ザク豆腐の成功事例に見る、メディア戦略
コラム
経営戦略×PR
2014.10.27

ザク豆腐の成功事例に見る、メディア戦略

さてさて、気がつけば最後に更新したのが2月!?
この8ヶ月いろいろネタを仕入れていたので。。
なんて苦しい言い訳をしながら、
これからは、SNSをうまく活用したPR事例を届けていきますね。

さて、そろそろ鍋がおいしい季節になりましたね。
鍋と言えば、2012年に140万丁も販売され2億8000万円もの売り上げを稼ぎだした
「ザク豆腐」をご存知ですか?

群馬県に本社を置く相模屋食料株式会社という会社が、
人気アニメ『機動戦士ガンダム』に登場するジオン公国軍側のモビルスーツ「ザクII」の
頭部を豆腐で模して、2012年の3月に販売したコラボレーション商品です。

「どちらも(“モビルスーツ”と“和食”の)基本」、
「どちらも“量産型”」、
「どちらも食卓の“名脇役”」
のコンセプトつくりもさることながら、なにより社長が、部類のガンダム好きということで、
発表会など徹底的にガンダムパロディーにこだわり、工場もまさにMS工場のように徹底されていた事が話題をうみましたね。

この事例を、PR視点で見てみると、

まず、「ガンダム」と言う今尚ファンの心をつかんでいるアニメと、
毎日食卓に並ぶ豆腐とをかけた新商品を作った事。
それによりガンダム好きの消費者だけでなく、
ガンダム世代のメディア記者の心をつかんだ。(興味喚起)

発表記者会見を、”オカタクやる”のではなく、場所はマニアの聖地・秋葉原で、
ガンダムの本物の声優をゲストに招いたり、
プロモーション動画も、まさにガンダムを彷彿とさせる内容で遊び心満載の
記者会見で望んだ事。(話題性の創造)
案内状は552通送付し、来場数は64媒体。(一流企業でもここまでは集まらない。)

そして、買った消費者が、実際に、鍋にザク豆腐を浮かべた“ジオラマ写真”と一緒に
どこのお店で売っていたという情報をSNSで共有したり、HPでジオラマコンテストを
開催し、友人がやっている→自分もやって共有したいというゲーム性を刺激し、
豆腐売り場に縁遠い、30~40代男性を取り込んだ事。(参加できる仕組みの創造)

の3つのポイントがうまく仕込まれており、恐らく、最初のアプローチ以外は
企業からメディアへお願いするのではなく、
メディアから取材したいと言われつづけたのではないかと想像できる。
こうなれば、PRの理想である。

PR戦略とは、ただ、メディアへの単発の露出だけを考えるのではなく、
「消費者とメディア記者への興味喚起」、「世間を巻き込む話題性の創造」、
そして「共有したくなる空気(参加できる仕組み)」を作り出す事こそ、
本来のPR戦略だと言える。
そういう意味でも、このザク豆腐はベストな事例の一つといえるのではないかな。

ガンダム好きとしては、いつか「ガンダム豆腐」を鍋に浮かべて
あの名台詞を叫んで豆腐を掴んでみたい。

アムロ行きまーーーーーーーーーーす。

相模屋食料株式会社のザク豆腐プロモーションビデオ


執筆者・監修者
上岡正明
経済記者・経済コメンテーター
戦略PRプランナー・著書26冊累計105万部のビジネス作家
登録者25万人のYoutuber
上岡正明

MBA(多摩大学院経営情報学修了)
テレビコメンテーター
多摩大学客員講師(18,19)
帝塚山大学客員講師(19)
登録者24万人のビジネス系YouTube

「スーパーJチャンネル」「めざましテレビ」「王様のブランチ」「クイズミリオネア」等の元放送作家。日本を代表するPR戦略の専門家で、企業広報のスペシャリスト。未上場から上場企業まで戦略PRを手掛けたクライアントは300社以上。

広報ブランディング、新規事業構築、外資系企業の国内イベント、海外プロモーション支援のコンサルティング会社代表。現在まで約20年間、実業家として会社を経営。これまでに三井物産、SONY、三菱鉛筆、日本瓦斯など200社以上の広報支援、スウェーデン大使館やドバイ政府観光局などの国際観光誘致イベントなどを行う。

代表的なコンサルティング案件としては、日本中の女性たちの心を動かした「表参道のパンケーキブーム」、1年で200万台以上を売り上げた「ふとん専用掃除機レイコップ」、世界が注目する食イベント「肉フェス」、1カ月で6000万人(日本の約半分)にバズらせた「ジャポニカ学習帳“昆虫の表紙が変わった?”」がある。

経営と並行してMBA(情報工学博士前期課程)取得。東京都中小企業振興公社講師。成蹊大学、多摩大学、帝塚山大学の客員講師。東洋経済新報社、ダイヤモンド社、朝日新聞出版社、PHP出版、総合法令出版社、アスコム社、大和出版、すばる舎、宝島社から累計21冊80万部の著書を上梓。

日本神経心理学会、日本行動心理学学会、行動経済学学会、一般社団法人日本行動分析学会、日本社会心理学会、一般社団法人日本小児心身医学会、認知神経科学会の各学会員。

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