ファクトブックとは?詳しい意味と効果的な作り方のコツ【広報担当必見】
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2019.11.15

ファクトブックとは?詳しい意味と効果的な作り方のコツ【広報担当必見】

引用画像_広報イメージ

皆さんは、広報で使う「ファクトブック」をご存知ですか?

広報担当者やPR会社に入社して、プレスリリースの次に作る資料にファクトブックがあります。

ファクトブックというと、上場企業が公(おおおや)に発表するIR資料を連想する人も多いでしょう。しかし、広報を強化したい企業にとって、ファクトブックは非常に有効です。

1.自社のことをもっと詳しく知って欲しい
2.知名度を上げたい
3.特定の人物や商品をテレビに取り上げて欲しい

と感じている場合には、「メディア向けのファクトブック」は必ず作って欲しいツールです。
そこでこの記事では、メディア向けの「ファクトブックを作ってみよう」というタイトルでご紹介したいと思います。

具体的には、

●そもそもファクトブックとは?
●具体的な作り方5つのステップ
●掲載する情報の加工方法
●情報の選び方と磨き方

の順番で紹介していきます。非常に実践的な内容ですので、ぜひ参考にしてみてくださいね。

 

ファクトブックとは?

ファクトブック作成のイメージ

ファクトブックとは、そもそもなんでしょうか。
ファクトブックとは企業や大学などの団体が、メディア向けに自社の業績や歴史、自社製品やサービスを理解してもらうため事実をまとめた「報道向け資料」のことです。

企業の沿革や業績、トップの経歴、場合によっては開発者や利用者の声などのデータや写真を集めて構成します。

会社の経営内容や財務状況、業界におけるポジショニングなどの事実関係(ファクト)も図表などを使って客観的に記載していくと良いでしょう。

 

ファクトブックの形状や掲載する情報は?

資料を作成する女性

1:形状について

ファクトブックは通常、冊子状にになることがほとんどです。
パワーポイントやワードで作成しても大丈夫です。会社案内のような形式ですが、パンフレットではないので、事実だけを書いていきます。

2:掲載する情報について

ファクトブックにメディアが求めているあらゆる情報をまとめます。
たとえば、あなたが新聞記者やテレビのディレクターだったら、どのようなことを知りたいと思いますか。

マスコミ各社も取材前には、対象のホームページはチェックします。事前には、過去の露出記事などの補足資料にも目を通してくれます。しかしながら、取材をしてもらうきっかけとしては、プレスリリースだけでは足りない場合があります。

メディアに対しては、社会に発信すべき理由となる切り口や客観的データ、場合によっては競合他社との比較資料が、どうしても必要になるわけです。

そうしたメディアの欲しがる情報をコンパクトにまとめて、記者やディレクターの工数を減らしてあげるのが、いわばファクトブックになるわけです。

*参考リンク:元めざましテレビ放送作家が教える!基本的なプレスリリースの全知識を学ぶ

 

広報担当者がファクトブックを作るさいのポイント5つ

情報戦略を考える女性イメージ

広報などが「このような商品・サービスがあるので、ネタにしてもらえないでしょうか」とアピールするためのリリース文のことを「プレリリース」と言います。

ただ、広報担当者の中には「これまでも何度かプレリリースをメディアに送ったことがあるけれど、一回も取り上げてもらえたことがない」という人もいるのではないでしょうか。

それは、商品の魅力や取材する理由が、記者やディレクターがまだ腹落ちしていないから。そんなとき活躍するのがファクトブックです。

そこで、ここからは、実際にファクトブックを作成するときのコツを5つ紹介していきます。

戦略を考える女性

そもそも、記者は色々な企業などからプレリリースを山のように受け取っています。
ですから、どれほど素晴らしいサービスや商品であっても、「それ自体の魅力」だけをアピールするだけでは、相手にしてもらえない可能性が高いということを覚えておきましょう。

そこで必要となるのが、ファクトブックです。ファクトブックは通常、10枚以下にまとめるのが基本です。

 

■1:「なぜ今取り上げる必要があるのか」を伝える

真冬に冷房器具のプレリリースを送っても、あまり意味がありませんよね。
これは大げさな例だとしても、「今でないとダメな理由がない商品・サービス」の場合、それだけで注目してもらえる可能性が大きく下がってしまいます。

