プロダクトライフサイクル(PLC)とは?基本的な知識と5つのステージ活用法を現役MBAコンサルタントが解説
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2023.02.27

プロダクトライフサイクル(PLC)とは?基本的な知識と5つのステージ活用法を現役MBAコンサルタントが解説

プロダクトライフサイクル(PLC)とは、市場に出される製品において一般的に見られる、時間の推移による売り上げの変化を説明する考え方です。
プロダクトのライフサイクル(製品寿命)は、「導入期」「成長期」「成熟期」「衰退期」の4つに分類でき、プロダクト・ライフサイクルのフェーズごとに取るべきマーケティング戦略は異なるとされています。

例えば、市場に出された直後の導入期は製品の認知拡大が重要であり、成長期では製品改良とその訴求、成熟期では製品がコモディティ化するために差別化要素の開発や低コストオペレーションの実現、衰退期に入ると需要減少が見込まれます。そのため、大規模リニューアルや撤退ラインの見極めなど、マーケティング戦略に限らず、経営判断にも示唆を与えるフレームワークでもあります。

今回は、そんなプロダクトサイクルの基礎知識と活用方法について、累計55万部のビジネス作家である、MBAホルダーで脳科学者の上岡正明氏に詳しく解説してもらいました。(※詳しいプロフィールはこちら

MBAで教えるだけの机上の空論だけでなくコンサルティング現場でのホンモノの活用法まで、だいたい3分程度まで読めてしまいます。ぜひお楽しみに。

 

プロダクトライフサイクル(PLC)の起源

※出典引用画像:フィリップ・コトラー博士のプロダクトライフサイクル概念図

プロダクトライフサイクルは、1960年代にアメリカの政治学者レイモンド・バーノンが提唱したとされています。そして、その後マーケティングの父と呼ばれるフィリップ・コトラーによって広くマーケティング業界に普及した理論です。

 

プロダクトライフサイクルの段階分けと名称

一般的なプロダクト・ライフサイクル理論では、市場の局面変化を「導入期」「成長期」「成熟期」「衰退期」という4段階で捉えることが多いです。また、プロダクト・ライフサイクルを図解する際には、縦軸を売り上げや利益、横軸を時系列推移として取った売り上げ曲線や利益曲線で示されることが一般的です。

なお、ここで重要な関心事となるのは、

・なぜその市場なのか
・どのような市場・生活者の変化があって
・それがどのようなロジックで自社ブランドに影響して
・売り上げや利益にインパクトを与えるのか?

といったことになります。

なぜかというと、プロダクト・ライフサイクルを活用する目的としては、「将来を見越して事前に手を打っておく」ことであって、そのためには売り上げや利益に影響を与える「原因」や「力学」などの洞察が必要不可欠だからです。

従ってここからは、

  • 市場・生活者の変化(=原因)
  • 自社ブランドへの影響(=力学)
  • 売り上げ・利益の変化(=結果)

の因果関係がわかりやすいように、5段階のプロダクト・ライフサイクルを用いて解説していきたいと思います。

 

プロダクトライフサイクルの現場コンサルティングのステージ別攻略法を知ろう

PLCのライフサイクルの説明

■導入期の戦略について

プロダクト・ライフサイクルの導入期とは、新しい商品やサービスを市場に導入した直後の時期を指します。
プロダクト・ライフサイクルの導入期では、いかに商品やサービスを市場に浸透させることができるかが最初の課題となります。多くの商品・サービスはこの導入期でつまづき撤退することになってしまいます。

導入期の目標普及率は2.5%前後であり、その分野における専門知識や先端情報に長けた「マニア層」に訴えかける戦略が取られます。マニア層は本人にとってはその分野が「趣味」として生きがいになっていて、例え所得が少なくても、可処分所得や時間の大半を惜しみなく投入してくれます。

