採用広報とは?成功に導く6つのポイントや実施手順と成功事例3選
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2023.03.11

採用広報とは?成功に導く6つのポイントや実施手順と成功事例3選

「採用広報」という言葉をご存知でしょうか。
これは、「質の高い人材採用を行うため広報活動」のことです。

一昔前までは、「採用活動」と言えば人事部の仕事でした。しかし、近年は人事部と広報担当者が協力して、採用活動をする企業が増えてきています

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今日はそんな採用広報の成功歩秘訣、やり方や導入までの6つのステップを、広報初心者でも3分程度で理解できるようにまとめてみました。ぜひご覧くださいね。

採用広報が必要な理由とは

画像_採用面接の選定を行う社員

「採用広報」が現代社会において目立ってきた理由は主に2つあります。

○採用広報が必要な理由1:単純に新卒が少ない

最近では少子高齢化もあってか、いわゆる「新卒」と呼ばれる人がかなり少なくなってきました。そのため、企業側としても競争をしなければならなくなってきているのです。

「デーンと構えて、学生を待ち受けていれば済む」という時代ではもはやありません。
むしろ、「企業が学生を選ぶ」のではなく、「学生が企業を選ぶ」という流れができてきています。
ただ、それでも学生側にもまだまだ「必死さ」があるので(有効求人倍率が1倍を割るということもさすがにありません)、今のうちに採用広報に力を入れておくと良いでしょう。

大手企業や、何らかの知名度の高いアイテムを販売している企業であればそこまでコストをかける必要はないかもしれません。
ですが、中小企業以下となると、いずれは新卒者に見向きもされなくなる時代が訪れるかもしれませんので。

○採用広報が必要な理由2:色々な方式の採用が選ばれるようになった

企業側が採用活動のために使うツールとしては、これまでは例えば「リクナビ」のようなサイトがメインだったと思います。これは言ってみれば、「仲介サイト」ですよね。

ですが、近年は「仲介」してもらうのではなく、「直接」人材を採用する会社が多くなってきています
最もオーソドックスなのは「自社サイトに応募フォームを作る」ということでしょう。
また、SNSを使って採用活動をする企業も増えてきています。

「とりあえずリクナビに求人情報を流しておけばいい」という時代ではなくなったので、そこには広報担当者が介入するべきなのです。

*参考リンク:採用にはブランディングも必要!そのためのプレスリリース全技術

 

採用広報は事前準備が9割!知っておくべき4つのポイント

引用画像_広報コンサルタント

・求人に対する応募者数を増やす
・「自社が欲しい要素を持った人材の応募」を増やす
・内定承諾率を上げる

などのために行う広報活動のことを、一般的に「採用広報」と言うということがわかりましたね。全く性質が違いますから、「サービスや商品を宣伝するための広報」とは切り離して考える必要があります。

ここからはより具体的な導入ステップについてお話していきます。

○採用広報の事前準備1:「情報そのもの」の信頼性が下がってきている

インターネット環境やSNSが発達したことで、企業自体の情報や採用情報などを簡単に集められるようになりました。
特に日頃から盛んにインターネットを利用している人々は、「集められる」だけに留まらず「勝手に集まってくる」という感覚になっているかもしれません。

つまり「たくさんの情報をチェックしつつ、自分にマッチする企業を探すことができる」わけです。しかし、「ネットの情報は基本的に信用できない」と考える人も少なくありませんし、実際に「噂が一人歩きしている」というケースも珍しくありません。

だからこそ、「公式なケースで、公式情報を発信する」必要があるわけです。

ここで取り繕っても仕方がありません。広報担当者は「実際より良く見せよう」「誤魔化そう」などと考えず、「正直な採用広報」をしましょう。就職活動をするような応募者は「ウソの情報を見抜く感覚」が研ぎ澄まされていますから、すぐにバレます。

○採用広報の事前準備2:「会社としてやっていきたいこと」を発信する

終身雇用制度が当然だった頃は、

・社内でどんどん昇進していこう
・自分の価値を高めていこう
・どうせ終身雇用なのだから会社のために尽くそう

などと考えて仕事をする人がたくさん存在しました。

ですが、近年は終身雇用は当たり前のものではなくなってきていますよね。「副業」をする人も多くなっています。

また、

・自分がやりたい事ができる会社に就職したい
・そのためのノウハウを身に着けたい
・(本業があるから)副業として「できればやりたい事をやりながら」お金を稼ぎたい

などと思っている人が多いようです。だからこそ企業としても、

・我が社としてはこういう仕事をやっています
・我が社はこういう意識で活動しています
・我が社は将来的にこういう状態を目指しています

等、「給与」などの待遇以外の部分も明かしていく必要があるのです。

婚活などで、
「収入600万円」という情報だけを登録するよりも、
「収入600万、専業主婦になっていただきたい、趣味は釣り、性格は優しいと言われます」など、よりパーソナルな部分の情報も明かしたほうが活動が上手くいきやすくなる……という事と理屈としては似ています。

