時代を超えて広がる”普遍性”=PRの本質
コラム
経営戦略×PR
2018.01.12

時代を超えて広がる”普遍性”=PRの本質

みなさんこんにちは。

いよいよ2018年に突入し、
飛躍の年にしたいものですね。

さて、今回は、
「PRと普遍性の関係」について考えてみたいと思います。

最近巷で話題になっているベストセラー本
「君たちはどう生きるか」を例に、
考えてみたいと思います。

この本は今から約80年前に書かれた小説が原作で、

昭和初期の中学2年生の男の子が主人公、
学校生活で友人関係・いじめ等、
様々な悩みに直面し、
近所に住んでいる叔父さんが、
生きていくうえでのヒントをくれる、

という内容です。

最近ではマンガ版などが特に若者の間で大ヒットし、
さらにはアニメ化もされる予定だそうです。

出版不況と言われるこの時代に、
なんと130万部を超す異例の大ヒットとなりました。

今何故、大昔に書かれた本が、
時を超えてこれほどまでにヒットしているのでしょうか?

理由を調べてみると、
色々なことが分かりました。

例)
・女優の小芝風花さん、モデル/女優の池田エライザさん、タレントのベッキーさん
等、本の内容に影響を受けた有名人達が、
ご自身のSNS等で紹介。

本人達のコメント・感想に対し、
フォロワーからたくさんの反響あり。

・本のメッセージ(一部)
“世間の目よりも何よりも、
君自身がまず人間の立派さがどこにあるか、
それを本当に君の魂で知ることだ。”

“僕たちは、自分で自分を決定する力をもっている。
だから、誤りから立ち直ることもできるのだ。”

(”先行きが見えないこの時代をどう生きていけばいいのか?”
その問いかけに対するヒントが満載)

*今の時代でも共感する人が多い理由

(本が生まれた当初の風潮)
・日中戦争開始
・言論・思想の統制、弾圧強化
・国全体が戦争へ向かう

(著者はこのような風潮に危機感を持ち、
自由に考え生きることの大切さを、本に託したそうです。)

*物語が生まれた時代と、今の時代に重なる部分がある。

(現代の風潮)
・SNS時代
・「いいね!」押しを迫る人の増加
・ネット上で「炎上」するリスク
=本当は主張したいこと、本音があるが、
”反対意見を言ったら叩かれる”、ということを恐れ、
周りを見て忖度(そんたく)、息苦しくなる

このような現代の風潮が、
戦時中の言論弾圧の風潮と、何となくリンクしている。

・「君たちはどう生きるか」というタイトル

本はあえて、最後まで答えを出さない。

多くの人たちがこの本を通じ、みずから悩み、考えようとする。

自然発生的に、各メディア等で議論が起こり、
結果的に多くの人達の目に触れるようになる。

以上のような流れを得て、
この本は多くの人の共感を生んだのではないでしょうか。

”時代を超える普遍性”には、
PRにとって、
とても重要な要素があると思います。

例えば往年のヒーローもの、ヒロインもの等が、
長年人々に愛される理由に、
・誰でもぶつかる壁、敵、困難が現れる
・それに対して奮闘し、成長していく登場人物に自分を重ね合わせ、
共感する人が多い、

ということが挙げられるのではないでしょうか。

また、あえて正解を提示せず、
多くの人に、自ら考え、発想を広げる余地を用意しておくことも大事です。

PRとは、まさに正解がない無形のサービスのため、

言い換えれば、いかようにも進化していく、
いわば「生き物」のようなものではないか、と思います。

ダーウィンの進化論でも示している通り、
「生き残れるのは、変化に対応できる者」
という考え方こそが、
物事の本質に当てはまるのではないかと思います。

正解がない、先を見通しにくい今の時代だからこそ、
PR手法も、常に変化していく必要があるのではないでしょうか。

今巷で話題になっている、いわゆる「リバイバル消費」も、
単に「懐かしい」だけで終わらせず、
懐かしさを兼ね備えつつ、

時代の変化に合わせて、
若い世代の人達にも受け入れられる素地を
用意する必要があると思います。

今回例に挙げた「君たちはどう生きるか」は、
まさにそのヒントを私たちに提示しているような気がします。


執筆者・監修者
上岡正明
経済記者・経済コメンテーター
戦略PRプランナー・著書26冊累計105万部のビジネス作家
登録者25万人のYoutuber
上岡正明

MBA(多摩大学院経営情報学修了)
テレビコメンテーター
多摩大学客員講師(18,19)
帝塚山大学客員講師(19)
登録者24万人のビジネス系YouTube

「スーパーJチャンネル」「めざましテレビ」「王様のブランチ」「クイズミリオネア」等の元放送作家。日本を代表するPR戦略の専門家で、企業広報のスペシャリスト。未上場から上場企業まで戦略PRを手掛けたクライアントは300社以上。

広報ブランディング、新規事業構築、外資系企業の国内イベント、海外プロモーション支援のコンサルティング会社代表。現在まで約20年間、実業家として会社を経営。これまでに三井物産、SONY、三菱鉛筆、日本瓦斯など200社以上の広報支援、スウェーデン大使館やドバイ政府観光局などの国際観光誘致イベントなどを行う。

代表的なコンサルティング案件としては、日本中の女性たちの心を動かした「表参道のパンケーキブーム」、1年で200万台以上を売り上げた「ふとん専用掃除機レイコップ」、世界が注目する食イベント「肉フェス」、1カ月で6000万人(日本の約半分)にバズらせた「ジャポニカ学習帳“昆虫の表紙が変わった?”」がある。

経営と並行してMBA(情報工学博士前期課程)取得。東京都中小企業振興公社講師。成蹊大学、多摩大学、帝塚山大学の客員講師。東洋経済新報社、ダイヤモンド社、朝日新聞出版社、PHP出版、総合法令出版社、アスコム社、大和出版、すばる舎、宝島社から累計21冊80万部の著書を上梓。

日本神経心理学会、日本行動心理学学会、行動経済学学会、一般社団法人日本行動分析学会、日本社会心理学会、一般社団法人日本小児心身医学会、認知神経科学会の各学会員。

日経ヴェリタス・東洋経済オンライン・ダイヤモンドオンライン・プレジデントの4大経済メディアで専門家として記事連載もおこなっております。お読みになりたい方はこちらからご覧下さい。

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