質の高い調査系プレスリリースを作成・配信する目的と4つの注意ポイント
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2025.07.23

質の高い調査系プレスリリースを作成・配信する目的と4つの注意ポイント

➡記事を書いた人:Youtube登録者30万人【MBA保有の現役記者】上岡正明プロフィール

この記事では広報・PR担当者の皆さんに向けて、「調査系プレスリリース」を作成するにあたってのポイントなどに関して解説します。

「そもそも調査系プレスリリースとは?」という方から、「調査系プレスリリースを書こうと思っているものの上手な作成方法がわからない」という広報・PR担当者にまでおすすめの内容となっています。

本記事では、調査系プレスリリースの概要、調査系プレスリリースを出す主な目的、そして作成するにあたってのポイントなどについてお伝えしていきますので、ぜひ参考にしてください。

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そもそも調査系プレスリリースとは?

調査系プレスリリース(調査リリース)とは、文字通りなんらかの調査データを報告するプレスリリースのことです。また、「調査データ報告がメインで、商品・サービスの紹介など他の要素があるプレスリリース」も一般的に調査系プレスリリースと呼びます。

例えば「マスクを使うことにわずらわしさを感じている人が○%います」→「□□の部分を面倒だと感じている人がその中の□%」→「そこで弊社は□□の部分を改良し、使いやすくしたマスクを新発売します」などと展開します。

調査系プレスリリースを出す広報・PR上の目的2選

調査系プレスリリースを出す目的は主に2つあります。それぞれ解説しますので、広報・PR担当者の皆さんはぜひ参考にしてください。どちらか一方に比重を置いても構いませんが、両方の目的達成を見据えてプレスリリースを配信できる場合もあるはずです。

目的①:自社そのものや商品・サービス、イベント・取り組みの広報・PRをする

上で触れた通り、まず調査データで関心を引いてから、自社そのものや商品・サービス、イベント・取り組みなどの広報・PRをするという目的を設定できます。

調査データによって通常よりも読者の興味を強くして、例えば「○○で困っている人が多い」と示して共感を呼んでから、「その悩みを解決できる商品を発売しますよ」とアピールするのです。

目的②:プレスリリースをメディア関係者に送って関係性を深める

調査系プレスリリースをメディア関係者に送って、その人との関係性を深めるという目的を設定することもできます。

まず「調査系」に限らず、質の高いプレスリリースを送ればメディア関係者は気に入ってくれて、こちらとの長期的な関係を築こうとしてくれる可能性があります。ただ、その中でも調査系プレスリリースに関しては、「調査データだけで他の記事や番組で使う」という使い道もあるので重宝されるケースがあります。

それもあってか広報・PR担当者の中には、商品やサービスなどに関する記載をせず、「調査データのみについて書いたプレスリリース」をメディア関係者に送って、関係性を構築しようとする人さえいます。何かを直接的に広報・PRすることにはつながりにくいですが、「メディア関係者とのコネクション」という長期的なメリットが期待できるので、余裕があれば実践を検討してみてはいかがでしょうか。

調査系プレスリリースを出すにあたっての広報・PR上のポイント4選

続いては調査系プレスリリースを出すにあたってのポイントをいくつか紹介していきますので、広報・PR上の皆さんはぜひ参考にしてください。「ただアンケートを取って、それをプレスリリースにまとめればいいだけ」と考えていると失敗する可能性が高いので注意が必要です。

ポイント①:「調査をした理由」を明確かつ興味深いものにする|季節、時節、時事ネタなど

脈絡もなく調査データを出されても、それほど面白くはないものです。そのため「調査した理由」を明確に、かつ興味深いものにすることがポイントといえます。その方法として効果的なものの一つが、季節、時節、時事ネタなどを利用するというもの。例えば以下の通り。

  • サマーシーズン到来。そこで「日焼け止めに求めること」を調査してみました
  • 寒い季節。そこで「人々の防寒対策と、その対策において面倒なこと」について調査しました
  • AI時代。「意識してAIを活用している人の割合は?活用の仕方は?」をテーマに調査しました

これなら基本的に多くの人にとって興味深い調査データになりますし、「商品・サービスの広報・PRに結び付けたい、という嫌らしさ」を薄めることもできます。

ポイント②:回答数を十分に多くする。偏りのない「調査対象範囲」にする

できる限り多くの人を対象に調査をして、いわゆる「母数」を増やすことが大事です。そうでないと「狙った結果を出そうとしている」と印象が悪くなりやすいですし、実際に偏った結果が出てしまう可能性があります。

さらに偏りのない「調査対象範囲」にしなければなりません。例えば、元々「20代女性限定のデータが欲しい」という目的があり、プレスリリースなどでもそれを明確に明かす場合は、20代女性のみに調査協力してもらって構いません(むしろそうあるべきです)。

しかし、一例として「女性を対象に」と大きな括りで調査しているように見せておいて、実際には20代女性にしか聞かないようでは、偏った・恣意的な調査になってしまいますのでNGです。

✅余裕があれば「母数」や「調査対象範囲」はプロフェッショナルに決めてもらう

少し勉強してノウハウを身に付ければ、アンケート調査ごとの「母数」や「調査対象範囲」の的確な決め方はおおよそわかるものです。ただ、余裕があれば母数や調査対象範囲はプロフェッショナルに決めてもらうのもいいでしょう(アウトソーシングなどをする)。

