皆さんは、「広告換算値」という言葉を聞いたことがありますか?
ちょっと聞きなれない言葉かもしれません。しかし、広報担当者やPR会社に入社すると、必ず使うワードになります。
今日はそんな広告換算値を大学生でもわかるように、シンプルに紹介していきたいと思います。
*記事を書いた人:「めざましテレビ」「王様のブランチ」元放送作家
*こちらも人気:PRと広告の最大の違い知ってる?現役記者が解説
広告換算値とは?
連日コロナのニュースばかりで憂鬱な気分になります。
しかし、日々戦っている医療従事者の方々、行政の方々、物流を担う方々、また生活必需品を提供してくれる方々のことを考えれば、むしろ”家にいれる”という状況にしっかりと感謝しなくてはなりませんね。
コロナに負けないためにも、きちんとおうち時間を過ごしていければと思います。
さて今回はPR活動における効果の調査方法について取り上げていきたいと思います。
◆広告換算値を【1分】で説明するとこうなる
このコラムでも何度か、PRの効果測定や広告換算値、KPIについて触れてきましたが、
今回は実際に調査する場合、どのような手法があるのかをご紹介します。
まず前回のおさらいになりますが、これまでの指標の一つであった広告換算値について簡単にまとめてみます。
「広告換算値」という言葉は、結構古くから存在します。パブリシティとして獲得したニュース記事の面積や放送の尺と同じだけの量をもし広告の定価で購入したら、いったいいくらに相当するのかを換算したものです。
◆広告換算値は、もう古い?
これまで多くの企業がPRの活動成果や効果の指標として取り入れてきました。
一見、コストと成果をうまく比較できているような気がしますが、「広告換算」で出した値は、「広告予算投入額」の想定にすぎず、残念ながら直接的な「成果」を測るものではありません。
従って「広告換算値」は、パブリシティ量を一定の指標で査定する1つのやり方ではあるものの、この指標のみを「成果」や「効果」としてしまうのは違うのではないかといった声が近年上がってきています。
*参考リンク:あなたも知らないテクニック満載!プレスリリースの全戦略をまとめてみた
広告換算値はアウトプットからアウトカムへシフト?
前述のように情報をどれだけメディアへ露出したのかという”アウトプット”から問い合わせ数や予約、売り上げ等の露出した情報がどのようなインパクト(効果)があるかの”アウトカム”に注目するような流れになってきています。
◆重視するメディアの多様化
アウトカム重視の流れに合わせて、SNSや口コミによる影響がより力を持ち始めました。
従来のパブリシティによって発信される情報だけでなく消費者の自身の発信にも注目する
シェアードメディアを重視する傾向が高まっています。
そこで効果を計測する際は、より多面的かつ継続的な定点観測をする必要があります。
広告換算値の具体的な調査方法とは?
次にいくつか具体的な調査方法についてご紹介いたします。
・リーチ数調査
一般ニュースメディアとソーシャルメディア等の露出量をリーチ可能数で測定します。
メディアごとのリーチ数や時系列による変化が分かり、PR施策の効果検証や評価基準、活動のKPIとして活用されています。
・メディア調査(報道分析)
露出状況から広報活動の課題を明確化し、課題解決への活用を目的としていています。
実施結果を報道された記事の件数やリーチ数、内容を定量的かつ定性的に分析し、記事傾向や論調のウォッチング、インプット(情報発信)に対するアウトプット(露出)の確認、メディアや記者ごとの認識や知識の把握、ベンチマークとの露出状況の比較、そして露出状況の定点観測などを行うことによって多面的にメディア状況を把握することができます。・ソー
・シェルリスニング
SNS上で人々が日常的に行っている会話や自然な行動に関するデータを収集し、それらを調査・分析することによって業界動向把握やトレンド予測、自社・ブランドの改善、消費者の潜在ニーズの把握などに活かすことができます。
・ターゲット調査
潜在顧客層から有力なターゲットを見つけだすために、年代、職業などの属性や、特定の行動に反応をする人などの限定的な条件でフォーカスしたリサーチを行い、その対象の特性を把握します。
まとめ 広報活動で行うべき広告換算値調査とは?
ここまでPRによるアウトカムと具体的な調査手法について説明してきましたが、アウトカムとは、さまざまな要素によってもたらされた結果であり、PR活動の成果のみを抽出することは、非常に難しいというのが現状です。
またPRには、世の中の空気をつくるという目的もあり、アウトカムに縛られない社会への影響力も加味しなくてはなりません。
◆何のためにPRを実施し、何を実現するのか
このようなことを書いてしまうと、結局、効果測定は不可能なのかと思われしまうかもしれません。しかしながら本来重要なのは、完璧な効果測定を行うことではく、「何のためにPRを実施し、何を実現するのか」という目的とゴールの明確化です。
効果測定を行うことを目的とせず、PRで達成するべき目的とゴールに対して、施策効果の検証と最適化を目指すのが、本来の効果測定の役目なのではないでしょうか?
そのことを意識すれば、自ずと必要な目標や数値、測定方法が明確になるはずですので、都度最適な手法を選択していけばよいかと思います。
◆最後に
このコロナによって、世界の情勢や価値観の変化がリアルタイムでもたらされています。
PRやプロモーションに求められることも大きく変わってくるはずでしょう。
そこで今一度、PR広報という仕事は、何ができるのか。そして何をすべきなのかを見つめなおす必要がありそうです。