広告換算値とは?PR会社が考えるべき本当に目指すべきゴールと効果測定と報告手法
PR戦略とは
3分で分かる「PRの基本」
2022.07.25

広告換算値とは?PR会社が考えるべき本当に目指すべきゴールと効果測定と報告手法

皆さんは、「広告換算値」という言葉を聞いたことがありますか?

ちょっと聞きなれない言葉かもしれません。しかし、広報担当者やPR会社に入社すると、必ず使うワードになります。
今日はそんな広告換算値を大学生でもわかるように、シンプルに紹介していきたいと思います。

*記事を書いた人:「めざましテレビ」「王様のブランチ」元放送作家

*こちらも人気:PRと広告の最大の違い知ってる?現役記者が解説

 

広告換算値とは?

連日コロナのニュースばかりで憂鬱な気分になります。

しかし、日々戦っている医療従事者の方々、行政の方々、物流を担う方々、また生活必需品を提供してくれる方々のことを考えれば、むしろ”家にいれる”という状況にしっかりと感謝しなくてはなりませんね。

コロナに負けないためにも、きちんとおうち時間を過ごしていければと思います。
さて今回はPR活動における効果の調査方法について取り上げていきたいと思います。

◆広告換算値を【1分】で説明するとこうなる

このコラムでも何度か、PRの効果測定や広告換算値、KPIについて触れてきましたが、
今回は実際に調査する場合、どのような手法があるのかをご紹介します。

まず前回のおさらいになりますが、これまでの指標の一つであった広告換算値について簡単にまとめてみます。

「広告換算値」という言葉は、結構古くから存在します。パブリシティとして獲得したニュース記事の面積や放送の尺と同じだけの量をもし広告の定価で購入したら、いったいいくらに相当するのかを換算したものです。

◆広告換算値は、もう古い?

これまで多くの企業がPRの活動成果や効果の指標として取り入れてきました。

一見、コストと成果をうまく比較できているような気がしますが、「広告換算」で出した値は、「広告予算投入額」の想定にすぎず、残念ながら直接的な「成果」を測るものではありません

従って「広告換算値」は、パブリシティ量を一定の指標で査定する1つのやり方ではあるものの、この指標のみを「成果」や「効果」としてしまうのは違うのではないかといった声が近年上がってきています。

*参考リンク:あなたも知らないテクニック満載!プレスリリースの全戦略をまとめてみた

 

広告換算値はアウトプットからアウトカムへシフト?

前述のように情報をどれだけメディアへ露出したのかという”アウトプット”から問い合わせ数や予約、売り上げ等の露出した情報がどのようなインパクト(効果)があるかの”アウトカム”に注目するような流れになってきています。

◆重視するメディアの多様化

アウトカム重視の流れに合わせて、SNSや口コミによる影響がより力を持ち始めました。
従来のパブリシティによって発信される情報だけでなく消費者の自身の発信にも注目する
シェアードメディアを重視する傾向が高まっています。

そこで効果を計測する際は、より多面的かつ継続的な定点観測をする必要があります。

広告換算値の具体的な調査方法とは?

次にいくつか具体的な調査方法についてご紹介いたします。

・リーチ数調査

一般ニュースメディアとソーシャルメディア等の露出量をリーチ可能数で測定します。
メディアごとのリーチ数や時系列による変化が分かり、PR施策の効果検証や評価基準、活動のKPIとして活用されています。

・メディア調査(報道分析)

露出状況から広報活動の課題を明確化し、課題解決への活用を目的としていています。

実施結果を報道された記事の件数やリーチ数、内容を定量的かつ定性的に分析し、記事傾向や論調のウォッチング、インプット(情報発信)に対するアウトプット(露出)の確認、メディアや記者ごとの認識や知識の把握、ベンチマークとの露出状況の比較、そして露出状況の定点観測などを行うことによって多面的にメディア状況を把握することができます。・ソー

・シェルリスニング

SNS上で人々が日常的に行っている会話や自然な行動に関するデータを収集し、それらを調査・分析することによって業界動向把握やトレンド予測、自社・ブランドの改善、消費者の潜在ニーズの把握などに活かすことができます。

・ターゲット調査

潜在顧客層から有力なターゲットを見つけだすために、年代、職業などの属性や、特定の行動に反応をする人などの限定的な条件でフォーカスしたリサーチを行い、その対象の特性を把握します。

 

まとめ 広報活動で行うべき広告換算値調査とは?