✅「統計学的に十分な母数」では「少ない」という印象を与える可能性がある

なお「統計学的に十分な母数」に回答してもらうだけでは、人によっては「少ない」という印象を与えてしまう可能性があります。プロとしてプレスリリースを読むメディア関係者ならまだしも、一般の人であれば「怪しい」と決めつけるくらいかもしれません。

それでも問題がないと判断するなら構いませんが、万全を期すなら「統計学的に十分な母数」よりもさらに母数を増やすといいでしょう。

ポイント③:グラフや図表、ビジュアル素材で調査結果を視覚的に・わかりやすく伝える

魅力的な調査結果を公開するとしても伝え方が悪いとプレスリリースの価値が低くなってしまいます。そのため単にテキストだけで伝えるのではなく、グラフや図表を使って視覚的に、かつわかりやすく伝えましょう。

また、例えば「女性向けサプリメント」ならサプリメントの箱を開けている女性のビジュアル素材、「AI搭載○○製品」なら、なんらかのデバイスを使っている人のビジュアル素材を載せるなどすると、プレスリリースを読む人が親近感を持ちやすくなるためおすすめです。

✅調査概要などはグラフ画像があるすべてのページに載せる

調査テーマ、調査期間、調査対象、調査方法などの「調査概要」は、プレスリリースにおけるグラフ画像などがあるすべてのページに載せましょう。最初のページだけに十分と思えるかもしれませんが、全結果ではなく一部の結果だけがメディア関係者に使われる可能性があるため、全ページに概要があった方が親切です。

ポイント④:商品・サービスのイメージに合うビジュアル素材を作る

商品やサービスのイメージに合うビジュアル素材を用意してプレスリリースに載せましょう。あらゆる種類のプレスリリースにおいて大切なことではありますが、「調査系」の場合は全体が地味になりやすいので特に重要といえます。

例えば以下の通り。

  • 日焼け止め:「地味に日焼け止めを使っている様子」ではなく「ビーチで使っている様子」にして華やかに
  • 防寒着:「寒々しい様子」にせずに「まるでファッション雑誌のように」する
  • AI関連商品:「スタイリッシュ」にしすぎず「家族で楽しくデジタルデバイスを見ている様子」にする

もちろんこれらは一例ですので、自社や商品・サービスの「与えたいイメージ」に合うようなビジュアル素材を用意することが大事です。イメージによってはあえて地味にするべきかもしれませんし、「ファミリーっぽさ」を出さずにスタイリッシュにした方が良い製品もあるはずです。

調査系プレスリリースを作成・配信する目的まとめ

調査系プレスリリース作成のポイント主なポイントとしては、「調査理由を興味深いものにする」「調査方法をしっかりとしたものにする」「グラフや図表によって視覚的にわかりやすくする」「イメージに合うビジュアル素材を載せる」などがあります。

一見「調査系」ということ自体が回りくどく感じるかもしれません。しかしプレスリリースとしてうまく仕上げることができればメディア関係者と深い関係性を構築できる可能性もあるので、特にプレスリリースのネタに困っている広報・PR担当者は検討してみてはいかがでしょうか。

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執筆者・監修者
上岡正明
経済記者・経済コメンテーター
戦略PRプランナー・著書26冊累計105万部のビジネス作家
登録者30万人のYoutuber
上岡正明

MBA(経営学博士前期課程修了)
多摩大学客員講師(18,19)
帝塚山大学客員講師(19)
登録者30万人のビジネス系YouTube

「スーパーJチャンネル」「めざましテレビ」「王様のブランチ」「クイズミリオネア」等の元放送作家。日本を代表するPR戦略の専門家で、企業広報のスペシャリスト。未上場から上場企業まで戦略PRを手掛けたクライアントは300社以上。

広報ブランディング、新規事業構築、外資系企業の国内イベント、海外プロモーション支援のコンサルティング会社代表。現在まで約20年間、実業家として会社を経営。これまでに三井物産、SONY、三菱鉛筆、日本瓦斯など200社以上の広報支援、スウェーデン大使館やドバイ政府観光局などの国際観光誘致イベントなどを行う。

代表的なコンサルティング案件としては、日本中の女性たちの心を動かした「表参道のパンケーキブーム」、1年で200万台以上を売り上げた「ふとん専用掃除機レイコップ」、世界が注目する食イベント「肉フェス」、1カ月で6000万人(日本の約半分)にバズらせた「ジャポニカ学習帳“昆虫の表紙が変わった?”」がある。

経営と並行してMBA(情報工学博士前期課程)取得。東京都中小企業振興公社講師。成蹊大学、多摩大学、帝塚山大学の客員講師。東洋経済新報社、ダイヤモンド社、朝日新聞出版社、PHP出版、総合法令出版社、アスコム社、大和出版、すばる舎、宝島社から累計21冊80万部の著書を上梓。

日本神経心理学会、日本行動心理学学会、行動経済学学会、一般社団法人日本行動分析学会、日本社会心理学会、一般社団法人日本小児心身医学会、認知神経科学会の各学会員。

日経ヴェリタス・東洋経済オンライン・ダイヤモンドオンライン・プレジデントの4大経済メディアで専門家として記事連載もおこなっております。お読みになりたい方はこちらからご覧下さい。

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