みなさんこんにちは。
いよいよ2018年に突入し、
飛躍の年にしたいものですね。
さて、今回は、
「PRと普遍性の関係」について考えてみたいと思います。
最近巷で話題になっているベストセラー本
「君たちはどう生きるか」を例に、
考えてみたいと思います。
この本は今から約80年前に書かれた小説が原作で、
昭和初期の中学2年生の男の子が主人公、
学校生活で友人関係・いじめ等、
様々な悩みに直面し、
近所に住んでいる叔父さんが、
生きていくうえでのヒントをくれる、
という内容です。
最近ではマンガ版などが特に若者の間で大ヒットし、
さらにはアニメ化もされる予定だそうです。
出版不況と言われるこの時代に、
なんと130万部を超す異例の大ヒットとなりました。
今何故、大昔に書かれた本が、
時を超えてこれほどまでにヒットしているのでしょうか?
理由を調べてみると、
色々なことが分かりました。
例)
・女優の小芝風花さん、モデル/女優の池田エライザさん、タレントのベッキーさん
等、本の内容に影響を受けた有名人達が、
ご自身のSNS等で紹介。
本人達のコメント・感想に対し、
フォロワーからたくさんの反響あり。
・本のメッセージ(一部)
“世間の目よりも何よりも、
君自身がまず人間の立派さがどこにあるか、
それを本当に君の魂で知ることだ。”
“僕たちは、自分で自分を決定する力をもっている。
だから、誤りから立ち直ることもできるのだ。”
(”先行きが見えないこの時代をどう生きていけばいいのか?”
その問いかけに対するヒントが満載)
*今の時代でも共感する人が多い理由
(本が生まれた当初の風潮)
・日中戦争開始
・言論・思想の統制、弾圧強化
・国全体が戦争へ向かう
(著者はこのような風潮に危機感を持ち、
自由に考え生きることの大切さを、本に託したそうです。)
*物語が生まれた時代と、今の時代に重なる部分がある。
(現代の風潮)
・SNS時代
・「いいね!」押しを迫る人の増加
・ネット上で「炎上」するリスク
=本当は主張したいこと、本音があるが、
”反対意見を言ったら叩かれる”、ということを恐れ、
周りを見て忖度(そんたく)、息苦しくなる
このような現代の風潮が、
戦時中の言論弾圧の風潮と、何となくリンクしている。
・「君たちはどう生きるか」というタイトル
↓
本はあえて、最後まで答えを出さない。
↓
多くの人たちがこの本を通じ、みずから悩み、考えようとする。
↓
自然発生的に、各メディア等で議論が起こり、
結果的に多くの人達の目に触れるようになる。
以上のような流れを得て、
この本は多くの人の共感を生んだのではないでしょうか。
”時代を超える普遍性”には、
PRにとって、
とても重要な要素があると思います。
例えば往年のヒーローもの、ヒロインもの等が、
長年人々に愛される理由に、
・誰でもぶつかる壁、敵、困難が現れる
・それに対して奮闘し、成長していく登場人物に自分を重ね合わせ、
共感する人が多い、
ということが挙げられるのではないでしょうか。
また、あえて正解を提示せず、
多くの人に、自ら考え、発想を広げる余地を用意しておくことも大事です。
PRとは、まさに正解がない無形のサービスのため、
言い換えれば、いかようにも進化していく、
いわば「生き物」のようなものではないか、と思います。
ダーウィンの進化論でも示している通り、
「生き残れるのは、変化に対応できる者」
という考え方こそが、
物事の本質に当てはまるのではないかと思います。
正解がない、先を見通しにくい今の時代だからこそ、
PR手法も、常に変化していく必要があるのではないでしょうか。
今巷で話題になっている、いわゆる「リバイバル消費」も、
単に「懐かしい」だけで終わらせず、
懐かしさを兼ね備えつつ、
時代の変化に合わせて、
若い世代の人達にも受け入れられる素地を
用意する必要があると思います。
今回例に挙げた「君たちはどう生きるか」は、
まさにそのヒントを私たちに提示しているような気がします。