ペルソナによるプレスリリースのネタ作りの手順とポイント4選
PR戦略とは
3分で分かる「PRの基本」
2025.09.10

ペルソナによるプレスリリースのネタ作りの手順とポイント4選

➡記事を書いた人:Youtube登録者30万人【MBA保有のPRプランナー】上岡正明プロフィール

この記事では広報・PR担当者の皆さんに向けて、プレスリリースネタ作りの基本的な3ステップや、ネタ作りのポイントなどに関して解説していきます。

特に「新商品・新サービスなどわかりやすいものがある時期でないとネタを作ることができない」という方や、「毎回行き当たりばったりでネタを作っていて手応えがあまりない」とお悩みの広報・PR担当者におすすめの内容となっています。

本記事では、プレスリリースネタ作りの基本的な3ステップ、そしてネタを作るにあたってのポイントなどについてお伝えしますので、ぜひ参考にしてください。

➡人気記事:PR会社一覧を紹介!厳選20社ランキングとカオスマップ

広報・PRのプレスリリースネタ作りの3ステップ|基本の流れ

それではプレスリリースのネタを作るための基本的なステップを紹介していきますので、広報・PR担当者の皆さんはぜひ参考にしてください。あくまで基本ですので、必要に応じてアレンジしていただければと思います。

ステップ①:自社、商品・サービス、取り組み・イベントの「強み」や「個性」を整理する

まずは自社そのもの、商品・サービス(既存のものも含む)、取り組み・イベントなどの「強み」や「個性」を改めて整理しましょう。ここで自社の多くの「要素」について整理しておく方が、たくさんネタを見つけやすく・作りやすくなるためおすすめです(どうしても急いでネタを探す必要があるなどの場合は別)。

ポイントは最初から「どこでプレスリリースを公開するか」「どのメディア関係者にプレスリリースを送るか」などの「手段」から考え始めないこと。そうではなく、まず自社を見つめ直して「魅力」をきちんと理解してください。

なお「強み」とは文字通り「優れている部分」ですが、それとは異なり「個性」は「他と違う部分」なので、必ずしも他と比較して優れていなくても構いません。例えば「商品の質は普通でも、ターゲット層が珍しい」などであればそれは「個性」なので、プレスリリースネタになり得ます。

ステップ②:誰に響く「強み」や「個性」か|ターゲットに対してどの「強み」「個性が響く」か

続いて、ステップ1で見つけた「強み」や「個性」が誰に(どの層に)響く個性なのかを考えましょう。また、最初から「この層に届けたい」とターゲットが決まっている場合は、その層に響きそうな「強み」や「個性」をリストアップします。

言い換えると「欲しがっていそうな相手に情報を届ける」、「相手が欲しそうな情報を届ける」ということ。

よくある間違いとして「相手が求めているかどうか」よりも、「自社が・広報・PR担当者が届けたい情報かどうか」を優先してしまうといことがあるので気を付けてください。広報・PR発信は基本的に「相手ありき」です。

ステップ③:情報の伝え方や具体的な発信方法・ルートを考える

誰に対して何を発信するかまで決まったら、次は情報の伝え方や具体的な発信方法・ルートを考えます。極端な例ですが、「10代の女性」と「70代の男性」がいたとして、情報の伝え方が同じでいいはずがありませんよね。

例えば10代女性がメインターゲットならSNSを使うべきかもしれませんし、70代男性なら新聞やテレビを主に利用することを考えるべきでしょう(と結論付けたいところですが実際にはもっと分析して方法を決める必要があります)。

ペルソナによるプレスリリースネタを作るにあたってのポイント4つ

続いては広報・PRのプレスリリースネタを作るにあたってのポイントをいくつか紹介していきます。大まかな流れは上でお伝えした通りですが、実際にネタとして仕上げるためにはどうすればいいのかポイントを解説します。

ポイント①:「自社」や「商品・サービス」ではなく「ターゲット」を主語にして考える

広報・PR担当者の立場では、どうしても「自社として何を伝えたいか」「商品・サービスについて何を伝えたいか」を軸に考えてしまいがちです。しかし実際には、「ターゲットは何で悩んでいて、なぜその悩みが解決しないのか」「ターゲットはどのような情報を欲しがっているか」など、「ターゲット」を主語にして考えることをおすすめします。