ですから、まずは「季節性」で関連付けることを考えましょう。

サマーシーズンに使う商品なのであれば、夏より少し前に。ウィンターシーズン用のサービスなのであれば、冬に入るより少し前にメディアにコンタクトを取る、というイメージです。
なぜ少し前なのか? というと、それは即座に新聞やテレビで特集できるわけではないからです。

では、季節感のない商品については、どうすれば良いのでしょうか。
1つには「直近の出来事や社会的な節目と合わせる」という方法があります。

・令和時代になった今だからこそ
・消費税が10パーセントになった今だからこそ
・「(歴史上の偉人)」の生誕500周年の今年だからこそ
・「(歴史上の出来事)」が起きて1200年後の今年だからこそ

などです。
高野山開山1000年や長崎出島開港400年などは、これらに当てはまります。

もちろん、事実では無くてはなりません。逆に事実であるのなら、記者やメディアに「ああ、だから今取材するべき」と思ってもらえるストーリーを考えましょう。

■2:「なぜ我が社なのか」を明確にする

他社の商品・サービスについても、同じようなことが言える。
もっと言えば、「他社の商品・サービスを記事にしたとしても、ほぼ同じ内容になる」という場合は、メディアに取材される難度は一気に上がってしまいます。

そうならないためにも、「我が社だけの特徴」をハッキリと伝えてください。

このさい「ウチの商品には、こういうユニークな部分があるんですよ」と伝えるだけでは説得力がありません。
他社商品の性能をまとめたり、データを集めたりして「比較・検証」をしながらアピールしていく必要があります。

たとえば、
・大手3社の平均電力消費量の、半分以下で使えます
・業界常識のネットワークより、10倍の通信速度を誇ります

などがそれに当たります。

しかし、これについても、
「そうは言っても、ウチの会社の商品が、業界でナンバーワンというわけではないんだよな……」という場合があるかもしれません。
その場合、PRプランナーの目線に立って、他者との相違点を見つけてください。

また、元も子もない話ですが、「すべての商品・サービスの広報をしなければならない」などということはありません。
ですから、「これは流石にアピールポイントがないな」と感じるのであれば、スルーしてより相違点のある商品にフォーカスすることも検討しましょう。

ポジショニングマップなどで、相関図を明確にできるのもファクトブックならでは。
ただし、商品数が少ない企業の場合は、そうはいきません。あくまで臨機応変に考えるようにしてください。

■3:同ジャンルの商品・サービスがあるか

「同種の商品・サービスがないからこそ、取り上げてもらいやすいのでは?」と感じるかもしれませんが、実はそうでもありません。

なぜなら、

・前例がないのでどのような記事にすれば良いのか判断しにくい
・「他にないということは、世の中に必要ない」と思われやすい

からです。

「記事にしにくい~」という問題については相手もプロですから何とかなるかもしれません。
ですが、「未知のジャンル」を取り扱うというのは、なかなか勇気がいることです。

ですから、先程の実例とも繋がりますが、
「同ジャンルの商品としては、業界には平成からこのようなタイプありました。しかし、我が社の新商品にはAIに対応するなど、他にはない特徴があり……」
と新旧を対比させてアピールするのもポイントです。

しかし、「いや、本当に似たような商品も、同ジャンルの商品もない……」ということもあるかもしれません。
こういったケースでは、他業界に合わせるのもひとつの手です。

「暇つぶしができる、手軽な商品・サービス」なのであれば、「スマホゲーム」などを比較することもできます。
「ネット上で何かを売り買いできるサービス」なのであれば、ブックオフなどを関連付けることも可能です。

■4:誰に取材できるか

「その企業の経営者からしか話を聞けないようでは、説得力のある記事を作ることはできない」と記者は考えることがあります。
やはり開発者などにスポットを当てて、「私たちの会社のパートさんが母親の知恵で開発」としたほうが記事の魅力もリアルさもグッと高まります。

とくにテレビの場合は、絵になる演出を欲しがります。そのため、「サービスや商品について開発秘話や感想を言ってくれる人」も考えておきましょう。

これについては、普段から地道に活動して、「出演者候補」を集めておくことが大事です。「メディアに出られるチャンスだ。さあ、人を探そう!」という順番では絶対に間に合いません。

