中小・ベンチャー企業が上場するためにはPR戦略や広報活動が必須?その理由を徹底解説
PR戦略とは
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2023.09.29

中小・ベンチャー企業が上場するためにはPR戦略や広報活動が必須?その理由を徹底解説

「上場か……。広報活動とは最も縁遠いことだな」と感じているPR担当者もいるかもしれません。しかし、それは大きな勘違いです。

株式上場、つまりはIPOを目指すベンチャー企業がなぜ広報が必要なのか? これまで30社以上の上場支援にたずさわってきた上岡正明氏がお答えします。

*人気記事:PR会社20選!特徴・強み・種別をカオスマップで分類してみた

ベンチャー・中小企業が上場を狙うには時価総額を上げる必要がある

画像_広報戦略の選定を行う社員

ベンチャー・中小企業の中には「上場」を狙っているところが少なくないはずです。
そのために売上を伸ばしたりサービスの質を向上させたりするわけですが、結局のところ企業の「時価総額」を伸ばすことに集約されます。

・「時価総額=その会社の現在の価値」だと考えてください。

上場するためには何回か資金集めをしなければなりませんが、時価総額が高い企業であればあるほど成功しやすくなります。基本的に「時価総額と集められる資金は比例する」と捉えましょう。

●時価総額を高めるためには広報活動が重要

一見「時価総額アップ」と「広報活動」には繋がりがなさそうですが、実は多いに関係があります。

なぜなら「上場のための活動中の企業」に対して、多くの証券企業が「これまでのメディア露出歴が分かる資料」の提示を要求するからです。

売上や利益だけで判断するわけではありません。結局のところ、証券企業も「世の中の人々にどう見られているか(=どう報道されているか)」を気にするのです。そして、メディア露出量が多ければ多いほど、そしてその内容が良いものであればあるほど時価総額が上がりやすくなります。「とにかく商品・サービスの向上を!」とだけで考えていても上場は厳しいです。

*参考リンク:上場戦略にPR戦略をどう活用するか?PRのイロハを全てマスターしよう

 

上場を狙うための広報活動の3つのポイント

1:売上・利益に関するデータを細かく作る

メディア露出ももちろん大事ですが、「利益・売上が順調に伸び続けている」ということが一目で分かるような資料を作成することも大事です。資料が出来たら、株式・経済・金融関係のメディアにプレリリースを送るなどしてみましょう。

ちなみに、採用広報(採用活動を効率よく行うための広報)においてもこの資料は役立ちます。就職活動者に「売上が伸びている=将来性がある」と考えてもらえるからです。

2:スタッフのメディアトレーニングも必要

上場済企業の多くは、「ここまでは話してよくて、ここからは話してはダメ」などのメディアトレーニングを行います。

しかしこれは、上場準備中の会社でも取り組んでおきたいものです。特に社員数が多い会社の場合は、「誰か一人がとんでもないミスを……」という可能性もあるので、広報担当者などが中心になってトレーニングしていきましょう。

ただ、そのためにわざわざ時間を取るのも難しいはずなので、専門誌やメールマガジンなどを通じて「教育」することをおすすめします。

3:「上場を狙っているという意識」を社員に持たせる

いわゆる「社内広報」の一環となりますが、「我が社は上場を狙っていますよ」と社員一人一人に明確に伝えましょう。そのほうが、社員一人一人の、そして企業全体としてのモチベーションが上がります。

また、そもそも「上場の定義」さえ知らない社員が多いでしょうから、その辺りから周知していきましょう。さらには、「上場完了までのプラン」などを示すことも大事です。あとは、「上場した場合に社員が受けるメリット」も具体的に公開しましょう。

 

メディア露出のその他のメリット2つ

「売上が伸びやすくなる」「信頼性が上がる」など数え切れないほどのメリットがありますが、その中でも見落としやすいものを紹介します。

1:業務提携しやすくなる

知名度の低いベンチャー・中小企業が、大手企業に業務提携を打診しても相手にしてもらえない可能性が高いです。ハッキリ言ってほぼ門前払いされる事でしょう。

しかし、メディア露出していると「ああ、○○(企業名)ね。考えてみようかな」という流れになりやすいです。
これは「知名度自体に惹かれている」わけではなく、「知名度が高い企業と提携すれば、売上などが伸びやすいから惹かれている」わけですね。

例えば、「靴を売る企業」が、「ファッション全般を扱う企業」に業務提携を持ち掛けると、「じゃあ、靴の分野は任せようかな」などと考えてもらえる可能性があります。

○2:メディア露出しやすくなる

「メディア露出が増えると、メディア露出しやすくなる」と言えます。
つまり「最近有名だから、ウチでも記事にしようかな」などの流れができるわけです。最初はマイナーメディアへの露出であっても、積み重ねていれば大手から声がかかるかもしれません(もちろん待っているだけではいけないので、大手にもプレリリースを送りましょう)。

*参考リンク:最後はプレスリリースを武器に知名度を広げよう【全戦略を紹介】


執筆者・監修者
上岡正明
経済記者・経済コメンテーター
戦略PRプランナー・著書26冊累計105万部のビジネス作家
登録者25万人のYoutuber
上岡正明

MBA(多摩大学院経営情報学修了)
テレビコメンテーター
多摩大学客員講師(18,19)
帝塚山大学客員講師(19)
登録者24万人のビジネス系YouTube

「スーパーJチャンネル」「めざましテレビ」「王様のブランチ」「クイズミリオネア」等の元放送作家。日本を代表するPR戦略の専門家で、企業広報のスペシャリスト。未上場から上場企業まで戦略PRを手掛けたクライアントは300社以上。

広報ブランディング、新規事業構築、外資系企業の国内イベント、海外プロモーション支援のコンサルティング会社代表。現在まで約20年間、実業家として会社を経営。これまでに三井物産、SONY、三菱鉛筆、日本瓦斯など200社以上の広報支援、スウェーデン大使館やドバイ政府観光局などの国際観光誘致イベントなどを行う。

代表的なコンサルティング案件としては、日本中の女性たちの心を動かした「表参道のパンケーキブーム」、1年で200万台以上を売り上げた「ふとん専用掃除機レイコップ」、世界が注目する食イベント「肉フェス」、1カ月で6000万人(日本の約半分)にバズらせた「ジャポニカ学習帳“昆虫の表紙が変わった?”」がある。

経営と並行してMBA(情報工学博士前期課程)取得。東京都中小企業振興公社講師。成蹊大学、多摩大学、帝塚山大学の客員講師。東洋経済新報社、ダイヤモンド社、朝日新聞出版社、PHP出版、総合法令出版社、アスコム社、大和出版、すばる舎、宝島社から累計21冊80万部の著書を上梓。

日本神経心理学会、日本行動心理学学会、行動経済学学会、一般社団法人日本行動分析学会、日本社会心理学会、一般社団法人日本小児心身医学会、認知神経科学会の各学会員。

日経ヴェリタス・東洋経済オンライン・ダイヤモンドオンライン・プレジデントの4大経済メディアで専門家として記事連載もおこなっております。お読みになりたい方はこちらからご覧下さい。

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