他で例えるなら「人と人の会話」でも、「自分が何を話したいか」ばかり考えていても、相手の心を動かすことはできませんよね。確かに「自分が伝えたいこと」を無視するわけにはいきませんが、特に広報・PR発信の場合は「相手が主役」くらいに考えないと、購入や登録などにはたどり着かないと考えてください。

ポイント②:ターゲットからペルソナ設定をしてみる

ここまで「ターゲット」という表現を使ってきましたが、さらに深掘りして「ペルソナ」の設定をしてみるのもおすすめです。ペルソナ設定とは例えば、「24歳男性、年収320万円、現在の悩みはダイエットのこと、上京して両親とは別居中……」など、実在の人物のスケジュールかのように設定することを指します。

そしてこのペルソナ設定した架空の人物のために、ネタを作る・プレスリリースを作ることを考えると、「それならばこの人が喜ぶようにこの部分をこうしよう」「求めていることを満たすことができるように調整しよう」などのことが見えてくるはずです。

これが例えば「20代男性で既婚者」くらいしか設定がない(ターゲット設定としても浅い)とすると、このターゲットのためにネタを作ろうと思っても抽象的すぎて難しいはずです。

✅「特定個人にしか刺さらない」という心配はない

「ペルソナ設定をするとネタが特定個人にしか刺さらなくなるのでは」と感じたかもしれませんが、その心配はいりません。設定した「架空の人物」に近い層には刺さるからです。「刺さるから心配はない」というよりも、むしろ積極的に刺しにいくポジティブな戦略です。

逆に「幅広い層に響くネタにしたい」と間違った欲を出してペルソナ設定を怠ってしまうと、いわゆる「広く浅く」になってしまい、結果的にほとんどの人に刺さらなくなる可能性が高いので気を付けてください。

ポイント③:商品やサービス、イベントや取り組みを広報・PR担当者自身で体験する

プレスリリースネタを作るにあたって、その商品やサービス、イベントや取り組みを広報・PR担当者自身で体験してみましょう。まず、それらについて「知り尽くす」のは大前提ですが、それだけでなく「体験」するからこそ見えてくるものも多いです。

まず、新商品・新サービスなどでタイミング的に体験しにくい場合でも、開発部などに頼んで一部でも試させてもらいましょう。そしてイベントや取り組みに関しては、「一参加者」として参加させてもらいます。これらのことをしてこそネタが生まれます。

もちろん「体験」しなくてもある程度ネタはできるかもしれませんが、面白いネタになるかどうかは別問題です。例えばあなたも自分の詳しいジャンルについて、「インターネット上の知識だけで書いた記事」を読むと「何か面白くない」「興味が出ない」と感じると思いますが、プレスリリースネタやそのネタで作ったプレスリリース原稿についても同じことがいえます。

ポイント③:商品やサービス、イベントや取り組みに関して他部署社員にも話を聞く

自分以外の視点が入ることも大事ですので、商品やサービス、イベントや取り組みに関して他部署社員にも話を聞くことをおすすめします。例えばある商品についてプレスリリースネタを作る場合、開発部署などからヒアリングをするのは当然ですが、それとは直接関係のない部署の社員にも話を聞いてみましょう。

フラットな視点だからこそ見えているものもあるはずですし、単純にたくさんの人から話を聞く方が視野が広がるということもあります。もちろん広報・PR部署や開発部署の社員に比べて、話の具体性や「広報・PRネタっぽさ」は下がりやすいですが、それでもネタに昇華するのが広報・PR担当者の役目です。

✅社内ネットワークのチャットやアンケートで聞くのもおすすめ

効率良くたくさん声を集めたいのであれば社内ネットワークのチャットやアンケートで聞くのもおすすめです。チャットで「なんでも聞かせてください!」というスタンスで臨むのもいいですし、本格的にアンケートを作る手もあります。

