社会問題にフォーカスして効果的にメディア露出する広報・PR手法とポイント3選
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2025.07.25

社会問題にフォーカスして効果的にメディア露出する広報・PR手法とポイント3選

➡記事を書いた人:Youtube登録者30万人【MBA保有の現役記者】上岡正明プロフィール

この記事では広報・PR担当者の皆さんに向けて、「その裏にある社会問題」にフォーカスした広報・PR手法のポイントなどについてお伝えしていきます。

つまり例えば「クリスマス」に絡めた広報・PR上の発信をするとして、「クリスマス自体」よりも「クリスマスの裏で起きる社会問題」に焦点を当てる手法のことです。

本記事では、「その裏にある社会問題」にフォーカスする広報・PR方法の概要、実践のポイントや、広報・PR担当者の立ち振る舞いのポイントなどに関して解説しますので、ぜひ参考にしてください。

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「その裏にある社会問題」を軸に季節ネタ・時節イベントを扱う広報・PR方法もある

広報・PRやマーケティングおいて、季節ネタや時節イベントを絡めることは基本的に効果的です。それだけでも人々からの注目が集まりますし、例えば「商品・サービス自体はマイナー」という状態であっても、季節ネタ・時節イベントに関係させることで一気に認知度を上げることもできるかもしれません。

ただ、その一方で季節ネタ・時節イベントにストレートに絡めることが難しい場合もあるはずです。例えばプレスリリースのキーワードとしても人気の「クリスマス」ですが、人気かつ認知度・注目度が高いイベントだからといって、必ずしもクリスマスが直接絡むような商品・サービス、それからイベントがあるような企業ばかりとは限りませんよね。

しかし方向性を変えて、一例として「クリスマスの裏にはこのような社会問題があります」→「弊社ではその社会問題を解決するための活動を始めました」などと展開すれば、クリスマスを絡めつつ自然に人々からの共感性や注目度を上げることができます。

「その裏にある社会問題」を軸に季節ネタ・時節イベントを扱う広報・PRのポイント3つ

それでは「その裏にある社会問題」を軸に季節ネタ・時節イベントを扱う広報・PR手法のポイントをいくつか紹介していきますので、ぜひ参考にしてください。なおここでは「クリスマス後に廃棄されるケーキ」をテーマに解説していきますが、あくまで架空の内容となっています。

ポイント①:「自分ごと化」できるように問題提起する

「クリスマスケーキの廃棄問題」の対策としては、予約販売制の徹底、フードシェアリングサービスの普及、賞味期限を延長させる工夫などがあります。しかしこれらだけを強調しても、一般消費者には「ただのサービスの宣伝か……」と思われてしまう可能性が高いです。

もちろんこういった具体策について発信していくことも大事ですが、それよりも人々が廃棄ケーキ問題を「自分ごと化」できるように問題提起をしましょう。

例えば「華やかなクリスマスですが、早い店ではクリスマスイブの深夜からケーキの廃棄作業が始まります。」「また、クリスマスケーキを食べ切らない家庭が全体の○%に及ぶというデータも。」「日本全体で年間○トンのクリスマスケーキが廃棄されています」など。このような問題提起をすることで一般消費者としても、「これは自分にも関係がある」と考えるようになります。

ポイント②:自社の商品やサービスと絡めて共感性の高い呼びかけをする

問題提起をすることを大前提として、自社の商品やサービスと絡めて共感性の高い呼びかけもしましょう。ここでは「フードシェアリングサービス」に関する広報・PRをするものとして、例えば以下のような呼びかけがあります。

✅呼びかけ①:サービス利用対象者を絞る呼びかけ

基本的に、サービス利用対象者に関する呼びかけとしては、「○○圏内にお住まいの方」「個人の方は□□、法人の方は△△~」などシステム・ルール面がメインになるはずです。

ただ、ここで例えば「弊社のフードシェアリングサービスに共感し、今後も応援してくださる方に限定させていただきます」などと呼びかけることで、「一過性の話題作りではなく、これからも社会のために続けていく意思がある」と印象付けることができます。

この呼びかけでサービス利用対象者は減ると思われますが、「世のため人のために行っている」と思ってもらうことにはそれ以上の価値があるといえます。

✅呼びかけ②:クリスマスケーキの廃棄における「心情的な苦しさ」にフォーカスする

「フードロス軽減」などフードシェアリングサービスの具体的なメリットをアピールするだけでなく、例えば「廃棄による心情的な苦しさを軽減する」など、人々のメンタル面にフォーカスするのもいいでしょう。

これによって「フードロス問題が実際にあることは知っているけれど……」など他人事と感じていた人でも、「ケーキを作る人」「廃棄作業をする人」の姿を自然に思い浮かべて、「自分ごと」になりやすくなります。

✅呼びかけ③:「メディアへの取材の呼びかけ」も工夫する

メディアへの取材の呼びかけも、通常のように「取材対応可能です」では共感を得にくいので、「随時取材対応可能ですのでぜひご協力をよろしくお願いいたします」など、「フードロスの軽減のためにご協力ください」という形を取ることで、共感を呼びやすくなります。

ポイント③:難しい言葉・ありきたりな言葉ではなく、自分たちらしい素直な言葉で

例えばフードシェアリングサービスに関するプレスリリースを作るとして、広報・PR担当者としてはどうしても「SDGs」「エコロジー」「私たちの地球」「再生可能」など、難しい言葉やありきたりな言葉を使いたくなると思います。