■成長前期の戦略について

プロダクト・ライフサイクルの成長前期とは、無事に導入期を脱して市場成長率が上昇し、売上高が急拡大していく時期です。この段階になると「市場成長の兆し」が明らかになるため、機動力の高いベンチャー企業が続々と新規参入してきます。例えば、仮想通貨市場などがその典型と言えます。

成長前期の目標普及率は「2.5%~16.0%まで」であり、商品やサービスの購入者層はアーリーアダプター層が中心となります。アーリーアダプター層とは「流行りに対する感受性」が高く「流行りの先端好き」といった種類の人々のことを指します。

■成長後期の戦略について

プロダクト・ライフサイクルの成長後期とは、商品やサービスが大衆層に浸透し始めてから、成熟期に差し掛かるまでの時期を指します。
プロダクト・ライフサイクルの成長後期は、企業がこぞって市場参入してくるため、百花繚乱の状態となりやすいです。そのため、商品やサービスの差がなくなり、価格競争やブランド競争が激しくなっていく時期でもあります。

成長後期の目標普及率は「16%~50%まで」であり、商品やサービス購入の中心は、アーリーマジョリティ層となります。アーリーマジョリティ層とは一般大衆層の先駆けとなる人たちです。

■成熟期の戦略について

プロダクト・ライフサイクルの成熟期とは、ニーズが頭打ちとなり、市場の拡大が見込めなくなってきた時期を指します。プロダクト・ライフサイクルの成熟期になると、購入者層は「新規に購入する新規購入者層」「買い替えや買い増しで購入するリピート購入者層」が混在してくるのが特徴となります。
この段階で新規購入する層をレイトマジョリティ層と呼び、周囲の動向を伺いながら、商品やサービスが当たり前に定着するのを待って初めて購入するを決める人たちです。ちなみに、この成熟期の目標普及率は「50%~84%まで」となっています。

リピート購入者層の人々は、商品やサービスに対する基本性能はもはや「当たり前感覚」となっていて、彼ら彼女らの関心は基本性能以外の「デザイン」「ブランド」「価格」などに移りやすい傾向があります。

■衰退期の戦略

プロダクト・ライフサイクルの衰退期とは、その分野に対する需要が先細り、売り上げや利益が落ち込んでいく時期を指します。シェア上位の商品・サービスであれば、利益の確保が重要な目標となりますが、下位の商品・サービスは利益確保が難しくなるため撤退を迫られることもあります。

プロダクト・ライフサイクルの衰退期も、成熟期と同様に購入者層は、新規層とリピート層に分けられます。
この時期の新規購入者層をラガード層と呼び、新たな商品やサービスを最後になってしぶしぶ受容するか、最後まで受容しない人たちのことを指します。
ラガード層の人たちは、その分野に懐疑的であったり否定的だったりするため、旧来の商品を使い続ける傾向にあります。この層の人たちは所謂頑固であり、時には、ラガード層の人々を「見切る」という判断も必要となります。

この時期の戦略としては、「撤退」「存続」「新市場開拓」の3つがあります。それぞれ、シェアの大きさにより、取る選択肢が変わります。

 

プロダクトライフサイクルを上手に活用するには まとめ

このように、プロダクト・ライフサイクルには5つの段階とそれぞれの戦略があることがわかりました。

プロダクト・ライフサイクルでの予測を行うには、未来予測も絡んでくるため、なかなかに容易な作業ではありませんが、様々な角度から情報を集めて予測する、あるいは未来を決め打ちするのではなく、複数のシナリオを考えておくといったことが有効となります。

 

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◎この記事を書いた人:上岡正明
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MBA(多摩大学院経営情報工学修了)
一般社団法人日本脳科学認知協会 理事、一般社団法人小児発達心理学学会 理事
株式会社フロンティアコンサルティング代表取締役