くわえて、「商品・サービスについて語ってくれる権威者(プロフェッショナル)」を確保しておくのも良いでしょう。研究者・学者・大学教授などでもOKです。

■5:未来の予想を入れる

未来を示すとは、「この商品やサービスによって、人の暮らしや世の中はこのように変わっていく」ということを明記・暗示することです。

テレビ番組や新聞の記事などを読んでいると、見識者やコメンテーターが、
「今後このようになっていくでしょう」という未来への見解が最後に入っている場合がほとんどです。
また、そこまで露骨に含まれてはいなくても、「今後ブームになるかも!?」などとチラッとナレーションが入ることもあります。

これは、人の関心が現在より、未来により向いているためです。そのため、広報担当者としてプレスリリースにはできるかぎり「未来予想」を入れるようにしましょう。広報担当である以上、色々なデータが頭に入っているはずですし、新たにデータを収集することもできるはずです。

まずは、難しく考えずに、「過去に同ジャンルの新商品・新サービスが登場したときに、世の中がどのように変化したのか」を調べるところからはじめると良いヒントが見つかるかもしれません。

その上で、「当時の世の中の状態」と「今の世の中の状態」を比較して、自社の新商品・新サービスのデータをアレンジしていくと良いでしょう。

 

ファクトブックをあえて作らない、という戦略もある

最後に、ファクトブックを作るメリットばかりでなう、デメリットについても解説します。

●本当に大事なネタがある広報はファクトブックを作らない!?

平凡なファクトブックを作成するだけでは、メディアに取り上げられることはありません。
ある程度、広報の仕事を続けてきた人であれば痛感しているはずです。

本当に大事なネタがある場合は「ファクトブックを送る」という行為自体考え物だからです。

●ファクトブックを作らない理由は明確にしよう

メディア相手にファクトブックを出す。
これは受け取る相手によっては「それほど重要なネタではないから送ってきたのだろう」「どうせ他にも色々なところに出しているのだろうから、大したネタではないのだ」などと感じられてしまいます。

それに「ニュース=まだ誰も知らないこと」と定義するのであれば、多くの人にファクトブックを送ってしまった瞬間に、それはニュースではなくなりますよね。

実際、ファクトブックを「どうせダメだろうけれど」など、どこか投げやりな気持ちで送った経験がある広報担当も少なくないのではないでしょうか。もちろん「ファクトブックを作るのは厳禁!」というわけではありません。きちんと戦略を練るのであれば有効です。
ですが、ファクトブック以外の選択肢も持っておきましょう。

●ファクトブックを避けるなら何を作るべき?

ファクトブックを作らないと決めたのであれば、「どこか一か所のメディアに送る1本のメール」を作りましょう。「あなただけにとっておきのネタをお伝えします」というつもりで作成してください。

ここから「実際にメディア誘致に成功したメール」を3本紹介していきます。
じっくり読んでいただくと分かりますが、ネタ自体が劇的に強いわけではありません。

ネタを元に「メディア受けするストーリー」を作り上げています。
目を通していくうちに、3社の共通点なども見えてくるのではないでしょうか。

●メディア誘致を勝ち取ったメールを3つ紹介

※そのまま掲載するわけにもいかないので、言い回しの改変、抜粋などをしつつ、筆者が解説をしていきます。

♡1:某つけ麵店の事例

某つけ麵店は激辛つけ麵の宣伝を考えていました。ですが、いきなり「我が社のつけ麵は~」などと切り出すのではなく、メールの冒頭で、「最近の他社の激辛商品」を3つ紹介しました。
これで、「激辛がトレンドになっている」と示したわけですね。さらに、「外食でも激辛推しが始まっている」とアピールするために、2社の動きを紹介しました。
そして、「そういうタイミングだからこそ、我が社でも激辛新メニューを売り出すのです!」と「季節性」をアピールしました。

