広報担当者が複数いる場合、メディアごとに業務分担すべき?しないべき?
PR戦略とは
3分で分かる「PRの基本」
2023.02.27

広報担当者が複数いる場合、メディアごとに業務分担すべき?しないべき?

いきなり結論を述べます

結論から言いますが、広報担当者が複数いても業務分担はしないほうが良いです。
「そのほうが効率が良いのでは?」と感じるかもしれませんが、そうでもありません。
その理由を4つ紹介します。

*関連リンク(一番人気):広報の今さら聞けない5つの役割とは?

 

広報部が業務分担すべきでない4つの理由

○1:外部からの問い合わせへの対応力がガタ落ちする

例えば、広報担当者が3人いて、3分の1ずつ業務分担しているとしましょう。

このとき、外部(メディア)から問い合わせがあっても、「担当の者に変わりますので、しばらくお待ちください」と言う確率が3分の2になってしまいますよね。
実際には、「共通して把握している情報」もあるでしょうから2分の1くらいでしょうか。

メディア関係者は忙しいですから、「今、出先でして、1時間後に戻りますので……」と言っただけで、「じゃあ他をあたります」と返事をされてしまう恐れがあります。

また、「そんなに大きい規模の会社じゃないはずだけど、なんでこんなに『お役所仕事』なんだろう?」などと思われる恐れがあります。こういう印象を抱かせてしまうと、「きっと他の部署もそうなのだろう」と勘違いされてもおかしくありません。

○2:アイデアが出にくくなる

例えば、広報担当者3人いて、良くあるのが「Aさん:新聞」「Bさん:雑誌」「Cさん:テレビ」などと分担しているケースです。正直、このパターンが一番最悪です。だんだんアイデアが出にくくなっていきます。
出たとしても、「あのときの二番煎じ?」と感じるような微妙なものになるかもしれません。

ですが、3人が分担して責任をもってプロジェクトを完結して運用していれば、独立したプランナーが3人集まるようなものです。アイデアが凝り固まっていく事はないでしょう。
やはり、全員が完結して業務担当していたほうが、一人一人の視野が広がるというものです。

*関連リンク:広報担当者なら知っておきたいアイデア創出法を伝授

○3:各要素の関連性が見えなくなってくる

例えば、「新聞に載ったからこそ、テレビ局が注目する」「商品発表会の当日宣伝がラジオでもできる」などの、横の繋がりや統合型戦略PRの関連性が徐々に見えなくなっていく恐れがあります。

また、業務分担してしまうと、他の事業部と関わる場合も特定のところしか接しなくなる可能性が高いです。そうなれば、「自社全体の構造」が分からなくなっていくので、社内広報等が適切に行えなくなります。

○4:広報担当者同士の仲が悪くなるかもしれません

社内広報などを通じて、社員同士の相互理解を深めるのも広報担当者の役目です。
これに限らず「社員同士のインナーコミュニケーションの円滑化」お広報担当の仕事の本質です。

しかし、業務分担すると広報同士の仲が悪くなる恐れが。

・そもそも役割分担の仕方で揉める
・仕事量で揉める
・仕事の方法論のことで言い争う
・成果が出ている、出ていないで揉める

などなど「引き金」はたくさんあります。

「他の広報担当者を助けること」も、同じセクションの広報の仕事です。仲違いしていてはハッピーになれません。

 

業務分担したほうがいいケースは2つ

ですが、それでも業務分担を検討すべき場合もあります。

○1:広報担当者が10名以上いる

これだけいるとさすがに「意見がまとまらずに揉める」可能性があります。

ただ、業務分担するにしても、「1チーム最低2名以上」にしましょう。
そのほうが暴走しにくくなりますし、アイデアが凝り固まる事もありません。

○2:「兼任広報」と「専任広報」が混在している

「兼任広報」がいる場合、その人に「専任広報と同じ量の仕事」を与える事はできません(バランス的に)。

ですから、「この仕事はやるの?やらないの?」という事でいちいち揉めないようにするためにも、最初からその人専用の仕事を設定したほうが良いでしょう。

その際、「人事兼広報」なら採用広報。「人事兼秘書」なら、社長との繋ぎ役。
など、その人の役職に見合った仕事を振ると「全体の仕事効率」が上がります。

○まとめ:チームの様子見が欠かせない

業務分担をする事になっても、他のチームの様子見をたびたび行いましょう。
ただ、「他にもきちんと目を向けてください」と言っても、だんだん守られなくなる可能性が高いです。ですから、最初から「週2回の部内報告会をする」などルールを決めてしまいましょう。
そうすれば、「業務分担のデメリット」を最小限にできます。


執筆者・監修者
上岡正明
経済記者・経済コメンテーター
戦略PRプランナー・著書26冊累計105万部のビジネス作家
登録者25万人のYoutuber
上岡正明

MBA(多摩大学院経営情報学修了)
テレビコメンテーター
多摩大学客員講師(18,19)
帝塚山大学客員講師(19)
登録者24万人のビジネス系YouTube

「スーパーJチャンネル」「めざましテレビ」「王様のブランチ」「クイズミリオネア」等の元放送作家。日本を代表するPR戦略の専門家で、企業広報のスペシャリスト。未上場から上場企業まで戦略PRを手掛けたクライアントは300社以上。

広報ブランディング、新規事業構築、外資系企業の国内イベント、海外プロモーション支援のコンサルティング会社代表。現在まで約20年間、実業家として会社を経営。これまでに三井物産、SONY、三菱鉛筆、日本瓦斯など200社以上の広報支援、スウェーデン大使館やドバイ政府観光局などの国際観光誘致イベントなどを行う。

代表的なコンサルティング案件としては、日本中の女性たちの心を動かした「表参道のパンケーキブーム」、1年で200万台以上を売り上げた「ふとん専用掃除機レイコップ」、世界が注目する食イベント「肉フェス」、1カ月で6000万人(日本の約半分)にバズらせた「ジャポニカ学習帳“昆虫の表紙が変わった?”」がある。

経営と並行してMBA(情報工学博士前期課程)取得。東京都中小企業振興公社講師。成蹊大学、多摩大学、帝塚山大学の客員講師。東洋経済新報社、ダイヤモンド社、朝日新聞出版社、PHP出版、総合法令出版社、アスコム社、大和出版、すばる舎、宝島社から累計21冊80万部の著書を上梓。

日本神経心理学会、日本行動心理学学会、行動経済学学会、一般社団法人日本行動分析学会、日本社会心理学会、一般社団法人日本小児心身医学会、認知神経科学会の各学会員。

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