全部話すのはやめよう!広報ならではの「もったいつけ作戦」
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2020.01.08

全部話すのはやめよう!広報ならではの「もったいつけ作戦」

メディア関係者に対する売り込みのチャンスができても、20分も30分も時間がもらえる事はそうそうありません。5分与えられればいい方だと思ってください。

では、その5分間をどのように使うべきなのでしょうか。

 

5分間では全部伝えられないのが当たり前です

まず、やってみたくなるのが「言いたい事を全部整理してから、5分間にまとめる」という事だと思います。

しかし、これはおすすめしません。
なぜなら、「平凡なネタ(と思われる可能性が高いです。現実として)」を「むりやり短時間でまとめている」からです。

ただでさえ、無難なネタを強引に短くしている。
この方法では、ネタ自体が相当強いものでないと勝負になりません。
ですから、まず「全部伝えよう」という発想を捨ててしまいましょう。

 

言いたいことを4分の1だけ伝えましょう

とりあえず「伝えたい内容」は全部まとめてみてください。その中から4分の1だけ、「前半部分」を中心に抜き出してみます。

そして、その「4分の1の内容」を伝えて切り上げると、
「もっと話を聞きたい」と思ってもらえて、相手から連絡が来る可能性が出ます。

そのメディア関係者と話した当日か次の日くらいに、「ありがとうございました」と挨拶のメールを送信すると思いますが、そのメールに、さらに4分の1だけ情報を載せてください。
すると相手は居ても立っても居られず、「そのネタについて詳しく聞かせてください!」と言ってくるかもしれません。

イメージは「連続ドラマ」です。毎回「次回が気になるように、かつそれなりにまとまるように」話を終わらせますよね。

◎「自社のことをほとんど伝えない」のもアリです

時間が長い場合は、さすがに実践が難しいかもしれませんが、「いっそ自社のことをほぼ言わない」という手法もあります。

例えばこのように話を進めていきます。

1:自社のビジネスの紹介←ここで自社の話題は終わります

2:次にくるトレンドを語る←他社の動きを交えて話すと説得力が出ます

3:そういうトレンドになっている理由を話す←数的データを交えましょう

4:某芸能人も注目しているそうです←なんでも良いので話題の人物を出してみましょう

5:他社の商品・サービスを2~3個紹介する←「2」で出した商品の具体説明

ここまで来たら、
「なお、弊社は別の視点からの取り組みとして~」などと口に出したところで、話を打ち切ります。時間が余っている場合でも、「次の方がいるので~」などと言えば大丈夫です。
これで、4分の1だけ伝える方式と同じ理屈で、相手からコンタクトを取ってくるかもしれません。

◎「雑談は嫌がられる」という考え方は間違いです

前項を見て多くの方が「そんな雑談ばかりして嫌がられないの?」と感じたと思います。

ですが、大丈夫です。むしろ雑談は好まれます。
なぜならメディア関係者の多くが「雑談の中にこそ、掘り出し物のネタが眠っている」と考えているからです。「『オーソドックスなPR』が面白いネタである事などない」とさえ思っている記者さえ存在するようです。

記者は常に「誰も知らないこと(=ニュース)」を求めていますからね。

*関連リンク:ニュースをメディアに送って記事化する戦略とは?

 

魅力的な雑談を作るコツ5選

ただ、もちろんお友達と話すわけではないので、どんな雑談でも良いというわけではありません。
魅力的な雑談を作るコツをいくつか紹介していきますね。

「この分野の話題なら何でも知っている人」という印象を持ってもらえるように頑張りましょう。

○1:「昔」の話題は極力避ける

例えば、「過去にもタピオカがブームになったことがありますが、その頃と違って今のタピオカブームにはインスタグラムが関係しています」

など、「今」と繋がりがある場合は、「昔」のことをある程度持ち出しても構いません。ですが、昔のタピオカブームの詳細について延々語るようだと、いよいよ話が脱線します。