※ポイント
・トレンド性の強調
・季節性のアピール

♡2:某回転寿司店の事例

「低価格路線、寿司以外のメニューに力を入れてファミリー層を取り込もうとしている回転寿司店が多い」と業界の傾向を紹介。

そして、
「しかし、それらより少し高級にして、接待・食事会などにも利用できる回転寿司にすることで、新規客層の開拓に励んでいる店もある」と近年のトレンドを解説。

さらに、
「近くに大企業があるので、接待のニーズはある」と強調。
→その企業の外観の映像、接待の様子などが映像・写真として使える

そして、
「世の中で接待が多くなりそうである」と示す数的データを提示。
→データの解説に話題の人物であるドナルド・トランプを交えている

さらに「今後さらに接待需要が大きくなるはず」と予想
→強引な予想でも、予想すること自体が大事。

「ですが、一般家庭目線ではそれほど景気は良くなっていません」と転換。
「そこで流行しているのが『カジュアル接待』です」と、インパクトのある造語でアピール。

さらに
「コストが高すぎず、本当に相手が好きなこと・好きな食べ物を提供するカジュアルな接待が望まれるようになってきています」と、「あまり知られていない情報」を提示。

「他社にも同じような動きが見え始めている」「ごく最近は、もっと大衆的な店での接待がトレンドになってきている」と、「現在のトレンド」と「次のトレンド」をアピールするのも効果的です。

※ポイント
・これまでの業界の傾向の紹介
・新しい動きの紹介
・「撮れ高」のある話題(大企業の外観など)
・数的データによる説得力アップ
・話題の人物
・今後の予想(やや強引でも可)
・インパクトのある造語
・あまり知られていない情報
・同業他社の動き
・次のトレンド

♡3:某地方都市の東京アンテナショップ居酒屋

1、2と共通する部分が多いので簡潔に。

最近のトレンド紹介。

「ですが、我が社は初の試みをします」と解説。
→『初めて』をメディアは好む

「国・政府の近年の取り組みともマッチします」と解説し、説得力の底上げ。
「地方創生」というトレンドワードも使う。

「外食産業のみならず、地方自治体・消費者のためにもなる」とアピール。
→一般目線は大事です

「それを東京にオープン」。
「社長・市長にインタビューができる」と補足。

※ポイント
・トレンドの解説
・「初」というキラーワード
・トレンドワード
・一般目線
・インタビュー可能

 

以上、ファクトブックの戦略的な作成方法でした。
プレスリリースという武器を磨く「ファクトブック」について網羅的に紹介してきました。
皆さんの広報力が向上するはずです。ぜひ、このノウハウを現場で活用してみてください。

 

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◎この記事を書いた人:上岡正明
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MBA(多摩大学院経営情報工学修了)
一般社団法人日本脳科学認知協会 理事、一般社団法人小児発達心理学学会 理事
株式会社フロンティアコンサルティング代表取締役

27歳でPR戦略、新事業開発のコンサルティング会社を設立。現在まで約20年間、実業家として3社のグループ会社を経営。
これまで、三井物産、SONY、三菱鉛筆など200社以上の広報支援、スウェーデン大使館やドバイ政府観光局などの国際観光誘致イベントなどを行う。また、大学院にてMBA(情報工学)修了。海外大学外部機関にて認知脳科学と神経心理学を研究、東京都公社や全国の大学で講演。それらは常に人気を博し、2ヶ月先まで予約が取れないこともある。

また、日本を代表するテレビ放送作家、脚本家としても活躍。「スーパーJチャンネル」「めざましテレビ」「ワールドビジネスサテライト」「タモリのスーパーボキャブラ天国」など人気番組、脚本家として日本テレビ系列のドラマ「ストーリーランド」を手掛ける。ビジネス作家としてはダイヤモンド社、朝日新聞出版社、総合法令出版、アスコムなどから8冊の著書を上梓。中国、台湾で翻訳本が出版され、シリーズ累計30万部(Amazonの著者紹介ページ)。所属学会として日本神経心理学会、日本行動心理学学会、行動経済学学会、一般社団法人日本行動分析学会、一般社団法人日本脳科学認知学会、一般社団法人小児発達心理学学会などがある。

【この記事を執筆した上岡正明の主なメディア露出実績(外部リンク)】
・上岡正明が特集された東洋経済オンラインの記事
・6000万人にクチコミを広げた事例を紹介する朝日新聞メディアの記事
・戦略PRについて語る戦略経営者の特集記事
・バズる「8×3の法則」について紹介されたLifeHackerの記事
・上岡の思考術が連載されたオトナサローネ(主婦の友社)のコンテンツ
・上岡正明の週刊ダイヤモンドの連載記事
・多摩大学院公式サイトでベストセラー作家のMBA卒業生として紹介されました