1.環境分析の概要│3C分析/「顕在ニーズ」と「潜在ニーズ」/SWOT分析
コラム
経営戦略×PR
2013.10.10

1.環境分析の概要│3C分析/「顕在ニーズ」と「潜在ニーズ」/SWOT分析

1.環境分析の概要

ここからは、実際にマーケティング戦略を決定して行くプロセスを順を追って解説します。

まずは、「環境分析」からです。

環境分析のフェーズでは、「3C分析」というフレームワークを使って細分化を行います。

3C分析とは、「company(自社)」「competitor(競合)」「customer(顧客)」の3つの視点から、自社の置かれている環境を明らかにするものです。

普通は、自社・競合・顧客の順で語られる事が多いですが、マーケティング戦略を策定する際には、顧客・競合・自社の順で考える方がスムーズです。

3C分析を行った後には、その内容を踏まえてUSPを決定します。

USPとは、Unique Selling Propositionの略で、他社にはない、自社だけの強みの事で、言葉のまま、ユニークなセールスポイントの事ですね。

3C分析により、顧客ニーズに適した、自社だけの強みを発揮できる点を探すのが、このフェーズの目的です。

それが、「誰に・何を・どのように」で言う、「何を」の部分にあたります。

2.顧客分析

顧客分析のフェーズでは、具体的には、「顧客のニーズ」を探します。

顧客のニーズには、「顕在ニーズ」と「潜在ニーズ」の2種類があります。

例えば、「犬がほしい」という人が2人いたとします。2人とも顕在化して表にあらわれているニーズは同じですが、その理由はそれぞれ「一人暮らしで寂しい」「一目惚れ」「今いる犬の遊び相手がほしい」など様々です。

これらの解消したい問題の本質が、「潜在ニーズ」となります。

ここでのポイントは、同じ顕在ニーズでも、色々な潜在ニーズが隠れていることです。潜在ニーズのレベルまで深くニーズをとらえることで、顧客が何を求めているのかを知る事が出来ます。

顕在ニーズの時点で思考と分析をやめると、判断を誤る原因になります。

もちろん、「潜在ニーズ」が同じで、「顕在ニーズ」が異なると言うパターンも有ります。 この場合は、その潜在ニーズが強力なものなのだと推測できます。

3.顧客分析の手法

顧客のニーズにどのようなものがあるのかを知る方法ですが、今までのお客様の声を思い出すのが一番です。

「今までのお客様の購入理由で多かったものは?」

「お客様は、何を求めて買ってくれていたか?」

等が想定できます。

また、上記の質問だけでは、自社商材で対応出来ているニーズしか拾い上げられない懸念があるので、

「失注理由で多いものは?」とか

「お客様からよくあげられる要望は?」

等の質問も考えてみるのも良いかもしれません。

お客様に調査を行ったアンケートなどが有ればベストですが、無理にこだわる必要は有りません。

4.競合分析

次に行うのが、競合分析です。

自社商材の安さに自信があっても、競合がそれより安い価格を打ちだしていれば、それは強みにはなり得ません。市場での評価は、相対評価です。

競合を分析する事で、出来るだけ、競合と比較されることのないポイントを見つけるのが、このフェーズでの目的です。

競合として認識している企業名を3社ほど挙げ、それぞれの企業の強みを考えてみましょう。

そこで上がった企業の強みとして、重要度が高いと思われるものを2つ選んでマトリックスにすると、競合とのポジショニングがわかりやすくなります。

その際、選択した指標の評価を「良い・悪い」にするのではなく、正反対の価値観とすることがコツですね。

5.自社分析

最後に行うのが自社分析です。

自社がどのような状況に有るのかを整理する事が目的です。特に、自社の強みが何なのかを洗い出す事が重要です。

ここで使うフレームワークがSWOT分析です。

SWOT分析とは、strength(強み)、weakness(弱み)、opportunity(機会)、threat(脅威)の頭文字をとったもので、自社内部の強み弱みと、外部環境としてプラスに働くものとマイナスに働くものを洗い出すためのものです。

