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この記事では広報・PR担当者の皆さんに向けて、「コーポレート広報」を行うメリットなどについてお伝えしていきます。
「そもそもコーポレート広報とは?」という方から、「コーポレート広報において力を入れるべきところを知りたい」という広報・PR担当者にまでおすすめできる内容となっています。
本記事では、コーポレート広報の主な目的、コーポレート広報のメリットや実践時のポイントなどに関して解説しますので、ぜひ参考にしてください。
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コーポレート広報の2つの目的
まずはコーポレート広報の主な目的について解説しますので、広報・PR担当者の皆さんはぜひ参考にしてください。「コーポレート」という言葉には、「企業の」「法人の」などの意味がありますが、具体的にはなんのために行う活動なのでしょうか。
目的①:ブランドイメージの確立
コーポレート広報の目的の一つは、ブランドイメージを確立させることです。
企業のビジョンや理念を社会に対して発信することで、例えば「黄色といえばこの企業」「このロゴはこの企業」「この企業といえば低価格」「この企業といえば天然素材」などの、視覚的・感覚的なイメージを強めることを目指します。
逆に、例えば「このブランドは○○という希少成分の使用に力を入れており~」など専門性の高い、言い換えると「直感的でない部分」について確立させることは、基本的にコーポレート広報の役目ではありません(これ自体は重要なことかもしれませんが他領域の広報・PR活動ですることです)。
目的②:企業文化の形成、定着、成長
コーポレート広報のもう一つの目的は、企業文化の形成、定着、成長などです。言い換えると社内に共通した価値観や考えを形づくり、定着させて、さらにそれを成長させていくことを指します。
例えば「何より顧客とのコミュニケーションを大切にする」、「何事も品質重視で、質より量に走らない」、「現状維持よりもチャレンジを歓迎する」など、「文化を言語化したもの」を社内・社外に発信することで、自社社員の一体感を強めていきます。
コーポレート広報をすることの4つのメリット
続いてはコーポレート広報をすることの主なメリットを紹介していきます。やや変わったタイプの広報・PRに思えるかもしれませんが、具体的にはどのようなメリットがあるのでしょうか。
メリット①:一貫性のあるブランディングがしやすくなる
企業が発信する情報の種類も、発信する相手も非常に多いですが、そのすべてにおいて一貫した軸が必要です。もちろん情報の種類や届ける相手によってトーン&マナーなどは異なるかもしれませんが、それでも「この企業らしい情報・届け方だな」と思ってもらうことが大事です。
それができれば徐々に、例えば「安さといえば○○社」などの強固なイメージを持ってもらえるようになり、例えば「価格の低さを重視した商品」を求めているユーザーに、「とりあえず○○社のものを探してみよう」と考えてもらいやすくなります。
一例として「リーズナブルなハンバーガーを気軽に食べたい」という場合はマクドナルドを連想する人が大半でしょうし、「ある程度お金を出してでも豪華なハンバーガーを」というのであれば他のチェーン店を連想する人が多いはずです。これが理想的な状態ですね。
メリット②:離職率の低下や全体的なパフォーマンス向上
上でお伝えした通り、コーポレート広報によって企業文化の形成、定着、成長を図ることが大事です。
そして企業文化、言い換えると「社風」がしっかりしていると、社員が「私が働いている会社はこういう会社」「こんな素晴らしい会社の一員でいられる」という気持ちになり、離職率が低下したり、全体的なパフォーマンスが向上したりするものです。
生々しい話ですが「給与」や「待遇」も離職率やパフォーマンスに大きく影響します。しかし、それだけでは思うように昇給しない場合や、少しでも待遇の悪さを感じたときなどに、モチベーションが大きく低下してしまう恐れがあります。しかしそれでも自社への愛着があれば、「やめよう」とまで思わないことでしょう。
メリット③:採用広報がしやすくなる
コーポレート広報に力を入れていると採用広報がしやすくなります。企業側から自信をもって「我が社はこういう企業です」と発信しやすくなりますし、求職側としてもそれを受け取って自分に合う・合わないの判断が行いやすくなるといえます。
また、大手企業・有名企業などで多くの人が「○○社はこういう企業」というイメージを持っている場合はもちろん、ベンチャー・中小企業であっても求職者であれば「調べて、企業文化を感じ取る」ということをします。よって、やはりコーポレート広報には採用広報面での意義もあるといえます。
メリット④:あらゆる広報・PR活動の土台ができる
