ここからは、実際にマーケティング戦略を決定して行くプロセスを順を追って解説します。
環境分析のフェーズでは、「3C分析」というフレームワークを使って細分化を行います。
3C分析とは、「company(自社)」「competitor(競合)」「customer(顧客)」の3つの視点から、自社の置かれている環境を明らかにするものです。
普通は、自社・競合・顧客の順で語られる事が多いですが、マーケティング戦略を策定する際には、顧客・競合・自社の順で考える方がスムーズです。
3C分析を行った後には、その内容を踏まえてUSPを決定します。
USPとは、Unique Selling Propositionの略で、他社にはない、自社だけの強みの事で、言葉のまま、ユニークなセールスポイントの事ですね。
3C分析により、顧客ニーズに適した、自社だけの強みを発揮できる点を探すのが、このフェーズの目的です。
それが、「誰に・何を・どのように」で言う、「何を」の部分にあたります。
顧客分析のフェーズでは、具体的には、「顧客のニーズ」を探します。
顧客のニーズには、「顕在ニーズ」と「潜在ニーズ」の2種類があります。
例えば、「犬がほしい」という人が2人いたとします。2人とも顕在化して表にあらわれているニーズは同じですが、その理由はそれぞれ「一人暮らしで寂しい」「一目惚れ」「今いる犬の遊び相手がほしい」など様々です。
これらの解消したい問題の本質が、「潜在ニーズ」となります。
ここでのポイントは、同じ顕在ニーズでも、色々な潜在ニーズが隠れていることです。潜在ニーズのレベルまで深くニーズをとらえることで、顧客が何を求めているのかを知る事が出来ます。
顕在ニーズの時点で思考と分析をやめると、判断を誤る原因になります。
もちろん、「潜在ニーズ」が同じで、「顕在ニーズ」が異なると言うパターンも有ります。 この場合は、その潜在ニーズが強力なものなのだと推測できます。
顧客のニーズにどのようなものがあるのかを知る方法ですが、今までのお客様の声を思い出すのが一番です。
「今までのお客様の購入理由で多かったものは?」
「お客様は、何を求めて買ってくれていたか?」
等が想定できます。
また、上記の質問だけでは、自社商材で対応出来ているニーズしか拾い上げられない懸念があるので、
「失注理由で多いものは?」とか
「お客様からよくあげられる要望は?」
等の質問も考えてみるのも良いかもしれません。
お客様に調査を行ったアンケートなどが有ればベストですが、無理にこだわる必要は有りません。
自社商材の安さに自信があっても、競合がそれより安い価格を打ちだしていれば、それは強みにはなり得ません。市場での評価は、相対評価です。
競合を分析する事で、出来るだけ、競合と比較されることのないポイントを見つけるのが、このフェーズでの目的です。
競合として認識している企業名を3社ほど挙げ、それぞれの企業の強みを考えてみましょう。
そこで上がった企業の強みとして、重要度が高いと思われるものを2つ選んでマトリックスにすると、競合とのポジショニングがわかりやすくなります。
その際、選択した指標の評価を「良い・悪い」にするのではなく、正反対の価値観とすることがコツですね。
自社がどのような状況に有るのかを整理する事が目的です。特に、自社の強みが何なのかを洗い出す事が重要です。
SWOT分析とは、strength(強み)、weakness(弱み)、opportunity(機会)、threat(脅威)の頭文字をとったもので、自社内部の強み弱みと、外部環境としてプラスに働くものとマイナスに働くものを洗い出すためのものです。
SWOT分析をして洗い出しが出来たら、それぞれを組み合わせてクロスSWOTの形式にすることで、自社が何をするのが得策かを検討します。
SWOTの各要素を内部環境と外部環境で掛けあわせて、どう対応するべきかを判断するのが目的です。
特に中小企業の場合は、強みと機会の掛け合わせに注力する事が最優先になります。中小企業の場合、いくらでも弱みは有るので、限られた経営資源を活かすためにも、強みと機会に注力するのがセオリーですね。
SWOTを洗い出すと、弱みばかりが多くなる事がほとんどです。反対に、外部環境に関しては、ほとんど出てきません。
自社の市場を調べて、外部環境に関しては、補足できるとベストですね。
また、SWOT分析だけでは足りないと感じた場合には、ファイブフォースのフレームワークを使ってみてもよいでしょう。
ファイブフォースとは、自社を取り巻く5つの要因をまとめたもので、
●競合の強さ
●新規参入の脅威
●代替品の脅威
●売り手の交渉力
●買い手の交渉力
の5つの力関係で捉えようという切り口です。
ここまで押さえておけば、基本的に抜け漏れはないとみなしてよいでしょう。
ここまでじっくりと3C分析を行っていれば、だいたいの解決策の方向性は見えてきます。 環境分析の目的は「誰に・何を・どのように」の「何を」の部分を決定する事でした。
そのために、3Cすべての視点をまとめて、自社が「何を」打ちだすべきかを判断するアプローチ方法を用います。
横軸に「顧客のニーズ(顧客分析の視点)」を列挙し、縦軸には、点数を設定します。
そして、それぞれの顧客ニーズに対して自社と競合がどれだけの価値を提供できているかをプロットします。
最後に、自社と他社の形状を見比べて、差別化出来るポイントを確認します。
これで、他社とは違い、顧客ニーズに適した、自社の強みを把握する事が出来ます。これが、自社のUSPとして顧客に打ちだすメッセージの核となります。