○2:「数的データ」を持ち出す

「タピオカが中高年の間でも劇的なブームになっています」よりも、「タピオカが中高年の~います。特に30~40代男性でタピオカミルクティーを飲んでいる人は、5年前の200倍以上になっているんですよ」
など、具体的な数値があったほうが話が面白くなりますよね。(※タピオカの話は架空です)

ただ、いきなり具体的なデータを持ち出すと、相手が引くかもしれないので、最初にざっくりと「めちゃくちゃ流行っています」と導入して、「具体的には~~パーセント」と、細かい話をしていくのがおすすめです。

○3:「そうなっている理由」が欲しい

「タピオカミルクティーがブームになっています。あるアンケートでは、『間食にちょうどいいから』という回答が一番多いんですよね」など「理由」の部分もできれば話しましょう。意外性のある理由だとなおグッドです。

○4:「予想」をしましょう

「『間食タピオカブーム』がキテいるわけですよね。で、毎年変わり種のファンタが発売されているじゃないですか。次は『タピオカ入りファンタ』がトレンドになると思いますよ」

など、多少強引でも良いので「予想」を入れることをおすすめします。なぜなら、新聞記事でもテレビ番組でも、「~~○○となる事が予想される」「○○となるでしょう」などの文章・ナレーターは案外多いからです。

○5:とにかく自社の話は出さない

「似た取り組みを自社もしておりまして~」「ただ、自社の動きは少し違いまして~」などと言ってしまうと、一気に「雑談っぽさ」が薄れます。

「結局、宣伝したくて、無駄話をしていたのか。小賢しい……」と思われてもおかしくありません。
「今は雑談!」と決めたら、自社の話題は一切出さないくらいに徹底するほうが効果的です。


執筆者・監修者
上岡正明
経済記者・経済コメンテーター
戦略PRプランナー・著書26冊累計105万部のビジネス作家
登録者25万人のYoutuber
上岡正明

MBA(多摩大学院経営情報学修了)
テレビコメンテーター
多摩大学客員講師(18,19)
帝塚山大学客員講師(19)
登録者24万人のビジネス系YouTube

「スーパーJチャンネル」「めざましテレビ」「王様のブランチ」「クイズミリオネア」等の元放送作家。日本を代表するPR戦略の専門家で、企業広報のスペシャリスト。未上場から上場企業まで戦略PRを手掛けたクライアントは300社以上。

広報ブランディング、新規事業構築、外資系企業の国内イベント、海外プロモーション支援のコンサルティング会社代表。現在まで約20年間、実業家として会社を経営。これまでに三井物産、SONY、三菱鉛筆、日本瓦斯など200社以上の広報支援、スウェーデン大使館やドバイ政府観光局などの国際観光誘致イベントなどを行う。

代表的なコンサルティング案件としては、日本中の女性たちの心を動かした「表参道のパンケーキブーム」、1年で200万台以上を売り上げた「ふとん専用掃除機レイコップ」、世界が注目する食イベント「肉フェス」、1カ月で6000万人(日本の約半分)にバズらせた「ジャポニカ学習帳“昆虫の表紙が変わった?”」がある。

経営と並行してMBA(情報工学博士前期課程)取得。東京都中小企業振興公社講師。成蹊大学、多摩大学、帝塚山大学の客員講師。東洋経済新報社、ダイヤモンド社、朝日新聞出版社、PHP出版、総合法令出版社、アスコム社、大和出版、すばる舎、宝島社から累計21冊80万部の著書を上梓。

日本神経心理学会、日本行動心理学学会、行動経済学学会、一般社団法人日本行動分析学会、日本社会心理学会、一般社団法人日本小児心身医学会、認知神経科学会の各学会員。

日経ヴェリタス・東洋経済オンライン・ダイヤモンドオンライン・プレジデントの4大経済メディアで専門家として記事連載もおこなっております。お読みになりたい方はこちらからご覧下さい。

①:東洋経済オンラインでの連載記事
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③:プレジデントでの連載記事
④:日本経済新聞での連載記事