社内報とは?4つのコツやポイントと広報担当者による取材方法まで【完全版】
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2020.06.26

社内報とは?4つのコツやポイントと広報担当者による取材方法まで【完全版】

社内報は昭和の時代に注目を浴びて、一度衰退したものの、今ふたたび脚光を浴びています。

では、社内報(しゃないほう)の意味とは、そもそもどういったものでしょうか。社内広報とは社内のインナーコミュニケーションのツールとして制作された、動画やデジタルメール、冊子(社内誌)などのことです。

最近はイントラネットやオンラインサービスなどの普及により、モバイルやネットサービスを使った社内報も増え、様々なかたちもあるようです。

もちろん、大手を中心に昔ながらの冊子でのコミュニケーションも存在します。今回は、そんな社内報について基本的な知識から実践的な方法まで3分で読めるようにまとめてみました

*関連リンク:社内広報の7つのポイントについてはこちら

 

社内報ってそもそも何?作成する4つの利点とは

社内報のイメージ

○1:他の部署のことが理解できる

大きな会社であればあるほど「自分の部署のこと以外は分からない」という事になりがちです。しかし、社内報によって「各部署の取り組み」などを伝えればその問題は解消できます。

特に「ウチの部署のあの仕事が、あの部署の役に立っているのか」「ウチの部署に回ってくるあれって、あの部署のものだったのか」などと分かればモチベーションが大いに上がるはずです。

また、社内報によって部署同士の垣根を少しでも壊しておけば、実際に複数の部署が協力する際にも友好的に進んでいく事でしょう。

○2:社員のことが理解できる

「1」では部署の話をしましたが、その社員バージョンです。
社内報で紹介された社員はモチベーションが上がるでしょうし、他の人からの理解も得られやすくなるはずです。

社員同士の初顔合わせなどでも「あ、社内報見ましたよ」などと話のネタになるかもしれません。

○3:家族に見せることができる

社員が社内報を家族に見せることもありますが、これが案外大きいです。
ご家族、特にお子さんに「パパすごい!」などと言われれば仕事へのやる気がかなり高まります。
また、「家族がなかなか仕事のことを理解してくれない……」という悩みも解消されるかもしれません。

○4:孤独が薄れる

業種によっては会社自体に行く必要がほとんどない場合もあると思います(運送業など)。
そうなると「職場」という帰属意識が薄くなり、孤独感が強くなる恐れがあります。
多くの人は口に出しませんが、「寂しい」という事を最大の理由として離職する人も存在します。

そんなときに自分の家に社内報が送られてくると、「やっぱり自分はちゃんと社員なんだ」と実感できるため仲間意識も生まれます。

また、本社と支社とで分かれている会社の場合は、社内報に本社の情報をたくさん載せることをおすすめします。
そうすれば「結局自分がどんな仕事をしているのか」が客観的に分かりますし、「仲間外れ感」も薄れていきます。

*参考リンク:社外への発信はプレスリリースから!戦略プレスリリースとは

 

社内報の作成開始までの3つの手順

社内報が存在しないのであれば、すぐにでも作成することを推奨します。
ですが、もちろん広報の独断で作ることはできません。

「社内報作成開始」までの手順を簡単に見ていきましょう。

○1:まずは社長に相談

まずは、「社内報を作る」ということ自体を社長に認めてもらいましょう。
(他にも許可を取るべき人物・役職がある場合はそれも忘れずに)

「社内報のメリット」は実際に発行されてからでないと実感しにくいものですので、最初は難色を示してくるかもしれません。
その場合は、上記で説明してきたメリットを説明してください。
人を動かすのは情熱。あなたなりに熱心に社長にPRしましょう。

○2:「社内報の目的」をハッキリさせましょう

社内報の作成の許可が出たら今度は「社内報を作る目的」をハッキリさせます。
これも社長を相談して決めましょう。

よくあるのが「社長の考えを社員に効率よく伝える」というものです。
また、「社員を団結させる」という目的で作るのも良いでしょう。
この2つが「目的」として多いですが、どちらにするかによって記事の内容が大きく変わるはずですよね。
また、「読んだ社員を笑わせる」というのも業種や会社の雰囲気によってはアリでしょう。

この辺りの方針を決めないままに、
「じゃあどんな記事を作るかを……」などと考えてしまうと、社内報がふわふわしたものになり、広報自身も「何のために作ったのか分からない」という感想を抱く事になるかもしれません。

○3:ネット新聞にするか紙にするか選ぶ

ここからは社長と相談しなくても大丈夫です。オンラインにするのか紙にするのかを決めましょう。

「社員が家族に見せやすい」というメリットがあるので、基本的には紙での作成を推奨します。ですが、「オンラインのほうが気軽に読める」という人がいるのも確かです。

ですから、一番いいのは「紙版もオンライン版も作る」という事でしょうね。
多少の手間とコストがかかりますが検討してみてください。

 