ここまでPRによるアウトカムと具体的な調査手法について説明してきましたが、アウトカムとは、さまざまな要素によってもたらされた結果であり、PR活動の成果のみを抽出することは、非常に難しいというのが現状です。

またPRには、世の中の空気をつくるという目的もあり、アウトカムに縛られない社会への影響力も加味しなくてはなりません

◆何のためにPRを実施し、何を実現するのか

このようなことを書いてしまうと、結局、効果測定は不可能なのかと思われしまうかもしれません。しかしながら本来重要なのは、完璧な効果測定を行うことではく、「何のためにPRを実施し、何を実現するのか」という目的とゴールの明確化です。

効果測定を行うことを目的とせず、PRで達成するべき目的とゴールに対して、施策効果の検証と最適化を目指すのが、本来の効果測定の役目なのではないでしょうか?

そのことを意識すれば、自ずと必要な目標や数値、測定方法が明確になるはずですので、都度最適な手法を選択していけばよいかと思います。

◆最後に

このコロナによって、世界の情勢や価値観の変化がリアルタイムでもたらされています。
PRやプロモーションに求められることも大きく変わってくるはずでしょう。

そこで今一度、PR広報という仕事は、何ができるのか。そして何をすべきなのかを見つめなおす必要がありそうです。


執筆者・監修者
上岡正明
経済記者・経済コメンテーター
戦略PRプランナー・著書26冊累計105万部のビジネス作家
登録者25万人のYoutuber
上岡正明

MBA(多摩大学院経営情報学修了)
テレビコメンテーター
多摩大学客員講師(18,19)
帝塚山大学客員講師(19)
登録者24万人のビジネス系YouTube

「スーパーJチャンネル」「めざましテレビ」「王様のブランチ」「クイズミリオネア」等の元放送作家。日本を代表するPR戦略の専門家で、企業広報のスペシャリスト。未上場から上場企業まで戦略PRを手掛けたクライアントは300社以上。

広報ブランディング、新規事業構築、外資系企業の国内イベント、海外プロモーション支援のコンサルティング会社代表。現在まで約20年間、実業家として会社を経営。これまでに三井物産、SONY、三菱鉛筆、日本瓦斯など200社以上の広報支援、スウェーデン大使館やドバイ政府観光局などの国際観光誘致イベントなどを行う。

代表的なコンサルティング案件としては、日本中の女性たちの心を動かした「表参道のパンケーキブーム」、1年で200万台以上を売り上げた「ふとん専用掃除機レイコップ」、世界が注目する食イベント「肉フェス」、1カ月で6000万人(日本の約半分)にバズらせた「ジャポニカ学習帳“昆虫の表紙が変わった?”」がある。

経営と並行してMBA(情報工学博士前期課程)取得。東京都中小企業振興公社講師。成蹊大学、多摩大学、帝塚山大学の客員講師。東洋経済新報社、ダイヤモンド社、朝日新聞出版社、PHP出版、総合法令出版社、アスコム社、大和出版、すばる舎、宝島社から累計21冊80万部の著書を上梓。

日本神経心理学会、日本行動心理学学会、行動経済学学会、一般社団法人日本行動分析学会、日本社会心理学会、一般社団法人日本小児心身医学会、認知神経科学会の各学会員。

日経ヴェリタス・東洋経済オンライン・ダイヤモンドオンライン・プレジデントの4大経済メディアで専門家として記事連載もおこなっております。お読みになりたい方はこちらからご覧下さい。

①:東洋経済オンラインでの連載記事
②:ダイヤモンドオンラインでの連載記事
③:プレジデントでの連載記事
④:日本経済新聞での連載記事