○採用広報の事前準備3:「潜在転職希望者」に働きかける必要がある

色々な表現がありますが、

・顕在転職希望者:具体的な転職活動をしている人
・潜在転職希望者:現在は転職活動をしていないが、そのうち始めるかもしれない人

という差があります。(顕在・潜在がキーワードです)

顕在転職希望者に働きかけるだけでは、希望する人材を探せない場合もあります。ですが、採用広報によって「潜在転職希望者に自社の存在を知ってもらう」ことができれば、その潜在転職希望者が顕在転職希望者に変化した際に、「あのとき見たあの企業について調べてみようかな」などと考えてもらえる可能性が高くなります。

○採用広報の事前準備4:リファラル採用に役立てる

「社員が、良さそうな人材に自社を紹介して、採用につなげる」という手法のことを「リファラル採用」と言います。分かりやすく表現すれば「君、ウチにぴったりの人材だし、面接受けてみない?」という事ですね。

そして、「紹介をする社員」の立場からしても、自社が採用広報を積極的に行っていれば、それによって発信されている情報を紹介に役立てることができます。逆に「ゼロから紹介するための情報などをまとめる」のは非常に大変ですよね。

また、「紹介された人」からしても、「どういう企業なのか調べられる状態」が整っていれば色々と楽です。
反対に「調べてみても、内輪にしか分からないような情報しかない」「ネットの第三者の口コミくらいしか出てこない」などとなると、「じゃあ応募しよう」という気持ちになりにくいですよね。

 

採用広報の導入効果が期待できる6つの条件

採用の条件

以下に当てはまる場合は、採用広報に特に力を入れることを推奨します。

○1:内定承諾率が低いケース

良い人材に内定を出したとしても、承諾されなければ当然その人材を迎え入れることはできません。ですから、「応募者が多い」というだけで満足してはいけません。

「良い人材」は、多くの企業から内定をもらっている事でしょう。言ってみれば「選び放題」ですから、大企業や有名企業などに取られやすくなります。

また、案外多いのが、「本人はベンチャー企業に入りたくても、親の意向で大企業に入る」というケースです。
特に「新卒採用」は「一生に一度」ですから、そうなるのも無理はありません。「あなたの将来のためよ!」と言われれば、そうそう無碍にはできないはずです。

しかし「報道されている」という実績があるだけで、「それなら信頼できる」と考えてもらうことができます。人間は権威に弱いですからね……。

○2:応募者が少ないケース

「1」で「応募者が多いだけで満足してはいけない」と言いましたが、もちろん少ないようではどうにもなりません。

中小企業の中にも採用広報によって、新卒説明会で数千人を集めているところが少なくありません。また、採用広報に力を入れることで、内定承諾率を「2割→8割」にまで押し上げた企業も存在します。

「数千人集めてその中のトップ層に内定を出せる。しかも内定承諾率は8割」となればどうでしょうか。本来は大企業に奪われるような人材を招き入れることができますよね。

○3:離職率が高い場合

先ほど「会社として何をやっていきたいのかを示すべき」と言いましたが、それがきちんとできていると離職率を下げることができます。「しばらく働いてみたけれど、思っていたのとは違う」を防ぐことが可能です。

○4:各地に支部がある場合

「意図せず、エリアによって採用基準やブランディングに差が出ている」という企業は少なくありません。採用広報によって統一を図りましょう。

○5:BtoBタイプの企業

「別の法人企業に向けて仕事をするタイプの企業」のことを「BtoB」などと言います。例えば、「有名自動車企業に、車のパーツを提供する企業」などがこれに該当します。

BtoBの企業は「業界では有名だけれど、消費者からの知名度は非常に低い」という状態になりがちです。だからこそ、採用広報によって知名度を上げていく必要があります。

実際、就職活動をする学生などの中には「色々な企業を調べてみたら、全く知らない企業の中にも待遇がいいところが多くて驚いた。それはBtoBタイプの企業だった」という体験をする人が少なくありません。「じっくり調べてなくても自社を認識してもらえる状態」を作りましょう。