コーポレート広報に分類されるものはもちろん、当てはまらないような広報・PR活動であっても、「ブランドイメージに合っているか」「企業文化からズレていないか」などの判断の軸ができるというメリットがあります。
また、コーポレート広報は基本的に売上に直結しないので優先順位が低くなりやすいですが、企業そのものの認知度や信頼性を高めることにつながるため、結果的には売上にも貢献するものです。
つまり「土台」が強くなっているということ。土台が強いからこそ、やり方さえ間違えなければ他の広報・PR活動の効果が出やすくなります。逆にコーポレート広報をほとんどしない、つまり「土台」が弱いままでは、他の広報・PR活動の成果が出にくく、効率が悪くなる傾向にあります。
質の高いコーポレート広報をするためのポイント4選
続いては質の高いコーポレート広報をするためのポイントをいくつか紹介していきますので、広報・PR担当者の皆さんはぜひご確認ください。やや抽象的な話題が多くなりますがすべて重要です。
ポイント①:企業内における企業文化の浸透を優先させる
特にこれからコーポレート広報を始める場合は、企業内に企業文化を浸透させることを優先しましょう。
ここがおろそかになっていると、例えば「広報・PR部署だけ空回りして、他部署は納得せず・理解せず冷ややかな目で見ている」という状況になりかねません。それで実害が出ないならまだしも、離職率が上がったり、全体のモチベーション低下につながったりしてもおかしくありません。
✅企業文化を浸透させるためにできることの例
企業文化を浸透させるためにできることの例をいくつか挙げます。
- 代表者や各部署担当者が全体に対してビジョンなどを語る機会を増やす
- 他部署同士が交流できる社内イベントを実施する
- 表彰の機会を増やして全体のモチベーションを上げる
他にも考えられることはたくさんありますが、「社員が自分たちのビジョンを確認・理解・共感すことにつながるか」、「自分たちのゴールを再認識することにつながるか」などの視点を持って、どのようなイベント・取り組みをするか決めることが大事です。
ポイント②:一貫したいブランドイメージや企業文化を明確にしてブレさせない
時代の変化や、それだけでなく極端に言えば「なんとなく」「気分」などの影響で、ブランドイメージや企業文化を変えたくなるかもしれません。しかし、それをすると結局は頻繁に軸がブレてしまうことでしょう。もしくはそもそも「定着させたいブランドイメージや企業文化がない」という状態になりかねません。
そのため、まずは経営陣などと「世間に与えたいイメージ」や「社員に定着させたい文化」などに関して相談しましょう。経営陣側もハッキリとは認識していない可能性があるので、これを機にヒアリングして話を詰めてください。
この部分が明らかになったら、簡単には変えないようにしましょう。その上で、どうしても変えたい、経営陣から変えるように指示が出た場合などは、「本当に変える必要があるのか」「変えることによる影響はどうか」などから丁寧に話し合わなければなりません。
ポイント③:他部署同士の連携の要になる
ブランドイメージや企業文化を一貫させるためには、他部署同士が常に連携して「私の部署はブレていないか」「他部署はどうだろうか」という意識を持つことが大事です(もちろん業務的にも部署間の連携がきちんとできているに越したことはありません)。
そのためには広報・PR部署が、チャットツールを使って社内ネットワークを立ち上げたり、社内報を発行して社内の情報共有を進めたりすることが大事です。さらに各種ステークホルダーから寄せられた声を、各部署に届けるなどもするといいでしょう。
いずれにせよ特にコーポレート広報に力を入れ始めた段階では、他部署に「とりあえず広報・PR部署に報告・相談すれば、情報を社内で共有できる」と思ってもらえる環境を作ることを意識するべきです。そして徐々に、広報・PR部署があまり関与しなくても、他部署同士でコミュニケーションを取れるようになってもらうといいでしょう。
ポイント④:自社のストーリーや歴史を振り返って活用する
広報・PR発信では「ストーリー」を重視すると伝わりやすく・共感されやすくなりますが、コーポレート広報についてもそれは同じです。
例えば、社長に「創業時に苦労した話」「それをどのように乗り越えたかの話」などを語ってもらい、それを発信すれば、ストーリーを読んだ人が「だからこの企業はこういう考え方なのか」と納得してもらいやすくなります。また、自社社員も「今までなんとなくでしか社風を知らなかったけれど、社長の想いを知ったらその重要性を理解できた」などとなるかもしれません。
また、企業の歴史を振り返って資料などにまとめて、それを発信することで、「このような歴史があるから今はこういう考え方・社風なのか」と、やはり興味を持ってもらうことができます。特に設立から長い企業の場合はやってみてはいかがでしょうか。
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