ただ、それではその言葉を投げかけられた人にとっては、どうしても他人事に感じやすくなりますし、「心にもないことを言っていそう」などと思われてしまう可能性があります。そのため、自分たちらしい言葉を使うことをおすすめします。

例えば「弊社社長は学生時代、スイーツ店でのアルバイトで廃棄されるスイーツに心を痛めていました。」「だからこそフードシェアリングサービスの企業を立ち上げたのです。」「そして今年初めて準備が整い、クリスマス特別体制のフードシェアリングサービスを展開できるようになりました」など(できれば社長自身のコメントを出す)。

「裏にある社会問題」を軸に時節イベントを扱う広報・PR担当者の行動のポイント3つ

続いては「裏にある社会問題」を軸に季節ネタ・時節イベントを扱うにあたっての広報・PR担当者の行動に関するポイントを紹介していきますので、ぜひ参考にしてください。

ポイント①:他部署にも積極的に提案をしていく

元々「その裏にある社会問題」を軸にしている商品・サービス、イベント・取り組みなどがある場合は、それにフォーカスした広報・PR活動をしましょう。しかしそういった事柄がない場合は、広報・PR担当者側から「○○をしませんか?」と提案することも検討するべきです。

広報・PR部署として日頃から各部署を見ているからこそ気付くこともあるはずですし、広報・PR担当者としての見識が他部署の商品・サービス、イベントや取り組みにヒントを与える場合もあるはず。

そもそもこういった「部署間のコミュニケーション」を円滑なものにすることも広報・PR担当者としての重要な役割ですので、社内報を作る、コミュニケーションシステムを構築する、などのことも行ってみてはいかがでしょうか。「他部署へのアドバイス、情報共有をするのが当然」という環境を作るのです。

ポイント②:「広報・PRのための他部署の活動」では本末転倒。ブランディングに合う提案を

ただ、「広報・PRネタが欲しい」→「ネタができるように他部署に提案する」という流れでは本末転倒です。あくまでブランディングに合う提案をしないと企業のためになりませんし、広報・PR部署の立ち位置によっては「また広報・PR担当者が困ったことを言い出した」と思われかねません。

そのため、まずは改めて自社のブランディングを見直しましょう。その上で、売上や認知度アップに貢献するという裏付け(データなど)を取りつつ、「○○をしてみませんか?」と提案することが大事です。

ポイント③:「その裏にある社会問題」を扱うことがすべてではない

また、「その裏にある社会問題」を扱うことがすべてではありません。今回の例で言えばストレートにクリスマスネタに絡めることが可能である場合はそれで構いませんし、そもそも他に扱うべきネタがあるかもしれません。

社会問題にフォーカスして効果的にメディア露出する手法まとめ

クリスマスネタや他の季節ネタ・時節イベントに限らず、「その裏にある問題」にフォーカスするのは広報・PRネタを作ったり、企業としての活動の幅を広げたりするために、効果的な手法となる可能性があるので検討してみてはいかがでしょうか。

ポイントは共感を誘う呼びかけをして、人々に「自分にも関係しそう」と思ってもらう、つまり「自分ごと化」を進めることです。また、難しい言葉・ありきたりな言葉を使わず、できる限りありのままの言葉を使うことも重要といえます。

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執筆者・監修者
上岡正明
経済記者・経済コメンテーター
戦略PRプランナー・著書26冊累計105万部のビジネス作家
登録者30万人のYoutuber
上岡正明

MBA(経営学博士前期課程修了)
多摩大学客員講師(18,19)
帝塚山大学客員講師(19)
登録者30万人のビジネス系YouTube

「スーパーJチャンネル」「めざましテレビ」「王様のブランチ」「クイズミリオネア」等の元放送作家。日本を代表するPR戦略の専門家で、企業広報のスペシャリスト。未上場から上場企業まで戦略PRを手掛けたクライアントは300社以上。

広報ブランディング、新規事業構築、外資系企業の国内イベント、海外プロモーション支援のコンサルティング会社代表。現在まで約20年間、実業家として会社を経営。これまでに三井物産、SONY、三菱鉛筆、日本瓦斯など200社以上の広報支援、スウェーデン大使館やドバイ政府観光局などの国際観光誘致イベントなどを行う。

代表的なコンサルティング案件としては、日本中の女性たちの心を動かした「表参道のパンケーキブーム」、1年で200万台以上を売り上げた「ふとん専用掃除機レイコップ」、世界が注目する食イベント「肉フェス」、1カ月で6000万人(日本の約半分)にバズらせた「ジャポニカ学習帳“昆虫の表紙が変わった?”」がある。

経営と並行してMBA(情報工学博士前期課程)取得。東京都中小企業振興公社講師。成蹊大学、多摩大学、帝塚山大学の客員講師。東洋経済新報社、ダイヤモンド社、朝日新聞出版社、PHP出版、総合法令出版社、アスコム社、大和出版、すばる舎、宝島社から累計21冊80万部の著書を上梓。

日本神経心理学会、日本行動心理学学会、行動経済学学会、一般社団法人日本行動分析学会、日本社会心理学会、一般社団法人日本小児心身医学会、認知神経科学会の各学会員。

日経ヴェリタス・東洋経済オンライン・ダイヤモンドオンライン・プレジデントの4大経済メディアで専門家として記事連載もおこなっております。お読みになりたい方はこちらからご覧下さい。

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