27歳でPR戦略、新事業開発のコンサルティング会社を設立。現在まで約20年間、実業家として3社のグループ会社を経営。
これまで、三井物産、SONY、三菱鉛筆など200社以上の広報支援、スウェーデン大使館やドバイ政府観光局などの国際観光誘致イベントなどを行う。また、大学院にてMBA(情報工学)修了。海外大学外部機関にて認知脳科学と神経心理学を研究、東京都公社や全国の大学で講演。それらは常に人気を博し、2ヶ月先まで予約が取れないこともある。

また、日本を代表するテレビ放送作家、脚本家としても活躍。「スーパーJチャンネル」「めざましテレビ」「ワールドビジネスサテライト」「タモリのスーパーボキャブラ天国」など人気番組、脚本家として日本テレビ系列のドラマ「ストーリーランド」を手掛ける。ビジネス作家としてはダイヤモンド社、朝日新聞出版社、総合法令出版、アスコムなどから8冊の著書を上梓。中国、台湾で翻訳本が出版され、シリーズ累計55万部。所属学会として日本神経心理学会、日本行動心理学学会、行動経済学学会、一般社団法人日本行動分析学会、一般社団法人日本脳科学認知学会、一般社団法人小児発達心理学学会などがある。

【この記事を執筆した上岡正明の主なメディア露出実績(外部リンク)】
・上岡正明が特集された東洋経済オンラインの記事
・6000万人にクチコミを広げた事例を紹介する朝日新聞メディアの記事
・戦略PRについて語る戦略経営者の特集記事
・上岡正明の週刊ダイヤモンドの記事一覧
・多摩大学院公式サイトでベストセラー作家のMBA卒業生として紹介されました


執筆者・監修者
上岡正明
経済記者・経済コメンテーター
戦略PRプランナー・著書26冊累計105万部のビジネス作家
登録者25万人のYoutuber
上岡正明

MBA(多摩大学院経営情報学修了)
テレビコメンテーター
多摩大学客員講師(18,19)
帝塚山大学客員講師(19)
登録者24万人のビジネス系YouTube

「スーパーJチャンネル」「めざましテレビ」「王様のブランチ」「クイズミリオネア」等の元放送作家。日本を代表するPR戦略の専門家で、企業広報のスペシャリスト。未上場から上場企業まで戦略PRを手掛けたクライアントは300社以上。

広報ブランディング、新規事業構築、外資系企業の国内イベント、海外プロモーション支援のコンサルティング会社代表。現在まで約20年間、実業家として会社を経営。これまでに三井物産、SONY、三菱鉛筆、日本瓦斯など200社以上の広報支援、スウェーデン大使館やドバイ政府観光局などの国際観光誘致イベントなどを行う。

代表的なコンサルティング案件としては、日本中の女性たちの心を動かした「表参道のパンケーキブーム」、1年で200万台以上を売り上げた「ふとん専用掃除機レイコップ」、世界が注目する食イベント「肉フェス」、1カ月で6000万人(日本の約半分)にバズらせた「ジャポニカ学習帳“昆虫の表紙が変わった?”」がある。

経営と並行してMBA(情報工学博士前期課程)取得。東京都中小企業振興公社講師。成蹊大学、多摩大学、帝塚山大学の客員講師。東洋経済新報社、ダイヤモンド社、朝日新聞出版社、PHP出版、総合法令出版社、アスコム社、大和出版、すばる舎、宝島社から累計21冊80万部の著書を上梓。

日本神経心理学会、日本行動心理学学会、行動経済学学会、一般社団法人日本行動分析学会、日本社会心理学会、一般社団法人日本小児心身医学会、認知神経科学会の各学会員。

日経ヴェリタス・東洋経済オンライン・ダイヤモンドオンライン・プレジデントの4大経済メディアで専門家として記事連載もおこなっております。お読みになりたい方はこちらからご覧下さい。

①:東洋経済オンラインでの連載記事
②:ダイヤモンドオンラインでの連載記事
③:プレジデントでの連載記事
④:日本経済新聞での連載記事