BtoBの広報でメディアが取り上げるのは「人」なり!
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2019.12.11

BtoBの広報でメディアが取り上げるのは「人」なり!

経営者と社員

「BtoB」という言葉をご存じでしょうか。

このワードには「企業間取引」という意味があります。例えば、車のパーツを作ったり衣服の素材を作ったりする会社は、この企業間取引がメインになりますよね。
一般消費者に車の部品や服の素材だけを売ることはあまりない(もしくは全くない)はずです。

そして、こういった企業間取引を中心とする会社が抱えがちな問題として、「メディアに売り込みにくい」ということがあります。

「こんなパーツを開発しました!」という記事を作っても一般の方はあまり興味を持ちません。そのため新聞社などに売り込んでも採用されにくいのは仕方がないことです。
では、企業間取引がメインの企業の広報担当者は何をすればいいのでしょうか。

 

どんな企業にも必ずいる「人」を売り出しましょう

企業間取引を主とする会社の広報がすべきことはシンプルです。
もちろん他にもやる事は色々ありますが、まずは「人材」を表に出すことを考えてみましょう。

例えば、ソフトバンクの孫正義さん。
「彼が具体的に何をしてきたのか」ということよりも、彼の「髪の毛が後退しているわけではない。私が前進しているのだ」という言葉のほうが多くの方にとっては有名なのではないでしょうか。

専門的な話題となると、それを理解できる人でないと興味を持ちにくいものです。
しかし、「面白い人」については、あらゆる人の関心を引ける可能性があると言えますよね。

実際、普段新聞をよく読む人であればピンとくると思いますが、「こんな経営者がいます!」という紹介をする欄はたくさん設けられています。

もちろん、企業間取引がメインではない会社であっても「人材を紹介する」という手法は効果的です。余裕があれば取り入れてみましょう。

 

社長の「ちょっとつらいエピソード」が一番ウケやすい

「人材」と言いましたが、可能であればできるだけ「社長」の紹介をしてください。
やはり企業のトップですからね。社長は有名になればなるだけ会社自体の知名度もアップします。

そして取り上げる話題は、極端に言えば「平凡な話」以外であれば何でもいいです。
ただ、おすすめなのは「どん底エピソード」です。「V字回復」でも大丈夫。
やはり、人間誰しも「苦しい状況から這い上がった話」が好きなんですよね。

ちなみに、某大手新聞社の記者は「過去に辛い経験がある人でないと、わざわざ記事にしたくない」と言っています。

□実在の社長のどん底エピソード3選

ここからは、実際の企業のトップのどん底エピソードを3つ紹介していきます。
「こういうエピソードを聞き出せればいいのか」という参考にしてくださいね。

1:ココ壱番屋の創業者さん

カレー店のココ壱番屋の創業者さんは幼少期を孤児院で過ごしました。
三歳で養子になりましたが、養父は生活保護を受けつつ賭け事に明け暮れていたそうです。
養父に愛想を尽かしたのか、養母はいつの間にか蒸発。
それからは、雑草を食べつつ蝋燭を使う生活をしていたとのこと。

養父が死去したところで養母が戻ってきて、彼は高校に通えるようになりました。
しかし、豆腐屋で働きながら勉学に励む忙しい日々が続いたそうです。高卒で会社勤めを始め、そこで自身と似た境遇の女性を知り合い、やがて二人でカレー店を開きました。

ただ、最初は「カレー店」という感じではなく、どちらかと言うと「カフェのメニューの中にカレーがある」といった様子でした。

ですがカレーが評判となったので、そこから「ココ壱番屋」を始めます。
「また、幼少期のような環境に戻りたくない」という気持ちが強かったので、友達付き合いもせずに、ひたすら仕事に励んでいたそうです。
そして、フランチャイズを原則として事業を発展させていきましたが、いわゆるフランチャイズ使用料のようなものは取らなかったとのこと。

現在、創業者さんは前線では活動していないようです。しかし、巨万の富を築いた今で「お金を使うこと」への抵抗は非常に強いのだとか。

2:GMOの社長

GMOの社長は4つの系列会社を僅か6年で上場まで導いた超人です。
そんな彼ですが、実は高校を中退しています(学業が理由だそうです)。

通信制の大学に通っていたのが17歳の頃。しかしその時期には父が手掛けるパチンコ店のサポートもしていたそうです。

彼は20歳で結婚し、21歳で父親になります。父であり、社会人であり、学生でもある。そんな多忙かつ、貧乏な日々の中で、「幸せとは何か」を考えるようになったそうです。

まだお子さんが幼い時期に、奥様も働かざるを得なくなったことを契機に、「どのような人生にしたいか」「どのような自分になりたいか」ということをハッキリと決めて、起業に向かって動きだします。

1991年に創立し、2000年代前半くらいまでは問題なく成長していったようですが……。
2007年には事業で途方もないミスをして、400億円の赤字を出し、あわや倒産という事態に。日々の夢の中に「自殺する自分」が出てきていたそうです。が、ノートに「諦めない、弱気にならない」などの言葉を書くことで、再起できたと言われています。

3:OKWAVEの社長

OKWAVEの社長には、実は路上生活をしていた時期があります。

小学生時代には虐められ、成長してからは「ギランバレー症候群」という難病にかかり入退院を繰り返していたそうです。
そこでかなりの精神力が身についたと自負していたそうですが、脱サラして企業をしたことをきっかけに更なる困難が降りかかることとなりました。