社内ネットワーク(チャットツール)など、簡単に社内でコミュニケーションを取ることが可能なシステムがない場合は、これを機に構築してみてはいかがでしょうか。

ポイント④:無理をせず「今あるもの」からプレスリリースネタを作る

無理をせずに「今あるもの」からプレスリリースネタを作ることも大事です。まず、例えば「ネタを作りたい」→「新しい取り組みを始める」となっては本末転倒ですよね。

また、特に最近になって本格的に広報・PR活動を始めた場合は、社内にネタがたくさん存在するはずですので、焦って、もしくは浮足立って、他のところに手を伸ばすべきではありません。結果的に「今あるもの」を見つめることもできなくなり、中途半端な結果になる可能性が高いからです。

それでも「新しい何か」を広報・PR部署の提案を始める場合は、まず「自社の方針や目的に合うこと」を最優先することが必須です。広報・PR担当者という立場だからこそ、「もっとこうすればいいのに」と何かが見えてくることもあるはずなので、提案すること自体は悪いことではありません。

ペルソナによるプレスリリース作成で差別化を図ろう(まとめ)

プレスリリースネタに限らず「広報・PR発信」を作るために非常に重要なのが、「ターゲットが求めていること」を発信することです。つい「自社が伝えたいこと」を優先してしまいがちですが、それではターゲットに刺さる内容にならない可能性が高いので気を付けてください。

ちなみにある程度慣れてくると、「相手が何を求めているか」を考える方が、「自分が何を伝えたいか」を考えるよりも楽になってくるものです。これは実際にネタ作りをしてみないとわかりにくいことだと思いますが、この感覚を得られるまで頑張ってみていただければ幸いです。

➡人気記事:メディアに出るプレスリリースの書き方12のコツ


執筆者・監修者
上岡正明
経済記者・経済コメンテーター
戦略PRプランナー・著書26冊累計105万部のビジネス作家
登録者30万人のYoutuber
上岡正明

MBA(経営学博士前期課程修了)
多摩大学客員講師(18,19)
帝塚山大学客員講師(19)
登録者30万人のビジネス系YouTube

「スーパーJチャンネル」「めざましテレビ」「王様のブランチ」「クイズミリオネア」等の元放送作家。日本を代表するPR戦略の専門家で、企業広報のスペシャリスト。未上場から上場企業まで戦略PRを手掛けたクライアントは300社以上。

広報ブランディング、新規事業構築、外資系企業の国内イベント、海外プロモーション支援のコンサルティング会社代表。現在まで約20年間、実業家として会社を経営。これまでに三井物産、SONY、三菱鉛筆、日本瓦斯など200社以上の広報支援、スウェーデン大使館やドバイ政府観光局などの国際観光誘致イベントなどを行う。

代表的なコンサルティング案件としては、日本中の女性たちの心を動かした「表参道のパンケーキブーム」、1年で200万台以上を売り上げた「ふとん専用掃除機レイコップ」、世界が注目する食イベント「肉フェス」、1カ月で6000万人(日本の約半分)にバズらせた「ジャポニカ学習帳“昆虫の表紙が変わった?”」がある。

経営と並行してMBA(情報工学博士前期課程)取得。東京都中小企業振興公社講師。成蹊大学、多摩大学、帝塚山大学の客員講師。東洋経済新報社、ダイヤモンド社、朝日新聞出版社、PHP出版、総合法令出版社、アスコム社、大和出版、すばる舎、宝島社から累計21冊80万部の著書を上梓。

日本神経心理学会、日本行動心理学学会、行動経済学学会、一般社団法人日本行動分析学会、日本社会心理学会、一般社団法人日本小児心身医学会、認知神経科学会の各学会員。

日経ヴェリタス・東洋経済オンライン・ダイヤモンドオンライン・プレジデントの4大経済メディアで専門家として記事連載もおこなっております。お読みになりたい方はこちらからご覧下さい。

①:東洋経済オンラインでの連載記事
②:ダイヤモンドオンラインでの連載記事
③:プレジデントでの連載記事
④:日本経済新聞での連載記事