6:採用のコストを下げたい場合

求人広告を出したり、人材紹介サービスを使ったりするのもタダではありません。

コストなどの関係上そういったツールを用いる事ができないのであれば、採用広報によって潜在転職希望者・顕在転職希望者にアプローチする必要があります。

 

採用広報に広報担当者が関わるべき最大の理由

採用活動の風景

しかし、そこで「じゃあ物量作戦だ!」などと考えて、

  • 自社サイトの採用関連の記事をひたすら更新する
  • むやみにネット広告などを出す
  • SNSで採用関連の投稿を大量に行う

などのことをしても意味がありません。なぜなら企業としても「こんなことができる人材が欲しい」「こんなマインドを持った人材が欲しい」という希望があるはずだからです。

では、その「希望」はどうすれば見えてくるのでしょうか。
ズバリ言いますが、それには社長(もしくはそれに準ずる立場の人)に話を聞くことが必要です。

優秀な広報担当者であれば、日頃から頻繁に社長とコミュニケーションを取っているはずです。したがって、「希望」を聞き出すのも難しいことではありません。
経営方針などと絡めて相談しつつ、きちんと社長の言葉を聞きましょう。そして、どういった人材を求めるべきなのかハッキリと分かったら、人事部の社員と相談しつつ、それを他人が理解しやすい形で言語化していくわけですね。

 

採用広報に役立つユニーク導入事例

○1:ピーアールテーブル

画像引用_ピーアールテーブルの

引用出典_PR table

これは、様々な企業の社員の「これまでの物語」が掲載されているサイトです。
例えば、その会社のリーダーや役員には、「学生時代は海外留学していて、どのような想いで入社して、将来はこういう仕事をして」というストーリーが載っています。
そういったストーリーが、ピーアールテーブルにアクセスした人の心を熱くして、「ここで働きたい!」という気持ちを作るわけですね。
ちなみに、あまり「マッチング」的な雰囲気がないサイトですので、気軽に読めると思います。

○2:テンショック

テンショックのサービスは終了していますが、非常にユニークで参考になるので取り上げました。
月間ユニークユーザー数が40万を超えたサイトですので紹介しておきます。

ピーアールテーブルに近い雰囲気ではあるのですが、こちらはより「人材を獲得するための情報」に寄ったサイトでした。
そして、動画を投稿して情報を伝えることもできました。

  • 職場全体像
  • 新人研修
  • 社長や社員のコメント
  • 社内イベント

などの様子が分かる動画が多く掲載されていました。

最近はテンショックに限らず、動画でPRを行えるツールが多くなってきましたね。
また、ユーチューブの動画埋め込み機能などを使えば、自社サイトにも動画を載せることが可能です。

ただし、「サイトにアクセスすると、いきなり動画が再生される形式」だと、ユーザーに嫌われる傾向にあるので気を付けましょう。突然音声が流れるとびっくりしますし、動画のせいでページの読み込みが遅くなってしまうこともあります。

「トップページに動画を置くが、ユーザーが操作しないと再生されない形式」にするか、「トップページではないページに動画を置く形式」のどちらかにすることをおすすめします。

○3:元ヤン採用

次からは「ツール」ではなく、「形式」の話です。
ピンとこないかもしれませんが、お読みいただければわかるはずです。

画像引用_元ヤン採用

引用出典_株式会社ベジタブルファーム

「株式会社ベジタブルファーム」が一時期設けていた採用システムです。
「ヤンキーには、根性、体力、礼儀があるだろう」ということで実践してみたとのことです。
ちなみに、この企画を担当した社員も元ヤンキーだったそうで、採用情報ページにはその社員のエピソードが少し掲載されていました。

さて、広報担当者の仕事の一つに、
「社長の存在を世に知らしめる」というものがあります。

ですから例えば、社長が学生時代に小説を書くのが趣味だったのだとしたら、「短編小説を持ち込んで、一番面白かった人を採用」などといった採用システムを作ってみると良いかもしれませんね。

○4:バー面接

これは筆者が実際に体験したことなのですが、バーでお酒を飲みながら面接を受けたことがありました。
事前に「バーで面接をすることになりますが、よろしいですか?」と聞かれたときはかなり驚きましたが……。遠慮するのも良くないと思い、ちゃんと酔うまで飲みました。