あらゆる仕事を失くし離婚間際にまでなり、30歳のときに路上生活がスタートしたそうです。
数か月間はゴミを漁りながら生き延び、知人の社長に「どうにか助けてください」と泣きつきました。

このとき、プロダクトデザイナーとして活動していた経験があるため、渡されたPCによって仕事をこなす日々を始めることができたそうです。
OKWAVEを作ってからも、なかなか上手くはいきませんでした。同業他社もいたのでかなり大変だったとのこと。
それでも「人を信じる」という信念のおかげでここまで来れたと語っています。

 

人のエピソードにおける注目すべき部分3つ

1:どのような気持ち・信念で仕事をしているのかを必ず掲載する

広報担当者としてエピソードをまとめたら、それだけで終わらせずに「このような気持ちで仕事をしてきた」「今はこう考えている」ということも必ず書きましょう。

・幼少期のような環境に戻りたくない
・お金を使うことに抵抗がある
・諦めない、弱気にならない
・人を信じる

など、生々しい感情を文章にしてこそ「ウケる」というものです。

2:学校・学業関連のエピソードを持っている人は多い

GMOの社長のように、学校関連のことでの挫折経験がある人はたくさんいます。
義務教育だけでも9年ありますし、大学院まで行こうものなら20年前後を学校・大学で過ごすことになりますからね。
その期間中を全くトラブルなく乗り越えられる人はほぼいません。受験、研究、アルバイト、恋愛などどんなことでも良いので、社長から聞き出してみましょう。

3:「家族との絆」はウケる

私は、あえて「愛妻家である」とは書きませんでしたが、ココ壱番屋の創業者さんはどう考えても奥様に対する並々ならぬ愛情をお持ちのはずですよね。
こういった「家族との絆」が見えてくるようなエピソードはウケが良いです。
「我が子のために開発した」「祖父に楽をさせるために作った」などの話を社長から聞くことができたら必ず載せましょう。

 

社長以外のスタッフを紹介するのもOKです

また、社長だけでなく一般社員であっても面白いエピソードがあればメディアに取り上げてもらえる可能性があります。
ただ、社長クラスの立場の人でないと「商品やサービスとは直接関係のないエピソード」で、記者陣などに相手にしてもらうのはさすがに厳しいかもしれません。

ですから、商品開発や販売戦略決定などに直接関係のあるエピソードを持つ社員を探してみるのも良いと思います。

ただし、できるだけ「記事を作る必要があるから探す」というのではなく、「常日頃社員とコミュニケーションを取る中で、どんどん面白い人が見つかっていく」という環境を作ってください。
そういう状態にしておいた方が、広報担当として何かと動きやすいからです。

□一般従業員のエピソード例4つ

では、「メディアに特集してもらえるかもしれない一般スタッフのエピソード」の例を紹介していきます。
※架空の話ですのでご了承ください。

1:あるギネス記録を持つ社員にしか製造できない商品がある

このような「この人にしか!」というエピソードはウケやすいです。
もちろんギネス記録である必要はありませんが、「誰がどう見ても凄い技術を持つ社員」の力によって製造されているような商品がある場合は、その商品とともに社員を紹介してみましょう。

また、会社の方針次第ではあるのですが、
「その技術を他の社員に伝えていくための取り組み」「その社員の動作を再現するマシンを製造しているという情報」なども掲載したいところです。
そうでないと、商品によっては「この社員がいなくなったら製造できなくなるのか……」と思われてしまう恐れがありますからね。

2:6人の子どもを持つ女性社員が「家事を時短して子どもとの時間を増やしたい」という一心で商品を開発した

これは先ほども紹介した「家族の絆」の話ですね。
特に「メインターゲットが主婦である商品」の場合は、やはり「敏腕主婦のエピソード」や「主婦の家族への愛が分かるエピソード」などがウケやすいです。

3:今でこそ大人気だが、当初アイデアを出した社員以外は開発するのに猛反対していた

このような「一人の社員の想いで生まれた商品」というエピソードも人々に好かれます。
商品次第ではありますが、これなら「人材」だけでなく「モノ」を宣伝することができるかもしれません。

「大人気商品」はそうそう誕生するものではありませんよね。
なぜ生まれないのか。たとえば「斬新過ぎて、誰も作ろうとしてこなかったから」ということが主な理由である場合があります。

ですから広報担当者は、ネタに困ったときは代表的な自社商品の誕生エピソードを探ってみることをおすすめします。
「そういえば、元々は私が考えた商品ですね、最初は皆に反対された大変でした」という話を聞けるかもしれません。

4:週3日しか出社しない

週3日しか出社しないというのは極端な例ですが、「時間や場所に囚われない労働をしている人」「それを提案して社内規則を変えた人」「時短社員やパートさん」などが活躍している場合は取り上げる価値があります。
最近はこうした「働き方改革」の話も、かなりウケますからね。

「週3日しか出社しない」というのはこういう感じです。最後に紹介しておきますので参考にしてみてくださいね。

例)

  • 1日10時間労働で3日だけ出社したほうが仕事にメリハリが出ることが分かった。
  • その後、その社員の働きかけによって「週に40時間は労働する必要があるが、それをどのように割り振ってもいい」というルールができた。
  • 社内の全社員にアンケートを取ったところ、ほぼ全員が希望者したので、週4制度を導入した。
  • 導入前に比べて、売上が1.8倍になり、さらに離職率も減った。