝塚山大学客員講師(19)
登録者24万人のビジネス系YouTube

「スーパーJチャンネル」「めざましテレビ」「王様のブランチ」「クイズミリオネア」等の元放送作家。日本を代表するPR戦略の専門家で、企業広報のスペシャリスト。未上場から上場企業まで戦略PRを手掛けたクライアントは300社以上。

広報ブランディング、新規事業構築、外資系企業の国内イベント、海外プロモーション支援のコンサルティング会社代表。現在まで約20年間、実業家として会社を経営。これまでに三井物産、SONY、三菱鉛筆、日本瓦斯など200社以上の広報支援、スウェーデン大使館やドバイ政府観光局などの国際観光誘致イベントなどを行う。

代表的なコンサルティング案件としては、日本中の女性たちの心を動かした「表参道のパンケーキブーム」、1年で200万台以上を売り上げた「ふとん専用掃除機レイコップ」、世界が注目する食イベント「肉フェス」、1カ月で6000万人(日本の約半分)にバズらせた「ジャポニカ学習帳“昆虫の表紙が変わった?”」がある。

経営と並行してMBA(情報工学博士前期課程)取得。東京都中小企業振興公社講師。成蹊大学、多摩大学、帝塚山大学の客員講師。東洋経済新報社、ダイヤモンド社、朝日新聞出版社、PHP出版、総合法令出版社、アスコム社、大和出版、すばる舎、宝島社から累計21冊80万部の著書を上梓。

日本神経心理学会、日本行動心理学学会、行動経済学学会、一般社団法人日本行動分析学会、日本社会心理学会、一般社団法人日本小児心身医学会、認知神経科学会の各学会員。

日経ヴェリタス・東洋経済オンライン・ダイヤモンドオンライン・プレジデントの4大経済メディアで専門家として記事連載もおこなっております。お読みになりたい方はこちらからご覧下さい。

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