日本の採用事情は「演技合戦」であるという側面もありますし、「本音を聞き出す」という意味では悪くない方法なのではないでしょうか。

ただし、お酒を飲めない人ももちろんいるわけですから、「ソフトドリンクも可」とアピールしておかなければなりませんね。

○5:内定辞退ボーナス

こちらはアメリカの「ザッポス」という靴の通販小売をメインとする企業が初めて実施したと言われているものです。

仕組みは単純で「内定を辞退した人はボーナスを出します」というもの。
これによって、「お金だけのために働く人」を弾くという狙いがあるようですし、
「就職活動の資金のサポートをしよう」という意味合いもあるそうです。

ちなみに、現在は2000ドルをボーナス金額としているようです。
日本円で20万円以上ですから、目がくらんでしまう人もいるかもしれませんね。

この内定辞退ボーナスに限らず、
「辞退した人に何らかのメリットを与える」という仕組みを作っておくと、
熱意の低い人材を弾きやすくなるのではないでしょうか。

ただし、やり方を間違えると、反感を買うかもしれないので注意が必要です。

 

採用広報を取り入れて継続的な企業成長を目指そう

採用広報の面接シーン

では、なぜこのような面白い採用システムを導入する企業が多くなっているのでしょうか。
その理由は主に2つあります。

○1:注目してもらうため

ユニークな採用を行っていると、メディアに紹介してもらいやすくなります。
労働関係の話題を担当している記者、新聞の大学担当や就活担当者などに売り込んでみましょう。

実際、「採用 ユニーク」などで検索すると、いくつも面白い採用システムの話が出てきます。
そして、「こんな採用システムを導入するのはどんな会社なのだろう?」と興味を持ってもらえたら成功ですね。

○2:社風や会社としての気持ちなどを伝えることができる

メディアに取り上げてもらうさいには、まず間違いなく「なぜこのような採用システムにしたのでしょうか?」と聞かれます。
そのときに、社風・社長の想い・経営方針などを盛り込んで回答することができれば、それらを広範囲に伝えることができますよね。

逆に言えば、単なる思い付きでユニーク採用を行っても意味がないということですので覚えておきましょう。

○まとめ

「採用活動にも工夫が必要な時代になった」という事がお分かりいただけたのであれば幸いです。

途中で触れましたが、一番大事なのは「ユニーク採用でも一般的な採用でも、きちんとした『目的』と『プラン』を作った上で行う」ことです。地に足のついた採用広報活動をすることを心がけましょう。


執筆者・監修者
上岡正明
経済記者・経済コメンテーター
戦略PRプランナー・著書26冊累計105万部のビジネス作家
登録者25万人のYoutuber
上岡正明

MBA(多摩大学院経営情報学修了)
テレビコメンテーター
多摩大学客員講師(18,19)
帝塚山大学客員講師(19)
登録者24万人のビジネス系YouTube

「スーパーJチャンネル」「めざましテレビ」「王様のブランチ」「クイズミリオネア」等の元放送作家。日本を代表するPR戦略の専門家で、企業広報のスペシャリスト。未上場から上場企業まで戦略PRを手掛けたクライアントは300社以上。

広報ブランディング、新規事業構築、外資系企業の国内イベント、海外プロモーション支援のコンサルティング会社代表。現在まで約20年間、実業家として会社を経営。これまでに三井物産、SONY、三菱鉛筆、日本瓦斯など200社以上の広報支援、スウェーデン大使館やドバイ政府観光局などの国際観光誘致イベントなどを行う。

代表的なコンサルティング案件としては、日本中の女性たちの心を動かした「表参道のパンケーキブーム」、1年で200万台以上を売り上げた「ふとん専用掃除機レイコップ」、世界が注目する食イベント「肉フェス」、1カ月で6000万人(日本の約半分)にバズらせた「ジャポニカ学習帳“昆虫の表紙が変わった?”」がある。

経営と並行してMBA(情報工学博士前期課程)取得。東京都中小企業振興公社講師。成蹊大学、多摩大学、帝塚山大学の客員講師。東洋経済新報社、ダイヤモンド社、朝日新聞出版社、PHP出版、総合法令出版社、アスコム社、大和出版、すばる舎、宝島社から累計21冊80万部の著書を上梓。

日本神経心理学会、日本行動心理学学会、行動経済学学会、一般社団法人日本行動分析学会、日本社会心理学会、一般社団法人日本小児心身医学会、認知神経科学会の各学会員。

日経ヴェリタス・東洋経済オンライン・ダイヤモンドオンライン・プレジデントの4大経済メディアで専門家として記事連載もおこなっております。お読みになりたい方はこちらからご覧下さい。

①:東洋経済オンラインでの連載記事
②:ダイヤモンドオンラインでの連載記事
③:プレジデントでの連載記事
④:日本経済新聞での連載記事