作ってしまいがち!「つまらない社内報」4選

○1:文字ばかり

適度に写真などを使いましょう。

また、行間や文字同士の感覚が狭いと、実際にはそれほど文字数がなくても「文字ばっかりだな」という気持ちになるので気を付けてください。

○2:社長のメッセージは具体的&控えめに

「社長の考えを伝えること」は社内報の大事な役目ですが、それが多すぎると読む気が失せてしまいます。「社長の言葉が一切ない回」があっても良いくらいです。
もしくは、社長も家族と出演する、社員と同じ目線で露出など工夫が必要です。

また、本当に元も子もない事ではあるのですが「社長のメッセージ」とは言っても、本質的には「チャレンジ精神」「顧客を大事にする」「社員を大事にする」「自社商品を愛する」……などなどそれほどパターンがあるわけではありません。

しかし、それでも伝えたい事はあると思いますので、その場合は「できる限り社内報のトーンマナーに合わせたメッセージ」を作ってもらう事を意識してください。

「チャレンジ精神を持ってほしい」のであれば、「具体的に何にチャレンジしてほしいのか」。
また、「社長がそう思うようになった理由」なども、広報担当者が根掘り葉掘り聞きだしたいところです。
そういう具体的で面白いメッセージであれば、社員も読んでみようという気持ちになります。

○3:「上から目線」はNG

社長のメッセージが説教じみたものになってはいけません。
また、「この部署はこんなに凄い事をやっている。新人君たちもこれくらいの気概をもって……」という雰囲気の文章になってもいけません。

各部署の成功事例などを掲載する事は非常に大事ですが、そのせいで他部署がプレッシャーを感じる事のないようにしましょう。

○4:「社員の家族」が楽しめる社内報を!

社員が家族に見せたくなる社内報を作ることが大事です。そのためにも、「社員のこと」をたくさん掲載しましょう。

あまり一人の社員にスペースを使い過ぎず、顔写真&一言コメントくらいで済ませるのも手です。
一言コメントですが、仕事に関係しない内容(趣味、結婚報告、ペット紹介など)のほうが親しみが持てますし、コメント作成に協力してくれます。


執筆者・監修者
上岡正明
経済記者・経済コメンテーター
戦略PRプランナー・著書26冊累計105万部のビジネス作家
登録者25万人のYoutuber
上岡正明

MBA(多摩大学院経営情報学修了)
テレビコメンテーター
多摩大学客員講師(18,19)
帝塚山大学客員講師(19)
登録者24万人のビジネス系YouTube

「スーパーJチャンネル」「めざましテレビ」「王様のブランチ」「クイズミリオネア」等の元放送作家。日本を代表するPR戦略の専門家で、企業広報のスペシャリスト。未上場から上場企業まで戦略PRを手掛けたクライアントは300社以上。

広報ブランディング、新規事業構築、外資系企業の国内イベント、海外プロモーション支援のコンサルティング会社代表。現在まで約20年間、実業家として会社を経営。これまでに三井物産、SONY、三菱鉛筆、日本瓦斯など200社以上の広報支援、スウェーデン大使館やドバイ政府観光局などの国際観光誘致イベントなどを行う。

代表的なコンサルティング案件としては、日本中の女性たちの心を動かした「表参道のパンケーキブーム」、1年で200万台以上を売り上げた「ふとん専用掃除機レイコップ」、世界が注目する食イベント「肉フェス」、1カ月で6000万人(日本の約半分)にバズらせた「ジャポニカ学習帳“昆虫の表紙が変わった?”」がある。

経営と並行してMBA(情報工学博士前期課程)取得。東京都中小企業振興公社講師。成蹊大学、多摩大学、帝塚山大学の客員講師。東洋経済新報社、ダイヤモンド社、朝日新聞出版社、PHP出版、総合法令出版社、アスコム社、大和出版、すばる舎、宝島社から累計21冊80万部の著書を上梓。

日本神経心理学会、日本行動心理学学会、行動経済学学会、一般社団法人日本行動分析学会、日本社会心理学会、一般社団法人日本小児心身医学会、認知神経科学会の各学会員。

日経ヴェリタス・東洋経済オンライン・ダイヤモンドオンライン・プレジデントの4大経済メディアで専門家として記事連載もおこなっております。お読みになりたい方はこちらからご覧下さい。

①:東洋経済オンラインでの連載記事
②:ダイヤモンドオンラインでの連載記事
③:プレジデントでの連載記事
④:日本経済新聞での連載記事