ベイスターズが観客動員数を6年間で180%伸ばした方法とは?
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2023.02.27

ベイスターズが観客動員数を6年間で180%伸ばした方法とは?

神奈川県みなとみらい駅を降りると、横浜DeNAベイスターズの筒香選手が大きくプリントされた柱が目に入ります。
電光掲示板や巨大フラッグなど、駅全体がベイスターズ色。
降りた瞬間に「ベイスターズの街だな」と感じられます。

実は横浜からベイスターズを”感じられる”ようになったのは、ここ数年だそう。
横浜DeNAベイスターズは2011年12月に、前身である横浜ベイスターズをDeNAがTBSから譲渡され誕生しました。
当時はお世辞にも強くて人気のあるチームとはいえず、ホームグラウンドである横浜スタジアムの席は半分しか埋まらない状態が続き、2011年の年間観客動員数は約110万人にとどまっていたそうです。

しかし、6年後となる2017年の観客動員数は球団史上最高の198万人を突破。
ホームゲームの観客動員率は96.2%とほぼ満席、チームも日本シリーズに進出するなど、大きな盛り上がりを見せました。

6年間で、約180%の成長を遂げた方法とは?

そこには戦略的な取り組みが3つありました。

1)とにかく「話題作り」で動員につなげる

「試合に満足しなかったら返金キャンペーン」や、「プロテスト体験会」、「球場外動物園開園」など、話題性あふれるイベントを数々実施し、野球に興味がない人にも少しでも興味を持ってもらうことで来場につなげました。
奇抜なイベントは多くのメディアに取り上げられたほか、ベイスターズがまた何か面白いことをしているとSNSで次々に話題化されました。
スポーツはチームの強さと集客が比例しがち(勝ち続けているときは動員が多いが、負けだすと減る)ですが、強さに依存しない接点づくりをすることで、安定した集客を実現しました。

2)ターゲットを具体化し、刺さる施策を実施

奇抜なイベントで集客しながら、入場者のデータを1年間収集し分析したところ、仕事帰りに立ち寄る20~30代の男性が比較的多いことに気づき、その層を「アクティブサラリーマン」としてターゲティング。
「野球場に飲みに来る感覚で来ている」「忙しいけど、休日はみんなを誘って球場の雰囲気を楽しみたい」などアクティブサラリーマンが持つ特性を把握し、刺さりそうなイベントを実施したり、来れば何となく楽しめる空気感や雰囲気づくりを行いました。
結果、アクティブサラリーマンから波及して、20~30代の女性も増加し、ファンクラブの加入数も激的に伸ばすことに成功しました。

3)地域密着型広告で意識の刷り込み ファン化を促進

駅や街の中心部に大型広告を展開したり、神奈川県の小学生約70万人に球団キャップを配布するなど、街全体をベイスターズ色にしていく”意識の刷り込み式”広告戦略で、なんだか街全体で盛り上がっている印象を作り出し、「横浜=ベイスターズの街」というイメージを確立させました。

この3つの戦略がうまく相乗効果を生み、ベイスターズはファンを増やし、地域に愛される球団としての地位を築きました。

なお私的にはベイスターズが成功した理由は、奇抜なイベントで集客しながら、客層のデータをしっかり分析し、増員したいターゲットを明確にした点にあると思います。

人を集めるためにイベントを開催することは一般的ですが、結構”やりっぱなし”のところが多いのではないでしょうか。イベントをやることが目的でなく、何を達成するためのイベントなのか、ターゲットを明確にすることでGOALがシンプルになりますね。

何事も次のチャンスを導き出すための布石として捉え、戦略的に取り組んできた結果が、6年間で80%の観客動員UPにつながったのではないでしょうか。

野球チームに限らず、どんな業種、商材でもチャレンジできると思います。
ぜひ皆さんも参考にしてみてください。


執筆者・監修者
上岡正明
経済記者・経済コメンテーター
戦略PRプランナー・著書26冊累計105万部のビジネス作家
登録者25万人のYoutuber
上岡正明

MBA(多摩大学院経営情報学修了)
テレビコメンテーター
多摩大学客員講師(18,19)
帝塚山大学客員講師(19)
登録者24万人のビジネス系YouTube

「スーパーJチャンネル」「めざましテレビ」「王様のブランチ」「クイズミリオネア」等の元放送作家。日本を代表するPR戦略の専門家で、企業広報のスペシャリスト。未上場から上場企業まで戦略PRを手掛けたクライアントは300社以上。

広報ブランディング、新規事業構築、外資系企業の国内イベント、海外プロモーション支援のコンサルティング会社代表。現在まで約20年間、実業家として会社を経営。これまでに三井物産、SONY、三菱鉛筆、日本瓦斯など200社以上の広報支援、スウェーデン大使館やドバイ政府観光局などの国際観光誘致イベントなどを行う。

代表的なコンサルティング案件としては、日本中の女性たちの心を動かした「表参道のパンケーキブーム」、1年で200万台以上を売り上げた「ふとん専用掃除機レイコップ」、世界が注目する食イベント「肉フェス」、1カ月で6000万人(日本の約半分)にバズらせた「ジャポニカ学習帳“昆虫の表紙が変わった?”」がある。

経営と並行してMBA(情報工学博士前期課程)取得。東京都中小企業振興公社講師。成蹊大学、多摩大学、帝塚山大学の客員講師。東洋経済新報社、ダイヤモンド社、朝日新聞出版社、PHP出版、総合法令出版社、アスコム社、大和出版、すばる舎、宝島社から累計21冊80万部の著書を上梓。

日本神経心理学会、日本行動心理学学会、行動経済学学会、一般社団法人日本行動分析学会、日本社会心理学会、一般社団法人日本小児心身医学会、認知神経科学会の各学会員。

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