SWOT分析をして洗い出しが出来たら、それぞれを組み合わせてクロスSWOTの形式にすることで、自社が何をするのが得策かを検討します。

SWOTの各要素を内部環境と外部環境で掛けあわせて、どう対応するべきかを判断するのが目的です。

特に中小企業の場合は、強みと機会の掛け合わせに注力する事が最優先になります。中小企業の場合、いくらでも弱みは有るので、限られた経営資源を活かすためにも、強みと機会に注力するのがセオリーですね。

SWOTを洗い出すと、弱みばかりが多くなる事がほとんどです。反対に、外部環境に関しては、ほとんど出てきません。

自社の市場を調べて、外部環境に関しては、補足できるとベストですね。

また、SWOT分析だけでは足りないと感じた場合には、ファイブフォースのフレームワークを使ってみてもよいでしょう。

ファイブフォースとは、自社を取り巻く5つの要因をまとめたもので、

●競合の強さ
●新規参入の脅威
●代替品の脅威
●売り手の交渉力
●買い手の交渉力

の5つの力関係で捉えようという切り口です。

ここまで押さえておけば、基本的に抜け漏れはないとみなしてよいでしょう。

6.USPの決定

ここまでじっくりと3C分析を行っていれば、だいたいの解決策の方向性は見えてきます。 環境分析の目的は「誰に・何を・どのように」の「何を」の部分を決定する事でした。

そのために、3Cすべての視点をまとめて、自社が「何を」打ちだすべきかを判断するアプローチ方法を用います。

横軸に「顧客のニーズ(顧客分析の視点)」を列挙し、縦軸には、点数を設定します。

次に、競合企業を2,3社想定します。

そして、それぞれの顧客ニーズに対して自社と競合がどれだけの価値を提供できているかをプロットします。

最後に、自社と他社の形状を見比べて、差別化出来るポイントを確認します。

これで、他社とは違い、顧客ニーズに適した、自社の強みを把握する事が出来ます。これが、自社のUSPとして顧客に打ちだすメッセージの核となります。

次回に続きます。


執筆者・監修者
上岡正明
経済記者・経済コメンテーター
戦略PRプランナー・著書26冊累計105万部のビジネス作家
登録者25万人のYoutuber
上岡正明

MBA(多摩大学院経営情報学修了)
テレビコメンテーター
多摩大学客員講師(18,19)
帝塚山大学客員講師(19)
登録者24万人のビジネス系YouTube

「スーパーJチャンネル」「めざましテレビ」「王様のブランチ」「クイズミリオネア」等の元放送作家。日本を代表するPR戦略の専門家で、企業広報のスペシャリスト。未上場から上場企業まで戦略PRを手掛けたクライアントは300社以上。

広報ブランディング、新規事業構築、外資系企業の国内イベント、海外プロモーション支援のコンサルティング会社代表。現在まで約20年間、実業家として会社を経営。これまでに三井物産、SONY、三菱鉛筆、日本瓦斯など200社以上の広報支援、スウェーデン大使館やドバイ政府観光局などの国際観光誘致イベントなどを行う。

代表的なコンサルティング案件としては、日本中の女性たちの心を動かした「表参道のパンケーキブーム」、1年で200万台以上を売り上げた「ふとん専用掃除機レイコップ」、世界が注目する食イベント「肉フェス」、1カ月で6000万人(日本の約半分)にバズらせた「ジャポニカ学習帳“昆虫の表紙が変わった?”」がある。

経営と並行してMBA(情報工学博士前期課程)取得。東京都中小企業振興公社講師。成蹊大学、多摩大学、帝塚山大学の客員講師。東洋経済新報社、ダイヤモンド社、朝日新聞出版社、PHP出版、総合法令出版社、アスコム社、大和出版、すばる舎、宝島社から累計21冊80万部の著書を上梓。

日本神経心理学会、日本行動心理学学会、行動経済学学会、一般社団法人日本行動分析学会、日本社会心理学会、一般社団法人日本小児心身医学会、認知神経科学会の各学会員。

日経ヴェリタス・東洋経済オンライン・ダイヤモンドオンライン・プレジデントの4大経済メディアで専門家として記事連載もおこなっております。お読みになりたい方はこちらからご覧下さい。

①:東洋経済オンラインでの連載記事
②:ダイヤモンドオンラインでの連載記事
③:プレジデントでの連載記事
④:日本経済新聞での連載記事